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【バーチャルYouTuber】有閑喫茶 あにまーれ 総合スレ Part.400
- 1 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 01:57:34.38 0EVE.net
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※スレ立て時、コマンド(!extend:none:vvv:1000:512)を3行に補充してください
公式アカウント
あにまーれ公式 黒猫ななし
http://twitter.com/AniMare_cafe
■メンバー
因幡はねる
http://twitter.com/Haneru_Inaba
http://www.you tube.com/channel/UC0Owc36U9lOyi9Gx9Ic-4qg
宇森ひなこ
http://twitter.com/Hinako_Umori
http://www.you tube.com/channel/UChqYnJlFxlBi6DfRz6jRenQ
宗谷いちか
http://twitter.com/Ichika_Souya
http://www.you tube.com/channel/UC2kyQhzGOB-JPgcQX9OMgEw
活動休止なり
https://twitter.com/Kuromu_Inari
http://www.you tube.com/channel/UCGiFzwdasSAHILrx-DB1pVQ
日ノ隈らん
http://twitter.com/Ran_Hinokuma
http://www.you tube.com/channel/UCRvpMpzAXBRKJQuk-8-Sdvg
※前スレ
【バーチャルYouTuber】有閑喫茶 あにまーれ 総合スレ Part.398
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/streaming/1545572738/
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- 2 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:15:14.11 0EVE.net
- おつひな〜
- 3 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:16:35.15 0EVE.net
- ひなこのやつフェラだろあれ
- 4 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:33:47.47 0EVE.net
- くこでいいな
- 5 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:35:02.58 0EVE.net
- いよいよ覚悟を決める時かな
- 6 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:35:03.57 0EVE.net
- ここ使うか
- 7 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:35:12.07 MEVE.net
- ひなこ真面目にASMRする気あるのか?
- 8 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:35:13.12 0EVE.net
- 上げておくぞ
- 9 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:35:30.85 0EVE.net
- まあはねるらんひなこは心配無いだろ
- 10 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:35:51.26 0EVE.net
- おつなり!おつなり・・・
- 11 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:36:18.75 0EVE.net
- >>7
まだ初心者で勉強中なんだろうから毎週はきついんでないか?
アメちゃんもそんな頻繁にやらないし
ちょこやパトラが熱心なだけだとおもうわ
- 12 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:36:42.18 0EVE.net
- パトラは命削ってるから
- 13 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:37:04.57 MEVE.net
- 割り切った宗谷さんのこれからに期待
- 14 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:37:35.52 0EVE.net
- ちょこは嫌い
- 15 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:37:38.21 0EVE.net
- というかはねるはあんまりお稲荷の事情知らなかったのに宗谷さんは何で知ってたんや
- 16 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:37:42.89 0EVE.net
- 宗谷さんはマリカーコラボの失態を取り繕って仕切りなおすのならまぁ
- 17 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:39:14.90 0EVE.net
- >>15
宗谷さんはななし側の人間だからでしょ
初期からずっと運営側の人間説は出てる
- 18 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:39:56.26 0EVE.net
- >>15
いちクロコラボで仲深まってたし、連絡いれたんでしょ
- 19 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:39:58.28 0EVE.net
- >>15
前から宗谷さんだけ3D制作に関わったり新衣装に関わったり、
半分ななしの一員みたいな働きしてたから他のメンバーとは違うんだろう
そのぶん他メンバー以上に運営のトラブルには深くヘラる事情があるんだろう
- 20 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:40:22.14 0EVE.net
- もしくははねる=稲荷の個人通話が活発ではなく宗谷=稲荷のパイプは活発だっただけの可能性とかか
- 21 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:40:35.13 aEVE.net
- ななしから事情聞いたんだろ
朝まで話す仲だし
- 22 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:40:43.44 0EVE.net
- あんなの見せられててえてえ営業されても冷めるわ
- 23 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:41:26.83 0EVE.net
- 解釈をすれば、割り切ったてぇてぇ営業を行うって名言したことになるのかな?
- 24 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:41:49.15 0EVE.net
- はねるいちかくろむの唯一一致した意見が「色々な人間がいる」っていうところエモくない?
- 25 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:42:27.86 0EVE.net
- 群像劇やなぁ
- 26 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:43:01.28 aEVE.net
- ま、割り切れない可能性高し
- 27 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:43:22.02 0EVE.net
- 今日のマリカーは全員が空元気で配信、もしくは全員お通夜テンション配信なら良かった
バラバラだったのがあかん
- 28 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:43:23.43 0EVE.net
- >>23
自分のやりたいことやる、言いたいこと言うって言ってなかったか
てぇてぇはしないんじゃないかな
- 29 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:43:33.91 0EVE.net
- 割り切ったとしてもそう明言してやるてぇてぇはてぇてぇじゃないからな?
- 30 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:43:56.74 0EVE.net
- >>27
全員お通夜テンションはアカンやろ…
- 31 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:44:00.74 0EVE.net
- ヒト、人情を失くしたらそれでもう終わりやね…
- 32 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:44:07.55 0EVE.net
- 宗谷さん今なら変な宗教に入信しそう
- 33 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:44:28.80 0EVE.net
- >>24
エモではねーだろ
あれ太刀打ち出来ない奴らがいてどうしようもないって事を隠喩で伝えようとしてるだけやんけ
- 34 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:44:29.10 0EVE.net
- >>24
はねるくろむの「人生いろいろ」もな
- 35 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:44:38.06 0EVE.net
- 宗谷は教祖の素質ある
- 36 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:44:53.11 0EVE.net
- ごめぇん…久しぶりにエモを感じてる…
なんかこう…なんだ…いい…最高だ…
- 37 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:44:59.83 aEVE.net
- 心療内科でもいけば?って普通に思うね
- 38 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:45:32.71 0EVE.net
- あにまーれ運営終わったな
- 39 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:45:57.41 0EVE.net
- うっ
(心肺停止)
- 40 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:46:30.07 0EVE.net
- らんちゃんヘラったのメンバーを家に入れたときくらいだからすげーなあ
- 41 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:46:37.91 0EVE.net
- りりりっていつ終わるんだ
- 42 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:46:54.18 MEVE.net
- >>31
人情マシマシの稲荷の配信怖かったわ・・・
- 43 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:46:58.46 0EVE.net
- 運営の不信感は高まったのは間違いないな
それ以上に対応が遅すぎてイライラする
- 44 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:46:59.03 aEVE.net
- 低評価3もあるよ
- 45 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:47:19.94 0EVE.net
- 昨日の一連の流れはエモかった
- 46 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:48:05.77 0EVE.net
- 配信者なんてみんなしょっちゅうヘラってるだろ
ヘラるポイントがそれぞれ違うだけ
- 47 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:48:13.13 0EVE.net
- まだエモいって感じしねーな
もっと感情剥きだしじゃないと
- 48 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:48:37.73 MEVE.net
- これを見るために半年間推してきたんだ
- 49 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:48:48.84 0EVE.net
- あにまーれ見てるとハニストのてぇてぇを3倍楽しめる
- 50 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:48:50.84 0EVE.net
- 宗谷に関してはエモかったぞ
合格点だわ
- 51 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:49:23.77 0EVE.net
- そもそも会社を表に出さないしななしもいっぱいいるのに正体がよくわからない
ぼちにぃとかはお漏らしで関わってはいるだろうがどういう関わりかは不明
こういう自体が起きてもだんまりだし運営が不透明すぎるわ
- 52 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:49:35.89 0EVE.net
- あにまーれに柱といえる人材はいるのか
- 53 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:49:45.70 0EVE.net
- 一つだけはっきりしたのは「あにまーれ最高」は終わってしまったってことだね。もう二度と箱として推せなくなった
- 54 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:50:15.33 0EVE.net
- あにまー最強!!
- 55 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:50:38.63 0EVE.net
- ちゃぴまるのBGMを口ずさんでさりげなくそれを見て配信を始めた事を伝えるお稲荷
元は界隈違って繋がりはなかったはずだし見てる事は見てるんやなって
- 56 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:50:56.23 0EVE.net
- 最高かと思ったらPsychoだったでござる
- 57 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:51:07.17 0EVE.net
- >>54
あにまだろ
- 58 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:51:39.21 0EVE.net
- >>51
パトラの探偵が調べても分からん言うてたの詰まる所一般リスナーが調べても分からんって事やからなぁ
不手際とかあったら一瞬で消えそう
- 59 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:52:25.66 0EVE.net
- ハニスト見てるのは癒しがほしいおっさん
あにまーを見てるのはスリルがほしい若者
- 60 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:52:48.06 0EVE.net
- 箱推しやめて単推しになる時がきたな
- 61 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:52:59.85 0EVE.net
- 箱が壊れていく様を見るっていう楽しみが見たくないかと聞かれたら少しは見たいと思うけど
あにまーれに壊れてほしいとは思わなかったような
あにまーれが壊れないでハニストといいライバル関係の世界線ってありませんか
- 62 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:53:07.89 0EVE.net
- その点綺麗とは言い切れるわけではないだろうけど
田角がインタビュー答えたりいわながが表にでるにじさんじはだいぶマシやな
大学サークルみたいな不安定さはあるとはいっても透明度は高い
- 63 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:53:36.32 aEVE.net
- あにまはこれからなんです!!
- 64 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:54:07.56 0EVE.net
- >>63
あにまーれじゃない時点で終わってしまったよ
- 65 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:54:44.60 0EVE.net
- >>61
メンバー自ら壊しに行ったから仕方ない
- 66 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:54:46.16 0EVE.net
- お稲荷が復帰する可能性どのぐらいあるんだろな
さすがに居なくなるのは痛手すぎるだろ
- 67 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:54:47.19 0EVE.net
- 黒猫ななしファンの総称黒幕族とか呼ばれてるけどななしがガチの黒幕だったとは
- 68 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:54:48.74 0EVE.net
- >>56
草
- 69 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:55:19.83 0EVE.net
- 運営だけが悪いなら箱推しできるはずだろ?なんでそれができない?
- 70 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:55:54.46 0EVE.net
- あにまーって元々単推しの集まりだろ
- 71 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:55:56.80 0EVE.net
- >>51
ぼちにぃは思いっきりななしじゃん
- 72 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:56:13.59 0EVE.net
- >>66
今のところお稲荷の口ぶりじゃ半々かね
続けたいともやめたいとも傾かず運営の動き次第だな
- 73 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:56:43.18 0EVE.net
- >>69
そうだね流星群だね
- 74 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:56:46.02 0EVE.net
- >>66
5パーくらいはあるんじゃないの
また問題起こすのは100パーだが
- 75 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:56:56.82 0EVE.net
- 八月頃のあにまーれに戻らないかな
- 76 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:57:19.95 0EVE.net
- >>62
いわなが表に出していいことなかったやんけ
ヘイト集める以上に運営が信じられなくなるわ
- 77 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:57:31.07 0EVE.net
- あの配信のあと復帰したら本物の発達
- 78 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:57:52.62 0EVE.net
- 忘年会やる?って部分誰が何言ってたっけ
宗谷さんはその時なんて言ってた?
- 79 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:57:55.30 0EVE.net
- お稲荷をどうこうしたいというのは変わらないだろうけど、
折れてでも留まらせたいと思うか、それなら辞めろとなるか
- 80 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:58:33.63 0EVE.net
- お稲荷は辞めるだろ
ボカシたのはただの大人の事情
追い込みが怖いから
- 81 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:58:55.04 0EVE.net
- >>76
まぁいいことがあるかといえばないんだけど
運営が表立って発信しようという姿勢自体はいいことだとは思うけどね
- 82 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:59:19.21 0EVE.net
- アニマ(anima)は、ラテン語で、生命や魂を指す語である[1]。
古代ギリシア語の文献類(アリストテレスの書など)にある「希: Ψυχή (プシュケー)」というギリシア語を、
中世ヨーロッパなどにおいてラテン語に翻訳する時には「anima」という語があてられた。
当時ヨーロッパはキリスト教世界であったので、古代ギリシアの哲学の影響を受けつつも古代ギリシア文献の
翻訳・研究などの文脈以外では、animaはキリスト教的な色彩を帯びた用法で使われていることも多い。
その後、近代になってユングが独特の用語として用いることになった。
- 83 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 02:59:48.26 0EVE.net
- >>78
その話の頃にはもうミュート泣きだった気がする
- 84 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:00:00.27 0EVE.net
- あにまーれ解散で個人になるけど運営は変わらない、とかやらないかな
話題にもなりそう
- 85 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:00:37.46 0EVE.net
- >>82
動物モチーフのあにまーれは終わってもアニマとして改名して3人でやっていくしかない
- 86 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:01:04.45 0EVE.net
- >>62
何かあっても大体運営が悪いって分かるのはあるな
- 87 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:01:11.84 0EVE.net
- WANIMAとコラボしよう
- 88 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:01:22.36 0EVE.net
- お互い見える景色が違うから運営からとVTから、お互い言いたい事を表で言って問題が小さい内にジャッジしてもらうのも有りっちゃ有り
- 89 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:01:27.11 MEVE.net
- >>66
中耳炎が本当なら言えばいいのに、あのtwitterぶっちだからな
ふっこ配信の吹っ切れた感じといい、復帰は望み薄と見てる
- 90 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:01:54.34 0EVE.net
- 人情捨てたらどうたらこうたら言ってたけどさ
お稲荷引退したら人情を1番蔑ろにしてるのはお稲荷だよな
- 91 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:02:45.99 0EVE.net
- お稲荷側からばっくれてるのか運営が取り上げてるのかもわからないから難しい
- 92 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:02:47.53 0EVE.net
- するのはか
- 93 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:02:49.77 0EVE.net
- >>90
お前優しすぎw
既にお稲荷は見える中で1番薄情
- 94 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:02:52.35 0EVE.net
- >>89
そのときにはもうTwitter取り上げられてたんじゃないの
ディシートのときみたいに延期せずに決行したのも今思えば運営変わった感ある
- 95 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:03:19.03 0EVE.net
- 計画的な活動中止ではなくて突発的なのは明らかだからね
このままだろね
- 96 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:03:51.09 MEVE.net
- お稲荷離脱であにまーれは解散、事務所そのままで個人でって流れが妥当でしょ
- 97 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:04:04.82 0EVE.net
- 無言フェードアウトでしょうね
新衣装で一番騒いでたのにね
もったいないね
- 98 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:04:20.63 0EVE.net
- お稲荷は幼稚な天邪鬼
周りが「あの醜態で戻ってこれるわけない!」とか言い続ければ戻ってくる可能性ある
- 99 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:04:36.70 0EVE.net
- >>94
あの頃は宗谷さんもななし減給するぞとか普通になれ合ってたからな
一転して格付けのななしが出る度に吐き気がだのうわーだのも事実かなみたいな
- 100 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:04:56.17 0EVE.net
- >>91
バックレてたらストーカーに割れてるのを承知の上で今日の配信やらないと思うけどな
- 101 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:05:20.69 0EVE.net
- あにまーれ解散したららんちゃん即死しそうだな
- 102 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:05:41.52 0EVE.net
- 運営はそろそろ前に出ても良いんじゃないかな
未だに隠してるのここくらいだろ
- 103 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:05:49.73 pEVE.net
- この人達どういう気持ちでこういう話してるんだろう
この発言が気になるんだが、マリカしてる時の話であってるよな
少なくともはねるからんと溝があるのがわかる
- 104 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:06:02.11 0EVE.net
- 箱コラボの日の朝まではつい垢も動いてるし、前の日の大会だけじゃなくその日にも何かしらやらかしてるでしょ
- 105 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:06:09.64 0EVE.net
- お稲荷の新ガワあの中では上から数えたほうがいいくらい好きだったのにもったいないな
- 106 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:06:17.82 0EVE.net
- >>100
まぁふっこリスナーよりお稲荷リスナー向けの配信だったしな
わざわざキャス見てれば当然の30分で枠終わるという説明までして終わったし
- 107 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:07:00.25 0EVE.net
- >>103
これは完全に宗谷がガキなだけだろ
- 108 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:07:16.94 0EVE.net
- 別に一人が活動しなくなった所で、箱はそのままでいいんでは?
むしろ3,4人ほど追加で人数増やせばいいのに
- 109 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:07:20.81 0EVE.net
- >>93
いやぁまあ未知のななしってやつが居るから…
- 110 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:07:23.50 0EVE.net
- 散々クズで売ってきてたふっこの言い分100信じてるピュア民いるのか?
- 111 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:07:44.31 0EVE.net
- どこで間違えたんやろうな
- 112 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:07:53.37 0EVE.net
- お稲荷ツイッター引越し期間でもマメにやってたからブッチはないだろ
揉めてたの発覚したし尚更、運営が止めたのほぼ確定じゃないか
- 113 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:07:54.05 0EVE.net
- >>103
むしろ誰というよりみんななんじゃない?
自分は泣くほどヘラってるのに普段通り振る舞ってるから
落ち込んでるのは自分だけでみんな何とも思ってないのかなみたいな
- 114 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:08:20.27 0EVE.net
- >>111
デビュー時のはねるで間違えたな
最初から仲良しでやってればこんなことにならなかった
- 115 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:09:08.47 0EVE.net
- 一回視聴者にも伝わる様に説明しないとダメだろうな
現状憶測が飛び交って誰が悪い、何で辞めた、残ったメンバーはどう思ってるのか言わないと視聴者側は萎えるぞ
メンバーに続けるか迷ってるの居るなら何もせんでいいが
- 116 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:09:11.50 0EVE.net
- 宗谷さん情緒不安定すぎるもう結婚引退しよう
- 117 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:09:22.77 0EVE.net
- >>111
姫王
- 118 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:09:39.39 0EVE.net
- 他のメンバーが何も言わないのはお稲荷個人に関して問題があったから
多分男とコラボ禁止になって拗ねてるだけ
- 119 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:09:42.79 0EVE.net
- >>71
運営は1人じゃ無い
- 120 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:09:46.12 0EVE.net
- >>109
未知のななしへのリベンジを果たす為にメンバーとファンに迷惑を掛けても構わない
この時点で少なくとも、その未知のななしと同レベルの薄情さ
- 121 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:09:48.87 0EVE.net
- どうせお稲荷が9割方悪いんだろうから暴露してカウンターくらって消えてくれ
- 122 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:09:53.52 0EVE.net
- 普通に考えればみんな気にしてるけど表向き見せないように
空元気ででもいつもどおり振る舞ってるだろう事は分かりそうなのに
そんな事で自分だけみたいにヘラっちゃうところがだいぶ餓鬼なんだけど
- 123 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:10:11.79 0EVE.net
- >>110
ほんこれあの配信も自分を正当化したかっただけ
- 124 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:10:22.78 0EVE.net
- 一月ちょっと前に宗谷さんがやったドッキリが現実化してきてる件
これが言霊ってやつか…
- 125 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:10:28.82 0EVE.net
- >>76
そのヘイトが配信メンバーに集まってどうすんねん
- 126 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:10:42.21 0EVE.net
- 宗谷さんは悲しい事があった時に泣いてないだけで
あんたは悲しんでない!とか決めつけるような女なだけなんだ
- 127 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:11:18.79 pEVE.net
- これだけ問題があってもらんがあにまーれ最高最高言ってるのが怖い
本当に本心がわからないやつだ。一番しっかりしていて箱のことを考えているのはわかるが・・・そこが見えなすぎで本当に怖い
- 128 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:11:22.44 0EVE.net
- 今でもらんちゃんは1対1で男コラボしてるのに
お稲荷が今更な男コラボ禁止とかされるのは考えられないけどな
そもそもゲームで売り出すなら男と絡まないのは難しいんだから
- 129 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:11:27.47 0EVE.net
- 新メンバーはわりとまじでほしい
無理やりにでも明るい話題が必要
- 130 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:12:17.76 0EVE.net
- >>110
生存報告だけでほぼ新情報何もなかっただろ
- 131 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:12:19.76 aEVE.net
- はねるとひなこは何日か前に気持ち切り替えたと思うね
ひなこが昼から酒飲んでた日辺り
- 132 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:12:22.81 MEVE.net
- 稲荷はVTuberへの執着がないっていうか給料もらってゲーム出来るっていうインセンティブしかなかっただろ
いい男見つけて配信とかメンドーになったんじゃね
- 133 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:12:29.70 0EVE.net
- >>128
いきなりは無理だから徐々に減らしてんでしょ
らんたろうは他所と遊べればいいみたいなスタンスみたいだし
- 134 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:12:34.78 0EVE.net
- >>129
この状態で入るとかいじめか
- 135 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:12:38.79 0EVE.net
- 前に宗谷さんが表に出てないななしとそりがあわないみたいな話はしてたきがする
- 136 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:12:57.77 0EVE.net
- >>127
あれ見て意外とプロ意識あったんだなと見直した
- 137 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:07.19 0EVE.net
- どうにかしてお稲荷がいない心の穴埋めようとしてたけど
葛葉でうまった
- 138 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:15.43 0EVE.net
- >>118
俺もこの可能性高いと思ってるわ
特に嫌われてる叶と何度も遊んでるのがよろしくなかった
- 139 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:20.78 0EVE.net
- >>133
普通に考えてハニストにはコラボしろって言っといてあにまーれにはコラボするなってのはわけわからんからないと思うよ
- 140 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:22.60 pEVE.net
- 全ぶっちゃけでやってくれ
ng無しやった箱とは思えねぇよマジで。スッキリさせてくれないと素直に好きになれない
- 141 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:34.91 0EVE.net
- >>127
本心じゃないでしょ、その取り繕った演技をプロ意識あるといえばあるし
偽者過ぎて嫌だなぁとも思う、宗谷さんの反応はプロとしては駄目かもしれないけど、人としては嫌いじゃないな
- 142 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:36.47 MEVE.net
- どちらにせよ早く運営からアナウンスしてほしいわな
このままだと疑心暗鬼で他のメンバーの配信もまともに見れねえわ
- 143 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:53.56 0EVE.net
- >>139
お前がハニスト見てないことは分かった
- 144 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:55.01 0EVE.net
- たぶんあにまーれ最高で自分は間違ってないみたいな洗脳的な思い込みじゃないか?
自己啓発本好きだし発言することで実現するみたいな考えありそうだし
- 145 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:13:55.80 MEVE.net
- >>129
いびつな箱に入れられるほうの身になってみるとな
- 146 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:14:01.32 0EVE.net
- >>137
なんとなくわかって草
俺もここ最近葛葉見てるわ
- 147 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:14:02.39 0EVE.net
- こんな泥船に新メンバー追加したらそれこそ無能運営だろ
- 148 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:14:17.22 0EVE.net
- 叶アンチとユニコーンは空気読めてないから黙ってろ
- 149 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:14:25.29 0EVE.net
- >>143
パトラの枠見てないのな
- 150 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:14:31.98 0EVE.net
- >>132
元々ちょっとしたきっかけでモチベが落ちやすい状態ではあったかもな
- 151 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:14:45.95 0EVE.net
- 稲荷復帰あると思うけどなぁ
有能なトップなら現あにまーれ担当ななしと稲荷のどっち取るかというと稲荷を取るだろう
- 152 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:15:01.54 0EVE.net
- >>149
5万人記念でしょ
その後の動きよ
明らかに流れ消えたでしょ?
- 153 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:15:12.77 0EVE.net
- 運営「これからはコラボもこっちの方針に従ってもらいます」
これであにまーれもハニストも両方説明付く
- 154 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:15:26.41 0EVE.net
- アニマーレハナカヨシデスってロボット口調でふざけてたしみんな茶番だってのは分かってんじゃね
宗谷さんだけボロ泣きでそれどころじゃなかったが
- 155 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:15:28.95 0EVE.net
- 一応葛葉とあくああたりで普段の穴はうまるんだけど
コラボでいないと何ともやっぱり穴があいた感は否めない
- 156 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:15:32.96 0EVE.net
- >>142
ここの運営が無能なら年末を理由に年明けまで動かないだろう
まぁ見守りましょうぞ
- 157 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:15:58.96 0EVE.net
- >>151
普通はそうするとは思う、あとは運営の企画の見せ所
復帰配信でコラボなりして上手く美談にもってけばいい
- 158 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:16:12.40 0EVE.net
- メンバーにキツイマロ送るな苦情は私にしろって言ったパトラと
メンバーへの苦情私に送られても困るっていったはねる
箱の頭の違いがこの結果か
- 159 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:16:16.61 0EVE.net
- >>140
どう考えても上から抑えられてる
- 160 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:16:32.30 0EVE.net
- 全面的にお稲荷が悪かったら宗谷さんが信姫にたすけてツイートしないし、外部コラボで嬉々としてお稲荷の話しないと思うんだがな
- 161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2018/12/24(月) 03:16:52.19 0.net
- ここからお稲荷復帰とか勘弁してほしい
このまま壊れていく箱を楽しみたいしあにまーれなんてわざわざ見てる層はそっちのほうが多数派だわ
- 162 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:16:59.50 0EVE.net
- パトラは箱の事を考えてる
はねるは自分のことを考えてる
この差が今はっきり出てきたんだよ
- 163 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:17:10.92 0EVE.net
- お稲荷がVやってたのはプロゲーマーとかと遊びたいって動機が大きかったんだから
それについてななしにあれこれ言われたんじゃないの
- 164 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:17:14.02 MEVE.net
- お稲荷は今後わかる内容次第だが
いちかはマジでありえない爆弾だろ割とマジで仲良くなったら後が怖そう
- 165 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:17:17.64 0EVE.net
- 元々居候設定だったしそういうことだろ
- 166 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:17:18.96 0EVE.net
- 活動中止宣言だしただけでもマシだろ
コミケの事考えてだんまりされてもおかしくなかったぞ
- 167 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:17:25.88 0EVE.net
- >>158
ななしがミコとシャルをイジメたときもパトラは首差し出してるからな
- 168 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:17:27.88 0EVE.net
- >>161
正直バラバラになって個人勢化してほしい
- 169 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:17:34.78 0EVE.net
- あのめあでも前々からトラブル見せてて愚痴ぶっちゃけてたけど
色々話し合いで落ち着いて継続という形にはなったわけだし
個人運営のパリィでも出来るんだから企業ならありえなくはないでしょ
- 170 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:18:24.05 0EVE.net
- つうか稲荷の3Dモデルお蔵入りか?
- 171 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:18:24.09 0EVE.net
- >>158
まあこれだろなあ
外部コラボ見てても皆まともだもん
- 172 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:18:30.45 0EVE.net
- 女がキレるときは大体男絡みよ
- 173 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:18:30.93 0EVE.net
- そのフットワークができるのはベンチャーとか個人くらいじゃないか
- 174 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:18:42.89 0EVE.net
- >>164
そういえばこいつスパイトの女だったわって再認識したわ
- 175 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:18:48.54 0EVE.net
- >>146
コメの広い具合と自分のクズ容認とかいろいろ男になったお稲荷っぽくて助かるわ
- 176 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:19:00.93 0EVE.net
- >>172
誰もキレては無いんだよなぁ
- 177 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:19:05.38 0EVE.net
- >>158
パトラがあにまーれにいても同じことが言えたか?
- 178 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:19:41.90 0EVE.net
- >>177
ハーレムつくりが目的だから
- 179 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:19:50.29 0EVE.net
- 男がどうかとか関係なく、お稲荷は元々プロと遊びたい
最近の傾向を見ると上からコラボ相手を押しつけられてそう
やりたくもない人を決められてやりたい人とできないなら無理なんだろう
- 180 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:19:53.61 0EVE.net
- >>169
あいつはメンヘラで発作起こしてるだけだぞ
薬飲めば次の日には落ち着いてる
- 181 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:19:59.79 0EVE.net
- >>152
消えたとか言われてもあの枠からまだ2週間しか経ってないしその後にもスマブラ大会出て男とコラボしてたし
そもそもお前の言う通り本当に男コラボの流れが取り下げになってたとしても、パトラが許否ったから仕方なく取り下げたってだけであって、元々男コラボしてたあにまーれが男コラボ禁止になるのは意味わからんでしょ
- 182 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:20:02.92 0EVE.net
- >>176
ふっこの放送見たか?
- 183 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:20:04.39 0EVE.net
- >>163
それVtuberになる前から遊んでるから違うぞ、プロゲーマーの知り合いとか元から多い
- 184 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:20:31.71 0EVE.net
- お稲荷が全部悪いとは言わないがだいさんじ杯欠席したことは糞としか言いようがない
- 185 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:20:36.64 0EVE.net
- 自分だけは抵抗してる姿勢に酔ってそうな宗谷さん
- 186 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:21:10.81 0EVE.net
- >>181
お前が読解力無いの分かったから
- 187 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:21:11.91 0EVE.net
- パトラは箱の事を考えてるというか
自分が以前みたいな環境にいたくなくて平和な世界を作りたいのが第一な気がするから
形は違えど結局自分の事しか考えてないのはあんまり変わらないとは思うけどな
- 188 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:21:19.12 0EVE.net
- >>182
ふっこいつ見てもふざけんなマジで言うとるがな
- 189 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:21:23.61 0EVE.net
- >>158
そらハニストは良い子ちゃんばっかだし
あにまーれメンバー庇えるもんなら庇ってみろ
- 190 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:21:40.42 0EVE.net
- >>144
怖いから主語頼む
- 191 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:21:56.54 0EVE.net
- >>177
ハニストみたいになるかは知らんけどパトラのスタンスは変わらないんじゃね
はねるがいないの前提な
- 192 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:21:59.87 0EVE.net
- >>188
普段から見ててあれでキレてると思うならすごいわ
- 193 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:06.68 0EVE.net
- >>179
椎名 あくあ とかプロじゃないけどな
というかプロとコラボしたことないじゃん
- 194 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:07.80 0EVE.net
- >>185
これ思ってしまうな
お稲荷にも当てはまる
- 195 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:11.07 0EVE.net
- >>187
パトラの前世はマジで大変そうやからな
- 196 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:16.33 0EVE.net
- >>175
ゲーム本気でやりこむのとかな
- 197 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:23.95 0EVE.net
- >>182
ふっこがキレてたのは野獣先輩にくらいで
他の事ではキレたりはしてなかったと思うが
- 198 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:42.69 0EVE.net
- >>192
お前文脈読んでる?
- 199 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:49.21 0EVE.net
- >>186
一切反論できないならレスすんなよ
- 200 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:57.76 0EVE.net
- キャスで向こうの活動は割り切ってやっていきまーすみたいな
宗谷のファンを切っていく行動はマジで意味がわからない
- 201 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:22:58.03 0EVE.net
- >>184
ほんこれ
運営無能すぎる
- 202 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:23:05.61 aEVE.net
- パトラさん、お稲荷クビにするなら私もクビにしてって言ってみてよ
コラボした仲やろ?
