【声優】日本初の中国人プロ声優・劉セイラさんに聞く　優しかった”ジャイアン”

yomiφ ★

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幼い時から日本のアニメの影響を受けたことで声優を志し、北京から日本に渡った劉セイラさん＝「青二プロダクション」所属＝が「日本初の中国人プロ声優」として活躍している。
バイリンガル声優として活躍が期待される劉さんに、これまでの歩みや、「声」を通じた日中交流の可能性について聞いた。

■日本で一流目指す
??言葉遣いを聞いていますと、中国人だと分からないほどです。

　まだまだ努力が必要です。私は日本に来てからは、できるだけ日本人と話し、日本語で会話するよう努めてきました。
言葉をマスターするには発音や文法だけでなく、その国に長い間住んで文化を肌で感じ、考え方まで理解する必要があると思います。

　言葉が完璧の域に達するまでには時間がかかりますが、日本の人と同じようにアニメに感銘を受けることはできます。
私は幼いころ「聖闘士星矢」や「新世紀エヴァンゲリオン」、「鋼の錬金術師」などを見て、言葉の意味は分からなくても強い影響を受けました。
日本の声優の声を聞いていると、どうしてこんなに心が震えるのかを知りたいと思ったのが、声優に興味を持ったきっかけです。

??どのように日本語をマスターしたのですか。

　勉強して暗記すればある程度のレベルに達すると思いますが、問題はその先です。大学で日本語を専攻し、交換留学でも１０カ月勉強したのに、
卒業後に日本の専門学校で授業を受けてもその内容が８割くらいしか理解できませんでした。留学したのに聞き取れない。微妙なニュアンスもよく分からず、焦った時期もありました。

　その壁を乗り越えるため、しばらく中国語から離れることにしました。友達や北京の実家との連絡を極力控え、日本にいる中国人の友人と話す時も日本語で返すようにしました。
自分を追い込んで日本語漬けにした日々は、今振り返ってもとても苦しかった時期です。日本語が嫌いになり、気持ちがふさぎ込んだことが何度もあります。
ですが中国に帰りたいとは思いませんでした。こうした時期をじっと我慢するうちに、日本語の力は徐々に上がっていきました。

　アニメのせりふを何度も自分でしゃべり、録音して聞き直しました。自分の声をインターネットに載せて「おかしな発音を教えてください」と発信し、
親切な日本人が発音を丁寧に直してくれたこともありました。学生時代に北京で日本語を教えてくれた笈川幸司先生（４５）＝北京在住の日本語教師＝をはじめ、日本でも多くの人に支えられました。

??声優は日本人にとっても狭き門です。

　一人の中国人留学生に過ぎなかった私を応援してくれたのが、「ドラえもん」でジャイアンの声を２６年間担当した、たてかべ和也さん（昨年６月に８０歳で死去）でした。
２０１０年ごろ、インターネットで私の声をチェックしてくれた人が東京で紹介してくれました。たてかべさんは若手の育成に熱心な方で、私の思いを受け止めてくれ、
さまざまなイベントや交流の場に連れていってくれました。私は日本の習慣やしきたりが分からず戸惑うばかりでしたが、
「この子は中国から来ている。俺は死んだらこの子を空から見守ってあげたい」と背中を押してくれました。
私はプロになったら、たてかべさんとぜひ一緒に仕事をし、恩返しをしたいとずっと思い続けてきました。実現できず本当に悔やまれます。
　たてかべさんは私に「劉ちゃんには、自由に自分の道を歩んでいってほしい」と話していました。
日本の考え方だけにとらわれず、日本と中国をつなぐ若い世代の声優として、もっと広い視野で活躍してほしいという願いを持っていたのかなという気がしています。

（※たてかべ和也さんと劉セイラさん＝東京で２０１０年ごろ）
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（>>2につづく）
http://mainichi.jp/articles/20160216/ddm/004/070/035000c

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【声優】日本初の中国人プロ声優・劉セイラさんに聞く　優しかった”ジャイアン”