- 203 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:23:31.27 0EVE.net
- ふっこの配信大体淫夢キッズのせいで台無しになったからよく分からんわ
- 204 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:23:34.47 0EVE.net
- >>193
れぷちん忘れんな
- 205 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:23:37.13 0EVE.net
- 野獣先輩に関してはガチで引いたわ
ああいうのが普段粘着したりしてるんだな
- 206 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:23:42.58 0EVE.net
- >>184
これは本当に勿体無いしよな、運営アホすぎるわ
- 207 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:23:44.09 0EVE.net
- >>195
自業自得だろ
- 208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2018/12/24(月) 03:23:57.03 0.net
- どうしたらもっと盛り上がるかな
一応ちゃぴとおふっこのキャスは録画してあるけどセンスあるタイトルつけてニコニコとかで切り抜きを拡散してくれる人いないもんかな
- 209 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:24:11.92 0EVE.net
- >>184
いやむしろお稲荷の数々のクソムーブの中でそれだけは唯一まったく問題ないだろ
- 210 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:24:12.41 0EVE.net
- しせ民はキャスに乗り換えような
- 211 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:24:24.60 MEVE.net
- いちか割り切って魂本命みたいなこと言ったらしいけどほんま?
- 212 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:24:24.80 0EVE.net
- 宗谷はもうちゃぴまるに戻りたくなってるから
- 213 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:24:42.91 0EVE.net
- お稲荷自体でもすぐ暴言吐くんだから別にいつもあんなもんだよ
むしろだいぶソフトでお稲荷として対処してるレベルだろ
- 214 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:24:46.63 0EVE.net
- >>160
それは関係ない
救いたいは深刻ぶってる空気をただのネタに戻す効果しかない
- 215 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:25:00.08 0EVE.net
- >>207
結局どこまでウソだったんですかねぇ
- 216 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:25:13.85 0EVE.net
- >>200
お稲荷はまだお稲荷としてのファンに向き合ってく姿勢見えたのになあ…
しせ民切り捨て発言はほんまヤバいと思う
- 217 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:25:36.53 0EVE.net
- 運営は何考えてんだろうな
こんな誰でもわかる不仲を無理やり押さえ込んでてぇてぇに持っていきたいって、本当呆れるわ
それに従わされてるはねるやらんもかわいそうだし、反発してるいちかもくろむもかわいそう
運営以外みんな被害者。いちかやくろむはプロ意識が足りなかったけど、そんな上から押さえつけられた偽物なんていらんわ
それを早い段階でわからせてくれた意味では感謝だよ
- 218 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:25:38.15 0EVE.net
- >>199
まともなレスできない奴にまともなレスしても意味ないでしょww
- 219 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:25:38.40 0EVE.net
- >>211
本命とは言ってないよ
実家のような安心感って言っただけ
あにまーれは仕事として割りきるって言ってたよ
- 220 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:25:40.55 0EVE.net
- >>211
せやでキャスは実家だから落ち着くらしい
- 221 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:25:53.33 0EVE.net
- お稲荷はグレーとは言ってからほんとちゃんと話し合えばなんとか出来るでしょ
- 222 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:26:15.34 0EVE.net
- 宗谷はファンの事騙すの大好きだから
Twitterで見掛けるピュアしせ民可哀想に
- 223 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:26:16.74 0EVE.net
- こんな状況でクリスマス企画の凸配信まじでやるのかな
犬のメンタルぶっ壊されるぐらいならいいけど
ひなことか別企画でやってるはねるに迷惑掛かったら絶対許せんわ
- 224 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:26:31.20 0EVE.net
- 芸人やらバンドが仕事として割り切ってやるは分かるが配信者の相方ってリスナーっしょ
大元の不満は運営でも割り切ってなんて口にしたらお終いよな
- 225 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:26:48.75 0EVE.net
- >>208
やるなら配信中の宗谷の様子もまとめたいし
できればもっと前のドンカップからの動きも付けたい
- 226 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:00.10 0EVE.net
- あくあもお稲荷と連絡とれてなくて信姫に助けて言うてるし
だいさんじ杯も椎名連絡とれてなさそうだし
自分はさわることができない状態ってことで捉えてる
- 227 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:12.92 0EVE.net
- そもそもメンバー内の複数人が新ななしに不満持ってる時点でお察し
- 228 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:16.84 0EVE.net
- 精々割り切った笑顔に騙されてくれよしせ民
- 229 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:23.29 0EVE.net
- >>200
お稲荷もだけど、宗谷やそのファンを傷つける事が運営へのリベンジなんだろ
知らんけど
- 230 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:26.53 0EVE.net
- はねるから人を減らしてあにまーれを格落ちさせて
箱に爆弾落としてまだ残るって言ってる宗谷さん怖すぎるんだが
- 231 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:28.31 0EVE.net
- >>217
しかも等の運営は無言貫いて正体も明かさない
VTuber関連はヤバイ運営ばっかりやわ
- 232 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:40.87 0EVE.net
- あれしせ民切り捨ての発言か?
マリカの時みたいに表に出してしまうのをどうにかやめるとかそういう風にならないようにするとか程度のことかと
- 233 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:52.22 0EVE.net
- >>211
これはガチ
だからしせ民の俺は絶望してる
- 234 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:27:53.85 0EVE.net
- 別にしせ民はキャスに乗り換えればいい話じゃん
そんな責め立てられることないだろ
- 235 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:28:06.12 0EVE.net
- YouTubeは仕事、キャスは趣味なんだから同列には語れないよ
少数でなれ合える視聴者でストレス発散の場も必要だろうし、
どっちかに絞って片方は捨てろというのはそれこそ縛りすぎだろう
- 236 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:28:34.30 0EVE.net
- >>230
あにまーれ内からファン吸収して切り捨てるのほんま草
はよ引退しろや犬はよ
- 237 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:28:47.83 0EVE.net
- 宗谷さんが音信不通の時もそうだったじゃん
ツイッターずっと無反応で、運営側が止めてるの丸分かり
- 238 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:28:50.73 MEVE.net
- 割り切るとかまじ萎えじゃん
しかも給料貰ってメンバーからファン吸い上げて魂誘導とかありえんな
- 239 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:28:57.74 0EVE.net
- 魂に切り替えていけばええんやで
- 240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2018/12/24(月) 03:28:59.50 0.net
- 録画上げるとお稲荷のクズっぷりを知らないやつらが運営が悪いって流れになってお稲荷擁護増えそうで嫌なんだよね
- 241 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:29:05.21 0EVE.net
- >>232
キャスは実家、あにまーれは仕事として割り切っていく
これ聞いたしせ民はどう思うだろうな
- 242 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:29:16.36 0EVE.net
- ターン制バトルでタゲ変わったのかな?
- 243 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:29:16.43 0EVE.net
- >>230
それを言ったらお稲荷の姫王で既に死に体だったんだが
- 244 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:29:38.64 0EVE.net
- >>230
スパイトの取り巻きやぞ怖いか?
- 245 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:30:05.06 0EVE.net
- >>235
それを口に出して言っちゃうのがまずいんだよ
プライベートの時間にキャスで配信すること自体は何の問題もない
- 246 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:30:10.75 0EVE.net
- >>226
ツイッターもディスコードもyoutubeも取り上げるって正直相当面倒な作業だしお稲荷が勝手に自粛してるだけだと思ってるわ
- 247 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:30:13.06 0EVE.net
- 魂で一切愚痴こぼさないらんちゃん
- 248 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:30:15.99 0EVE.net
- >>240
稲荷の件除いても運営が黒寄りグレーなのはマジだから今の内に出すもん出させた方がいい
- 249 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:30:19.33 0EVE.net
- 運営はリスナーのことをアホだと思ってる
ハニストがてぇてぇで成功したのを見てあにまーれも無理やり軌道修正しようとしたんじゃねーの
そんな単純なものなわけねーのによ
- 250 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:30:22.95 0EVE.net
- >>217
てぇてぇは無関係じゃね
箱コラボをぶっちした2人が態度の改善を迫られ逆ギレしてるだけだと思うよ
- 251 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:30:46.73 0EVE.net
- わざわざ魂垢で生存報告と具体的には言えないけどお気持ち表明したんだから
運営に色々止めて制限されてると考えるのは妥当だけどな
- 252 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:31:10.35 0EVE.net
- >>246
ドンカップ翌日に連動してる端末取り上げやない?
- 253 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:31:15.94 0EVE.net
- 犬と狐がガキすぎる
- 254 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:31:17.28 0EVE.net
- はねるが良企画で客引っ張ったあとに因幡組向けの配信するから新規捕まえられないで離れただけじゃん
オフ会もやってたしな
- 255 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:31:52.54 0EVE.net
- まだスパイトとか言ってるやついるんだな
どんだけトラウマになってるユニコーンなんだ
- 256 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:31:55.45 0EVE.net
- >>246
運営が作った垢なら勝手にログインしたら通知行ってバレるでしょ
- 257 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:32:00.95 0EVE.net
- らんの評価が正体的に上がってるの笑うわ
- 258 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:32:10.82 MEVE.net
- >>226
取り上げてるんだったら当たり障りのない活動休止の理由を書くと思うけど
- 259 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:32:27.77 0EVE.net
- 稲荷の事だから支給されてる端末にしかID控えてなくて返却した後ツイートできないだけじゃね
- 260 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:33:04.82 0EVE.net
- 別に宗谷さんを仕事として演じていくってだけで今までと何も変わらんだろ
何が気に入らないんだ?
- 261 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:33:24.26 0EVE.net
- 稲荷何のアカウントで配信してるのな分からんて自分で言うてたしな
- 262 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:33:43.96 0EVE.net
- リスナーのHPが200
お稲荷の活動中止ダメージが100
ちゃぴでの発言は300
更にそのあとふっこで100
2.5回殺されたわ
- 263 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:33:53.77 0EVE.net
- >>241
まじか
そんなもんだろぐらいしか特に何にも思わないから宗谷さんは好きだけどしせ民じゃないかもしれん
- 264 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:34:15.57 0EVE.net
- >>258
明らかに本人の口調じゃないツイートでそんなことしたら余計荒れるわ
- 265 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:34:54.35 MEVE.net
- >>200
俺は「割り切っていく」ってそんなにマイナスに捉えてないけどな
例えばマリカーで沈黙せずにひならんねると同様に振る舞うってことだと思った
- 266 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:34:57.72 0EVE.net
- >>240
意味分からん
- 267 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:35:04.22 0EVE.net
- >>260
vtuberは半生感が命だから
それ明言しちゃったら終わりよ
- 268 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:35:09.41 0EVE.net
- >>260
メンバー叩きたいだけのアンチか因幡組だぞ
本気に相手するなよ
- 269 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:35:18.32 0EVE.net
- >>264
えぇ…結局運営憎しやんけ
- 270 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:35:20.36 0EVE.net
- 視聴者をただの金だとしか思ってなくてもそれを口に出したらあかんのや
- 271 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:35:30.30 0EVE.net
- 別にリスナー問題で宗谷のリスナーを仕事として裁くというわけではないし、
運営に対しての不満を仕事として割り切るだけだから何も変わらないでしょ
そんなことで裏切られたとかなったら敏感すぎる
とはいえそう思う人はいるだろうから口にすべきではないけどな
- 272 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:35:40.82 0EVE.net
- まぁ仕事辞めてからはねるとお稲荷繋ぐ為に宗谷なりに努力はしてただろうしな
はねるとオフコラボしたり長時間お稲荷と遊んでオフコラボもした
頑張った結果お稲荷は辞めるしあにまーれ連中は思ってたほどお稲荷について何も思ってなかった
- 273 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:35:45.87 0EVE.net
- >>258
魂配信「あれワシの書き込みじゃないぞ」
なんてことになってみろよ、運営の信頼ガタ落ち、もう堕ちてるけども
- 274 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:35:52.89 0EVE.net
- >>260
口に出したら戦争だろうが……!
- 275 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:36:14.65 0EVE.net
- 割り切るは大人になるってことやな
剥き出しの宗谷さんが好きだったから悲しいよ。これからはななしの傀儡の仲間入りや
- 276 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:36:27.28 0EVE.net
- 運営なんとか言えよ!!!!!!!!!!
- 277 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:36:32.27 0EVE.net
- >>270
これ
- 278 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:36:39.90 0EVE.net
- >>272
人って怖いね
- 279 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:36:55.41 MEVE.net
- >>260
言わなければ何も起こらないのに言葉に出してるからな
それ聞いたら配信しててもなんか楽しめないわ
- 280 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:37:10.45 0EVE.net
- 宗谷さんは自己啓発本のおかげで
楽しくないなら辞めればいいじゃん!という気持ちになってるからちゃぴまるに戻るぞ
- 281 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:37:17.25 0EVE.net
- 利益出してあんま指摘されなさそうな因幡すら参ってるのどう言う状況なんや
- 282 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:37:25.50 0EVE.net
- 絶対割り切れないで同じこと繰り返すわ
- 283 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:37:35.74 0EVE.net
- >>270
誰がそんなこと口にした?
- 284 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:37:39.53 0EVE.net
- >>270
>>274
いくら暗黙の了解でも口に出していいことと悪いことがあるよな
- 285 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:37:50.95 0EVE.net
- >>260
口に出したらあかんよ
- 286 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:37:53.23 0EVE.net
- >>280
犬いらないから助かるわ
- 287 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:37:58.44 0EVE.net
- 宗谷いちかで同じこと言ったら目に見えて同接落ちるからやってみてくれ
- 288 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:38:05.81 0EVE.net
- そもそも宗谷さんが本当にプロに徹ずるならそんな事口に出してないんだよなぁ
- 289 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:38:17.01 0EVE.net
- まぁよく子供が大人に対していうやつだな
大人は信用できない、表で取り繕ってる素直に生きてないってな
本当は大人も中身は同じで割り切ってるだけなのに、
ピュアな子供は自分だけは素直に生きてて大人は薄情だと思ってる
- 290 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:38:20.54 0EVE.net
- >>270
これ
- 291 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:38:44.31 0EVE.net
- 結局自分が冷たい人間になるのがつらいからわざわざ割り切るって宣言するんだよな。
そうでもしないとやれないから。弱いわ
言葉通り、しせ民のことは何も考えてない。自分には全てをわかってくれるキャス民がいるからって考え
- 292 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:38:54.47 MEVE.net
- >>280
ただまあ現実的に給料はほしいから割り切っていくと
- 293 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:39:02.74 0EVE.net
- ひなこは救っても良いですか?
- 294 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:39:11.82 0EVE.net
- >>288
魂配信だからって口に出しちゃってる時点でダメだよな
- 295 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:39:37.74 0EVE.net
- >>291
その内言い訳して他の土壌探しに行きそうだな
- 296 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:39:39.08 0EVE.net
- 結局は自己保身なんだよ
- 297 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:13.14 0EVE.net
- ただの仕事か
キャスに注力するならもう見ないわ
- 298 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:18.57 0EVE.net
- もうあにまーれは崩壊やね...
- 299 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:24.11 0EVE.net
- ひなこの精一杯の火消し灰汁取りはお前らに届かなかったようだな
- 300 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:24.35 0EVE.net
- >>296
+カマチョ
- 301 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:48.54 0EVE.net
- 宗谷さんは甘い、はねるみたいに冷酷にはなれないか
- 302 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:53.14 0EVE.net
- 別に割り切るってだけでしせ民を切り捨てたわけじゃないじゃん
- 303 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:53.26 MEVE.net
- >>293
今一番の楽しみはひなねる
いい関係してるわ今のところ
- 304 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:55.21 0EVE.net
- めりーさん「おちんちん!おちんちん!」
- 305 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:40:57.38 aEVE.net
- いちかが1番自分の事しか考えてないよ
オフコラボだって自分が得したいからやっただけ
- 306 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:23.76 0EVE.net
- お稲荷は本当に今まで作って来たファン捨てられるのか?
- 307 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:28.45 MEVE.net
- >>288
魂バレしないようにするか、したら捨てるかしないと不徹底なんだよな
- 308 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:32.77 0EVE.net
- あの放送はしせ民が見ていないことを前提にやってるんだからしょうがないよな
- 309 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:37.02 0EVE.net
- >>297
注力はしないだろ
キャスは休む場ってだけで
- 310 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:38.18 pEVE.net
- 結局はねる黒幕説はどうなったん?
- 311 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:47.99 0EVE.net
- 嘘でもいいから配信が心から楽しくてやってます感を出し続けてほしいってことか
- 312 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:50.19 0EVE.net
- むしろ冷静に割り切れないからこんな悩んでるんだろう
平気でオタク懐柔できるはねるの方がよほど冷たく割り切ってると思うけどな
- 313 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:58.54 0EVE.net
- >>306
きめぇきめぇ言ってたファンのこと?
- 314 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:41:59.60 0EVE.net
- ひなこはとっくに割り切って媚びまくりw
まあキツイわな
- 315 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:42:05.48 0EVE.net
- >>301
言うて配信歴まだ一年だしね
ドロドロした部分とか免疫ないんだろ
- 316 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:42:17.33 0EVE.net
- >>308
余計たち悪くてワロタ
- 317 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:42:32.45 MEVE.net
- >>302
ある意味嫌々やるようなもんじゃん
- 318 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:42:39.08 0EVE.net
- マリカの時にみんなが何考えてるかわかんなかったに対するアンサーが割り切ってくじゃないの?
- 319 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:42:46.42 0EVE.net
- >>310
稲荷から複数に抑えられてる話が出て来てその線の可能性は減った
- 320 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:42:53.97 0EVE.net
- 灰汁取ってるひなこは何かの暗示
灰汁 あく 悪 evil live ライブ 生
明日の生放送でしゃべるって事か!
- 321 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:42:54.02 0EVE.net
- >>306
捨てられるなら今日の配信してないと思うわ
- 322 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:42:59.61 0EVE.net
- >>306
最近はそれで揺らいでるから葛藤してるなんて言ったんだろ
昔のお稲荷なら絶対すぐやめてたよ
- 323 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:43:11.53 0EVE.net
- 俺はらんが一番冷たいと思ってる
何も考えずに淡々とあにまーれてぇてぇしてる
- 324 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:43:15.84 0EVE.net
- >>317
仕事なんだから諦めろ
- 325 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:43:17.06 0EVE.net
- >>308
えぇ、でも共通してコメントしてるしせ民もいるし、
宗谷配信のネタ出されてやめろーとか言ってたし分かってると思うぞ
ヘラって冷静な判断ができてないだけだと思う
- 326 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:43:20.53 0EVE.net
- >>308
お稲荷もひなこもだけど、異様な伸びに気付いてるよね
- 327 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:43:40.28 0EVE.net
- >>323
感情的になるのが正解だと思うなよ
- 328 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:43:41.46 0EVE.net
- >>313
それでもPUBGカスタムやってた時楽しそうだったのは嘘じゃないと思いたい
- 329 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:43:59.84 0EVE.net
- 仕事と割り切るとか偽りののてぇてぇなんか求めてないわ
じゃなくてむしろ表でバチバチやれ
- 330 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:44:25.22 0EVE.net
- >>306
ストーカーきもいってのもメッセージだしな
- 331 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:44:30.81 0EVE.net
- 稲荷は話題にされてるうちにふっこに吸いたいから配信しただけだぞ
- 332 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:44:42.57 0EVE.net
- 魂配信にVリスナーが来てることを想定してない奴なんていないぞ
はねるだってお稲荷だってひなこだってそういう発言してる
- 333 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:44:58.20 0EVE.net
- >>323
らんは基本人に興味なんて全然ないと思う
初対面でも出会いを重ねても対応変わらないしな
淡々と呼ばれれば参加してるだけ
- 334 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:45:05.99 MEVE.net
- あんなやばい奴に酒飲ませるなマジで
- 335 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:45:09.68 0EVE.net
- >>328
リスナーのこと嫌いなら一緒に遊んでないって言葉は本心だと思うけどね
- 336 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:45:16.37 0EVE.net
- 以前のはねるもだけど、他人のスタイルへのディスに繋がる様な事をしたらダメよね
- 337 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:45:46.16 0EVE.net
- 今日のお稲荷はファン向けの配信だったぞ
- 338 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:45:46.42 0EVE.net
- ストーカーキモイって言いながら別にそこまで嫌がってないというか割りきってるというか
本当に不快だと思ったら野獣先輩みたいな対応とるからなお稲荷は
- 339 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:46:00.91 0EVE.net
- >>306
初期から見てるけど、配信する度にハマってるところあったし、無理だな
配信でもコメント良く拾うし、名前覚えてる
- 340 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:46:02.34 0EVE.net
- >>333
ホラーやんけ
- 341 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:46:08.42 0EVE.net
- 言ってしまえばキャスだってVtuberと同じなんだからしせ民にとって耳ざわりのいい言いい方をするようにキャスリスナーに対してもそういうでしょ
割り切り発言ってだいぶ頭がまともに戻ってきてからの発言だし
- 342 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:46:21.82 0EVE.net
- >>327
知ってるよ。企業vtuberとしてはらんが一番正解に近いよ
俺は怖いって言ってるだけ
- 343 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:46:23.19 0EVE.net
- 裏の魂配信じゃなくてコラボ中に泣けよ
あにまーは劇場型コンテンツでいけ
その方が人気も出る
仕事と割り切ったつまんない配信なんか誰も興味ない
- 344 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:47:00.52 0EVE.net
- >>338
声のトーンが全然違うから同じ言葉でも分かりやすいよな
- 345 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:47:03.41 0EVE.net
- ひなこはそもそも魂にも呼び込んでるし、
ふっこは自分でも言ってるけど配信者なわけでもない
趣味でぼちぼちたまにやってるだけでそれで金稼ぐ気も配信いっぱいする気もない
- 346 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:47:22.61 0EVE.net
- もう今が最高に劇場してるのにな
いちかはいつも通り絡むやつをぼろぼろにしていけ
- 347 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:47:25.42 0EVE.net
- 普通に接してるファンにはそこまで暴言言わないしカスタムの時も初心者に配慮したりな
- 348 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:47:33.80 0EVE.net
- あにまーははねるがいたからここまでこれたし逆にここまでしかこれなかったんだよなぁ
- 349 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:47:55.75 0EVE.net
- ふっこが配信したのだってちゃぴがあまりにもヤベーからだろ
- 350 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:48:05.21 0EVE.net
- >>331
配信者じゃないしツイには鍵かけてるし吸ってどうするねん
- 351 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:48:33.46 0EVE.net
- >>343
これこれ、他のメンバーにも言えることだけど仕事として割り切った配信はつまらん
- 352 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:48:34.37 0EVE.net
- ちゃぴはふっこの配信見ながらまた号泣してた
- 353 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:48:36.70 0EVE.net
- 多分宗谷さんがあんな事しなければ配信しなかったのはあるかも
- 354 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:48:44.17 0EVE.net
- 視聴者思いエピソード思い出して浸ってるね君たち
- 355 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:48:45.41 0EVE.net
- らんちゃんは自分から声かけなくて相手からかかるから、少なからず印象がいい
作り物だけの愛嬌ではこうはならんと思う。それが通じるなら名演技よ
- 356 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:48:54.33 0EVE.net
- だいぶ前にもふっこでキャスやってたけど、
その時は50人くらいでも配信者でもないのに怖いーわかってるぞ出て来いとか警戒してたし、
今日は360人とかきててバグでーすとかいってるんだからお察し
- 357 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:49:00.73 0EVE.net
- >>334
自発飲酒でしょ
配信直前まで無言だったらしいことを考えればその前のコラボで空元気使い切って何とか燃料にするため8%を
- 358 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:49:05.26 0EVE.net
- いちかはマリカ中に号泣するのが正解だったよ
それで変に強制終了させたら運営を悪者にできる
- 359 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:49:19.88 0EVE.net
- あんな配信しちゃったらもう素直には見れないからな、全てに今日の配信ちらつくやろ
- 360 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:49:25.44 0EVE.net
- >>333
らんたろうってスルーされがちだけど
実は底の見えなさというか心のガードの固さはすごいよ
- 361 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:49:34.95 MEVE.net
- 一番ヤベーのは一番ヤベーやつが一番知ってるってことだ
- 362 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:49:43.41 0EVE.net
- >>354
本当それ
マジでキモい
- 363 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:49:46.65 0EVE.net
- >>354
あにまーれあったけぇなぁ
- 364 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:49:50.53 0EVE.net
- >>348
因幡が実力で引き上げただけで他4人はポテンシャルが足りてなかったんよなぁ
結束力が強い箱じゃ無いのが良くも悪くもポイントだったからこれ以上の伸びは望めないだろうし
- 365 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:50:16.60 0EVE.net
- ちゃぴのBGM口ずさんで面白い事があってたから配信とったと言っただろ
分かる人にはわかるアピールをそれとなくしてる
- 366 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:50:48.48 0EVE.net
- まーらさんもう終わりやね
- 367 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:51:07.00 0EVE.net
- >>323
いやだってらんは外の方が思い入れ強い付き合いでしょ
- 368 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:51:08.78 0EVE.net
- 次のあにまーれ格付けは一番すごいオナニーしそうランキングアンケートしろ
- 369 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:51:10.52 MEVE.net
- >>357
マリカにかかわらずな
NGでもそうだし酒飲ませちゃいけないやつだわ
- 370 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:51:48.98 0EVE.net
- >>365
見られ方に意地汚く拘ってるだけ
実際配信内容はただのカマチョ
- 371 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:51:53.21 0EVE.net
- もう素直に応援できません
ここで俺はリタイヤだ。後は任せた
ホロ行くかな。
- 372 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:52:03.99 0EVE.net
- 今日のふっこキャスもブッチも全部感情のままに動いただけ
- 373 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:52:13.50 0EVE.net
- 宗谷さんが割り切ってもしせ民なら全肯定できるぞ
- 374 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:52:16.26 0EVE.net
- 明日なんかなと思ってみたらよりによって宗谷さんリスナー凸待ち企画じゃん
ひなことだけど
- 375 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:52:26.73 0EVE.net
- >>371
ワイはもうライブ勢追うのやめるわ
- 376 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:52:36.70 0EVE.net
- >>368
全員下ネタの鬼だし性欲強すぎてランキングできないわ
- 377 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:52:41.30 0EVE.net
- 酒が許される風潮になった元凶はどこだ、メアリか!
- 378 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:52:41.62 0EVE.net
- >>371
ハニストに来い
- 379 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:53:14.32 0EVE.net
- >>364
メンバー引き上げる実力あるならはやく引き上げればいいのに
何やってんだ
- 380 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:53:21.86 0EVE.net
- 凸待ちで稲荷ネタぶっこめキノコキー
- 381 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:53:26.36 0EVE.net
- >>368
年齢的にらん太郎だな次いでゆきな
- 382 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:53:53.77 0EVE.net
- 明日の凸待ちで最後に一仕事すっか。
- 383 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:53:58.66 0EVE.net
- >>379
ほんと口ばかりだよな
- 384 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:53:59.67 0EVE.net
- 葵とかYuNiだけ追うのが楽や
ライブ勢はもういい…
- 385 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:07.95 0EVE.net
- もうしばらく宗谷さん見るのキツイわ
お稲荷は声聞けただけでも嬉しかった
- 386 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:09.94 0EVE.net
- ハニストは良いよ
ここですさんだ心がほっこりする
- 387 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:13.05 0EVE.net
- 最近らん太郎も事あるごとに下ネタ入れて欲求不満が見える
- 388 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:28.57 0EVE.net
- >>379
因幡組の根拠ないはねる推し
- 389 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:33.77 0EVE.net
- Vtuber界隈に関わってる企業は例外なくガイジだからどの箱でもこういうことになる可能性あるぞ
こういうのが嫌ならVtuberを見るのを辞めるしかない
- 390 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:41.77 MEVE.net
- 正直マリカ見た感じ3人でもいいなって
- 391 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:42.26 0EVE.net
- これだけ炎上させても伸びないのがいちひな……
- 392 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:43.51 0EVE.net
- 明日事故でも良いから宗谷さんにぶっこんでくれ
- 393 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:54:48.44 0EVE.net
- ダメージ受けてるのはしせ民もどきか?
- 394 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:55:07.98 0EVE.net
- お稲荷は続けるかどうかわからん、葛藤してるって言ってたけど
以前だったら「ゲームしてるだけで金が入ってくる環境を捨てたくない」ってことだったろうけど
最後のツイートのおかげで「リスナーを捨てたくない」と取れてしまうのがなかなか強い手だったな
お稲荷信者は絶頂射精しながら応援するだろ
- 395 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:55:11.11 0EVE.net
- こんな運営トラブルが表にでてきたあにまーれだって
つい最近までは恵まれてて優秀とか言われてたんだからな
- 396 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:55:18.27 0EVE.net
- >>391
炎上はしてない
- 397 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:55:23.84 0EVE.net
- あにまーは良い箱だったよなぁ
コンセプト通り内紛で滅んで仕掛け人もニッコリだろ
- 398 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:55:43.86 0EVE.net
- >>379
これ以上は実力不足って事やろ
- 399 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:55:49.61 0EVE.net
- >>396
!!!
- 400 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:55:53.57 0EVE.net
- 最初から3人・4人ならまあいいんだけど元5ってのが頭にあるとショボく見えるマジックあると思います
- 401 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:56:04.53 0EVE.net
- ヒメヒナの動画見て精神落ち着かせてくるわ
- 402 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:56:05.99 0EVE.net
- >>395
それ言ったらアップランドとか裏ドロドロだったし
- 403 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:56:17.07 0EVE.net
- 因幡組がグッズ買わなかったからななしが入れ替わった
- 404 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:56:30.85 0EVE.net
- お稲荷「私は変わらんから(安心して)」って連呼してたけど
いや変わらんかったら戻ってこないんだから安心できないんだがw
- 405 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:56:33.67 0EVE.net
- >>388
俺は黒猫推しなんだが?
- 406 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:56:40.65 0EVE.net
- >>394
最初の頃ならそれこそ無理やめるさよなら〜だろうし、
葛藤する余地があるのはだいぶ愛着自体は沸いてるんだろう
金銭問題ではないとも明言してたし
- 407 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:56:46.10 aEVE.net
- >>394
選択権お稲荷にあると思ってるの?
- 408 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:15.95 0EVE.net
- >>403
因幡組がグッズ買った結果あにまーれグッズのロット読み間違えたのが原因やろ
- 409 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:21.17 MEVE.net
- >>391
まとめ動画になれば(まとめ動画が)伸びるやつや
- 410 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:21.29 0EVE.net
- >>395
別に運営の方針によってはまだ優良箱の可能性はあるだろ
お稲荷と宗谷さんがおかしいだけで
- 411 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:27.49 0EVE.net
- >>402
アップランドも冷静に考えるとシロと馬の立ち回りが良かっただけだしな
- 412 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:29.00 0EVE.net
- >>394
頭お花畑かよ
- 413 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:35.23 0EVE.net
- ひなこもらんも見たくないもんは見ないタイプだろうからな
誰かが虐められてても見てみぬフリ
宗谷さんは助けに行って見てみぬフリしてる奴等に文句を言う
はねるは虐められてる奴にお前が悪いから自分でどうにかしろという先生ポジ
- 414 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:35.64 0EVE.net
- これだけ裏でダダ漏れさせてる箱なのに凸待ちで魂系の事故が一つもないのが奇跡だな
凸待ちしまくる箱だし時間の問題だろうけど
- 415 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:41.55 0EVE.net
- グッズ買わなかったおまえらのせいやぞ
- 416 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:57.92 0EVE.net
- 因幡「箱内であっても他の配信者は見ないでほしい」
ここに入りたいやつおる?
バフどころか箱内に敵がいるし
らんの同接600とかだぞ
- 417 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:57:58.33 0EVE.net
- >>408
結局因幡組が悪い
- 418 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:58:00.39 0EVE.net
- これ申し訳ないのは今後少なからずハニスト側が動揺するんだよな
特にエリミコシャルあたりが
- 419 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:58:08.46 0EVE.net
- だから俺は前から宗谷さん推しはダメだって言ってたんだよ・・・
お稲荷までは分からんかったが
- 420 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:58:16.46 0EVE.net
- >>404
体調が悪かったり死亡説出されたり親類問題が出されたり、
ここみたのか伝わってるのかしらないけど色々言われてたから、
自分は元気で何かそういう問題があるわけじゃないよって事でしょ
あとは自分は変わらないから運営折れろって事でもある
- 421 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:58:21.98 0EVE.net
- 変わらんからってのは自分の意見は変えないって意固地さすら感じる
ちゃんとは覚えてないけど最近メシをちゃんと食ってねぇとかそんなこと言ってたり戦績からの動向を見てもかなり自堕落な生活だったらしいし復帰に対する能動的動きは本人にまるでなさそう
- 422 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:58:50.75 0EVE.net
- >>406
いやまあ「金銭問題じゃない」ってのは別に「金入ってこなくても続ける」ってのとは違うけども
- 423 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:58:54.94 0EVE.net
- >>394
1ヶ月程度だったら、こんなとこ辞めてやるよ!ってなってそうだけど
今は間違いなく愛着沸いてるだろうな
- 424 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:19.60 0EVE.net
- >>416
文字に起こすと草
マイクラ初回であにまーれのみんな頑張ってるから応援してあげて的な発言して泣いてた事踏まえると大草原
- 425 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:20.26 0EVE.net
- 俺もそう思う
俺は次の脱落者はエリだと見てる
- 426 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:28.19 aEVE.net
- >>418
イジメじゃなくてわがまま言ってるだけだろ
- 427 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:39.90 0EVE.net
- 自分は何もしないから復帰させたいなら周りが動け宣言やぞ
- 428 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:42.95 0EVE.net
- >>416
もう見たいものを見ればいいスタイルに変わってるが
- 429 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:50.58 0EVE.net
- >>413
それっぽいな
- 430 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:54.05 0EVE.net
- >>394
今は少なからず愛着はあるでしょ
朝の挨拶も最近欠かさずしてたし
- 431 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:57.39 0EVE.net
- >>417
まぁ強ちその考えも間違いでは無い
ななし1人の首飛んだんやしな
- 432 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 03:59:59.15 0EVE.net
- >>410
方針とスカウトする人材が合ってない時点で優良箱はありえないんだよなあ…
- 433 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:00:06.97 0EVE.net
- 今一番面白いぞあにまーれ
配信は見ないけど
- 434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2018/12/24(月) 04:00:10.87 0.net
- >>412
成功してるじゃん
- 435 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:00:14.89 0EVE.net
- >>416
その数値はコラボのやつやろしれっと嘘をつくな
- 436 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:00:17.57 0EVE.net
- >>421
食事があまり喉を通らない、鼻血がよく出るようになったは言ってた
最後生きてるからって終わったのはなんだかよかった
- 437 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:00:30.85 0EVE.net
- 葛藤してるって結構重要な発言なのよ
何かを決めかねてるし
本人が決められる余地があるということでもある
- 438 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:00:48.76 0EVE.net
- >>432
それは無能なだけで待遇が良ければ優良箱ではあるでしょ
- 439 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:00:54.51 MEVE.net
- >>416
初期のヤンデレ路線やろ
- 440 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:01:12.60 0EVE.net
- >>424
時期的にupd8事件で堪忍袋の尾が切れてたんだろうなあれ
- 441 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:01:14.33 0EVE.net
- 湧いてるのは愛着なんてそんな綺麗な言い方されるものじゃなくてもっと直球の他者からの承認欲求への未練とかだろ
- 442 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:01:25.27 MEVE.net
- 最近見てる感じひなねるにかなりの可能性を感じる
- 443 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:01:26.59 0EVE.net
- >>420
最後のが厄介だわ
なんであんなに幼稚で頑固なんだ
- 444 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:01:37.50 0EVE.net
- らんの同接とか内容次第で300〜2000くらいまでは可変だから
だいたいこれくらいという基準値を出すのが無理
- 445 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:01:43.55 0EVE.net
- >>410
メンバー内でこれだけ不満でてるのに優良はないわ
- 446 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:01:51.98 0EVE.net
- >>441
それでも戻って来てくれるならええわ
- 447 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:02:16.30 0EVE.net
- >>444
ハジメレート化しててワロタ
- 448 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:02:33.84 0EVE.net
- >>442
いつもひなこを弄る側ってわけにもいかん
ひなこの逆襲が必要
- 449 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:02:47.61 0EVE.net
- 野獣先輩ににじアンもここすらもドン引きしてたの草生えたわ
持出しガイジほど見てて不快になるものもない
- 450 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:02:50.63 0EVE.net
- >>440
あの辺りからあにまーれは解散して個別にした方がええと思ってたけどまんま表層化して来たな
- 451 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:02:56.33 0EVE.net
- 一応あんな怒ることないのに〜黙ってればよかったのかなみたいな事は言ってたから、
意地はあって折れるつもりはないけどそれなりに後悔してるところは見える
時間がたってやっぱり自分が悪かったのですみませんとお稲荷側からなる可能性も0ではない
- 452 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:03:04.14 MEVE.net
- >>447
スマブラだな
- 453 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:03:14.56 0EVE.net
- >>443
幼稚で頑固って分かるってことは揉めてる内容知ってるのか?
リークしてくれ
- 454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2018/12/24(月) 04:03:20.26 0.net
- このままだと運営が折れるコースだろうからどうにかして崩壊させたいけどいい案が何も思いつかない
- 455 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:03:25.85 0EVE.net
- >>424
俺もそれ思い出した
- 456 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:03:32.98 0EVE.net
- お稲荷に対しての不満はそんな無くなったのに逆に宗谷さんが無理になった
- 457 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:03:44.79 0EVE.net
- どんな育ち方したらこんなクソムーブを擁護出来るんだよw
見えてる奴ら全員クズで間違いない
クズさを競うなら分かるけど善人なんて探してたら気が狂うよ
- 458 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:03:50.71 0EVE.net
- 野獣先輩の名前が笑う男みたいな扱いになってるのは若干SFチックでスゲーとか思っちまった
- 459 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:04:04.22 aEVE.net
- クズがクズな事して立場失くす→情に訴えだす→思った反応してくれない奴には冷たいだの批判しだす
こんな感じだよな
- 460 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:04:05.08 0EVE.net
- 稲荷キッズが可愛そうだなって思ってたけどお稲荷が悩むくらいには愛されてるっぽいし
仕事として割り切られたしせ民が一番可愛そうだったというオチ
- 461 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:04:13.20 0EVE.net
- ひなこも1100とかだし
むしろはねるも落ちまくりだしコラボも人来ない
盛り上がるのはゴシップのスレだけ
終わり
- 462 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:04:23.14 0EVE.net
- >>441
まあそれも確実にあるだろうけどもツイッターからの推測でしょあくまで
- 463 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:04:59.74 0EVE.net
- 正直そんな無理してまでお稲荷自身戻る必要あるのか
リスナー増える一方だろうしそのたんびにキメェキメェってどう考えても配信者向きじゃない
それこそホントにストレスで倒れるだろ
- 464 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:05:18.68 0EVE.net
- >>457
実際厳選された3000人しか今日の内部配信は見てなかった
今夜の騒動でまた減るんやろな
- 465 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:05:20.51 0EVE.net
- >>379
ここまで来れたしここまでしか来れなかったって書いてるだろ
頭冷やして見てこいよスパイトの財布
- 466 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:05:53.15 0EVE.net
- >>451
黙ってれば良かったのかなってのは野獣先輩が湧いてきたからこういう面倒なのが湧くなら配信しなかったらよかったわってことだろ
- 467 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:05:55.34 0EVE.net
- >>461
こんな不穏な箱逃げ出してなんぼやろ
- 468 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:06:04.65 0EVE.net
- テンションの差があるだろうけどガワの力ってスゲーや
お稲荷の時はまあお稲荷(ガワ)みたいな感じに聞けたけど今日のは深夜ドンキにいそうなヤンキー崩れのビジョンが降ってきた
- 469 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:06:20.48 0EVE.net
- お稲荷の葛藤はファン云々じゃなくて違約金とかだろw
- 470 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:06:40.40 0EVE.net
- >>459
よくあるやつだよね
- 471 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:06:58.09 0EVE.net
- >>466
表に出さんだけで野次馬リスナーだらけなのに配信しようとするのも草なんだけど
- 472 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:07:01.60 0EVE.net
- >>463
別に今はそこまで本気でキモいとは思ってないでしょ
最近の配信でリスナーのこと嫌いなの?ってコメントに言い過ぎたと思って焦ってたし
- 473 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:07:02.14 0EVE.net
- お稲荷のどこに持ち上げる要素あるんや…
変態自慢の種にしてるだけだろ
- 474 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:07:03.23 0EVE.net
- >>464
はねるは3000人と少しだったけどもう一つはどんくらいだったんだ?
- 475 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:07:06.73 0EVE.net
- >>469
草です
- 476 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:07:52.04 0EVE.net
- >>474
半分の1500人行き来
コメント欄見る限りどっちにも書き込んでるやつも多かった
- 477 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:08:09.50 0EVE.net
- それこそよくも悪くもお稲荷は人情問題に尽きるとは思うよ
運営と自分との人情問題、自分とリスナーとの人情問題、
前者は感じられないが後者は大事にしたいという葛藤やな
逆に宗谷さんはもっとなんか考えてる事が大きすぎて、
仕事とはどうあるべきでどう対応していくのがいいかとか、
自分が認められたいのに運営が認めてくれないとか、
あんまりこう現実に即してない変なことでヘラってるとは思う
- 478 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:08:22.84 0EVE.net
- >>472
本当に思ってるかどうかじゃなくて言っちゃう時点でってことじゃないの
- 479 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:08:25.54 0EVE.net
- 今日の内部配信でなにがあったの見れなかったからまとめてくれ
- 480 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:08:55.32 0EVE.net
- お稲荷は初期から比べると、リスナーのこと震え気味の怖いから、ニッコニコのキモイに変わったからな
宗谷さんはヘラっただけでリスナー軽視してるわけでもないと思うけど
企業が絡んでる配信と、個人配信じゃ個人でやってる方が落ち着くのは当然じゃん
- 481 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:08:55.82 0EVE.net
- >>476
4500人くらいか
- 482 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:09:11.16 0EVE.net
- >>479
マリカー配信はみたか?
- 483 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:09:11.29 0EVE.net
- >>479
内部配信自体は宗谷が黙りこくったくらい
アーカイブ残らない個人の配信が今回の騒動のメイン
- 484 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:09:34.18 MEVE.net
- 今回わかったのはあにすと内で一番やばいのは断トツでいちか
- 485 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:09:53.28 0EVE.net
- 宗谷さん続けるって言ってるけどできるんか?
少なからずファンは離れる
いつ配信荒らされるか分からん
精神的にアレ
性格的にアレ
運営から何かしらの制裁
メンバーからの白い目
- 486 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:10:01.50 0EVE.net
- >>481
パトラ始まったら合計1000人くらい吸われてたの草生えたけどな
- 487 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:10:20.60 0EVE.net
- >>482
見てない、忘年会だったわ
- 488 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:10:31.48 0EVE.net
- お稲荷「あれ?揉めたのは私なのになんでいちかがヘラってんの無理なんだけどきっしょ!」
- 489 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:11:11.22 0EVE.net
- >>480
全部主観やん
仕事として割り切る、大事なのはここな
- 490 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:11:21.59 0EVE.net
- >>484
ファンの事考慮しない辺り企業でやって行くのにリスクがデカすぎるわあの犬
ファンの切り方は稲荷超えてる
- 491 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:11:40.95 0EVE.net
- お稲荷自身は割とさっぱりなのにいちかが話大きくしすぎなんだよ
- 492 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:11:44.90 0EVE.net
- >>484
お稲荷だろ
活動休止中に魂のツイキャスでVとして配信して不満匂わせまくるってやってることやべえぞ
- 493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2018/12/24(月) 04:11:52.73 0.net
- 島村「ハニストはおばぁちゃんになっても一緒にいようね」
https://you tu.be/nXnl57YgVAI?t=3256
本人いないところでこういうエピソード出てくるのてぇてぇわ・・・その裏であにまーれさん・・・わりぃやっぱつれぇわ・・・
- 494 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:12:13.58 0EVE.net
- >>486
新衣装だしゃーない
- 495 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:12:25.19 0EVE.net
- 理由と頭の中身は非常に典型的だけど場所と現れ方が盛大に巻き込む特大ヘラって感じで別に普通ではないが普通だった
- 496 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:12:33.49 0EVE.net
- >>493
裏でファン切り発言犬ワロタ
- 497 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:12:33.89 0EVE.net
- あにまーれはこの年末も箱内プロレスで盛り上がっててすごいな
- 498 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:12:44.69 0EVE.net
- >>493
こんなの浄化されるわ
- 499 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:12:51.26 0EVE.net
- 今回のでお稲荷戻って来て欲しいにはなったけど宗谷いちかというか信頼は消滅した
- 500 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:13:05.07 0EVE.net
- よくもまあこんだけ責任感のないガキを揃えたもんだと感心するわ
- 501 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:13:18.52 0EVE.net
- >>492
生存報告がメインだったし言うほど不満匂わせてたか?
運営への不満なら宗谷さんのキャスの方が圧倒的にヤバいと思うぞ
- 502 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:13:35.84 0EVE.net
- ログ追ったら犬がやらかしたのな狐はクズだし犬は馬鹿だからなんも違和感ないわ
- 503 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:14:06.29 0EVE.net
- >>500
稲荷はしなばもろとも的な責任の取り方しそうだけど宗谷は何も考えてなさそう
- 504 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:14:23.42 0EVE.net
- 結局の所何が不満なんだよ
- 505 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:14:23.77 0EVE.net
- 全ては操作いちかの範疇さ
- 506 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:14:38.39 MEVE.net
- >>492
似たようなもんだけどこれまでを総合してみるといちかかな
お稲荷の理由次第じゃ逆転するが
いちか最後に爆弾落として消えそうなのがな
- 507 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:14:39.08 0EVE.net
- 普通に劇場型としてこういう騒動含めて楽しんでるからいいわ
一番嫌なのはスーッとフェードアウトされること
つまんねえからやめてくれ
- 508 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:14:51.46 0EVE.net
- 両社共やりたいようにさせてくれなきゃヤダヤダ!って言ってるだけだよ
- 509 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:15:12.39 0EVE.net
- 今までやったことだけだと
お稲荷よりは宗谷さんのが確実にやばい
- 510 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:15:13.58 0EVE.net
- 操作していたつもりが運営に操作されてたいちかさんヘラっててワロタ
- 511 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:15:28.78 0EVE.net
- >>501
魂でV向けに生存報告する時点でだいぶご法度だろ
めあですらしてねえよ
- 512 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:15:30.07 0EVE.net
- 保育園卒はやっぱダメだわ
- 513 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:15:41.14 0EVE.net
- あれ宗谷さん鍵かけてるやん
- 514 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:15:52.98 0EVE.net
- 活動中止の理由がはっきりするまではお稲荷は何とも言えないけど
魂配信の危うさは圧倒的に宗谷さんだよ
仕事で上司がどうこうまで言っちゃうのは本当にヤバい
- 515 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:15:55.02 0EVE.net
- この状態でも稲荷キッズ頑張ってて草
- 516 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:16:01.91 0EVE.net
- いちかの配信はヘラ泣きしたくせにカケラでも残ってたらしいコンプラ意識のせいなのか目的語をぼやかしすぎてて抽象的であれだった
結局のところ女性的共感だけしてくんなましって感じなのか
- 517 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:16:02.44 0EVE.net
- 30近くでアドラー読んで自己啓発本いいですね!とSNSに書く奴がまともなわけないだよ起きろ
- 518 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:16:28.76 0EVE.net
- >>479
まとめ
・稲荷抜きの4人コラボで宗谷が酔っぱらって暴れまくった挙げ句最後まで黙り込む
・ちゃぴまる配信で号泣、信用してたのに裏切られたり、みなの行動が理解出来ない
・信用しすぎるのはやめて仕事は仕事と割り切ってやっていきたいと思う
・それを見ていたふっこが1ヶ月ぶりの配信を開始
・ちゃぴの配信BGMを口ずさみ、面白そうだったから配信をとった
・やめるかどうかはまだグレー、色々あるが一人では対処できない問題がある
・死亡説とかもでたが元気で何もかわらないよ
・健康問題とか金銭問題じゃないよ
・お稲荷神社が苦手でキツネも苦手だわ〜(前から言ってるけどお稲荷の比喩?)
・とりあえず私は生きてるから〜オワリ
- 519 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:16:40.31 0EVE.net
- >>511
V向けだとリスナーが勝手に思ってるだけだろ…
実際は何も明言してない
- 520 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:16:46.61 0EVE.net
- いちかのツイキャス見た後にマリカコラボ見ると余計にやばいな
こんな感情見えちゃっても仕方ないわーって思ってしまう
- 521 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:16:58.62 0EVE.net
- 双方ファンがどんぐりの背比べしてる
- 522 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:16:59.55 0EVE.net
- >>518
神、ありがとう
- 523 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:17:13.60 0EVE.net
- よし
https://www.youtube.com/watch?v=-xHGaf5wxyo
- 524 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:17:44.47 0EVE.net
- 感情の落差が激しいし躁鬱の字をもらって
今度から躁谷さんって呼ばないか?
- 525 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:17:45.88 0EVE.net
- この界隈で魂公言するのって一番やっちゃいけないムーブだからなあ
そういう点においてお稲荷のがヤバイと思うわ
まあどっちもどっちなんだが
- 526 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:17:49.53 0EVE.net
- 多分このスレに現れたどんなガイジよりも宗谷さんは危険
- 527 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:17:55.98 pEVE.net
- はねる悪人説はとりあえずなさそうなんか?
- 528 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:18:17.62 0EVE.net
- >>507
この箱のやり方まんまお前の嫌いなやり方じゃん
- 529 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:18:17.74 0EVE.net
- >>519
お前マジか……さすがにあの発言でV向けじゃないは無理があるだろ……
- 530 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:18:45.54 0EVE.net
- ハイテンション谷さんになって真の実態と合わないからダメ
- 531 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:18:55.68 0EVE.net
- >>518
稲荷神社の話はずっと前から言ってるやつだな
あと中耳炎で熱出して体調崩してたのは本当
- 532 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:19:04.25 0EVE.net
- >>518
ところどころ悪意あるまとめ編集乙である
- 533 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:19:23.22 0EVE.net
- 稲荷神社の話は前から
- 534 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:19:54.15 pEVE.net
- 感情推測抜きで事実だけをまとめてくれないか?
- 535 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:20:08.50 0EVE.net
- 内輪向けのふっこキャスならあの人数にビビって辞めてるしバグとも言わんよ
察してってそう言う意味だろ
- 536 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:20:16.39 MEVE.net
- 配信でしかもコラボなんだから3人が正しいのは当たり前
- 537 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:20:27.36 0EVE.net
- 中耳炎で熱出して体調崩した奴が1晩ぐらいで復帰して深夜帯を中心に通話しながらpubgするか?
- 538 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:20:31.19 0EVE.net
- 企業の配信者がやらかすなら配信者の地位は向上しない
プロゲーマーと同じ
- 539 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:20:50.29 0EVE.net
- >>534
どうせ他スレにマルチでばら撒く用だろうから悪意マシマシなんでしょ
- 540 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:20:57.31 0EVE.net
- しせ民vs.稲荷キッズ
わいは王国民なんで高みの見物
- 541 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:21:13.78 0EVE.net
- >>535
それは事情知らないふっこリスナー向けの発言じゃないの
- 542 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:21:32.87 0EVE.net
- ア組を見下して喜んでたあの頃はもう帰ってこない…
次はあにまーれの番だ
- 543 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:21:40.12 0EVE.net
- 王国は大分前に滅亡したぞ目を覚ませ
- 544 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:21:47.63 MEVE.net
- ハニストは幸せそうなのになぁ
- 545 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:22:22.89 0EVE.net
- >>537
相手がありさかとレオナだしPUBGは口実で何か相談してたんじゃねえの
- 546 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:22:28.14 0EVE.net
- ヘラってるし酒入ってるし自分の枠じゃないから特にPCを弄ることもないからってレースの合間の設定とコースセレクト待機の間ツイ触るか?ってのはしせ民ながら疑問視していきたい
キャスはかわいかったです
- 547 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:22:44.09 0EVE.net
- 年末は解雇ラッシュ予想されてたけどまさか箱ごと逝くとはな…
- 548 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:22:52.50 0EVE.net
- あれが人間並の思考回路を持っていると勘違いしてる奴らがいまだにおるな
まずその前提がおかしいことに気付け
- 549 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:22:54.04 0EVE.net
- >>541
バグの部分だけな
それ以外はVリスナー向けって事だよ
- 550 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:23:02.85 0EVE.net
- >>527
分からんけどそうそうな事じゃ動かんはず
小さい揉め事ならスルーするし身の危険を感じれば動くだろうけど
- 551 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:23:14.46 0EVE.net
- >>541
そうだよ だからそっちのリスナーは気にしないでねって事で、
多数のROM専のあにまーれ民にむけて話をしてくれたわけや
- 552 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:23:19.35 0EVE.net
- >>534
無理だろ、実際言った言葉でも話の前後で重みも意味も変わるからな
インパクトあるところ抜き出すから、実際に見てないと間違えて解釈する
まぁ報道とかでよくある奴だ
- 553 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:23:20.91 0EVE.net
- ハニストスレも俺達は関係ないみたいに思ってるけど同じ運営って事わかってるのかな?
- 554 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:23:48.78 0EVE.net
- >>549
それ言ったらちゃぴまるだって普段あんな人数来ねえだろ
- 555 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:24:13.35 0EVE.net
- はねるは感情に流される奴らが理解できないってだけでしょ
- 556 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:24:24.29 0EVE.net
- >>553
こっちに書き込んでるやぞ
- 557 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:24:44.45 0EVE.net
- 運営以上にメンバー自身の問題だからな
俺ははねる派だがはねる含めて全員問題あるからこのままだと行き詰まるなって思ってたよ
- 558 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:24:50.77 0EVE.net
- お稲荷の配信結局何も言ってないんだよな
聞きたいことある?とか言っときながらVリスナー拒否ってたし
野獣先輩が暴れなきゃもうちょっと答えてくれてただろうからあいつほんと許せんわ死ねや持ち出しガイジ
- 559 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:24:55.28 0EVE.net
- >>545
それはあるかもなディスコも取り上げられたとしたら
唯一連絡をとりあえるのはゲーム内チャットしかないだろうし
- 560 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:24:55.70 MEVE.net
- あにまーれってわりと金かけてそうだし
3Dも作ってるのにこの流れやべーな
上焦ってそう
- 561 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:25:02.78 0EVE.net
- お稲荷なりにずっと心配させとくのも罪悪感あったんでしょ
- 562 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:25:09.09 0EVE.net
- 配信中にツイが気になるってよっぽどだよな
冗談抜きにここもたまに覗いてそう
- 563 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:25:15.86 0EVE.net
- >>554
ちゃぴまるの話一切してないんだがw
- 564 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:25:22.15 0EVE.net
- こっちが焼け落ちたら次はハニストなんだよなぁ
失敗した分躍起になって取り返そうとして失策するぞ
- 565 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:26:00.93 0EVE.net
- お稲荷は考え方ガキすぎてどんな運営でも扱えないでしょ
- 566 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:26:05.26 0EVE.net
- >>560
だから上が動くとしたら間違いなく稲荷を戻すと思う
- 567 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:26:05.53 0EVE.net
- >>555
はねるは自分が楽しむことよりリスナー楽しませることが大事って宗谷さんと正反対のスタンスだしな
- 568 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:26:15.95 0EVE.net
- >>555
優しいやつは配信向けじゃないだろうな、実際はねるみたいに感情殺せたり、無慈悲なタイプの方が向いてるね
- 569 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:26:17.56 0EVE.net
- >>559
ディスコは別アカでやりとりすりゃいいだけやん
- 570 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:26:45.58 0EVE.net
- お前らの中にあの野獣先輩おるんやろ?
ちゃんと反省しとけよ?
- 571 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:27:14.25 MEVE.net
- はねるはひなこの時もそうだし事情知ってるなら1番親身になってくれそうだけどな
- 572 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:27:18.97 pEVE.net
- 野獣は初心キッズやろ
- 573 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:27:26.42 0EVE.net
- お稲荷はいざとなったら男に逃げればいいんだからバイト感覚だろ
- 574 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:27:38.26 aEVE.net
- いちかにはしばらく酒飲んでの配信禁止令だしたほうがええ
- 575 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:28:31.66 0EVE.net
- あにまーれ終わったら手空くから新しいグループでも作るかもな
- 576 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:28:35.24 0EVE.net
- 野獣ってにじさんじどーのこーのって言ってなかった?
あんま覚えてなくてすまんが
- 577 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:28:40.38 0EVE.net
- 野獣先輩はねるに責められたんだろとか言ってたしこれからそういうこと言う奴全員野獣先輩だと思っとく
- 578 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:28:56.99 0EVE.net
- >>573
ゲームしすぎて振られたぞ、あの顔なら作ろうと思えばすぐ作れそうだけど
- 579 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:29:16.92 0EVE.net
- >>562
稲荷オフコラボのときに嫌な意見がどうとか言ってたし99%見てると思うぞ
- 580 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:29:17.10 0EVE.net
- 夏頃にお稲荷にムカついてあにまーれ見るの減らしといてよかったわショックが少ない
でびリオンでも見ようぜ
- 581 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:29:43.65 0EVE.net
- >>571
そう考えるとはねるも本当にあまり知らないんやろうな
それかひなこは身内問題だから手をさしのべる事ができたが、
運営問題となるとそうともいかず動きたくても動けないという事情もある
- 582 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:29:48.31 0EVE.net
- 22時から色々あったせいで2窓してる若菜くんに全く集中出来なかったわ
- 583 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:30:14.07 0EVE.net
- >>578
次は十中八九クズやろな
- 584 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:30:32.49 0EVE.net
- あっここUじゃなかったわ
- 585 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:30:42.98 pEVE.net
- いちか号泣の具合ってどんな感じ?
- 586 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:30:43.12 0EVE.net
- >>571
頼られれば答えるだろうけど考えが違ったら相談されてもバッサリかな
- 587 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:30:47.89 0EVE.net
- >>578
そういうこと、別の男引っ掛ければどうにでもなるじゃん
飽きるまで金貰ってゲームやって生活してあとは男でいい
リスナーからしたらたまったもんじゃないがムーブ自体は間違ってない
- 588 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:31:31.26 0EVE.net
- ぎゃーぎゃー喚くだけが優しさじゃないからな
- 589 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:31:44.00 0EVE.net
- らん太郎はでびでびには慣れなかった
- 590 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:32:04.18 0EVE.net
- >>587
そりゃ運営も切りますわ
- 591 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:32:13.58 0EVE.net
- >>585
ガチ泣きで鼻水ずびずび目元もヤバイ
- 592 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:32:15.26 0EVE.net
- お稲荷は楽観的な中での口の悪さ
宗谷さんは感情的な中でのボーダーのなさ
- 593 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:32:32.22 0EVE.net
- 相対的にらんたろうがマシにみえてきて困る
- 594 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:32:59.19 0EVE.net
- お稲荷クリぼっちじゃないとか言ってたしもう男いるだろ
- 595 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:33:40.98 MEVE.net
- 3人が納得して2人が納得のいかない運営方針ってどんなだろうな
- 596 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:34:11.33 0EVE.net
- おいなりだけは何度見ても何がいいのかさっぱりわからん
- 597 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:34:23.67 0EVE.net
- クリスマス何だからお前らも彼女とセックスしにいけよ
- 598 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:34:41.28 0EVE.net
- 完全に野放しじゃなければ気に入らないのが二人いたってだけでしょ
- 599 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:34:50.76 0EVE.net
- >>595
いや普通に新ななしははねるたちも嫌ってるだろ
- 600 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:34:59.17 0EVE.net
- なんというかお稲荷と宗谷さんってやってる配信全然違うから方針かわってこの二人が反発してるって言われてもどういう方針になったのか予想しづらいんだよな
- 601 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:35:00.47 0EVE.net
- お稲荷キッズはこの期に及んで頭ハッピーセットだけど
ふっこのキャスは自分は変わる気ないけど復帰したいから
ファンネル飛ばして何とかしようっていう、めあと同じクソガキムーブだろ
- 602 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:35:31.19 0EVE.net
- お稲荷と宗谷さんを運営否定派に入れるのすらどうかと思うのに、無言の奴らを肯定派に入れるのは頭オカシイ
- 603 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:35:42.27 0EVE.net
- 運営の方針がってのがVtuberとしての活動全体なのかそれとも活動中止関連とそれに触れない感じについてなのか
- 604 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:35:46.97 MEVE.net
- >>593
あのヘラりもいちかが絡んでるもしかしたら•••
- 605 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:35:52.87 0EVE.net
- >>595
宗谷さんとお稲荷が抱えてる不満が少し違うかもしれんし難しい
お稲荷が運営方針で、宗谷さんはそれプラスななしのクビとか
- 606 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:35:56.04 0EVE.net
- 結局なんも分かってなくて草
- 607 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:36:02.12 0EVE.net
- はねるは男作るって道はもう無理だろうし、配信に命かけるだろ
他はなんだかんだで可愛いらしいし、ひなこは若いから逃げ道あるな
- 608 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:36:08.82 aEVE.net
- >>595
自分がやりたい事以外はしたくない
ななしからひいきされ続けたいのに出来なくなった
- 609 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:36:32.28 0EVE.net
- >>601
良くまとまってる
- 610 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:36:49.16 0EVE.net
- 新運営自体はみんな嫌ってるっぽい
配信歴の短い稲荷と宗谷がそういうの相手を慣れてないだけだろう
- 611 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:36:51.88 0EVE.net
- >>601
まあそうだろうな
なんというかこの手の女が考えることって一緒だよな
俺はお稲荷好きだけども
- 612 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:37:30.22 0EVE.net
- >>605
宗谷さんも方針が合わないって言ってたじゃん
- 613 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:37:45.47 0EVE.net
- ファンネル飛ばすってどこに飛ばすんだよ
ななしにDMでもするのか?
- 614 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:37:51.56 0EVE.net
- >>595
はねるは嫌ってる、他はどうなんだろうな
話題に出してない=納得しとる ってことにはならんぞ
不満なんていつ限界くるか分からん
- 615 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:38:12.96 0EVE.net
- 新ななし優秀みたいやな
このテコ入れがなかったら、そのまま沈むだけだったからな
- 616 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:38:17.02 0EVE.net
- >>602
プロとして仕事として我慢して運営に従ってるだけかも知れんのにな
- 617 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:38:22.45 pEVE.net
- 男とPUBGばっかやってることを咎められたんじゃない?
- 618 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:38:23.52 MEVE.net
- そもそも名無しが本当に変わったのかもわからん
- 619 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:38:33.47 0EVE.net
- お稲荷の自分は変わらないってお稲荷としてじゃなくて自分としてだろ
- 620 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:38:38.52 0EVE.net
- 全員嫌だけどスパチャ0と伸び悩みのらん太郎は運営に抗うことができない。
ねるちゃんは今のスパチャ環境手に入れたからそれを壊したくないからある程度受け入れ。
そこまで従いたくないお稲荷と感情的な宗谷さんはそのまま反発って感じだろ
- 621 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:39:06.61 0EVE.net
- 仮に新運営に変わったんだとしても俺は前のも嫌いで元々酷いマネジメントだったと思ってる
- 622 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:39:09.81 0EVE.net
- めあはあの一件以来同接増えたぞ
あにまーれもうまくいけば同接増やせるかもしれん
- 623 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:39:25.07 0EVE.net
- まあもし全員が不満持ってて、今回の事で改善されるのならそれはそれで
箱が続くのか分からんが
- 624 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:39:26.26 0EVE.net
- 結果出てない奴等が調子乗ってたんだろうな
運営に文句言うならまずははねる並になれと
- 625 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:39:38.88 MEVE.net
- >>614
はねるの嫌ってるは運営方針とかじゃなくて人柄とかじゃねーの
- 626 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:39:39.10 aEVE.net
- はねるなんかは瑠璃にのりおだからストレス溜まるようなコラボ相手じゃないんだよな
- 627 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:39:42.42 0EVE.net
- >>619
好きな事だけして生きていくのお気持ち表明
- 628 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:40:06.84 0EVE.net
- >>619
って言ってもお稲荷もふっこも殆ど変わらんし
- 629 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:40:22.46 0EVE.net
- >>622
表でやらなきゃ意味ないだろ
- 630 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:40:39.27 0EVE.net
- >>629
まあそうなんだよな
- 631 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:40:43.49 0EVE.net
- >>616
それを肯定っていうんやぞ
- 632 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:40:56.42 0EVE.net
- >>617
それだったららんの方がアウトだから違うだろ
男とPUBGなんて大会練習ぐらいだったし
- 633 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:41:20.64 0EVE.net
- 正直、今一番注目してる。
新ななしやるじゃん
- 634 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:41:34.12 0EVE.net
- >>607
はねるならまだ間に合うやろ
街コン行けば即カップル成立、リスナー食えば更に余裕
- 635 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:41:37.17 0EVE.net
- なんというかお稲荷は追うストレスがそんななかったんだよな
ユニコーン 厄介 クソマロ 全部潰すから
- 636 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:41:51.55 0EVE.net
- >>631
犬と狐がしでかした事が否定なのか へー
- 637 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:42:10.48 MEVE.net
- >>626
その辺は関係ないんじゃね
マジカルドールのも自分で立候補したって行ってるし
- 638 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:42:17.66 0EVE.net
- 男コラボ禁止はハニストに男コラボを奨めた時点でありえない
金銭関係でもない
となると一体どんな方針転換だったのか気になる
- 639 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:42:27.66 0EVE.net
- >>625
方針も不満でて、性格もアウトとか最悪じゃねーか
- 640 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:42:37.60 0EVE.net
- >>614
それこそ他メンバーは契約上に無謀な事とかがなければ、
押しつけや矯正があってもしぶしぶ受け入れてやっていきます。
自由にやりたい宗谷お稲荷は言われてやるなんてやりたくないんだと、
それならと逃亡したのがお稲荷、残りつつもひたすらヘラってるのが宗谷
不満があっても受け止めて諦めるか、戦おうとなるかの違いだろう
- 641 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:42:43.44 0EVE.net
- >>635
最後に残ったのは稲荷キッズ
- 642 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:42:52.69 0EVE.net
- 人狼は論理的なムーブが出来ず逆恨みや妄想で動く奴が混ざると一発で糞ゲーになるけど、ここもそうだよね……
- 643 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:43:03.07 0EVE.net
- そんなイガ栗みたいな姿勢逆にストレスになるわ
- 644 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:43:14.48 0EVE.net
- >>635
でもそれユニコーン、厄介、クソマロからしたらストレスあるだろ
お稲荷ガチ恋はまあまあいるぞ
- 645 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:43:17.23 0EVE.net
- みんなが抱えてる不満は細かく見ればバラバラだろうしな
○○派とは分けられん
- 646 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:43:20.21 0EVE.net
- >>636
は?知らねえよカス
- 647 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:43:39.80 0EVE.net
- ゲーム以外もやれって言われたんだろ
ななしが番組に紹介してもらえるよう話通したのにな
- 648 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:44:03.35 MEVE.net
- ななし嫌いはガチの感じじゃないだろ
- 649 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:44:06.04 0EVE.net
- >>646
だまれ狐
- 650 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:44:06.16 0EVE.net
- 好きなことだけして生きていくってかなり高スペじゃないと出来んぞ
ふっこって相当なガキなんやな
- 651 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:44:25.43 0EVE.net
- >>642
とんでも推理しだすヤツが現れてそれにスレが引っ張られるとクソイラつくよや
- 652 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:44:37.98 0EVE.net
- >>635
ぶったぎりスカっとした、あくあリスナーのゴースティングをボロクソに言ってくれたは嬉しかったわ
- 653 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:44:40.92 0EVE.net
- >>635
自分のプライドを守ってるだけで何1つ壊してないよ
- 654 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:44:46.76 0EVE.net
- やっぱりわからんのが結局お稲荷がもめ始めた理由ってなに?ってことだ
いちかヘラった理由もそれ次第で取りようが結構広い
- 655 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:44:51.86 0EVE.net
- >>649
やだやだやだ
- 656 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:45:04.41 0EVE.net
- 君らただの憶測をよくそんなしたり顔で披露できるな
- 657 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:45:18.93 0EVE.net
- >>644
本人に一番ストレスが行くぞ
受け流せていないからな
- 658 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:45:30.34 0EVE.net
- >>650
現実と向き合えて良かったんじゃない?
- 659 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:46:07.63 0EVE.net
- be4a8
- 660 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:46:16.29 pEVE.net
- >>647
これだと思うわ
No.2ならもっとファン増やしたり稼げる事をしろって言われたんやない?
- 661 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:46:23.52 0EVE.net
- みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。「尊いヒメの神よ。悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日ざかりに雨戸をとざして、人々は息をころして暮していた。ヒメだ
けが雨戸をあけ、時に楼上から山下の村を眺めて、死者を見るたびに邸内の全ての者にきかせて歩いた。 オレの小屋へきてヒメが云った。「耳男よ。今日は私が何を見たと思う?」 ヒメの目がいつもにくらべて輝きが
深いようでもあった。ヒメは云った。「バケモノのホコラへ拝みにきて、ホコラの前でキリキリ舞いをして、ホコラにとりすがって死んだお婆さんを見たのよ」 オレは云ってやった。「あのバケモノの奴も今度の疫病神
は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
ついてちょッと拝んでいたと思うと、にわかに立ち上ってキリキリ舞いをはじめたのよ。それからヨタヨタ這いまわって、やっとホコラに手をかけたと思うと動かなくなってしまったわ」 ヒメの目はそこにそそがれて動
かなかった。さらにヒメは下界の諸方に目を転じて飽かず眺めふけった。そして、呟いた。「野良にでて働く人の姿が多いわ。ホーソーの時には野良にでている人の姿が見られなかったものでしたのに。バケモノのホコラ
へ拝みに来て死ぬ人もあるのに、野良の人々は無事なのね」 オレは小屋にこもって仕事にふけっているだけだから、邸内の人々とも殆ど交渉がなかったし、まして邸外とは交渉がなかった。だから村里を襲っている疫病
の怖ろしい噂を時たま聞くことがあっても、オレにとっては別天地の出来事で、身にしみる思いに打たれたことはなかった。オレのバケモノが魔よけの神様にまつりあげられ、オレが名人ともてはやされていると聞いても
、それすらも別天地の出来事であった。 オレははじめて高楼から村を眺めた。それは裏の山から村を見下す風景の距離をちぢめただけのものだが、バケモノのホコラにすがりついて死んでいる人の姿を見ると、それもわ
が身にかかわりのないソラゾラしい眺めながらも、人里の哀れさが目にしみもした。あんなバケモノが魔よけの役に立たないのは分りきっているのに、そのホコラにすがりついて死ぬ人があるとは罪な話だ。いッそ焼き払
ってしまえばいいのに、とオレは思った。オレが罪を犯しているような味気ない思いにかられもした。 ヒメは下界の眺めにタンノーして、ふりむいた。そして、オレに命じた。「袋の中の蛇を一匹ずつ生き裂きにして血
- 662 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:46:39.73 0EVE.net
- だ、これで全部か、とヒメは怒っているように見えた。すると、ふりむいて、ヒメは物も云わず立ち去ってしまった。 ヒメが立ち去ろうとするとき、オレの目に一粒ずつの大粒の涙がたまっているのに気がついた。 そ
れからの足かけ三年というものは、オレの戦いの歴史であった。 オレは小屋にとじこもってノミをふるッていただけだが、オレがノミをふるう力は、オレの目に残るヒメの笑顔に押されつづけていた。オレはそれを押し
返すために必死に戦わなければならなかった。 オレがヒメに自然に見とれてしまったことは、オレがどのようにあがいても所詮勝味がないように思われたが、オレは是が非でも押し返して、怖ろしいモノノケの像をつく
らなければとあせった。 オレはひるむ心が起ったとき水を浴びることを思いついた。十パイ二十パイと気が遠くなるほど水を浴びた。また、ゴマをたくことから思いついて、オレは松ヤニをいぶした。また足のウラの土
フマズに火を当てて焼いた。それらはすべてオレの心をふるい起して、襲いかかるように仕事にはげむためであった。 オレの小屋のまわりはジメジメした草むらで無数の蛇の棲み家だから、小屋の中にも蛇は遠慮なくも
ぐりこんできたが、オレはそれをひッさいて生き血をのんだ。そして蛇の死体を天井から吊るした。蛇の怨霊がオレにのりうつり、また仕事にものりうつれとオレは念じた。 オレは心のひるむたびに草むらにでて蛇をと
り、ひッさいて生き血をしぼり、一息に呷《あお》って、のこるのを造りかけのモノノケの像にしたたらせた。 日に七匹、また十匹ととったから、一夏を終らぬうちに、小屋のまわりの草むらの蛇は絶えてしまった。オ
レは山に入って日に一袋の蛇をとった。 小屋の天井は吊るした蛇の死体で一パイになった。ウジがたかり、ムンムンと臭気がたちこめ、風にゆれ、冬がくるとカサカサと風に鳴った。 吊るした蛇がいッせいに襲いかか
ってくるような幻を見ると、オレはかえって力がわいた。蛇の怨霊がオレにこもって、オレが蛇の化身となって生れ変った気がしたからだ。そして、こうしなければ、オレは仕事をつづけることができなかったのだ。 オ
レはヒメの笑顔を押し返すほど力のこもったモノノケの姿を造りだす自信がなかったのだ。オレの力だけでは足りないことをさとっていた。それと戦う苦しさに、いッそ気が違ってしまえばよいと思ったほどだ。オレの心
がヒメにとりつく怨霊になればよいと念じもした。しかし、仕事の急所に刻みかかると、必ず一度はヒメの笑顔に押されているオレのヒルミに気がついた。 三年目の春がきたとき、七分通りできあがって仕上げの急所に
かかっていたから、オレは蛇の生き血に飢えていた。オレは山にわけこんで兎や狸や鹿をとり、胸をさいて生き血をしぼり、ハラワタをまきちらした。クビを斬り落して、その血を像にしたたらせた。「血を吸え。そして
、ヒメの十六の正月にイノチが宿って生きものになれ。人を殺して生き血を吸う鬼となれ」 それは耳の長い何ものかの顔であるが、モノノケだか、魔神だか、死神だか、鬼だか、怨霊だか、オレにも得体が知れなかった
。オレはただヒメの笑顔を押し返すだけの力のこもった怖ろしい物でありさえすれば満足だった。 秋の中ごろにチイサ釜が仕事を終えた。また秋の終りには青ガサも仕事を終えた。オレは冬になって、ようやく像を造り
終えた。しかし、それをおさめるズシにはまだ手をつけていなかった。 ズシの形や模様はヒメの調度にふさわしい可愛いものに限ると思った。扉をひらくと現れる像の凄味をひきたてるには、あくまで可憐な様式にかぎ
る。 オレはのこされた短い日数のあいだ寝食も忘れがちにズシにかかった。そしてギリギリの大晦日の夜までかかって、ともかく仕上げることができた。手のこんだ細工はできなかったが、扉には軽く花鳥をあしらった
。豪奢でも華美でもないが、素朴なところにむしろ気品が宿ったように思った。 深夜に人手をかりて運びだして、チイサ釜と青ガサの作品の横へオレの物を並べた。オレはとにかく満足だった。オレは小屋へ戻ると、毛
皮をひッかぶって、地底へひきずりこまれるように眠りこけた。 オレは戸を叩く音に目をさました。夜が明けている。陽はかなり高いようだ。そうか。今日がヒメの十六の正月か、とオレはふと思いついた。戸を叩く音
は執拗につづいた。オレは食物を運んできた女中だと思ったから、「うるさいな。いつものように、だまって外へ置いて行け。オレには新年も元日もありやしねえ。ここだけは娑婆がちがうということをオレが口をすッぱ
くして言って聞かせてあるのが、三年たってもまだ分らないのか」「目がさめたら、戸をおあけ」「きいた風なことを言うな。オレが戸を開けるのは目がさめた時じゃアねえや」「では、いつ、あける?」「外に人が居な
- 663 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:46:55.84 0EVE.net
- るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
、お主の一命にかかわることが起るかも知れぬ」 オレは即座に肚をきめた。斧をぶらさげて立上った。「お供しましょう」「これさ」「ハッハッハ。ふざけちゃアいけませんや。はばかりながら、ヒダのタクミはガキの
時から仕事に命を打込むものと叩きこまれているのだ。仕事のほかには命をすてる心当りもないが、腕くらべを怖れて逃げだしたと云われるよりは、そッちの方を選ぼうじゃありませんか」「長生きすれば、天下のタクミ
と世にうたわれる名人になる見込みのある奴だが、まだ若いな。一時の恥は、長生きすればそそがれるぞ」「よけいなことは、もう、よしてくれ。オレはここへ来たときから、生きて帰ることは忘れていたのさ」 アナマ
ロはあきらめた。すると、にわかに冷淡だった。「オレにつづいて参れ」 彼は先に立ってズンズン歩いた。 奥の庭へみちびかれた。縁先の土の上にムシロがしかれていた。それがオレの席であった。 オレと向い合せ
にエナコが控えていた。後手にいましめられて、じかに土の上に坐っていた。 オレの跫音《あしおと》をききつけて、エナコは首をあげた。そして、いましめを解けば跳びかかる犬のようにオレを睨んで目を放さなかっ
た。小癪な奴め、とオレは思った。「耳を斬り落されたオレが女を憎むならワケは分るが、女がオレを憎むとはワケが分らないな」 こう考えてオレはふと気がついたが、耳の痛みがとれてからは、この女を思いだしたこ
ともなかった。「考えてみるとフシギだな。オレのようなカンシャク持ちが、オレの耳を斬り落した女を咒《のろ》わないとは奇妙なことだ。オレは誰かに耳を斬り落されたことは考えても、斬り落したのがこの女だと考
えたことはめッたにない。あべこべに、女の奴めがオレを仇のように憎みきっているというのが腑に落ちないぞ」 オレの咒いの一念はあげて魔神を刻むことにこめられているから、小癪な女一匹を考えるヒマがなかった
のだろう。オレは十五の歳に仲間の一人に屋根から突き落されて手と足の骨を折ったことがある。この仲間はササイなことでオレに恨みを持っていたのだ。オレは骨を折ったので三ヵ月ほど大工の仕事はできなかったが、
親方はオレがたった一日といえども仕事を休むことを許さなかった。オレは片手と片足で、欄間のホリモノをきざまなければならなかった。骨折の怪我というものは、夜も眠ることができないほど痛むものだ。オレは泣き
泣きノミをふるッていたが、泣き泣き眠ることができない長夜の苦しみよりも、泣き泣き仕事する日中の凌ぎよいことが分ってきた。折からの満月を幸いに、夜中に起きてノミをふるい、痛さに堪えかねて悶え泣いたこと
もあったし、手をすべらせてモモにノミを突きたててしまったこともあったが、苦しみに超えたものは仕事だけだということを、あの時ほどマザ/\と思い知らされたことはない。片手片足でほった欄間だが、両手両足が
使えるようになってから眺め直して、特に手を入れる必要もなかった。 その時のことが身にしみているから、片耳を斬り落された痛みぐらいは、仕事の励みになっただけだ。今に思い知らせてやるぞと考えた。そして、
いやが上にも怖ろしい魔神の姿を思いめぐらしてゾクゾクしたが、思い知らせてやるのがこの女だとは考えたことがなかったようだ。「オレが女を咒わないのは、ワケが分るフシもあるような気がするが、女がオレを仇の
ように憎むのはワケが分らない。ひょッとすると、長者があんなことを云ったから、オレが女をほしがっていると思って咒っているのかも知れないな」 こう考えると、ワケが分ってきたように思われた。そこでムラムラ
と怒りがこみあげた。バカな女め。キサマ欲しさに仕事をするオレと思うか。連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように手で払って捨てて行くだけのことだ。こう考えたから、オレの心は落附いた。「耳男をつれ
て参りました」 アナマロが室内に向って大声で叫んだ。するとスダレの向うに気配があって、着席した長者が云った。「アナマロはあるか」「これにおります」「耳男に沙汰を申し伝えよ」「かしこまりました」 アナ
マロはオレを睨みつけて、次のように申し渡した。「当家の女奴隷が耳男の片耳をそぎ落したときこえては、ヒダのタクミ一同にも、ヒダの国人一同にも申訳が立たない。よってエナコを死罪に処するが、耳男が仇をうけ
- 664 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:47:05.90 0EVE.net
- いま宗谷さんが一番面白い
この先どうなってしまうのか見逃せない
はねるは金が動きすぎてもう会社側の人間だからつまらない
- 665 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:47:06.95 0EVE.net
- >>656
飛躍したのはアホだと思ってるけど現実的な線は考えたいわ
- 666 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:47:12.18 0EVE.net
- もあったし、手をすべらせてモモにノミを突きたててしまったこともあったが、苦しみに超えたものは仕事だけだということを、あの時ほどマザ/\と思い知らされたことはない。片手片足でほった欄間だが、両手両足が
使えるようになってから眺め直して、特に手を入れる必要もなかった。 その時のことが身にしみているから、片耳を斬り落された痛みぐらいは、仕事の励みになっただけだ。今に思い知らせてやるぞと考えた。そして、
いやが上にも怖ろしい魔神の姿を思いめぐらしてゾクゾクしたが、思い知らせてやるのがこの女だとは考えたことがなかったようだ。「オレが女を咒わないのは、ワケが分るフシもあるような気がするが、女がオレを仇の
ように憎むのはワケが分らない。ひょッとすると、長者があんなことを云ったから、オレが女をほしがっていると思って咒っているのかも知れないな」 こう考えると、ワケが分ってきたように思われた。そこでムラムラ
と怒りがこみあげた。バカな女め。キサマ欲しさに仕事をするオレと思うか。連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように手で払って捨てて行くだけのことだ。こう考えたから、オレの心は落附いた。「耳男をつれ
て参りました」 アナマロが室内に向って大声で叫んだ。するとスダレの向うに気配があって、着席した長者が云った。「アナマロはあるか」「これにおります」「耳男に沙汰を申し伝えよ」「かしこまりました」 アナ
マロはオレを睨みつけて、次のように申し渡した。「当家の女奴隷が耳男の片耳をそぎ落したときこえては、ヒダのタクミ一同にも、ヒダの国人一同にも申訳が立たない。よってエナコを死罪に処するが、耳男が仇をうけ
た当人だから、耳男の斧で首を打たせる。耳男、うて」 オレはこれをきいて、エナコがオレを仇のように睨むのは道理と思った。この疑いがはれてしまえば、あとは気にかかるものもない。オレは云ってやった。「御親
切は痛みいるが、それには及びますまい」「うてぬか」 オレはスックと立ってみせた。斧をとってズカズカと進み、エナコの直前で一睨み、凄みをきかせて睨みつけてやった。 エナコの後へまわると、斧を当てて縄を
ブツブツ切った。そして、元の座へさッさと戻ってきた。オレはわざと何も言わなかった。 アナマロが笑って云った。「エナコの死に首よりも生き首がほしいか」 これをきくとオレの顔に血がのぼった。「たわけたこ
とを。虫ケラ同然のハタ織女にヒダの耳男はてんでハナもひッかけやしねえや。東国の森に棲む虫ケラに耳をかまれただけだと思えば腹も立たない道理じゃないか。虫ケラの死に首も生き首も欲しかアねえや」 こう喚い
てやったが、顔がまッかに染まり汗が一時に溢れでたのは、オレの心を裏切るものであった。 顔が赤く染まって汗が溢れでたのは、この女の生き首が欲しい下心のせいではなかった。オレを憎むワケがあるとは思われぬ
のに女がオレを仇のように睨んでいるから、さてはオレが女をわが物にしたい下心でもあると見て咒っているのだなと考えた。そして、バカな奴め。キサマを連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように払い落して
帰るだけだと考えていた。 有りもせぬ下心を疑られては迷惑だとかねて甚だ気にかけていたことを、思いもよらずアナマロの口からきいたから、オレは虚をつかれて、うろたえてしまったのだ。一度うろたえてしまうと
、それを恥じたり気に病んだりして、オレの顔は益々熱く燃え、汗は滝の如くに湧き流れるのはいつもの例であった。「こまったことだ。残念なことだ。こんなに汗をビッショリかいて慌ててしまえば、まるでオレの下心
がたしかにそうだと白状しているように思われてしまうばかりだ」 こう考えて、オレは益々うろたえた。額から汗の玉がポタポタとしたたり落ちて、いつやむ気色もなくなってしまった。オレは観念して目を閉じた。オ
レにとってこの赤面と汗はマトモに抵抗しがたい大敵であった。観念の眼をとじてつとめて無心にふける以外に汗の雨ダレを食いとめる手段がなかった。 そのとき、ヒメの声がきこえた。「スダレをあげて」 そう命じ
た。たぶん侍女もいるのだろうが、オレは目を開けて確かめるのを控えた。一時も早く汗の雨ダレを食いとめるには、見たいものも見てはならぬ。オレはもう一度ジックリとヒメの顔が見たかったのだ。「耳男よ。目をあ
けて。そして、私の問いに答えて」 と、ヒメが命じた。オレはシブシブ目をあけた。スダレはまかれて、ヒメは縁に立っていた。「お前、エナコに耳を斬り落されても、虫ケラにかまれたようだッて? ほんとうにそう
?」 無邪気な明るい笑顔だとオレは思った。オレは大きくうなずいて、「ほんとうにそうです」と答えた。「あとでウソだと仰有ッてはダメよ」「そんなことは言いやしません。虫ケラだと思っているから、死に首も、
- 667 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:47:16.99 0EVE.net
- 宗谷さんは上から目線で口出ししてくるって言うけどこれパトラにmix修正要求してくるっていう音猫ななしとちょっと似てるよな
むかつくけど的確だから文句言えないってやつ
- 668 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:47:26.28 0EVE.net
- >>654
複数人が絡む問題らしいからメンバー間が濃厚じゃない
- 669 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:47:45.03 0EVE.net
- し、ヒメが与えた着物にきかえた。そして、奥の間へみちびかれた。 オレは恐怖のために、入浴中からウワの空であった。いよいよヒメに殺されるのだとオレは思った。 オレはヒメの無邪気な笑顔がどのようなもので
あるかを思い知ることができた。エナコがオレの耳を斬り落すのを眺めていたのもこの笑顔だし、オレの小屋の天井からぶらさがった無数の蛇を眺めていたのもこの笑顔だ。オレの耳を斬り落せとエナコに命じたのもこの
笑顔であるが、エナコのクビをオレの斧で斬り落せと沙汰のでたのも、実はこの笑顔がそれを見たいと思ったからに相違ない。 あのとき、アナマロが早くここを逃げよとオレにすすめて、長者も内々オレがここから逃げ
- 670 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:47:57.04 0EVE.net
- >>654
さすがに詳細まで晒せない感じやね、まだ話し合いの段階だろうし
とりあえずアバウトだけど分かっただけマシ
- 671 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:47:58.42 0EVE.net
- 男コラボというか特定人物の可能性もあるんだけどな
コラボしたら大量の低評価が付いてくる奴
- 672 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:48:01.08 0EVE.net
- レは青ガサが残した小屋で、今度こそヒメの持仏のミロクの像に精魂かたむけていた。ホトケの顔にヒメの笑顔をうつすのがオレの考えであった。 この邸内で人間らしくうごいているのは、ヒメとオレの二人だけであっ
た。 ミロクにヒメの笑顔をうつして持仏を刻んでいるときいてヒメは一応満足の風ではあったが、実はオレの仕事を気にかけている様子はなかった。ヒメはオレの仕事のはかどりを見に来たことはついぞなかった。小屋
に姿を現すのは、死者を森へすてに行く人群れを見かけたときにきまっていた。特にオレを選んでそれをきかせに来るのではなく、邸内の一人々々にもれなく聞かせてまわるのがヒメのたのしみの様子であった。「今日も
死んだ人があるのよ」 それをきかせるときも、ニコニコとたのしそうであった。ついでに仏像の出来ぐあいを見て行くようなことはなかった。それには一目もくれなかった。そして長くはとどまらなかった。 オレはヒ
メになぶられているのではないかと疑っていた。さりげない風を見せているが、実はやっぱり元日にオレを殺すつもりであったに相違ないとオレは時々考えた。なぜなら、ヒメはオレの造ったバケモノを疫病よけに門前へ
すえさせたとき、「耳男が無数の蛇を裂き殺して逆さに吊り、蛇の生き血をあびながら咒いをかけて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなりそうね。ほかに取得もなさそうですから、門の前へ飾ってご
らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
が死んだわ」 と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。 オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あど
けない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身《うつしみ》にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であるこ
とがすでに定められたようなものだった。 どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村
人に信心された。 長者がまッさきに打ちこんだ。「耳男があまたの蛇を生き裂きにして逆吊りにかけ生き血をあびながら咒いをこめて造ったバケモノだから、その怖ろしさにホーソー神も近づくことができないのだな」
ヒメの言葉をうけうりして吹聴した。 バケモノは山上の長者の邸の門前から運び降ろされて、山の下の池のフチの三ツ又のにわか造りのホコラの中に鎮座した。遠い村から拝みにくる人も少くなかった。そしてオレは
- 673 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:48:02.29 0EVE.net
- バックレしまくって運営側から注意されてまたバックレて事実上クビになっただけやろとしか思わんのやが
- 674 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:48:17.18 0EVE.net
- コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
- 675 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:48:28.49 0EVE.net
- 忘年会ぜひともやってほしいな
どうせはねるが拒否してないんだろうけど
- 676 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:48:29.33 0EVE.net
- 怒られて拗ねる子供とその場に居合わせて空気に耐えられなくなって急に泣いてより空気を悪化させる子供
- 677 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:48:33.60 0EVE.net
- い時だ」「それは、ほんとね?」 オレはそれをきいたとき、忘れることのできない特徴のあるヒメの抑揚をききつけて、声の主はヒメその人だと直覚した。にわかにオレの全身が恐怖のために凍ったように思った。どう
してよいのか分らなくて、オレはウロウロとむなしく時間を費した。「私が居るうちに出ておいで。出てこなければ、出てくるようにしてあげますよ」 静かな声がこう云った。ヒメが侍女に命じて戸の外に何か積ませて
いたのをオレはさとっていたが、火打石をうつ音に、それは枯れ柴だと直感した。オレははじかれたように戸口へ走り、カンヌキを外して戸をあけた。 戸があいたのでそこから風が吹きこむように、ヒメはニコニコと小
屋の中へはいってきた。オレの前を通りこして、先に立って中へはいった。 三年のうちにヒメのカラダは見ちがえるようにオトナになっていた。顔もオトナになっていたが、無邪気な明るい笑顔だけは、三年前と同じよ
うに澄みきった童女のものであった。 侍女たちは小屋の中をみてたじろいだ。ヒメだけはたじろいだ気色がなかった。ヒメは珍しそうに室内を見まわし、また天井を見まわした。蛇は無数の骨となってぶらさがっていた
が、下にも無数の骨が落ちてくずれていた。「みんな蛇ね」 ヒメの笑顔に生き生きと感動がかがやいた。ヒメは頭上に手をさしのばして垂れ下っている蛇の白骨の一ツを手にとろうとした。その白骨はヒメの肩に落ちく
ずれた。それを軽く手で払ったが、落ちた物には目もくれなかった。一ツ一ツが珍しくて、一ツの物に長くこだわっていられない様子に見えた。「こんなことを思いついたのは、誰なの? ヒダのタクミの仕事場がみんな
こうなの? それとも、お前の仕事場だけのこと?」「たぶん、オレの小屋だけのことでしょう」 ヒメはうなずきもしなかったが、やがて満足のために笑顔は冴えかがやいた。三年昔、オレが見納めにしたヒメの顔は、
にわかに真剣にひきしまって退屈しきった顔であったが、オレの小屋では笑顔の絶えることがなかった。「火をつけなくてよかったね。燃してしまうと、これを見ることができなかったわ」 ヒメは全てを見終ると満足し
て呟いたが、「でも、もう、燃してしまうがよい」 侍女に枯れ柴をつませて火をかけさせた。小屋が煙につつまれ、一時にどッと燃えあがるのを見とどけると、ヒメはオレに云った。「珍しいミロクの像をありがとう。
他の二ツにくらべて、百層倍も、千層倍も、気に入りました。ゴホービをあげたいから、着物をきかえておいで」 明るい無邪気な笑顔であった。オレの目にそれをのこしてヒメは去った。オレは侍女にみちびかれて入浴
し、ヒメが与えた着物にきかえた。そして、奥の間へみちびかれた。 オレは恐怖のために、入浴中からウワの空であった。いよいよヒメに殺されるのだとオレは思った。 オレはヒメの無邪気な笑顔がどのようなもので
あるかを思い知ることができた。エナコがオレの耳を斬り落すのを眺めていたのもこの笑顔だし、オレの小屋の天井からぶらさがった無数の蛇を眺めていたのもこの笑顔だ。オレの耳を斬り落せとエナコに命じたのもこの
笑顔であるが、エナコのクビをオレの斧で斬り落せと沙汰のでたのも、実はこの笑顔がそれを見たいと思ったからに相違ない。 あのとき、アナマロが早くここを逃げよとオレにすすめて、長者も内々オレがここから逃げ
ることを望んでおられると言ったが、まさしく思い当る言葉である。この笑顔に対しては、長者も施す術がないのであろう。ムリもないとオレは思った。 人の祝う元日に、ためらう色もなくわが家の一隅に火をかけたこ
の笑顔は、地獄の火も怖れなければ、血の池も怖れることがなかろう。ましてオレが造ったバケモノなぞは、この笑顔が七ツ八ツのころのママゴト道具のたぐいであろう。「珍しいミロクの像をありがとう。他のものの百
層倍、千層倍も、気に入りました」 というヒメの言葉を思いだすと、オレはその怖ろしさにゾッとすくんだ。 オレの造ったあのバケモノになんの凄味があるものか。人の心をシンから凍らせるまことの力は一ツもこも
っていないのだ。 本当に怖ろしいのは、この笑顔だ。この笑顔こそは生きた魔神も怨霊も及びがたい真に怖ろしい唯一の物であろう。 オレは今に至ってようやくこの笑顔の何たるかをさとったが、三年間の仕事の間、
怖ろしい物を造ろうとしていつもヒメの笑顔に押されていたオレは、分らぬながらも心の一部にそれを感じていたのかも知れない。真に怖ろしいものを造るためなら、この笑顔に押されるのは当り前の話であろう。真に怖
ろしいものは、この笑顔にまさるものはないのだから。 今生の思い出に、この笑顔を刻み残して殺されたいとオレは考えた。オレにとっては、ヒメがオレを殺すことはもはや疑う余地がなかった。それも、今日、風呂か
- 678 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:48:49.84 0EVE.net
- 野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
。 オレはそれまで親方にほめられたことは一度もなかった。もっとも、誰をほめたこともない親方ではあったが、それにしても、この突然のホメ言葉はオレをまったく驚愕させた。当のオレがそれほどだから、多くの古
い弟子たちが親方はモウロクして途方もないことを口走ってしまったものだと云いふらしたのは、あながち嫉みのせいだけではなかったのである。 夜長の長者の使者アナマロも兄弟子たちの言い分に理があるようだと考
えた。そこでオレをひそかに別室へよんで、「お前の師匠はモウロクしてあんなことを云ったが、まさかお前は長者の招きに進んで応じるほど向う見ずではあるまいな」 こう云われると、オレはムラムラと腹が立った。
その時まで親方の言葉を疑ったり、自分の腕に不安を感じていたのが一時に掻き消えて、顔に血がこみあげた。「オレの腕じゃア不足なほど、夜長の長者は尊い人ですかい。はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だと
いう寺は天下に一ツもない筈だ」 オレは目もくらみ耳もふさがり、叫びたてるわが姿をトキをつくるのようだと思ったほどだ。アナマロは苦笑した。「相弟子どもと鎮守のホコラを造るのとはワケがちがうぞ。お前が腕
くらべをするのは、お前の師と並んでヒダの三名人とうたわれている青ガサとフル釜だぞ」「青ガサもフル釜も、親方すらも怖ろしいと思うものか。オレが一心不乱にやれば、オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだ
けだ」 アナマロはあわれんで溜息をもらすような面持であったが、どう思い直してか、オレを親方の代りに長者の邸へ連れていった。「キサマは仕合せ者だな。キサマの造った品物がオメガネにかなう筈はないが、日本
中の男という男がまだ見ぬ恋に胸をこがしている夜長姫サマの御身ちかくで暮すことができるのだからさ。せいぜい仕事を長びかせて、一時も長く逗留の工夫をめぐらすがよい。どうせかなわぬ仕事の工夫はいらぬことだ
」 道々、アナマロはこんなことを云ってオレをイラだたせた。「どうせかなわぬオレを連れて行くことはありますまい」「そこが虫のカゲンだな。キサマは運のいい奴だ」 オレは旅の途中でアナマロに別れて幾度か立
ち帰ろうと思った。しかし、青ガサやフル釜と技を競う名誉がオレを誘惑した。彼らを怖れて逃げたと思われるのが心外であった。オレは自分に云いきかせた。「一心不乱に、オレのイノチを打ちこんだ仕事をやりとげれ
- 679 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:49:06.20 0EVE.net
- らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
、お主の一命にかかわることが起るかも知れぬ」 オレは即座に肚をきめた。斧をぶらさげて立上った。「お供しましょう」「これさ」「ハッハッハ。ふざけちゃアいけませんや。はばかりながら、ヒダのタクミはガキの
時から仕事に命を打込むものと叩きこまれているのだ。仕事のほかには命をすてる心当りもないが、腕くらべを怖れて逃げだしたと云われるよりは、そッちの方を選ぼうじゃありませんか」「長生きすれば、天下のタクミ
と世にうたわれる名人になる見込みのある奴だが、まだ若いな。一時の恥は、長生きすればそそがれるぞ」「よけいなことは、もう、よしてくれ。オレはここへ来たときから、生きて帰ることは忘れていたのさ」 アナマ
ロはあきらめた。すると、にわかに冷淡だった。「オレにつづいて参れ」 彼は先に立ってズンズン歩いた。 奥の庭へみちびかれた。縁先の土の上にムシロがしかれていた。それがオレの席であった。 オレと向い合せ
- 680 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:49:22.36 0EVE.net
- らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
が死んだわ」 と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。 オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あど
けない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身《うつしみ》にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であるこ
とがすでに定められたようなものだった。 どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村
人に信心された。 長者がまッさきに打ちこんだ。「耳男があまたの蛇を生き裂きにして逆吊りにかけ生き血をあびながら咒いをこめて造ったバケモノだから、その怖ろしさにホーソー神も近づくことができないのだな」
ヒメの言葉をうけうりして吹聴した。 バケモノは山上の長者の邸の門前から運び降ろされて、山の下の池のフチの三ツ又のにわか造りのホコラの中に鎮座した。遠い村から拝みにくる人も少くなかった。そしてオレは
たちまち名人ともてはやされたが、その上の大評判をとったのは夜長ヒメであった。オレの手になるバケモノが間に合って長者の一家を護ったのもヒメの力によるというのだ。尊い神がヒメの生き身に宿っておられる。尊
い神の化身であるという評判がたちまち村々へひろがった。 山下のホコラへオレのバケモノを拝みにきた人々のうちには、山上の長者の邸の門前へきてぬかずいて拝んで帰る者もあったし、門前へお供え物を置いて行く
者もあった。 ヒメはお供え物のカブや菜ッ葉をオレに示して、言った。「これはお前がうけた物よ。おいしく煮てお食べ」 ヒメの顔はニコニコとかがやいていた。オレはヒメがからかいに来たと見て、ムッとした。そ
して答えた。「天下|名題《なだい》のホトケを造ったヒダのタクミはたくさん居りますが、お供え物をいただいた話はききませんや。生き神様のお供え物にきまっているから、おいしく煮ておあがり下さい」 ヒメの笑
顔はオレの言葉にとりあわなかった。ヒメは言った。「耳男よ。お前が造ったバケモノはほんとうにホーソー神を睨み返してくれたのよ。私は毎日楼の上からそれを見ていたわ」 オレは呆れてヒメの笑顔を見つめた。し
かし、ヒメの心はとうてい量りがたいものであった。 ヒメはさらに云った。「耳男よ。お前が楼にあがって私と同じ物を見ていても、お前のバケモノがホーソー神を睨み返してくれるのを見ることができなかったでしょ
- 681 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:49:23.04 0EVE.net
- >>671
大量の低評価とかいうなんの役にも立たないもの気にしてどうすんだよ
- 682 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:49:38.75 0EVE.net
- い弟子たちが親方はモウロクして途方もないことを口走ってしまったものだと云いふらしたのは、あながち嫉みのせいだけではなかったのである。 夜長の長者の使者アナマロも兄弟子たちの言い分に理があるようだと考
えた。そこでオレをひそかに別室へよんで、「お前の師匠はモウロクしてあんなことを云ったが、まさかお前は長者の招きに進んで応じるほど向う見ずではあるまいな」 こう云われると、オレはムラムラと腹が立った。
その時まで親方の言葉を疑ったり、自分の腕に不安を感じていたのが一時に掻き消えて、顔に血がこみあげた。「オレの腕じゃア不足なほど、夜長の長者は尊い人ですかい。はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だと
いう寺は天下に一ツもない筈だ」 オレは目もくらみ耳もふさがり、叫びたてるわが姿をトキをつくるのようだと思ったほどだ。アナマロは苦笑した。「相弟子どもと鎮守のホコラを造るのとはワケがちがうぞ。お前が腕
くらべをするのは、お前の師と並んでヒダの三名人とうたわれている青ガサとフル釜だぞ」「青ガサもフル釜も、親方すらも怖ろしいと思うものか。オレが一心不乱にやれば、オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだ
けだ」 アナマロはあわれんで溜息をもらすような面持であったが、どう思い直してか、オレを親方の代りに長者の邸へ連れていった。「キサマは仕合せ者だな。キサマの造った品物がオメガネにかなう筈はないが、日本
中の男という男がまだ見ぬ恋に胸をこがしている夜長姫サマの御身ちかくで暮すことができるのだからさ。せいぜい仕事を長びかせて、一時も長く逗留の工夫をめぐらすがよい。どうせかなわぬ仕事の工夫はいらぬことだ
」 道々、アナマロはこんなことを云ってオレをイラだたせた。「どうせかなわぬオレを連れて行くことはありますまい」「そこが虫のカゲンだな。キサマは運のいい奴だ」 オレは旅の途中でアナマロに別れて幾度か立
ち帰ろうと思った。しかし、青ガサやフル釜と技を競う名誉がオレを誘惑した。彼らを怖れて逃げたと思われるのが心外であった。オレは自分に云いきかせた。「一心不乱に、オレのイノチを打ちこんだ仕事をやりとげれ
ばそれでいいのだ。目玉がフシアナ同然の奴らのメガネにかなわなくとも、それがなんだ。オレが刻んだ仏像を道のホコラに安置して、その下に穴を掘って、土に埋もれて死ぬだけのことだ」 たしかにオレは生きて帰ら
ぬような悲痛な覚悟を胸にかためていた。つまりは青ガサやフル釜を怖れる心のせいであろう。正直なところ、自信はなかった。 長者の邸へ着いた翌日、アナマロにみちびかれて奥の庭で、長者に会って挨拶した。長者
はまるまるとふとり、頬がたるんで、福の神のような恰好の人であった。 かたわらに夜長ヒメがいた。長者の頭にシラガが生えそめたころにようやく生れた一粒種だから、一夜ごとに二握りの黄金を百夜にかけてしぼら
せ、したたる露をあつめて産湯をつかわせたと云われていた。その露がしみたために、ヒメの身体は生れながらに光りかがやき、黄金の香りがすると云われていた。 オレは一心不乱にヒメを見つめなければならないと思
った。なぜなら、親方が常にこう言いきかせていたからだ。「珍しい人や物に出会ったときは目を放すな。オレの師匠がそう云っていた。そして、師匠はそのまた師匠にそう云われ、そのまた師匠のそのまた師匠のまたま
た昔の大昔の大親の師匠の代から順くりにそう云われてきたのだぞ。大蛇に足をかまれても、目を放すな」 だからオレは夜長ヒメを見つめた。オレは小心のせいか、覚悟をきめてかからなければ人の顔を見つめることが
できなかった。しかし、気おくれをジッと押えて、見つめているうちに次第に平静にかえる満足を感じたとき、オレは親方の教訓の重大な意味が分ったような気がするのだった。のしかかるように見つめ伏せてはダメだ。
その人やその物とともに、ひと色の水のようにすきとおらなければならないのだ。 オレは夜長ヒメを見つめた。ヒメはまだ十三だった。身体はノビノビと高かったが、子供の香がたちこめていた。威厳はあったが、怖ろ
しくはなかった。オレはむしろ張りつめた力がゆるんだような気がしたが、それはオレが負けたせいかも知れない。そして、オレはヒメを見つめていた筈だが、ヒメのうしろに広々とそびえている乗鞍山《ノリクラヤマ》
が後々まで強くしみて残ってしまった。 アナマロはオレを長者にひき合せて、「これが耳男《ミミオ》でございます。若いながらも師の骨法をすべて会得し、さらに独自の工夫も編みだしたほどの師匠まさりで、青ガサ
やフル釜と技を競ってオクレをとるとは思われぬと師が口をきわめてほめたたえたほどのタクミであります」 意外にも殊勝なことを言った。すると長者はうなずいたが、「なるほど、大きな耳だ」 オレの耳を一心に見
- 683 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:49:46.67 aEVE.net
- クラッシャーはいちかだな
- 684 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:49:54.85 0EVE.net
- は執拗につづいた。オレは食物を運んできた女中だと思ったから、「うるさいな。いつものように、だまって外へ置いて行け。オレには新年も元日もありやしねえ。ここだけは娑婆がちがうということをオレが口をすッぱ
くして言って聞かせてあるのが、三年たってもまだ分らないのか」「目がさめたら、戸をおあけ」「きいた風なことを言うな。オレが戸を開けるのは目がさめた時じゃアねえや」「では、いつ、あける?」「外に人が居な
い時だ」「それは、ほんとね?」 オレはそれをきいたとき、忘れることのできない特徴のあるヒメの抑揚をききつけて、声の主はヒメその人だと直覚した。にわかにオレの全身が恐怖のために凍ったように思った。どう
してよいのか分らなくて、オレはウロウロとむなしく時間を費した。「私が居るうちに出ておいで。出てこなければ、出てくるようにしてあげますよ」 静かな声がこう云った。ヒメが侍女に命じて戸の外に何か積ませて
いたのをオレはさとっていたが、火打石をうつ音に、それは枯れ柴だと直感した。オレははじかれたように戸口へ走り、カンヌキを外して戸をあけた。 戸があいたのでそこから風が吹きこむように、ヒメはニコニコと小
屋の中へはいってきた。オレの前を通りこして、先に立って中へはいった。 三年のうちにヒメのカラダは見ちがえるようにオトナになっていた。顔もオトナになっていたが、無邪気な明るい笑顔だけは、三年前と同じよ
うに澄みきった童女のものであった。 侍女たちは小屋の中をみてたじろいだ。ヒメだけはたじろいだ気色がなかった。ヒメは珍しそうに室内を見まわし、また天井を見まわした。蛇は無数の骨となってぶらさがっていた
が、下にも無数の骨が落ちてくずれていた。「みんな蛇ね」 ヒメの笑顔に生き生きと感動がかがやいた。ヒメは頭上に手をさしのばして垂れ下っている蛇の白骨の一ツを手にとろうとした。その白骨はヒメの肩に落ちく
ずれた。それを軽く手で払ったが、落ちた物には目もくれなかった。一ツ一ツが珍しくて、一ツの物に長くこだわっていられない様子に見えた。「こんなことを思いついたのは、誰なの? ヒダのタクミの仕事場がみんな
こうなの? それとも、お前の仕事場だけのこと?」「たぶん、オレの小屋だけのことでしょう」 ヒメはうなずきもしなかったが、やがて満足のために笑顔は冴えかがやいた。三年昔、オレが見納めにしたヒメの顔は、
にわかに真剣にひきしまって退屈しきった顔であったが、オレの小屋では笑顔の絶えることがなかった。「火をつけなくてよかったね。燃してしまうと、これを見ることができなかったわ」 ヒメは全てを見終ると満足し
て呟いたが、「でも、もう、燃してしまうがよい」 侍女に枯れ柴をつませて火をかけさせた。小屋が煙につつまれ、一時にどッと燃えあがるのを見とどけると、ヒメはオレに云った。「珍しいミロクの像をありがとう。
他の二ツにくらべて、百層倍も、千層倍も、気に入りました。ゴホービをあげたいから、着物をきかえておいで」 明るい無邪気な笑顔であった。オレの目にそれをのこしてヒメは去った。オレは侍女にみちびかれて入浴
し、ヒメが与えた着物にきかえた。そして、奥の間へみちびかれた。 オレは恐怖のために、入浴中からウワの空であった。いよいよヒメに殺されるのだとオレは思った。 オレはヒメの無邪気な笑顔がどのようなもので
あるかを思い知ることができた。エナコがオレの耳を斬り落すのを眺めていたのもこの笑顔だし、オレの小屋の天井からぶらさがった無数の蛇を眺めていたのもこの笑顔だ。オレの耳を斬り落せとエナコに命じたのもこの
笑顔であるが、エナコのクビをオレの斧で斬り落せと沙汰のでたのも、実はこの笑顔がそれを見たいと思ったからに相違ない。 あのとき、アナマロが早くここを逃げよとオレにすすめて、長者も内々オレがここから逃げ
ることを望んでおられると言ったが、まさしく思い当る言葉である。この笑顔に対しては、長者も施す術がないのであろう。ムリもないとオレは思った。 人の祝う元日に、ためらう色もなくわが家の一隅に火をかけたこ
の笑顔は、地獄の火も怖れなければ、血の池も怖れることがなかろう。ましてオレが造ったバケモノなぞは、この笑顔が七ツ八ツのころのママゴト道具のたぐいであろう。「珍しいミロクの像をありがとう。他のものの百
層倍、千層倍も、気に入りました」 というヒメの言葉を思いだすと、オレはその怖ろしさにゾッとすくんだ。 オレの造ったあのバケモノになんの凄味があるものか。人の心をシンから凍らせるまことの力は一ツもこも
っていないのだ。 本当に怖ろしいのは、この笑顔だ。この笑顔こそは生きた魔神も怨霊も及びがたい真に怖ろしい唯一の物であろう。 オレは今に至ってようやくこの笑顔の何たるかをさとったが、三年間の仕事の間、
- 685 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:50:11.04 0EVE.net
- まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
- 686 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:50:21.88 pEVE.net
- 低評価って案件に響くんじゃない?
- 687 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:50:27.14 0EVE.net
- のに女がオレを仇のように睨んでいるから、さてはオレが女をわが物にしたい下心でもあると見て咒っているのだなと考えた。そして、バカな奴め。キサマを連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように払い落して
帰るだけだと考えていた。 有りもせぬ下心を疑られては迷惑だとかねて甚だ気にかけていたことを、思いもよらずアナマロの口からきいたから、オレは虚をつかれて、うろたえてしまったのだ。一度うろたえてしまうと
、それを恥じたり気に病んだりして、オレの顔は益々熱く燃え、汗は滝の如くに湧き流れるのはいつもの例であった。「こまったことだ。残念なことだ。こんなに汗をビッショリかいて慌ててしまえば、まるでオレの下心
がたしかにそうだと白状しているように思われてしまうばかりだ」 こう考えて、オレは益々うろたえた。額から汗の玉がポタポタとしたたり落ちて、いつやむ気色もなくなってしまった。オレは観念して目を閉じた。オ
レにとってこの赤面と汗はマトモに抵抗しがたい大敵であった。観念の眼をとじてつとめて無心にふける以外に汗の雨ダレを食いとめる手段がなかった。 そのとき、ヒメの声がきこえた。「スダレをあげて」 そう命じ
た。たぶん侍女もいるのだろうが、オレは目を開けて確かめるのを控えた。一時も早く汗の雨ダレを食いとめるには、見たいものも見てはならぬ。オレはもう一度ジックリとヒメの顔が見たかったのだ。「耳男よ。目をあ
けて。そして、私の問いに答えて」 と、ヒメが命じた。オレはシブシブ目をあけた。スダレはまかれて、ヒメは縁に立っていた。「お前、エナコに耳を斬り落されても、虫ケラにかまれたようだッて? ほんとうにそう
?」 無邪気な明るい笑顔だとオレは思った。オレは大きくうなずいて、「ほんとうにそうです」と答えた。「あとでウソだと仰有ッてはダメよ」「そんなことは言いやしません。虫ケラだと思っているから、死に首も、
生き首もマッピラでさア」 ヒメはニッコリうなずいた。ヒメはエナコに向って云った。「エナコよ。耳男の片耳もかんでおやり。虫ケラにかまれても腹が立たないそうですから、存分にかんであげるといいわ。虫ケラの
歯を貸してあげます。なくなったお母様の形見の品の一ツだけど、耳男の耳をかんだあとではお前にあげます」 ヒメは懐剣をとって侍女に渡した。侍女はそれをささげてエナコの前に差出した。 オレはエナコがよもや
それを受けとるとは考えていなかった。斧でクビを斬る代りにイマシメの縄をきりはらってやったオレの耳を斬る刀だ。 しかし、エナコは受けとった。なるほど、ヒメの与えた刀なら受けとらぬワケにはゆくまいが、よ
もやそのサヤは払うまいとまたオレは考えた。 可憐なヒメは無邪気にイタズラをたのしんでいる。その明るい笑顔を見るがよい。虫も殺さぬ笑顔とは、このことだ。イタズラをたのしむ亢奮もなければ、何かを企む翳り
もない。童女そのものの笑顔であった。 オレはこう思った。問題は、エナコが巧みな言葉で手に受けた懐剣をヒメに返すことができるかどうか、ということだ。まんまと懐剣をせしめることができるほど巧みな言葉を思
いつけば、尚のこと面白い。それに応じて、オレがうまいこと警句の一ツも合せることができれば、この上もなしであろう。ヒメは満足してスダレをおろすに相違ない。 オレがこう考えたのは、あとで思えばフシギなこ
とだ。なぜなら、ヒメはエナコに懐剣を与えて、オレの耳を斬れと命じているのだし、オレが片耳を失ったのもその大本はと云えばヒメからではないか。そして、オレが怖ろしい魔神の像をきざんでやるぞと心をきめたの
もヒメのため。その像を見ておどろく人もまずヒメでなければならぬ筈だ。そのヒメがエナコに懐剣を与えてオレの耳を斬り落せと命じているのに、オレがそれを幸福な遊びのひとときだとふと考えていたのは、思えばフ
シギなことであった。ヒメの冴え冴えとした笑顔、澄んだツブラな目のせいであろうか。オレは夢を見たようにフシギでならぬ。 オレはエナコが刀のサヤを払うまいと思ったから、その思いを目にこめてウットリとヒメ
の笑顔に見とれた。思えばこれが何よりの不覚、心の隙であったろう。 オレがすさまじい気魄に気がついて目を転じたとき、すでにエナコはズカズカとオレの目の前に進んでいた。 シマッタ! とオレは思った。エナ
コはオレの鼻先で懐剣のサヤを払い、オレの耳の尖《さき》をつまんだ。 オレは他の全てを忘れて、ヒメを見た。ヒメの言葉がある筈だ。エナコに与えるヒメの言葉が。あの冴え冴えと澄んだ童女の笑顔から当然ほとば
しる鶴の一声が。 オレは茫然とヒメの顔を見つめた。冴えた無邪気な笑顔を。ツブラな澄みきった目を。そしてオレは放心した。このようにしているうちに順を追うてオレの耳が斬り落されるのをオレはみんな知ってい
- 688 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:50:29.63 0EVE.net
- あたしはゲームだけやって食えたらそれでいいって、いつも言ってたしな
- 689 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:50:43.24 0EVE.net
- いつけば、尚のこと面白い。それに応じて、オレがうまいこと警句の一ツも合せることができれば、この上もなしであろう。ヒメは満足してスダレをおろすに相違ない。 オレがこう考えたのは、あとで思えばフシギなこ
とだ。なぜなら、ヒメはエナコに懐剣を与えて、オレの耳を斬れと命じているのだし、オレが片耳を失ったのもその大本はと云えばヒメからではないか。そして、オレが怖ろしい魔神の像をきざんでやるぞと心をきめたの
もヒメのため。その像を見ておどろく人もまずヒメでなければならぬ筈だ。そのヒメがエナコに懐剣を与えてオレの耳を斬り落せと命じているのに、オレがそれを幸福な遊びのひとときだとふと考えていたのは、思えばフ
シギなことであった。ヒメの冴え冴えとした笑顔、澄んだツブラな目のせいであろうか。オレは夢を見たようにフシギでならぬ。 オレはエナコが刀のサヤを払うまいと思ったから、その思いを目にこめてウットリとヒメ
の笑顔に見とれた。思えばこれが何よりの不覚、心の隙であったろう。 オレがすさまじい気魄に気がついて目を転じたとき、すでにエナコはズカズカとオレの目の前に進んでいた。 シマッタ! とオレは思った。エナ
コはオレの鼻先で懐剣のサヤを払い、オレの耳の尖《さき》をつまんだ。 オレは他の全てを忘れて、ヒメを見た。ヒメの言葉がある筈だ。エナコに与えるヒメの言葉が。あの冴え冴えと澄んだ童女の笑顔から当然ほとば
しる鶴の一声が。 オレは茫然とヒメの顔を見つめた。冴えた無邪気な笑顔を。ツブラな澄みきった目を。そしてオレは放心した。このようにしているうちに順を追うてオレの耳が斬り落されるのをオレはみんな知ってい
たが、オレの目はヒメの顔を見つめたままどうすることもできなかったし、オレの心は目にこもる放心が全部であった。オレは耳をそぎ落されたのちも、ヒメをボンヤリ仰ぎ見ていた。 オレの耳がそがれたとき、オレは
ヒメのツブラな目が生き生きとまるく大きく冴えるのを見た。ヒメの頬にやや赤みがさした。軽い満足があらわれて、すぐさま消えた。すると笑いも消えていた。ひどく真剣な顔だった。考え深そうな顔でもあった。なん
だ、これで全部か、とヒメは怒っているように見えた。すると、ふりむいて、ヒメは物も云わず立ち去ってしまった。 ヒメが立ち去ろうとするとき、オレの目に一粒ずつの大粒の涙がたまっているのに気がついた。 そ
れからの足かけ三年というものは、オレの戦いの歴史であった。 オレは小屋にとじこもってノミをふるッていただけだが、オレがノミをふるう力は、オレの目に残るヒメの笑顔に押されつづけていた。オレはそれを押し
返すために必死に戦わなければならなかった。 オレがヒメに自然に見とれてしまったことは、オレがどのようにあがいても所詮勝味がないように思われたが、オレは是が非でも押し返して、怖ろしいモノノケの像をつく
らなければとあせった。 オレはひるむ心が起ったとき水を浴びることを思いついた。十パイ二十パイと気が遠くなるほど水を浴びた。また、ゴマをたくことから思いついて、オレは松ヤニをいぶした。また足のウラの土
フマズに火を当てて焼いた。それらはすべてオレの心をふるい起して、襲いかかるように仕事にはげむためであった。 オレの小屋のまわりはジメジメした草むらで無数の蛇の棲み家だから、小屋の中にも蛇は遠慮なくも
ぐりこんできたが、オレはそれをひッさいて生き血をのんだ。そして蛇の死体を天井から吊るした。蛇の怨霊がオレにのりうつり、また仕事にものりうつれとオレは念じた。 オレは心のひるむたびに草むらにでて蛇をと
り、ひッさいて生き血をしぼり、一息に呷《あお》って、のこるのを造りかけのモノノケの像にしたたらせた。 日に七匹、また十匹ととったから、一夏を終らぬうちに、小屋のまわりの草むらの蛇は絶えてしまった。オ
レは山に入って日に一袋の蛇をとった。 小屋の天井は吊るした蛇の死体で一パイになった。ウジがたかり、ムンムンと臭気がたちこめ、風にゆれ、冬がくるとカサカサと風に鳴った。 吊るした蛇がいッせいに襲いかか
ってくるような幻を見ると、オレはかえって力がわいた。蛇の怨霊がオレにこもって、オレが蛇の化身となって生れ変った気がしたからだ。そして、こうしなければ、オレは仕事をつづけることができなかったのだ。 オ
レはヒメの笑顔を押し返すほど力のこもったモノノケの姿を造りだす自信がなかったのだ。オレの力だけでは足りないことをさとっていた。それと戦う苦しさに、いッそ気が違ってしまえばよいと思ったほどだ。オレの心
がヒメにとりつく怨霊になればよいと念じもした。しかし、仕事の急所に刻みかかると、必ず一度はヒメの笑顔に押されているオレのヒルミに気がついた。 三年目の春がきたとき、七分通りできあがって仕上げの急所に
- 690 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:50:48.44 0EVE.net
- 複数人だからもめてるのは群体としてのななしでしょ
より宗谷がヘラったのは唯一双方と仲がいい中間にいるからどっちともの距離を見失って摩擦でとかじゃないの
- 691 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:50:59.33 0EVE.net
- ひろいひろい森があって森の中を大きな川が流れている。その森を三日がかりで泣きながら通りぬけると、何千という、泉が湧き出している里があるのだよ。その里には一ツの木蔭の一ツの泉ごとに一人の娘がハタを織っ
ているそうな。その里の一番大きな木の下の一番キレイな泉のそばでハタを織っていたのが一番美しい娘で、ここにいる若い方の人がその娘だよ。この娘がハタを織るようになるまでは娘のお母さんが織っていたが、それ
がこッちの年をとった女の人だよ。その里から虹の橋を渡ってはるばるとヒメの着物を織るためにヒダの奥まで来てくれたのだ。お母さんを月待(ツキマチ)と云い、娘を江奈古(エナコ)と云う。ヒメの気に入ったミホ
トケを造った者には、美しいエナコをホービに進ぜよう」 長者が金にあかして買い入れたハタを織る美しい奴隷なのだ。オレの生れたヒダの国へも他国から奴隷を買いにくる者があるが、それは男の奴隷で、そしてオレ
のようなタクミが奴隷に買われて行くのさ。しかし、やむにやまれぬ必要のために遠い国から買いにくるのだから、奴隷は大切に扱われ、第一等のお客様と同じようにもてなしを受けるそうだが、それも仕事が出来あがる
までの話さ。仕事が終って無用になれば金で買った奴隷だから、人にくれてやることも、ウワバミにくれてやることも主人の勝手だ。だから遠国へ買われて行くことを好むタクミはいないが、女の身なら尚さらのことであ
ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
- 692 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:50:59.79 0EVE.net
- 解散の流れは否めない勢いだったから何かしら手を打つしかないけど
最初のキャラ作りが雑過ぎると後から手を打つのは難しい
最初のキャラ作りに運営が加担してたならそりゃ反発もされる
- 693 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:12.46 0EVE.net
- >>671
叶って言いたいんだろうけどそれはないよ
お稲荷はゲマズから数字吸ってきた奴だし一時の低評価なんて叶と絡むことによって吸える数字を考慮すりゃ別に大した問題じゃない
- 694 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:15.56 0EVE.net
- が身にかかわりのないソラゾラしい眺めながらも、人里の哀れさが目にしみもした。あんなバケモノが魔よけの役に立たないのは分りきっているのに、そのホコラにすがりついて死ぬ人があるとは罪な話だ。いッそ焼き払
ってしまえばいいのに、とオレは思った。オレが罪を犯しているような味気ない思いにかられもした。 ヒメは下界の眺めにタンノーして、ふりむいた。そして、オレに命じた。「袋の中の蛇を一匹ずつ生き裂きにして血
をしぼってちょうだい。お前はその血をしぼって、どうしたの?」「オレはチョコにうけて飲みましたよ」「十匹も、二十匹も?」「一度にそうは飲めませんが、飲みたくなけりゃそのへんへぶッかけるだけのことですよ
」「そして裂き殺した蛇を天井に吊るしたのね」「そうですよ」「お前がしたと同じことをしてちょうだい。生き血だけは私が飲みます。早くよ」 ヒメの命令には従う以外に手のないオレであった。オレは生き血をうけ
るチョコや、蛇を天井へ吊るすための道具を運びあげて、袋の蛇を一匹ずつ裂いて生き血をしぼり、順に天井へ吊るした。 オレはまさかと思っていたが、ヒメはたじろぐ色もなく、ニッコリと無邪気に笑って、生き血を
一息にのみほした。それを見るまではさほどのこととは思わなかったが、その時からはあまりの怖ろしさに、蛇をさく馴れた手までが狂いがちであった。 オレも三年の間、数の知れない蛇を裂いて生き血をのみ死体を天
井に逆吊りにしたが、オレが自分ですることだから怖ろしいとも異様とも思わなかった。 ヒメは蛇の生き血をのみ、蛇体を高楼に逆吊りにして、何をするつもりなのだろう。目的の善悪がどうあろうとも、高楼にのぼり
、ためらう色もなくニッコリと蛇の生き血を飲みほすヒメはあまり無邪気で、怖ろしかった。 ヒメは三匹目の生き血までは一息に飲みほした。四匹目からは屋根や床上へまきちらした。 オレが袋の中の蛇をみんな裂い
て吊るし終ると、ヒメは言った。「もう一ッぺん山へ行って袋にいっぱい蛇をとってきてよ。陽のあるうちは、何べんもよ。この天井にいっぱい吊るすまでは、今日も、明日も、明後日も。早く」 もう一度だけ蛇とりに
行ってくると、その日はもうたそがれてしまった。ヒメの笑顔には無念そうな翳がさした。吊るされた蛇と、吊るされていない空間とを、充ち足りたように、また無念げに、ヒメの笑顔はしばし高楼の天井を見上げて動か
なかった。「明日は朝早くから出かけてよ。何べんもね。そして、ドッサリとってちょうだい」 ヒメは心残りげに、たそがれの村を見下した。そして、オレに言った。「ほら。お婆さんの死体を片づけに、ホコラの前に
人が集っているわ。あんなに、たくさんの人が」 ヒメの笑顔はかがやきを増した。「ホーソーの時は、いつもせいぜい二三人の人がションボリ死体を運んでいたのに、今度は人々がまだ生き生きとしているのね。私の目
に見える村の人々がみんなキリキリ舞いをして死んで欲しいわ。その次には私の目に見えない人たちも。畑の人も、野の人も、山の人も、森の人も、家の中の人も、みんな死んで欲しいわ」 オレは冷水をあびせかけられ
たように、すくんで動けなくなってしまった。ヒメの声はすきとおるように静かで無邪気であったから、尚のこと、この上もなく怖ろしいものに思われた。ヒメが蛇の生き血をのみ、蛇の死体を高楼に吊るしているのは、
村の人々がみんな死ぬことを祈っているのだ。 オレは居たたまらずに一散に逃げたいと思いながら、オレの足はすくんでいたし、心もすくんでいた。オレはヒメが憎いとはついぞ思ったことがないが、このヒメが生きて
いるのは怖ろしいということをその時はじめて考えた。 しらじら明けに、ちゃんと目がさめた。ヒメのいいつけが身にしみて、ちょうどその時間に目がさめるほどオレの心は縛られていた。 オレは心の重さにたえがた
かったが、袋を負うて明けきらぬ山へわけこまずにもいられなかった。そして山へわけこむと、オレは蛇をとることに必死であった。少しも早く、少しでも多く、とあせっていた。ヒメの期待に添うてやりたい一念が一途
にオレをかりたててやまなかった。 大きな袋を負うて戻ると、ヒメは高楼に待っていた。それをみんな吊し終ると、ヒメの顔はかがやいて、「まだとても早いわ。ようやく野良へ人々がでてきたばかり。今日は何べんも
、何べんも、とってきてね。早く、できるだけ精をだしてね」 オレは黙ってカラの袋を握ると山へ急いだ。オレは今朝からまだ一言もヒメに口をきかなかった。ヒメに向って物を言う力がなかったのだ。今に高楼の天井
いっぱいに蛇の死体がぶらさがるに相違ないが、そのとき、どうなるのだろうと考えると、オレは苦しくてたまらなかった。 ヒメがしていることはオレが仕事小屋でしていたことのマネゴトにすぎないようだが、オレは
- 695 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:20.01 0EVE.net
- 低評価が9割超えとかでやっと意味があるってレベルだぞ
- 696 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:20.76 0EVE.net
- >>671
本田翼が2broとコラボして1000低評価付いてたな
- 697 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:28.86 0EVE.net
- >>668
言葉だけ受け取ると複数人に問題があるからってわけでもないし
複数人が絡む都合上の問題って線もあるし、言い方だけじゃ何も分からん
- 698 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:31.65 0EVE.net
- 死んだ人があるのよ」 それをきかせるときも、ニコニコとたのしそうであった。ついでに仏像の出来ぐあいを見て行くようなことはなかった。それには一目もくれなかった。そして長くはとどまらなかった。 オレはヒ
メになぶられているのではないかと疑っていた。さりげない風を見せているが、実はやっぱり元日にオレを殺すつもりであったに相違ないとオレは時々考えた。なぜなら、ヒメはオレの造ったバケモノを疫病よけに門前へ
すえさせたとき、「耳男が無数の蛇を裂き殺して逆さに吊り、蛇の生き血をあびながら咒いをかけて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなりそうね。ほかに取得もなさそうですから、門の前へ飾ってご
らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
が死んだわ」 と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。 オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あど
けない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身《うつしみ》にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であるこ
とがすでに定められたようなものだった。 どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村
人に信心された。 長者がまッさきに打ちこんだ。「耳男があまたの蛇を生き裂きにして逆吊りにかけ生き血をあびながら咒いをこめて造ったバケモノだから、その怖ろしさにホーソー神も近づくことができないのだな」
ヒメの言葉をうけうりして吹聴した。 バケモノは山上の長者の邸の門前から運び降ろされて、山の下の池のフチの三ツ又のにわか造りのホコラの中に鎮座した。遠い村から拝みにくる人も少くなかった。そしてオレは
たちまち名人ともてはやされたが、その上の大評判をとったのは夜長ヒメであった。オレの手になるバケモノが間に合って長者の一家を護ったのもヒメの力によるというのだ。尊い神がヒメの生き身に宿っておられる。尊
い神の化身であるという評判がたちまち村々へひろがった。 山下のホコラへオレのバケモノを拝みにきた人々のうちには、山上の長者の邸の門前へきてぬかずいて拝んで帰る者もあったし、門前へお供え物を置いて行く
者もあった。 ヒメはお供え物のカブや菜ッ葉をオレに示して、言った。「これはお前がうけた物よ。おいしく煮てお食べ」 ヒメの顔はニコニコとかがやいていた。オレはヒメがからかいに来たと見て、ムッとした。そ
- 699 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:32.03 0EVE.net
- 箱コラボしてもみんなしんどいのは一緒なのにそれに加えて宗谷さんの介護とかしたくないだろ
- 700 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:35.05 0EVE.net
- >>647
初期はゲームばっかりだったけど、雑談とか歌とかゲーム以外もやってるけどな
- 701 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:37.22 pEVE.net
- 未だに男コラボだの相手だの言ってるのは流石にガイさんやぞ
- 702 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:47.74 0EVE.net
- て参りました」 アナマロが室内に向って大声で叫んだ。するとスダレの向うに気配があって、着席した長者が云った。「アナマロはあるか」「これにおります」「耳男に沙汰を申し伝えよ」「かしこまりました」 アナ
マロはオレを睨みつけて、次のように申し渡した。「当家の女奴隷が耳男の片耳をそぎ落したときこえては、ヒダのタクミ一同にも、ヒダの国人一同にも申訳が立たない。よってエナコを死罪に処するが、耳男が仇をうけ
た当人だから、耳男の斧で首を打たせる。耳男、うて」 オレはこれをきいて、エナコがオレを仇のように睨むのは道理と思った。この疑いがはれてしまえば、あとは気にかかるものもない。オレは云ってやった。「御親
切は痛みいるが、それには及びますまい」「うてぬか」 オレはスックと立ってみせた。斧をとってズカズカと進み、エナコの直前で一睨み、凄みをきかせて睨みつけてやった。 エナコの後へまわると、斧を当てて縄を
ブツブツ切った。そして、元の座へさッさと戻ってきた。オレはわざと何も言わなかった。 アナマロが笑って云った。「エナコの死に首よりも生き首がほしいか」 これをきくとオレの顔に血がのぼった。「たわけたこ
とを。虫ケラ同然のハタ織女にヒダの耳男はてんでハナもひッかけやしねえや。東国の森に棲む虫ケラに耳をかまれただけだと思えば腹も立たない道理じゃないか。虫ケラの死に首も生き首も欲しかアねえや」 こう喚い
てやったが、顔がまッかに染まり汗が一時に溢れでたのは、オレの心を裏切るものであった。 顔が赤く染まって汗が溢れでたのは、この女の生き首が欲しい下心のせいではなかった。オレを憎むワケがあるとは思われぬ
のに女がオレを仇のように睨んでいるから、さてはオレが女をわが物にしたい下心でもあると見て咒っているのだなと考えた。そして、バカな奴め。キサマを連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように払い落して
帰るだけだと考えていた。 有りもせぬ下心を疑られては迷惑だとかねて甚だ気にかけていたことを、思いもよらずアナマロの口からきいたから、オレは虚をつかれて、うろたえてしまったのだ。一度うろたえてしまうと
、それを恥じたり気に病んだりして、オレの顔は益々熱く燃え、汗は滝の如くに湧き流れるのはいつもの例であった。「こまったことだ。残念なことだ。こんなに汗をビッショリかいて慌ててしまえば、まるでオレの下心
がたしかにそうだと白状しているように思われてしまうばかりだ」 こう考えて、オレは益々うろたえた。額から汗の玉がポタポタとしたたり落ちて、いつやむ気色もなくなってしまった。オレは観念して目を閉じた。オ
レにとってこの赤面と汗はマトモに抵抗しがたい大敵であった。観念の眼をとじてつとめて無心にふける以外に汗の雨ダレを食いとめる手段がなかった。 そのとき、ヒメの声がきこえた。「スダレをあげて」 そう命じ
た。たぶん侍女もいるのだろうが、オレは目を開けて確かめるのを控えた。一時も早く汗の雨ダレを食いとめるには、見たいものも見てはならぬ。オレはもう一度ジックリとヒメの顔が見たかったのだ。「耳男よ。目をあ
けて。そして、私の問いに答えて」 と、ヒメが命じた。オレはシブシブ目をあけた。スダレはまかれて、ヒメは縁に立っていた。「お前、エナコに耳を斬り落されても、虫ケラにかまれたようだッて? ほんとうにそう
?」 無邪気な明るい笑顔だとオレは思った。オレは大きくうなずいて、「ほんとうにそうです」と答えた。「あとでウソだと仰有ッてはダメよ」「そんなことは言いやしません。虫ケラだと思っているから、死に首も、
生き首もマッピラでさア」 ヒメはニッコリうなずいた。ヒメはエナコに向って云った。「エナコよ。耳男の片耳もかんでおやり。虫ケラにかまれても腹が立たないそうですから、存分にかんであげるといいわ。虫ケラの
歯を貸してあげます。なくなったお母様の形見の品の一ツだけど、耳男の耳をかんだあとではお前にあげます」 ヒメは懐剣をとって侍女に渡した。侍女はそれをささげてエナコの前に差出した。 オレはエナコがよもや
それを受けとるとは考えていなかった。斧でクビを斬る代りにイマシメの縄をきりはらってやったオレの耳を斬る刀だ。 しかし、エナコは受けとった。なるほど、ヒメの与えた刀なら受けとらぬワケにはゆくまいが、よ
もやそのサヤは払うまいとまたオレは考えた。 可憐なヒメは無邪気にイタズラをたのしんでいる。その明るい笑顔を見るがよい。虫も殺さぬ笑顔とは、このことだ。イタズラをたのしむ亢奮もなければ、何かを企む翳り
もない。童女そのものの笑顔であった。 オレはこう思った。問題は、エナコが巧みな言葉で手に受けた懐剣をヒメに返すことができるかどうか、ということだ。まんまと懐剣をせしめることができるほど巧みな言葉を思
- 703 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:51:58.16 0EVE.net
- キャラづくりのオーダーはあるはず
あにまーれ初報のキャラ紹介がその断片
- 704 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:52:03.82 0EVE.net
- に見える村の人々がみんなキリキリ舞いをして死んで欲しいわ。その次には私の目に見えない人たちも。畑の人も、野の人も、山の人も、森の人も、家の中の人も、みんな死んで欲しいわ」 オレは冷水をあびせかけられ
たように、すくんで動けなくなってしまった。ヒメの声はすきとおるように静かで無邪気であったから、尚のこと、この上もなく怖ろしいものに思われた。ヒメが蛇の生き血をのみ、蛇の死体を高楼に吊るしているのは、
村の人々がみんな死ぬことを祈っているのだ。 オレは居たたまらずに一散に逃げたいと思いながら、オレの足はすくんでいたし、心もすくんでいた。オレはヒメが憎いとはついぞ思ったことがないが、このヒメが生きて
いるのは怖ろしいということをその時はじめて考えた。 しらじら明けに、ちゃんと目がさめた。ヒメのいいつけが身にしみて、ちょうどその時間に目がさめるほどオレの心は縛られていた。 オレは心の重さにたえがた
かったが、袋を負うて明けきらぬ山へわけこまずにもいられなかった。そして山へわけこむと、オレは蛇をとることに必死であった。少しも早く、少しでも多く、とあせっていた。ヒメの期待に添うてやりたい一念が一途
にオレをかりたててやまなかった。 大きな袋を負うて戻ると、ヒメは高楼に待っていた。それをみんな吊し終ると、ヒメの顔はかがやいて、「まだとても早いわ。ようやく野良へ人々がでてきたばかり。今日は何べんも
、何べんも、とってきてね。早く、できるだけ精をだしてね」 オレは黙ってカラの袋を握ると山へ急いだ。オレは今朝からまだ一言もヒメに口をきかなかった。ヒメに向って物を言う力がなかったのだ。今に高楼の天井
いっぱいに蛇の死体がぶらさがるに相違ないが、そのとき、どうなるのだろうと考えると、オレは苦しくてたまらなかった。 ヒメがしていることはオレが仕事小屋でしていたことのマネゴトにすぎないようだが、オレは
単純にそう思うわけにはいかなかった。オレがあんなことをしたのは小さな余儀ない必要によってであったが、ヒメがしていることは人間が思いつくことではなかった。たまたまオレの小屋を見たからそれに似せているだ
けで、オレの小屋を見ていなければ、他の何かに似せて同じような怖ろしいことをやっている筈なのだ。 しかも、かほどのことも、まだヒメにとっては序の口であろう。ヒメの生涯に、この先なにを思いつき、なにを行
うか、それはとても人間どもの思量しうることではない。とてもオレの手に負えるヒメではないし、オレのノミもとうていヒメをつかむことはできないのだとオレはシミジミ思い知らずにいられなかった。「なるほど。ま
さしくヒメの言われる通り、いま造っているミロクなんぞはただのチッポケな人間だな。ヒメはこの青空と同じぐらい大きいような気がするな」 あんまり怖ろしいものを見てしまったとオレは思った。こんな物を見てお
いて、この先なにを支えに仕事をつづけて行けるだろうかとオレは嘆かずにいられなかった。 二度目の袋を背負って戻ると、ヒメの頬も目もかがやきに燃えてオレを迎えた。ヒメはオレにニッコリと笑いかけながら小さ
く叫んだ。「すばらしい!」 ヒメは指して云った。「ほら、あすこの野良に一人死んでいるでしょう。つい今しがたよ。クワを空高くかざしたと思うと取り落してキリキリ舞いをはじめたのよ。そしてあの人が動かなく
なったと思うと、ほら、あすこの野良にも一人倒れているでしょう。あの人がキリキリ舞いをはじめたのよ。そして、今しがたまで這ってうごめいていたのに」 ヒメの目はそこにジッとそそがれていた。まだうごめきや
しないかと期待しているのかも知れなかった。 オレはヒメの言葉をきいているうちに汗がジットリ浮んできた。怖れとも悲しみともつかない大きなものがこみあげて、オレはどうしてよいのか分らなくなってしまった。
オレの胸にカタマリがつかえて、ただハアハアとあえいだ。 そのときヒメの冴えわたる声がオレによびかけた。「耳男よ。ごらん! あすこに、ほら! キリキリ舞いをしはじめた人がいてよ。ほら、キリキリと舞って
いてよ。お日さまがまぶしいように。お日さまに酔ったよう」 オレはランカンに駈けよって、ヒメの示す方を見た。長者の邸のすぐ下の畑に、一人の農夫が両手をひろげて、空の下を泳ぐようにユラユラとよろめいてい
た。カガシに足が生えて、左右にくの字をふみながらユラユラと小さな円を踏み廻っているようだ。バッタリ倒れて、這いはじめた。オレは目をとじて、退いた。顔も、胸も、背中も、汗でいっぱいだった。「ヒメが村の
人間をみな殺しにしてしまう」 オレはそれをハッキリ信じた。オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時、この村の最後の一人が息をひきとるに相違ない。 オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だか
- 705 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:52:12.48 aEVE.net
- >>690
そんなポジのライバーがいた事がおかしかったと思う
- 706 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:52:19.92 0EVE.net
- 他の二ツにくらべて、百層倍も、千層倍も、気に入りました。ゴホービをあげたいから、着物をきかえておいで」 明るい無邪気な笑顔であった。オレの目にそれをのこしてヒメは去った。オレは侍女にみちびかれて入浴
し、ヒメが与えた着物にきかえた。そして、奥の間へみちびかれた。 オレは恐怖のために、入浴中からウワの空であった。いよいよヒメに殺されるのだとオレは思った。 オレはヒメの無邪気な笑顔がどのようなもので
あるかを思い知ることができた。エナコがオレの耳を斬り落すのを眺めていたのもこの笑顔だし、オレの小屋の天井からぶらさがった無数の蛇を眺めていたのもこの笑顔だ。オレの耳を斬り落せとエナコに命じたのもこの
笑顔であるが、エナコのクビをオレの斧で斬り落せと沙汰のでたのも、実はこの笑顔がそれを見たいと思ったからに相違ない。 あのとき、アナマロが早くここを逃げよとオレにすすめて、長者も内々オレがここから逃げ
ることを望んでおられると言ったが、まさしく思い当る言葉である。この笑顔に対しては、長者も施す術がないのであろう。ムリもないとオレは思った。 人の祝う元日に、ためらう色もなくわが家の一隅に火をかけたこ
の笑顔は、地獄の火も怖れなければ、血の池も怖れることがなかろう。ましてオレが造ったバケモノなぞは、この笑顔が七ツ八ツのころのママゴト道具のたぐいであろう。「珍しいミロクの像をありがとう。他のものの百
層倍、千層倍も、気に入りました」 というヒメの言葉を思いだすと、オレはその怖ろしさにゾッとすくんだ。 オレの造ったあのバケモノになんの凄味があるものか。人の心をシンから凍らせるまことの力は一ツもこも
っていないのだ。 本当に怖ろしいのは、この笑顔だ。この笑顔こそは生きた魔神も怨霊も及びがたい真に怖ろしい唯一の物であろう。 オレは今に至ってようやくこの笑顔の何たるかをさとったが、三年間の仕事の間、
怖ろしい物を造ろうとしていつもヒメの笑顔に押されていたオレは、分らぬながらも心の一部にそれを感じていたのかも知れない。真に怖ろしいものを造るためなら、この笑顔に押されるのは当り前の話であろう。真に怖
ろしいものは、この笑顔にまさるものはないのだから。 今生の思い出に、この笑顔を刻み残して殺されたいとオレは考えた。オレにとっては、ヒメがオレを殺すことはもはや疑う余地がなかった。それも、今日、風呂か
らあがって奥の間へみちびかれて匆々《そうそう》にヒメはオレを殺すであろう。蛇のようにオレを裂いて逆さに吊すかも知れないと思った。そう思うと恐怖に息の根がとまりかけて、オレは思わず必死に合掌の一念であ
ったが、真に泣き悶えて合掌したところで、あの笑顔が何を受けつけてくれるものでもあるまい。 この運命をきりぬけるには、ともかくこの一ツの方法があるだけだとオレは考えた。それはオレのタクミとしての必死の
願望にもかなっていた。とにかくヒメに頼んでみようとオレは思った。そして、こう心がきまると、オレはようやく風呂からあがることができた。 オレは奥の間へみちびかれた。長者がヒメをしたがえて現れた。オレは
挨拶ももどかしく、ヒタイを下にすりつけて、必死に叫んだ。オレは顔をあげる力がなかったのだ。「今生のお願いでございます。お姫サマのお顔お姿を刻ませて下さいませ。それを刻み残せば、あとはいつ死のうとも悔
いはございません」 意外にもアッサリと長者の返答があった。「ヒメがそれに同意なら、願ってもないことだ。ヒメよ。異存はないか」 それに答えたヒメの言葉もアッサリと、これまた意外千万であった。「私が耳男
にそれを頼むつもりでしたの。耳男が望むなら申分ございません」「それは、よかった」 長者は大そう喜んで思わず大声で叫んだが、オレに向って、やさしく云った。「耳男よ。顔をあげよ。三年の間、御苦労だった。
お前のミロクは皮肉の作だが、彫りの気魄、凡手の作ではない。ことのほかヒメが気に入ったようだから、それだけでオレは満足のほかにつけ加える言葉はない。よく、やってくれた」 長者とヒメはオレに数々のヒキデ
モノをくれた。そのとき、長者がつけ加えて、言った。「ヒメの気に入った像を造った者にはエナコを与えると約束したが、エナコは死んでしまったから、この約束だけは果してやれなくなったのが残念だ」 すると、そ
れをひきとって、ヒメが言った。「エナコは耳男の耳を斬り落した懐剣でノドをついて死んでいたのよ。血にそまったエナコの着物は耳男がいま下着にして身につけているのがそれよ。身代りに着せてあげるために、男物
に仕立て直しておいたのです」 オレはもうこれしきのことでは驚かなくなっていたが、長者の顔が蒼ざめた。ヒメはニコニコとオレを見つめていた。 そのころ、この山奥にまでホーソーがはやり、あの村にも、この里
- 707 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:52:29.50 0EVE.net
- ここ数日の宗谷さんの動きをみてると、
まず自分の企画に上から目線で嫌味をつけてくる、俺ならこうするみたいに
そしてちょこコラボではお稲荷の話題もでて、ニコニコとお稲荷の話題を話す
今日のキャスではさらに踏み込み、配信は自分が楽しいと思える事をやるのが
リスナーさんにも楽しんで貰えると思うのにあぁだこうだ言われたらもう分からん
信用できない人でも仕事として割り切っていくしかないかなぁという事だった
そしてそれを見ての普段配信なんてしないふっこの配信に繋がる
これをみればいちかとお稲荷自体の関係にトラブルはないことが明らかであり、
明らかに運営に対するやりかたと自分が認めて貰えないことに落胆している
かつて嫌いといっていた金色か虹色のななしがキーパーソンにはなりそう
- 708 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:52:36.01 0EVE.net
- たが、オレの目はヒメの顔を見つめたままどうすることもできなかったし、オレの心は目にこもる放心が全部であった。オレは耳をそぎ落されたのちも、ヒメをボンヤリ仰ぎ見ていた。 オレの耳がそがれたとき、オレは
ヒメのツブラな目が生き生きとまるく大きく冴えるのを見た。ヒメの頬にやや赤みがさした。軽い満足があらわれて、すぐさま消えた。すると笑いも消えていた。ひどく真剣な顔だった。考え深そうな顔でもあった。なん
だ、これで全部か、とヒメは怒っているように見えた。すると、ふりむいて、ヒメは物も云わず立ち去ってしまった。 ヒメが立ち去ろうとするとき、オレの目に一粒ずつの大粒の涙がたまっているのに気がついた。 そ
れからの足かけ三年というものは、オレの戦いの歴史であった。 オレは小屋にとじこもってノミをふるッていただけだが、オレがノミをふるう力は、オレの目に残るヒメの笑顔に押されつづけていた。オレはそれを押し
返すために必死に戦わなければならなかった。 オレがヒメに自然に見とれてしまったことは、オレがどのようにあがいても所詮勝味がないように思われたが、オレは是が非でも押し返して、怖ろしいモノノケの像をつく
らなければとあせった。 オレはひるむ心が起ったとき水を浴びることを思いついた。十パイ二十パイと気が遠くなるほど水を浴びた。また、ゴマをたくことから思いついて、オレは松ヤニをいぶした。また足のウラの土
フマズに火を当てて焼いた。それらはすべてオレの心をふるい起して、襲いかかるように仕事にはげむためであった。 オレの小屋のまわりはジメジメした草むらで無数の蛇の棲み家だから、小屋の中にも蛇は遠慮なくも
ぐりこんできたが、オレはそれをひッさいて生き血をのんだ。そして蛇の死体を天井から吊るした。蛇の怨霊がオレにのりうつり、また仕事にものりうつれとオレは念じた。 オレは心のひるむたびに草むらにでて蛇をと
り、ひッさいて生き血をしぼり、一息に呷《あお》って、のこるのを造りかけのモノノケの像にしたたらせた。 日に七匹、また十匹ととったから、一夏を終らぬうちに、小屋のまわりの草むらの蛇は絶えてしまった。オ
レは山に入って日に一袋の蛇をとった。 小屋の天井は吊るした蛇の死体で一パイになった。ウジがたかり、ムンムンと臭気がたちこめ、風にゆれ、冬がくるとカサカサと風に鳴った。 吊るした蛇がいッせいに襲いかか
ってくるような幻を見ると、オレはかえって力がわいた。蛇の怨霊がオレにこもって、オレが蛇の化身となって生れ変った気がしたからだ。そして、こうしなければ、オレは仕事をつづけることができなかったのだ。 オ
レはヒメの笑顔を押し返すほど力のこもったモノノケの姿を造りだす自信がなかったのだ。オレの力だけでは足りないことをさとっていた。それと戦う苦しさに、いッそ気が違ってしまえばよいと思ったほどだ。オレの心
がヒメにとりつく怨霊になればよいと念じもした。しかし、仕事の急所に刻みかかると、必ず一度はヒメの笑顔に押されているオレのヒルミに気がついた。 三年目の春がきたとき、七分通りできあがって仕上げの急所に
かかっていたから、オレは蛇の生き血に飢えていた。オレは山にわけこんで兎や狸や鹿をとり、胸をさいて生き血をしぼり、ハラワタをまきちらした。クビを斬り落して、その血を像にしたたらせた。「血を吸え。そして
、ヒメの十六の正月にイノチが宿って生きものになれ。人を殺して生き血を吸う鬼となれ」 それは耳の長い何ものかの顔であるが、モノノケだか、魔神だか、死神だか、鬼だか、怨霊だか、オレにも得体が知れなかった
。オレはただヒメの笑顔を押し返すだけの力のこもった怖ろしい物でありさえすれば満足だった。 秋の中ごろにチイサ釜が仕事を終えた。また秋の終りには青ガサも仕事を終えた。オレは冬になって、ようやく像を造り
終えた。しかし、それをおさめるズシにはまだ手をつけていなかった。 ズシの形や模様はヒメの調度にふさわしい可愛いものに限ると思った。扉をひらくと現れる像の凄味をひきたてるには、あくまで可憐な様式にかぎ
る。 オレはのこされた短い日数のあいだ寝食も忘れがちにズシにかかった。そしてギリギリの大晦日の夜までかかって、ともかく仕上げることができた。手のこんだ細工はできなかったが、扉には軽く花鳥をあしらった
。豪奢でも華美でもないが、素朴なところにむしろ気品が宿ったように思った。 深夜に人手をかりて運びだして、チイサ釜と青ガサの作品の横へオレの物を並べた。オレはとにかく満足だった。オレは小屋へ戻ると、毛
皮をひッかぶって、地底へひきずりこまれるように眠りこけた。 オレは戸を叩く音に目をさました。夜が明けている。陽はかなり高いようだ。そうか。今日がヒメの十六の正月か、とオレはふと思いついた。戸を叩く音
- 709 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:52:44.58 0EVE.net
- >>699
その辺希薄で、しんどくない奴いそう
- 710 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:52:52.45 0EVE.net
- は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
ついてちょッと拝んでいたと思うと、にわかに立ち上ってキリキリ舞いをはじめたのよ。それからヨタヨタ這いまわって、やっとホコラに手をかけたと思うと動かなくなってしまったわ」 ヒメの目はそこにそそがれて動
かなかった。さらにヒメは下界の諸方に目を転じて飽かず眺めふけった。そして、呟いた。「野良にでて働く人の姿が多いわ。ホーソーの時には野良にでている人の姿が見られなかったものでしたのに。バケモノのホコラ
へ拝みに来て死ぬ人もあるのに、野良の人々は無事なのね」 オレは小屋にこもって仕事にふけっているだけだから、邸内の人々とも殆ど交渉がなかったし、まして邸外とは交渉がなかった。だから村里を襲っている疫病
の怖ろしい噂を時たま聞くことがあっても、オレにとっては別天地の出来事で、身にしみる思いに打たれたことはなかった。オレのバケモノが魔よけの神様にまつりあげられ、オレが名人ともてはやされていると聞いても
、それすらも別天地の出来事であった。 オレははじめて高楼から村を眺めた。それは裏の山から村を見下す風景の距離をちぢめただけのものだが、バケモノのホコラにすがりついて死んでいる人の姿を見ると、それもわ
が身にかかわりのないソラゾラしい眺めながらも、人里の哀れさが目にしみもした。あんなバケモノが魔よけの役に立たないのは分りきっているのに、そのホコラにすがりついて死ぬ人があるとは罪な話だ。いッそ焼き払
ってしまえばいいのに、とオレは思った。オレが罪を犯しているような味気ない思いにかられもした。 ヒメは下界の眺めにタンノーして、ふりむいた。そして、オレに命じた。「袋の中の蛇を一匹ずつ生き裂きにして血
をしぼってちょうだい。お前はその血をしぼって、どうしたの?」「オレはチョコにうけて飲みましたよ」「十匹も、二十匹も?」「一度にそうは飲めませんが、飲みたくなけりゃそのへんへぶッかけるだけのことですよ
」「そして裂き殺した蛇を天井に吊るしたのね」「そうですよ」「お前がしたと同じことをしてちょうだい。生き血だけは私が飲みます。早くよ」 ヒメの命令には従う以外に手のないオレであった。オレは生き血をうけ
るチョコや、蛇を天井へ吊るすための道具を運びあげて、袋の蛇を一匹ずつ裂いて生き血をしぼり、順に天井へ吊るした。 オレはまさかと思っていたが、ヒメはたじろぐ色もなく、ニッコリと無邪気に笑って、生き血を
- 711 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:53:08.91 0EVE.net
- るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
、お主の一命にかかわることが起るかも知れぬ」 オレは即座に肚をきめた。斧をぶらさげて立上った。「お供しましょう」「これさ」「ハッハッハ。ふざけちゃアいけませんや。はばかりながら、ヒダのタクミはガキの
時から仕事に命を打込むものと叩きこまれているのだ。仕事のほかには命をすてる心当りもないが、腕くらべを怖れて逃げだしたと云われるよりは、そッちの方を選ぼうじゃありませんか」「長生きすれば、天下のタクミ
と世にうたわれる名人になる見込みのある奴だが、まだ若いな。一時の恥は、長生きすればそそがれるぞ」「よけいなことは、もう、よしてくれ。オレはここへ来たときから、生きて帰ることは忘れていたのさ」 アナマ
ロはあきらめた。すると、にわかに冷淡だった。「オレにつづいて参れ」 彼は先に立ってズンズン歩いた。 奥の庭へみちびかれた。縁先の土の上にムシロがしかれていた。それがオレの席であった。 オレと向い合せ
にエナコが控えていた。後手にいましめられて、じかに土の上に坐っていた。 オレの跫音《あしおと》をききつけて、エナコは首をあげた。そして、いましめを解けば跳びかかる犬のようにオレを睨んで目を放さなかっ
た。小癪な奴め、とオレは思った。「耳を斬り落されたオレが女を憎むならワケは分るが、女がオレを憎むとはワケが分らないな」 こう考えてオレはふと気がついたが、耳の痛みがとれてからは、この女を思いだしたこ
- 712 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:53:14.49 0EVE.net
- お稲荷はスカウトされる時にさんざん念押しして入ったって言ってたからな
新運営があれこれ言うようになって抗争した
- 713 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:53:22.43 0EVE.net
- だいさんじには普通にあくあも居るし
あくあはその後に椎名とゲマズコラボして更にブースト
PUBGもスマブラも上手くてもう完全にお稲荷の後釜
- 714 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:53:24.98 0EVE.net
- 顔はオレの言葉にとりあわなかった。ヒメは言った。「耳男よ。お前が造ったバケモノはほんとうにホーソー神を睨み返してくれたのよ。私は毎日楼の上からそれを見ていたわ」 オレは呆れてヒメの笑顔を見つめた。し
かし、ヒメの心はとうてい量りがたいものであった。 ヒメはさらに云った。「耳男よ。お前が楼にあがって私と同じ物を見ていても、お前のバケモノがホーソー神を睨み返してくれるのを見ることができなかったでしょ
うよ。お前の小屋が燃えたときから、お前の目は見えなくなってしまったから。そして、お前がいまお造りのミロクには、お爺さんやお婆さんの頭痛をやわらげる力もないわ」 ヒメは冴え冴えとオレを見つめた。そして
、ふりむいて立去った。オレの手にカブと菜ッ葉がのこっていた。 オレはヒメの魔法にかけられてトリコになってしまったように思った。怖ろしいヒメだと思った。たしかに人力を超えたヒメかも知れぬと思った。しか
し、オレがいま造っているミロクには爺さん婆さんの頭痛をやわらげる力もないとは、どういうことだろう。「あのバケモノには子供を泣かせる力もないが、ミロクには何かがある筈だ。すくなくともオレという人間のタ
マシイがそッくり乗りうつッているだろう」 オレは確信をもってこう云えるように思ったが、オレの確信の根元からゆりうごかしてくずすものはヒメの笑顔であった。オレが見失ってしまったものが確かにどこかにある
ようにも思われて、たよりなくて、ふと、たまらなく切ない思いを感じるようになってしまった。 ホーソー神が通りすぎて五十日もたたぬうちに、今度はちがった疫病が村をこえ里をこえて渡ってきた。夏がきて、熱い
日ざかりがつづいていた。 また人々は日ざかりに雨戸をおろして神仏に祈ってくらした。しかし、ホーソー神の通るあいだ畑を耕していなかったから、今度も畑を耕さないと食べる物が尽きていた。そこで百姓はおのの
きながら野良へでてクワを振りあげ振りおろしたが、朝は元気で出たのが、日ざかりの畑でキリキリ舞いをしたあげく、しばらく畑を這いまわってことぎれる者も少くなかった。 山の下の三ツ又のバケモノのホコラを拝
みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。「尊いヒメの神よ。悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日ざかりに雨戸をとざして、人々は息をころして暮していた。ヒメだ
けが雨戸をあけ、時に楼上から山下の村を眺めて、死者を見るたびに邸内の全ての者にきかせて歩いた。 オレの小屋へきてヒメが云った。「耳男よ。今日は私が何を見たと思う?」 ヒメの目がいつもにくらべて輝きが
深いようでもあった。ヒメは云った。「バケモノのホコラへ拝みにきて、ホコラの前でキリキリ舞いをして、ホコラにとりすがって死んだお婆さんを見たのよ」 オレは云ってやった。「あのバケモノの奴も今度の疫病神
は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
- 715 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:53:35.70 MEVE.net
- はねるは運営から上から目線で来られても返り討ちにしそう
- 716 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:53:41.26 0EVE.net
- にそれを頼むつもりでしたの。耳男が望むなら申分ございません」「それは、よかった」 長者は大そう喜んで思わず大声で叫んだが、オレに向って、やさしく云った。「耳男よ。顔をあげよ。三年の間、御苦労だった。
お前のミロクは皮肉の作だが、彫りの気魄、凡手の作ではない。ことのほかヒメが気に入ったようだから、それだけでオレは満足のほかにつけ加える言葉はない。よく、やってくれた」 長者とヒメはオレに数々のヒキデ
モノをくれた。そのとき、長者がつけ加えて、言った。「ヒメの気に入った像を造った者にはエナコを与えると約束したが、エナコは死んでしまったから、この約束だけは果してやれなくなったのが残念だ」 すると、そ
れをひきとって、ヒメが言った。「エナコは耳男の耳を斬り落した懐剣でノドをついて死んでいたのよ。血にそまったエナコの着物は耳男がいま下着にして身につけているのがそれよ。身代りに着せてあげるために、男物
に仕立て直しておいたのです」 オレはもうこれしきのことでは驚かなくなっていたが、長者の顔が蒼ざめた。ヒメはニコニコとオレを見つめていた。 そのころ、この山奥にまでホーソーがはやり、あの村にも、この里
にも、死ぬ者がキリもなかった。疫病はついにこの村にも押し寄せたから、家ごとに疫病除けの護符をはり、白昼もかたく戸を閉して、一家ヒタイを集めて日夜神仏に祈っていたが、悪魔はどの隙間から忍びこんでくるも
のやら、日ましに死ぬ者が多くなる一方だった。 長者の家でも広い邸内の雨戸をおろして家族は日中も息を殺していたが、ヒメの部屋だけは、ヒメが雨戸を閉めさせなかった。「耳男の造ったバケモノの像は、耳男が無
数の蛇を裂き殺して逆吊りにして、生き血をあびながら咒いをこめて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなるらしいわ。ほかに取得もなさそうなバケモノだから、門の外へ飾ってごらん」 ヒメは人に
命じて、ズシごと門前へすえさせた。長者の邸には高楼があった。ヒメは時々高楼にのぼって村を眺めたが、村はずれの森の中に死者をすてに行くために運ぶ者の姿を見ると、ヒメは一日は充ち足りた様子であった。 オ
レは青ガサが残した小屋で、今度こそヒメの持仏のミロクの像に精魂かたむけていた。ホトケの顔にヒメの笑顔をうつすのがオレの考えであった。 この邸内で人間らしくうごいているのは、ヒメとオレの二人だけであっ
た。 ミロクにヒメの笑顔をうつして持仏を刻んでいるときいてヒメは一応満足の風ではあったが、実はオレの仕事を気にかけている様子はなかった。ヒメはオレの仕事のはかどりを見に来たことはついぞなかった。小屋
に姿を現すのは、死者を森へすてに行く人群れを見かけたときにきまっていた。特にオレを選んでそれをきかせに来るのではなく、邸内の一人々々にもれなく聞かせてまわるのがヒメのたのしみの様子であった。「今日も
死んだ人があるのよ」 それをきかせるときも、ニコニコとたのしそうであった。ついでに仏像の出来ぐあいを見て行くようなことはなかった。それには一目もくれなかった。そして長くはとどまらなかった。 オレはヒ
メになぶられているのではないかと疑っていた。さりげない風を見せているが、実はやっぱり元日にオレを殺すつもりであったに相違ないとオレは時々考えた。なぜなら、ヒメはオレの造ったバケモノを疫病よけに門前へ
すえさせたとき、「耳男が無数の蛇を裂き殺して逆さに吊り、蛇の生き血をあびながら咒いをかけて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなりそうね。ほかに取得もなさそうですから、門の前へ飾ってご
らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
- 717 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:53:55.30 0EVE.net
- お稲荷やらんたろうの雑談なんて嫌々時間を潰してキッカリ終わる学校の授業的な最低な時間の使い方だろ
- 718 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:53:57.47 0EVE.net
- 数の蛇を裂き殺して逆吊りにして、生き血をあびながら咒いをこめて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなるらしいわ。ほかに取得もなさそうなバケモノだから、門の外へ飾ってごらん」 ヒメは人に
命じて、ズシごと門前へすえさせた。長者の邸には高楼があった。ヒメは時々高楼にのぼって村を眺めたが、村はずれの森の中に死者をすてに行くために運ぶ者の姿を見ると、ヒメは一日は充ち足りた様子であった。 オ
レは青ガサが残した小屋で、今度こそヒメの持仏のミロクの像に精魂かたむけていた。ホトケの顔にヒメの笑顔をうつすのがオレの考えであった。 この邸内で人間らしくうごいているのは、ヒメとオレの二人だけであっ
た。 ミロクにヒメの笑顔をうつして持仏を刻んでいるときいてヒメは一応満足の風ではあったが、実はオレの仕事を気にかけている様子はなかった。ヒメはオレの仕事のはかどりを見に来たことはついぞなかった。小屋
に姿を現すのは、死者を森へすてに行く人群れを見かけたときにきまっていた。特にオレを選んでそれをきかせに来るのではなく、邸内の一人々々にもれなく聞かせてまわるのがヒメのたのしみの様子であった。「今日も
死んだ人があるのよ」 それをきかせるときも、ニコニコとたのしそうであった。ついでに仏像の出来ぐあいを見て行くようなことはなかった。それには一目もくれなかった。そして長くはとどまらなかった。 オレはヒ
メになぶられているのではないかと疑っていた。さりげない風を見せているが、実はやっぱり元日にオレを殺すつもりであったに相違ないとオレは時々考えた。なぜなら、ヒメはオレの造ったバケモノを疫病よけに門前へ
すえさせたとき、「耳男が無数の蛇を裂き殺して逆さに吊り、蛇の生き血をあびながら咒いをかけて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなりそうね。ほかに取得もなさそうですから、門の前へ飾ってご
らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
が死んだわ」 と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。 オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あど
けない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身《うつしみ》にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であるこ
とがすでに定められたようなものだった。 どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村
- 719 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:54:04.51 0EVE.net
- >>707
このスレでおまえの言うことが一番まともだと思うよ
- 720 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:54:07.16 0EVE.net
- >>700
比率を変えろって言われたのかもな
すべて憶測だけど
- 721 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:54:13.54 0EVE.net
- 釜が父に劣らぬタクミであるということはすでに評判があったから、オレの場合のように意外な身代りではなかったのである。 チイサ釜は腕によほどの覚えがあるのか、青ガサの高慢を眉の毛の一筋すらも動かすことな
く聞きながした。そして、青ガサにも、またオレにも、同じように鄭重《ていちょう》に挨拶した。ひどく落附いた奴だと思って薄気味がわるかったが、その後だんだん見ていると、奴はオハヨウ、コンチハ、コンバンハ
、などの挨拶以外には人に話しかけないことが分った。 オレが気がついたと同じことを、青ガサも気がついた。そして彼はチイサ釜に云った。「オメエはどういうわけで挨拶の口上だけはヌカリなく述べやがるんだ。ま
るでヒタイへとまったハエは手で払うものだときめたようにウルサイぞ。タクミの手はノミを使うが、一々ハエを追うために肩の骨が延びてきたわけではあるまい。人の口は必要を弁じるために孔があいているのだが、朝
晩の挨拶なんぞは、舌を出しても、屁をたれても間に合うものだ」 オレはこれをきいて、ズケズケと物を云う青ガサがなんとなく気に入った。 三人のタクミが揃ったので、正式に長者の前へ召されて、このたびの仕事
を申し渡された。ヒメの持仏をつくるためだと聞いていたが、くわしいことはまだ知らされていなかったのだ。 長者はかたえのヒメを見やって云った。「このヒメの今生後生をまもりたもう尊いホトケの御姿を刻んでも
らいたいものだ。持仏堂におさめて、ヒメが朝夕拝むものだが、ミホトケの御姿と、それをおさめるズシがほしい。ミホトケはミロクボサツ。その他は銘々の工夫にまかせるが、ヒメの十六の正月までに仕上げてもらいた
い」 三名のタクミがその仕事を正式に受けて挨拶を終ると、酒肴が運ばれた。長者とヒメは正面に一段高く、左手には三名のタクミの膳が、右手にも三ツの膳が並べられた。そこにはまだ人の姿が見えなかったが、たぶ
んアナマロと、その他の二名の重立つ者の座であろうとオレは考えていた。ところが、アナマロがみちびいてきたのは二人の女であった。 長者は二人の女をオレたちにひき合せて、こう云った。「向うの高い山をこえ、
その向うのミズウミをこえ、そのまた向うのひろい野をこえると、石と岩だけでできた高い山がある。その山を泣いてこえると、またひろい野があって、そのまた向うに霧の深い山がある。またその山を泣いてこえると、
ひろいひろい森があって森の中を大きな川が流れている。その森を三日がかりで泣きながら通りぬけると、何千という、泉が湧き出している里があるのだよ。その里には一ツの木蔭の一ツの泉ごとに一人の娘がハタを織っ
ているそうな。その里の一番大きな木の下の一番キレイな泉のそばでハタを織っていたのが一番美しい娘で、ここにいる若い方の人がその娘だよ。この娘がハタを織るようになるまでは娘のお母さんが織っていたが、それ
がこッちの年をとった女の人だよ。その里から虹の橋を渡ってはるばるとヒメの着物を織るためにヒダの奥まで来てくれたのだ。お母さんを月待(ツキマチ)と云い、娘を江奈古(エナコ)と云う。ヒメの気に入ったミホ
トケを造った者には、美しいエナコをホービに進ぜよう」 長者が金にあかして買い入れたハタを織る美しい奴隷なのだ。オレの生れたヒダの国へも他国から奴隷を買いにくる者があるが、それは男の奴隷で、そしてオレ
のようなタクミが奴隷に買われて行くのさ。しかし、やむにやまれぬ必要のために遠い国から買いにくるのだから、奴隷は大切に扱われ、第一等のお客様と同じようにもてなしを受けるそうだが、それも仕事が出来あがる
までの話さ。仕事が終って無用になれば金で買った奴隷だから、人にくれてやることも、ウワバミにくれてやることも主人の勝手だ。だから遠国へ買われて行くことを好むタクミはいないが、女の身なら尚さらのことであ
ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
- 722 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:54:15.91 0EVE.net
- わんちゃん誰かが運営側と肉体関係あったとかなら混迷の極みだな
- 723 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:54:22.85 0EVE.net
- >>675
あれただ予定がその場で立てられない事に返答するのが嫌なだけだぞ
瑠璃ねるのこのコラボ混ざる?に対して渋ったのもそう
- 724 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:54:29.66 0EVE.net
- のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
ついてちょッと拝んでいたと思うと、にわかに立ち上ってキリキリ舞いをはじめたのよ。それからヨタヨタ這いまわって、やっとホコラに手をかけたと思うと動かなくなってしまったわ」 ヒメの目はそこにそそがれて動
かなかった。さらにヒメは下界の諸方に目を転じて飽かず眺めふけった。そして、呟いた。「野良にでて働く人の姿が多いわ。ホーソーの時には野良にでている人の姿が見られなかったものでしたのに。バケモノのホコラ
へ拝みに来て死ぬ人もあるのに、野良の人々は無事なのね」 オレは小屋にこもって仕事にふけっているだけだから、邸内の人々とも殆ど交渉がなかったし、まして邸外とは交渉がなかった。だから村里を襲っている疫病
の怖ろしい噂を時たま聞くことがあっても、オレにとっては別天地の出来事で、身にしみる思いに打たれたことはなかった。オレのバケモノが魔よけの神様にまつりあげられ、オレが名人ともてはやされていると聞いても
、それすらも別天地の出来事であった。 オレははじめて高楼から村を眺めた。それは裏の山から村を見下す風景の距離をちぢめただけのものだが、バケモノのホコラにすがりついて死んでいる人の姿を見ると、それもわ
が身にかかわりのないソラゾラしい眺めながらも、人里の哀れさが目にしみもした。あんなバケモノが魔よけの役に立たないのは分りきっているのに、そのホコラにすがりついて死ぬ人があるとは罪な話だ。いッそ焼き払
ってしまえばいいのに、とオレは思った。オレが罪を犯しているような味気ない思いにかられもした。 ヒメは下界の眺めにタンノーして、ふりむいた。そして、オレに命じた。「袋の中の蛇を一匹ずつ生き裂きにして血
をしぼってちょうだい。お前はその血をしぼって、どうしたの?」「オレはチョコにうけて飲みましたよ」「十匹も、二十匹も?」「一度にそうは飲めませんが、飲みたくなけりゃそのへんへぶッかけるだけのことですよ
」「そして裂き殺した蛇を天井に吊るしたのね」「そうですよ」「お前がしたと同じことをしてちょうだい。生き血だけは私が飲みます。早くよ」 ヒメの命令には従う以外に手のないオレであった。オレは生き血をうけ
るチョコや、蛇を天井へ吊るすための道具を運びあげて、袋の蛇を一匹ずつ裂いて生き血をしぼり、順に天井へ吊るした。 オレはまさかと思っていたが、ヒメはたじろぐ色もなく、ニッコリと無邪気に笑って、生き血を
一息にのみほした。それを見るまではさほどのこととは思わなかったが、その時からはあまりの怖ろしさに、蛇をさく馴れた手までが狂いがちであった。 オレも三年の間、数の知れない蛇を裂いて生き血をのみ死体を天
井に逆吊りにしたが、オレが自分ですることだから怖ろしいとも異様とも思わなかった。 ヒメは蛇の生き血をのみ、蛇体を高楼に逆吊りにして、何をするつもりなのだろう。目的の善悪がどうあろうとも、高楼にのぼり
、ためらう色もなくニッコリと蛇の生き血を飲みほすヒメはあまり無邪気で、怖ろしかった。 ヒメは三匹目の生き血までは一息に飲みほした。四匹目からは屋根や床上へまきちらした。 オレが袋の中の蛇をみんな裂い
て吊るし終ると、ヒメは言った。「もう一ッぺん山へ行って袋にいっぱい蛇をとってきてよ。陽のあるうちは、何べんもよ。この天井にいっぱい吊るすまでは、今日も、明日も、明後日も。早く」 もう一度だけ蛇とりに
行ってくると、その日はもうたそがれてしまった。ヒメの笑顔には無念そうな翳がさした。吊るされた蛇と、吊るされていない空間とを、充ち足りたように、また無念げに、ヒメの笑顔はしばし高楼の天井を見上げて動か
なかった。「明日は朝早くから出かけてよ。何べんもね。そして、ドッサリとってちょうだい」 ヒメは心残りげに、たそがれの村を見下した。そして、オレに言った。「ほら。お婆さんの死体を片づけに、ホコラの前に
- 725 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:54:45.44 0EVE.net
- >>597
で君は?
- 726 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:54:46.09 0EVE.net
- れをひきとって、ヒメが言った。「エナコは耳男の耳を斬り落した懐剣でノドをついて死んでいたのよ。血にそまったエナコの着物は耳男がいま下着にして身につけているのがそれよ。身代りに着せてあげるために、男物
に仕立て直しておいたのです」 オレはもうこれしきのことでは驚かなくなっていたが、長者の顔が蒼ざめた。ヒメはニコニコとオレを見つめていた。 そのころ、この山奥にまでホーソーがはやり、あの村にも、この里
にも、死ぬ者がキリもなかった。疫病はついにこの村にも押し寄せたから、家ごとに疫病除けの護符をはり、白昼もかたく戸を閉して、一家ヒタイを集めて日夜神仏に祈っていたが、悪魔はどの隙間から忍びこんでくるも
のやら、日ましに死ぬ者が多くなる一方だった。 長者の家でも広い邸内の雨戸をおろして家族は日中も息を殺していたが、ヒメの部屋だけは、ヒメが雨戸を閉めさせなかった。「耳男の造ったバケモノの像は、耳男が無
数の蛇を裂き殺して逆吊りにして、生き血をあびながら咒いをこめて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなるらしいわ。ほかに取得もなさそうなバケモノだから、門の外へ飾ってごらん」 ヒメは人に
命じて、ズシごと門前へすえさせた。長者の邸には高楼があった。ヒメは時々高楼にのぼって村を眺めたが、村はずれの森の中に死者をすてに行くために運ぶ者の姿を見ると、ヒメは一日は充ち足りた様子であった。 オ
レは青ガサが残した小屋で、今度こそヒメの持仏のミロクの像に精魂かたむけていた。ホトケの顔にヒメの笑顔をうつすのがオレの考えであった。 この邸内で人間らしくうごいているのは、ヒメとオレの二人だけであっ
た。 ミロクにヒメの笑顔をうつして持仏を刻んでいるときいてヒメは一応満足の風ではあったが、実はオレの仕事を気にかけている様子はなかった。ヒメはオレの仕事のはかどりを見に来たことはついぞなかった。小屋
に姿を現すのは、死者を森へすてに行く人群れを見かけたときにきまっていた。特にオレを選んでそれをきかせに来るのではなく、邸内の一人々々にもれなく聞かせてまわるのがヒメのたのしみの様子であった。「今日も
死んだ人があるのよ」 それをきかせるときも、ニコニコとたのしそうであった。ついでに仏像の出来ぐあいを見て行くようなことはなかった。それには一目もくれなかった。そして長くはとどまらなかった。 オレはヒ
メになぶられているのではないかと疑っていた。さりげない風を見せているが、実はやっぱり元日にオレを殺すつもりであったに相違ないとオレは時々考えた。なぜなら、ヒメはオレの造ったバケモノを疫病よけに門前へ
すえさせたとき、「耳男が無数の蛇を裂き殺して逆さに吊り、蛇の生き血をあびながら咒いをかけて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなりそうね。ほかに取得もなさそうですから、門の前へ飾ってご
らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
- 727 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:55:02.18 0EVE.net
- うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
- 728 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:55:18.31 0EVE.net
- まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
、お主の一命にかかわることが起るかも知れぬ」 オレは即座に肚をきめた。斧をぶらさげて立上った。「お供しましょう」「これさ」「ハッハッハ。ふざけちゃアいけませんや。はばかりながら、ヒダのタクミはガキの
時から仕事に命を打込むものと叩きこまれているのだ。仕事のほかには命をすてる心当りもないが、腕くらべを怖れて逃げだしたと云われるよりは、そッちの方を選ぼうじゃありませんか」「長生きすれば、天下のタクミ
と世にうたわれる名人になる見込みのある奴だが、まだ若いな。一時の恥は、長生きすればそそがれるぞ」「よけいなことは、もう、よしてくれ。オレはここへ来たときから、生きて帰ることは忘れていたのさ」 アナマ
ロはあきらめた。すると、にわかに冷淡だった。「オレにつづいて参れ」 彼は先に立ってズンズン歩いた。 奥の庭へみちびかれた。縁先の土の上にムシロがしかれていた。それがオレの席であった。 オレと向い合せ
にエナコが控えていた。後手にいましめられて、じかに土の上に坐っていた。 オレの跫音《あしおと》をききつけて、エナコは首をあげた。そして、いましめを解けば跳びかかる犬のようにオレを睨んで目を放さなかっ
た。小癪な奴め、とオレは思った。「耳を斬り落されたオレが女を憎むならワケは分るが、女がオレを憎むとはワケが分らないな」 こう考えてオレはふと気がついたが、耳の痛みがとれてからは、この女を思いだしたこ
ともなかった。「考えてみるとフシギだな。オレのようなカンシャク持ちが、オレの耳を斬り落した女を咒《のろ》わないとは奇妙なことだ。オレは誰かに耳を斬り落されたことは考えても、斬り落したのがこの女だと考
えたことはめッたにない。あべこべに、女の奴めがオレを仇のように憎みきっているというのが腑に落ちないぞ」 オレの咒いの一念はあげて魔神を刻むことにこめられているから、小癪な女一匹を考えるヒマがなかった
のだろう。オレは十五の歳に仲間の一人に屋根から突き落されて手と足の骨を折ったことがある。この仲間はササイなことでオレに恨みを持っていたのだ。オレは骨を折ったので三ヵ月ほど大工の仕事はできなかったが、
- 729 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:55:25.67 0EVE.net
- 宗谷さんはこれから精神すり減らして消耗していくのかな
これから配信追っていくとメンヘラになる経過を見られそうで楽しみ
- 730 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:55:34.41 0EVE.net
- んアナマロと、その他の二名の重立つ者の座であろうとオレは考えていた。ところが、アナマロがみちびいてきたのは二人の女であった。 長者は二人の女をオレたちにひき合せて、こう云った。「向うの高い山をこえ、
その向うのミズウミをこえ、そのまた向うのひろい野をこえると、石と岩だけでできた高い山がある。その山を泣いてこえると、またひろい野があって、そのまた向うに霧の深い山がある。またその山を泣いてこえると、
ひろいひろい森があって森の中を大きな川が流れている。その森を三日がかりで泣きながら通りぬけると、何千という、泉が湧き出している里があるのだよ。その里には一ツの木蔭の一ツの泉ごとに一人の娘がハタを織っ
ているそうな。その里の一番大きな木の下の一番キレイな泉のそばでハタを織っていたのが一番美しい娘で、ここにいる若い方の人がその娘だよ。この娘がハタを織るようになるまでは娘のお母さんが織っていたが、それ
がこッちの年をとった女の人だよ。その里から虹の橋を渡ってはるばるとヒメの着物を織るためにヒダの奥まで来てくれたのだ。お母さんを月待(ツキマチ)と云い、娘を江奈古(エナコ)と云う。ヒメの気に入ったミホ
トケを造った者には、美しいエナコをホービに進ぜよう」 長者が金にあかして買い入れたハタを織る美しい奴隷なのだ。オレの生れたヒダの国へも他国から奴隷を買いにくる者があるが、それは男の奴隷で、そしてオレ
のようなタクミが奴隷に買われて行くのさ。しかし、やむにやまれぬ必要のために遠い国から買いにくるのだから、奴隷は大切に扱われ、第一等のお客様と同じようにもてなしを受けるそうだが、それも仕事が出来あがる
までの話さ。仕事が終って無用になれば金で買った奴隷だから、人にくれてやることも、ウワバミにくれてやることも主人の勝手だ。だから遠国へ買われて行くことを好むタクミはいないが、女の身なら尚さらのことであ
ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
- 731 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:55:42.04 0EVE.net
- お稲荷の「PUBGはもういい、コラボ以外はしない」ってのも運営の方針だった可能性
本来は界隈でブームのPUBGの上手さを見込まれてふっこちゃんはスカウトされてて
お稲荷もPUBGだけやっててもいいって契約で承諾したのに、後からPUBG以外の配信もしろと言われてキレた
- 732 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:55:50.68 0EVE.net
- 方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
- 733 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:55:56.67 pEVE.net
- この箱の空気で忘年会やらぶっ込めるらんちゃんスゲーよ
- 734 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:56:01.31 0EVE.net
- ほんと俺はあにまーれ見限ってハニスト推しに移って良かったと思う
- 735 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:56:07.06 0EVE.net
- った。なぜなら、親方が常にこう言いきかせていたからだ。「珍しい人や物に出会ったときは目を放すな。オレの師匠がそう云っていた。そして、師匠はそのまた師匠にそう云われ、そのまた師匠のそのまた師匠のまたま
た昔の大昔の大親の師匠の代から順くりにそう云われてきたのだぞ。大蛇に足をかまれても、目を放すな」 だからオレは夜長ヒメを見つめた。オレは小心のせいか、覚悟をきめてかからなければ人の顔を見つめることが
できなかった。しかし、気おくれをジッと押えて、見つめているうちに次第に平静にかえる満足を感じたとき、オレは親方の教訓の重大な意味が分ったような気がするのだった。のしかかるように見つめ伏せてはダメだ。
その人やその物とともに、ひと色の水のようにすきとおらなければならないのだ。 オレは夜長ヒメを見つめた。ヒメはまだ十三だった。身体はノビノビと高かったが、子供の香がたちこめていた。威厳はあったが、怖ろ
しくはなかった。オレはむしろ張りつめた力がゆるんだような気がしたが、それはオレが負けたせいかも知れない。そして、オレはヒメを見つめていた筈だが、ヒメのうしろに広々とそびえている乗鞍山《ノリクラヤマ》
が後々まで強くしみて残ってしまった。 アナマロはオレを長者にひき合せて、「これが耳男《ミミオ》でございます。若いながらも師の骨法をすべて会得し、さらに独自の工夫も編みだしたほどの師匠まさりで、青ガサ
やフル釜と技を競ってオクレをとるとは思われぬと師が口をきわめてほめたたえたほどのタクミであります」 意外にも殊勝なことを言った。すると長者はうなずいたが、「なるほど、大きな耳だ」 オレの耳を一心に見
つめた。そして、また云った。「大耳は下へ垂れがちなものだが、この耳は上へ立ち、頭よりも高くのびている。兎の耳のようだ。しかし、顔相は、馬だな」 オレの頭に血がさかまいた。オレは人々に耳のことを言われ
た時ほど逆上し、混乱することはない。いかな勇気も決心も、この混乱をふせぐことができないのだ。すべての血が上体にあがり、たちまち汗がしたたった。それはいつものことではあるが、この日の汗はたぐいのないも
のだった。ヒタイも、耳のまわりも、クビ筋も、一時に滝のように汗があふれて流れた。 長者はそれをフシギそうに眺めていた。すると、ヒメが叫んだ。「本当に馬にそッくりだわ。黒い顔が赤くなって、馬の色にそッ
くり」 侍女たちが声をたてて笑った。オレはもう熱湯の釜そのもののようであった。溢れたつ湯気も見えたし、顔もクビも胸も背も、皮膚全体が汗の深い河であった。 けれどもオレはヒメの顔だけは見つめなければい
けないし、目を放してはいけないと思った。一心不乱にそう思い、それを行うために力をつくした。しかし、その努力と、湧き立ち溢れる混乱とは分離して並行し、オレは処置に窮して立ちすくんだ。長い時間が、そして
、どうすることもできない時間がすぎた。オレは突然ふりむいて走っていた。他に適当な行動や落附いた言葉などを発すべきだと思いつきながら、もっとも欲しない、そして思いがけない行動を起してしまったのである。
オレはオレの部屋の前まで走っていった。それから、門の外まで走って出た。それから歩いたが、また、走った。居たたまらなかったのだ。オレは川の流れに沿うて山の雑木林にわけ入り、滝の下で長い時間岩に腰かけ
ていた。午《ひる》がすぎた。腹がへった。しかし、日が暮れかかるまでは長者の邸へ戻る力が起らなかった。 オレに五六日おくれて青ガサが着いた。また五六日おくれて、フル釜の代りに倅《せがれ》の小釜(チイサ
ガマ)が到着した。それを見ると青ガサは失笑して云った。「馬耳の師匠だけかと思ったら、フル釜もか。この青ガサに勝てぬと見たのは殊勝なことだが、身代りの二人の小者が気の毒だ」 ヒメがオレを馬に見立ててか
ら、人々はオレをウマミミとよぶようになっていた。 オレは青ガサの高慢が憎いと思ったが、だまっていた。オレの肚はきまっていたのだ。ここを死場所と覚悟をきめて一心不乱に仕事に精をうちこむだけだ。 チイサ
釜はオレの七ツ兄だった。彼の父のフル釜も病気と称して倅を代りに差し向けたが、取沙汰では仮病であったと云われていた。使者のアナマロが一番おそく彼を迎えにでかけたので腹を立てたのだそうだ。しかし、チイサ
釜が父に劣らぬタクミであるということはすでに評判があったから、オレの場合のように意外な身代りではなかったのである。 チイサ釜は腕によほどの覚えがあるのか、青ガサの高慢を眉の毛の一筋すらも動かすことな
く聞きながした。そして、青ガサにも、またオレにも、同じように鄭重《ていちょう》に挨拶した。ひどく落附いた奴だと思って薄気味がわるかったが、その後だんだん見ていると、奴はオハヨウ、コンチハ、コンバンハ
- 736 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:56:13.36 0EVE.net
- 運営の一部が変わったとしていつ頃だ
Deceitななしはそれまでと同じか?
- 737 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:56:23.17 0EVE.net
- なったと思うと、ほら、あすこの野良にも一人倒れているでしょう。あの人がキリキリ舞いをはじめたのよ。そして、今しがたまで這ってうごめいていたのに」 ヒメの目はそこにジッとそそがれていた。まだうごめきや
しないかと期待しているのかも知れなかった。 オレはヒメの言葉をきいているうちに汗がジットリ浮んできた。怖れとも悲しみともつかない大きなものがこみあげて、オレはどうしてよいのか分らなくなってしまった。
オレの胸にカタマリがつかえて、ただハアハアとあえいだ。 そのときヒメの冴えわたる声がオレによびかけた。「耳男よ。ごらん! あすこに、ほら! キリキリ舞いをしはじめた人がいてよ。ほら、キリキリと舞って
いてよ。お日さまがまぶしいように。お日さまに酔ったよう」 オレはランカンに駈けよって、ヒメの示す方を見た。長者の邸のすぐ下の畑に、一人の農夫が両手をひろげて、空の下を泳ぐようにユラユラとよろめいてい
た。カガシに足が生えて、左右にくの字をふみながらユラユラと小さな円を踏み廻っているようだ。バッタリ倒れて、這いはじめた。オレは目をとじて、退いた。顔も、胸も、背中も、汗でいっぱいだった。「ヒメが村の
人間をみな殺しにしてしまう」 オレはそれをハッキリ信じた。オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時、この村の最後の一人が息をひきとるに相違ない。 オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だか
ら、何十本もの蛇の死体が調子をそろえてゆるやかにゆれ、隙間からキレイな青空が見えた。閉めきったオレの小屋では、こんなことは見かけることができなかったが、ぶらさがった蛇の死体までがこんなに美しいという
ことは、なんということだろうとオレは思った。こんなことは人間世界のことではないとオレは思った。 オレが逆吊りにした蛇の死体をオレの手が斬り落すか、ここからオレが逃げ去るか、どっちか一ツを選ぶより仕方
がないとオレは思った。オレはノミを握りしめた。そして、いずれを選ぶべきかに尚も迷った。そのとき、ヒメの声がきこえた。「とうとう動かなくなったわ。なんて可愛いのでしょうね。お日さまが、うらやましい。日
本中の野でも里でも町でも、こんな風に死ぬ人をみんな見ていらッしゃるのね」 それをきいているうちにオレの心が変った。このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたないのだとオレは思った。 ヒメは無心に
野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
- 738 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:56:39.57 0EVE.net
- まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
、お主の一命にかかわることが起るかも知れぬ」 オレは即座に肚をきめた。斧をぶらさげて立上った。「お供しましょう」「これさ」「ハッハッハ。ふざけちゃアいけませんや。はばかりながら、ヒダのタクミはガキの
時から仕事に命を打込むものと叩きこまれているのだ。仕事のほかには命をすてる心当りもないが、腕くらべを怖れて逃げだしたと云われるよりは、そッちの方を選ぼうじゃありませんか」「長生きすれば、天下のタクミ
と世にうたわれる名人になる見込みのある奴だが、まだ若いな。一時の恥は、長生きすればそそがれるぞ」「よけいなことは、もう、よしてくれ。オレはここへ来たときから、生きて帰ることは忘れていたのさ」 アナマ
ロはあきらめた。すると、にわかに冷淡だった。「オレにつづいて参れ」 彼は先に立ってズンズン歩いた。 奥の庭へみちびかれた。縁先の土の上にムシロがしかれていた。それがオレの席であった。 オレと向い合せ
にエナコが控えていた。後手にいましめられて、じかに土の上に坐っていた。 オレの跫音《あしおと》をききつけて、エナコは首をあげた。そして、いましめを解けば跳びかかる犬のようにオレを睨んで目を放さなかっ
た。小癪な奴め、とオレは思った。「耳を斬り落されたオレが女を憎むならワケは分るが、女がオレを憎むとはワケが分らないな」 こう考えてオレはふと気がついたが、耳の痛みがとれてからは、この女を思いだしたこ
ともなかった。「考えてみるとフシギだな。オレのようなカンシャク持ちが、オレの耳を斬り落した女を咒《のろ》わないとは奇妙なことだ。オレは誰かに耳を斬り落されたことは考えても、斬り落したのがこの女だと考
えたことはめッたにない。あべこべに、女の奴めがオレを仇のように憎みきっているというのが腑に落ちないぞ」 オレの咒いの一念はあげて魔神を刻むことにこめられているから、小癪な女一匹を考えるヒマがなかった
のだろう。オレは十五の歳に仲間の一人に屋根から突き落されて手と足の骨を折ったことがある。この仲間はササイなことでオレに恨みを持っていたのだ。オレは骨を折ったので三ヵ月ほど大工の仕事はできなかったが、
- 739 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:56:55.80 0EVE.net
- は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
ついてちょッと拝んでいたと思うと、にわかに立ち上ってキリキリ舞いをはじめたのよ。それからヨタヨタ這いまわって、やっとホコラに手をかけたと思うと動かなくなってしまったわ」 ヒメの目はそこにそそがれて動
かなかった。さらにヒメは下界の諸方に目を転じて飽かず眺めふけった。そして、呟いた。「野良にでて働く人の姿が多いわ。ホーソーの時には野良にでている人の姿が見られなかったものでしたのに。バケモノのホコラ
へ拝みに来て死ぬ人もあるのに、野良の人々は無事なのね」 オレは小屋にこもって仕事にふけっているだけだから、邸内の人々とも殆ど交渉がなかったし、まして邸外とは交渉がなかった。だから村里を襲っている疫病
の怖ろしい噂を時たま聞くことがあっても、オレにとっては別天地の出来事で、身にしみる思いに打たれたことはなかった。オレのバケモノが魔よけの神様にまつりあげられ、オレが名人ともてはやされていると聞いても
、それすらも別天地の出来事であった。 オレははじめて高楼から村を眺めた。それは裏の山から村を見下す風景の距離をちぢめただけのものだが、バケモノのホコラにすがりついて死んでいる人の姿を見ると、それもわ
が身にかかわりのないソラゾラしい眺めながらも、人里の哀れさが目にしみもした。あんなバケモノが魔よけの役に立たないのは分りきっているのに、そのホコラにすがりついて死ぬ人があるとは罪な話だ。いッそ焼き払
ってしまえばいいのに、とオレは思った。オレが罪を犯しているような味気ない思いにかられもした。 ヒメは下界の眺めにタンノーして、ふりむいた。そして、オレに命じた。「袋の中の蛇を一匹ずつ生き裂きにして血
をしぼってちょうだい。お前はその血をしぼって、どうしたの?」「オレはチョコにうけて飲みましたよ」「十匹も、二十匹も?」「一度にそうは飲めませんが、飲みたくなけりゃそのへんへぶッかけるだけのことですよ
」「そして裂き殺した蛇を天井に吊るしたのね」「そうですよ」「お前がしたと同じことをしてちょうだい。生き血だけは私が飲みます。早くよ」 ヒメの命令には従う以外に手のないオレであった。オレは生き血をうけ
るチョコや、蛇を天井へ吊るすための道具を運びあげて、袋の蛇を一匹ずつ裂いて生き血をしぼり、順に天井へ吊るした。 オレはまさかと思っていたが、ヒメはたじろぐ色もなく、ニッコリと無邪気に笑って、生き血を
- 740 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:57:04.37 0EVE.net
- >>734
そうか
ならなんでここにいるんだ?
- 741 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:57:07.50 pEVE.net
- 俺もあにまーれとお別れする時期かな
- 742 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:57:12.16 0EVE.net
- た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
。 オレはそれまで親方にほめられたことは一度もなかった。もっとも、誰をほめたこともない親方ではあったが、それにしても、この突然のホメ言葉はオレをまったく驚愕させた。当のオレがそれほどだから、多くの古
い弟子たちが親方はモウロクして途方もないことを口走ってしまったものだと云いふらしたのは、あながち嫉みのせいだけではなかったのである。 夜長の長者の使者アナマロも兄弟子たちの言い分に理があるようだと考
えた。そこでオレをひそかに別室へよんで、「お前の師匠はモウロクしてあんなことを云ったが、まさかお前は長者の招きに進んで応じるほど向う見ずではあるまいな」 こう云われると、オレはムラムラと腹が立った。
その時まで親方の言葉を疑ったり、自分の腕に不安を感じていたのが一時に掻き消えて、顔に血がこみあげた。「オレの腕じゃア不足なほど、夜長の長者は尊い人ですかい。はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だと
いう寺は天下に一ツもない筈だ」 オレは目もくらみ耳もふさがり、叫びたてるわが姿をトキをつくるのようだと思ったほどだ。アナマロは苦笑した。「相弟子どもと鎮守のホコラを造るのとはワケがちがうぞ。お前が腕
くらべをするのは、お前の師と並んでヒダの三名人とうたわれている青ガサとフル釜だぞ」「青ガサもフル釜も、親方すらも怖ろしいと思うものか。オレが一心不乱にやれば、オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだ
けだ」 アナマロはあわれんで溜息をもらすような面持であったが、どう思い直してか、オレを親方の代りに長者の邸へ連れていった。「キサマは仕合せ者だな。キサマの造った品物がオメガネにかなう筈はないが、日本
中の男という男がまだ見ぬ恋に胸をこがしている夜長姫サマの御身ちかくで暮すことができるのだからさ。せいぜい仕事を長びかせて、一時も長く逗留の工夫をめぐらすがよい。どうせかなわぬ仕事の工夫はいらぬことだ
」 道々、アナマロはこんなことを云ってオレをイラだたせた。「どうせかなわぬオレを連れて行くことはありますまい」「そこが虫のカゲンだな。キサマは運のいい奴だ」 オレは旅の途中でアナマロに別れて幾度か立
ち帰ろうと思った。しかし、青ガサやフル釜と技を競う名誉がオレを誘惑した。彼らを怖れて逃げたと思われるのが心外であった。オレは自分に云いきかせた。「一心不乱に、オレのイノチを打ちこんだ仕事をやりとげれ
ばそれでいいのだ。目玉がフシアナ同然の奴らのメガネにかなわなくとも、それがなんだ。オレが刻んだ仏像を道のホコラに安置して、その下に穴を掘って、土に埋もれて死ぬだけのことだ」 たしかにオレは生きて帰ら
- 743 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:57:23.58 0EVE.net
- >>707
まともに考察してるな、結構的を得てると思うぞ
- 744 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:57:28.21 0EVE.net
- 顔はオレの言葉にとりあわなかった。ヒメは言った。「耳男よ。お前が造ったバケモノはほんとうにホーソー神を睨み返してくれたのよ。私は毎日楼の上からそれを見ていたわ」 オレは呆れてヒメの笑顔を見つめた。し
かし、ヒメの心はとうてい量りがたいものであった。 ヒメはさらに云った。「耳男よ。お前が楼にあがって私と同じ物を見ていても、お前のバケモノがホーソー神を睨み返してくれるのを見ることができなかったでしょ
うよ。お前の小屋が燃えたときから、お前の目は見えなくなってしまったから。そして、お前がいまお造りのミロクには、お爺さんやお婆さんの頭痛をやわらげる力もないわ」 ヒメは冴え冴えとオレを見つめた。そして
、ふりむいて立去った。オレの手にカブと菜ッ葉がのこっていた。 オレはヒメの魔法にかけられてトリコになってしまったように思った。怖ろしいヒメだと思った。たしかに人力を超えたヒメかも知れぬと思った。しか
し、オレがいま造っているミロクには爺さん婆さんの頭痛をやわらげる力もないとは、どういうことだろう。「あのバケモノには子供を泣かせる力もないが、ミロクには何かがある筈だ。すくなくともオレという人間のタ
マシイがそッくり乗りうつッているだろう」 オレは確信をもってこう云えるように思ったが、オレの確信の根元からゆりうごかしてくずすものはヒメの笑顔であった。オレが見失ってしまったものが確かにどこかにある
ようにも思われて、たよりなくて、ふと、たまらなく切ない思いを感じるようになってしまった。 ホーソー神が通りすぎて五十日もたたぬうちに、今度はちがった疫病が村をこえ里をこえて渡ってきた。夏がきて、熱い
日ざかりがつづいていた。 また人々は日ざかりに雨戸をおろして神仏に祈ってくらした。しかし、ホーソー神の通るあいだ畑を耕していなかったから、今度も畑を耕さないと食べる物が尽きていた。そこで百姓はおのの
きながら野良へでてクワを振りあげ振りおろしたが、朝は元気で出たのが、日ざかりの畑でキリキリ舞いをしたあげく、しばらく畑を這いまわってことぎれる者も少くなかった。 山の下の三ツ又のバケモノのホコラを拝
みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。「尊いヒメの神よ。悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日ざかりに雨戸をとざして、人々は息をころして暮していた。ヒメだ
けが雨戸をあけ、時に楼上から山下の村を眺めて、死者を見るたびに邸内の全ての者にきかせて歩いた。 オレの小屋へきてヒメが云った。「耳男よ。今日は私が何を見たと思う?」 ヒメの目がいつもにくらべて輝きが
深いようでもあった。ヒメは云った。「バケモノのホコラへ拝みにきて、ホコラの前でキリキリ舞いをして、ホコラにとりすがって死んだお婆さんを見たのよ」 オレは云ってやった。「あのバケモノの奴も今度の疫病神
は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
- 745 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:57:44.30 0EVE.net
- やフル釜と技を競ってオクレをとるとは思われぬと師が口をきわめてほめたたえたほどのタクミであります」 意外にも殊勝なことを言った。すると長者はうなずいたが、「なるほど、大きな耳だ」 オレの耳を一心に見
つめた。そして、また云った。「大耳は下へ垂れがちなものだが、この耳は上へ立ち、頭よりも高くのびている。兎の耳のようだ。しかし、顔相は、馬だな」 オレの頭に血がさかまいた。オレは人々に耳のことを言われ
た時ほど逆上し、混乱することはない。いかな勇気も決心も、この混乱をふせぐことができないのだ。すべての血が上体にあがり、たちまち汗がしたたった。それはいつものことではあるが、この日の汗はたぐいのないも
のだった。ヒタイも、耳のまわりも、クビ筋も、一時に滝のように汗があふれて流れた。 長者はそれをフシギそうに眺めていた。すると、ヒメが叫んだ。「本当に馬にそッくりだわ。黒い顔が赤くなって、馬の色にそッ
くり」 侍女たちが声をたてて笑った。オレはもう熱湯の釜そのもののようであった。溢れたつ湯気も見えたし、顔もクビも胸も背も、皮膚全体が汗の深い河であった。 けれどもオレはヒメの顔だけは見つめなければい
けないし、目を放してはいけないと思った。一心不乱にそう思い、それを行うために力をつくした。しかし、その努力と、湧き立ち溢れる混乱とは分離して並行し、オレは処置に窮して立ちすくんだ。長い時間が、そして
、どうすることもできない時間がすぎた。オレは突然ふりむいて走っていた。他に適当な行動や落附いた言葉などを発すべきだと思いつきながら、もっとも欲しない、そして思いがけない行動を起してしまったのである。
オレはオレの部屋の前まで走っていった。それから、門の外まで走って出た。それから歩いたが、また、走った。居たたまらなかったのだ。オレは川の流れに沿うて山の雑木林にわけ入り、滝の下で長い時間岩に腰かけ
ていた。午《ひる》がすぎた。腹がへった。しかし、日が暮れかかるまでは長者の邸へ戻る力が起らなかった。 オレに五六日おくれて青ガサが着いた。また五六日おくれて、フル釜の代りに倅《せがれ》の小釜(チイサ
ガマ)が到着した。それを見ると青ガサは失笑して云った。「馬耳の師匠だけかと思ったら、フル釜もか。この青ガサに勝てぬと見たのは殊勝なことだが、身代りの二人の小者が気の毒だ」 ヒメがオレを馬に見立ててか
ら、人々はオレをウマミミとよぶようになっていた。 オレは青ガサの高慢が憎いと思ったが、だまっていた。オレの肚はきまっていたのだ。ここを死場所と覚悟をきめて一心不乱に仕事に精をうちこむだけだ。 チイサ
釜はオレの七ツ兄だった。彼の父のフル釜も病気と称して倅を代りに差し向けたが、取沙汰では仮病であったと云われていた。使者のアナマロが一番おそく彼を迎えにでかけたので腹を立てたのだそうだ。しかし、チイサ
釜が父に劣らぬタクミであるということはすでに評判があったから、オレの場合のように意外な身代りではなかったのである。 チイサ釜は腕によほどの覚えがあるのか、青ガサの高慢を眉の毛の一筋すらも動かすことな
く聞きながした。そして、青ガサにも、またオレにも、同じように鄭重《ていちょう》に挨拶した。ひどく落附いた奴だと思って薄気味がわるかったが、その後だんだん見ていると、奴はオハヨウ、コンチハ、コンバンハ
、などの挨拶以外には人に話しかけないことが分った。 オレが気がついたと同じことを、青ガサも気がついた。そして彼はチイサ釜に云った。「オメエはどういうわけで挨拶の口上だけはヌカリなく述べやがるんだ。ま
るでヒタイへとまったハエは手で払うものだときめたようにウルサイぞ。タクミの手はノミを使うが、一々ハエを追うために肩の骨が延びてきたわけではあるまい。人の口は必要を弁じるために孔があいているのだが、朝
晩の挨拶なんぞは、舌を出しても、屁をたれても間に合うものだ」 オレはこれをきいて、ズケズケと物を云う青ガサがなんとなく気に入った。 三人のタクミが揃ったので、正式に長者の前へ召されて、このたびの仕事
を申し渡された。ヒメの持仏をつくるためだと聞いていたが、くわしいことはまだ知らされていなかったのだ。 長者はかたえのヒメを見やって云った。「このヒメの今生後生をまもりたもう尊いホトケの御姿を刻んでも
らいたいものだ。持仏堂におさめて、ヒメが朝夕拝むものだが、ミホトケの御姿と、それをおさめるズシがほしい。ミホトケはミロクボサツ。その他は銘々の工夫にまかせるが、ヒメの十六の正月までに仕上げてもらいた
い」 三名のタクミがその仕事を正式に受けて挨拶を終ると、酒肴が運ばれた。長者とヒメは正面に一段高く、左手には三名のタクミの膳が、右手にも三ツの膳が並べられた。そこにはまだ人の姿が見えなかったが、たぶ
- 746 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:01.28 0EVE.net
- た。カガシに足が生えて、左右にくの字をふみながらユラユラと小さな円を踏み廻っているようだ。バッタリ倒れて、這いはじめた。オレは目をとじて、退いた。顔も、胸も、背中も、汗でいっぱいだった。「ヒメが村の
人間をみな殺しにしてしまう」 オレはそれをハッキリ信じた。オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時、この村の最後の一人が息をひきとるに相違ない。 オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だか
ら、何十本もの蛇の死体が調子をそろえてゆるやかにゆれ、隙間からキレイな青空が見えた。閉めきったオレの小屋では、こんなことは見かけることができなかったが、ぶらさがった蛇の死体までがこんなに美しいという
- 747 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:05.01 0EVE.net
- お前らってドロドロしてるの好きなんだなw
- 748 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:12.14 aEVE.net
- 先月辺りと比べるとハニストへの誘導増えたよな
- 749 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:17.23 0EVE.net
- 、それを恥じたり気に病んだりして、オレの顔は益々熱く燃え、汗は滝の如くに湧き流れるのはいつもの例であった。「こまったことだ。残念なことだ。こんなに汗をビッショリかいて慌ててしまえば、まるでオレの下心
がたしかにそうだと白状しているように思われてしまうばかりだ」 こう考えて、オレは益々うろたえた。額から汗の玉がポタポタとしたたり落ちて、いつやむ気色もなくなってしまった。オレは観念して目を閉じた。オ
レにとってこの赤面と汗はマトモに抵抗しがたい大敵であった。観念の眼をとじてつとめて無心にふける以外に汗の雨ダレを食いとめる手段がなかった。 そのとき、ヒメの声がきこえた。「スダレをあげて」 そう命じ
た。たぶん侍女もいるのだろうが、オレは目を開けて確かめるのを控えた。一時も早く汗の雨ダレを食いとめるには、見たいものも見てはならぬ。オレはもう一度ジックリとヒメの顔が見たかったのだ。「耳男よ。目をあ
けて。そして、私の問いに答えて」 と、ヒメが命じた。オレはシブシブ目をあけた。スダレはまかれて、ヒメは縁に立っていた。「お前、エナコに耳を斬り落されても、虫ケラにかまれたようだッて? ほんとうにそう
?」 無邪気な明るい笑顔だとオレは思った。オレは大きくうなずいて、「ほんとうにそうです」と答えた。「あとでウソだと仰有ッてはダメよ」「そんなことは言いやしません。虫ケラだと思っているから、死に首も、
生き首もマッピラでさア」 ヒメはニッコリうなずいた。ヒメはエナコに向って云った。「エナコよ。耳男の片耳もかんでおやり。虫ケラにかまれても腹が立たないそうですから、存分にかんであげるといいわ。虫ケラの
歯を貸してあげます。なくなったお母様の形見の品の一ツだけど、耳男の耳をかんだあとではお前にあげます」 ヒメは懐剣をとって侍女に渡した。侍女はそれをささげてエナコの前に差出した。 オレはエナコがよもや
それを受けとるとは考えていなかった。斧でクビを斬る代りにイマシメの縄をきりはらってやったオレの耳を斬る刀だ。 しかし、エナコは受けとった。なるほど、ヒメの与えた刀なら受けとらぬワケにはゆくまいが、よ
もやそのサヤは払うまいとまたオレは考えた。 可憐なヒメは無邪気にイタズラをたのしんでいる。その明るい笑顔を見るがよい。虫も殺さぬ笑顔とは、このことだ。イタズラをたのしむ亢奮もなければ、何かを企む翳り
もない。童女そのものの笑顔であった。 オレはこう思った。問題は、エナコが巧みな言葉で手に受けた懐剣をヒメに返すことができるかどうか、ということだ。まんまと懐剣をせしめることができるほど巧みな言葉を思
いつけば、尚のこと面白い。それに応じて、オレがうまいこと警句の一ツも合せることができれば、この上もなしであろう。ヒメは満足してスダレをおろすに相違ない。 オレがこう考えたのは、あとで思えばフシギなこ
とだ。なぜなら、ヒメはエナコに懐剣を与えて、オレの耳を斬れと命じているのだし、オレが片耳を失ったのもその大本はと云えばヒメからではないか。そして、オレが怖ろしい魔神の像をきざんでやるぞと心をきめたの
もヒメのため。その像を見ておどろく人もまずヒメでなければならぬ筈だ。そのヒメがエナコに懐剣を与えてオレの耳を斬り落せと命じているのに、オレがそれを幸福な遊びのひとときだとふと考えていたのは、思えばフ
シギなことであった。ヒメの冴え冴えとした笑顔、澄んだツブラな目のせいであろうか。オレは夢を見たようにフシギでならぬ。 オレはエナコが刀のサヤを払うまいと思ったから、その思いを目にこめてウットリとヒメ
の笑顔に見とれた。思えばこれが何よりの不覚、心の隙であったろう。 オレがすさまじい気魄に気がついて目を転じたとき、すでにエナコはズカズカとオレの目の前に進んでいた。 シマッタ! とオレは思った。エナ
コはオレの鼻先で懐剣のサヤを払い、オレの耳の尖《さき》をつまんだ。 オレは他の全てを忘れて、ヒメを見た。ヒメの言葉がある筈だ。エナコに与えるヒメの言葉が。あの冴え冴えと澄んだ童女の笑顔から当然ほとば
しる鶴の一声が。 オレは茫然とヒメの顔を見つめた。冴えた無邪気な笑顔を。ツブラな澄みきった目を。そしてオレは放心した。このようにしているうちに順を追うてオレの耳が斬り落されるのをオレはみんな知ってい
たが、オレの目はヒメの顔を見つめたままどうすることもできなかったし、オレの心は目にこもる放心が全部であった。オレは耳をそぎ落されたのちも、ヒメをボンヤリ仰ぎ見ていた。 オレの耳がそがれたとき、オレは
ヒメのツブラな目が生き生きとまるく大きく冴えるのを見た。ヒメの頬にやや赤みがさした。軽い満足があらわれて、すぐさま消えた。すると笑いも消えていた。ひどく真剣な顔だった。考え深そうな顔でもあった。なん
- 750 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:17.83 0EVE.net
- 今からあにまーれ去るやつとか信じられんのだが
この結末が気にならんのかよ
- 751 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:20.35 0EVE.net
- ギスギス箱なのに脱落者がいないことが面白かったのにもう終わりやな
- 752 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:21.91 0EVE.net
- ハニストも同じ運営だし5人の少数グループって1人倒れたもう終わりになる欠陥があるのはハニストも同じ
- 753 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:33.40 0EVE.net
- 叶絡みNGとかそんなアンチスレ住民みたいな運営だったら終わりだわ
客観的に見て男vtuberで叶以上に成功してるやつ数えるぐらいしかいないだろ
- 754 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:33.34 0EVE.net
- 返すために必死に戦わなければならなかった。 オレがヒメに自然に見とれてしまったことは、オレがどのようにあがいても所詮勝味がないように思われたが、オレは是が非でも押し返して、怖ろしいモノノケの像をつく
らなければとあせった。 オレはひるむ心が起ったとき水を浴びることを思いついた。十パイ二十パイと気が遠くなるほど水を浴びた。また、ゴマをたくことから思いついて、オレは松ヤニをいぶした。また足のウラの土
フマズに火を当てて焼いた。それらはすべてオレの心をふるい起して、襲いかかるように仕事にはげむためであった。 オレの小屋のまわりはジメジメした草むらで無数の蛇の棲み家だから、小屋の中にも蛇は遠慮なくも
ぐりこんできたが、オレはそれをひッさいて生き血をのんだ。そして蛇の死体を天井から吊るした。蛇の怨霊がオレにのりうつり、また仕事にものりうつれとオレは念じた。 オレは心のひるむたびに草むらにでて蛇をと
り、ひッさいて生き血をしぼり、一息に呷《あお》って、のこるのを造りかけのモノノケの像にしたたらせた。 日に七匹、また十匹ととったから、一夏を終らぬうちに、小屋のまわりの草むらの蛇は絶えてしまった。オ
レは山に入って日に一袋の蛇をとった。 小屋の天井は吊るした蛇の死体で一パイになった。ウジがたかり、ムンムンと臭気がたちこめ、風にゆれ、冬がくるとカサカサと風に鳴った。 吊るした蛇がいッせいに襲いかか
ってくるような幻を見ると、オレはかえって力がわいた。蛇の怨霊がオレにこもって、オレが蛇の化身となって生れ変った気がしたからだ。そして、こうしなければ、オレは仕事をつづけることができなかったのだ。 オ
レはヒメの笑顔を押し返すほど力のこもったモノノケの姿を造りだす自信がなかったのだ。オレの力だけでは足りないことをさとっていた。それと戦う苦しさに、いッそ気が違ってしまえばよいと思ったほどだ。オレの心
がヒメにとりつく怨霊になればよいと念じもした。しかし、仕事の急所に刻みかかると、必ず一度はヒメの笑顔に押されているオレのヒルミに気がついた。 三年目の春がきたとき、七分通りできあがって仕上げの急所に
かかっていたから、オレは蛇の生き血に飢えていた。オレは山にわけこんで兎や狸や鹿をとり、胸をさいて生き血をしぼり、ハラワタをまきちらした。クビを斬り落して、その血を像にしたたらせた。「血を吸え。そして
、ヒメの十六の正月にイノチが宿って生きものになれ。人を殺して生き血を吸う鬼となれ」 それは耳の長い何ものかの顔であるが、モノノケだか、魔神だか、死神だか、鬼だか、怨霊だか、オレにも得体が知れなかった
。オレはただヒメの笑顔を押し返すだけの力のこもった怖ろしい物でありさえすれば満足だった。 秋の中ごろにチイサ釜が仕事を終えた。また秋の終りには青ガサも仕事を終えた。オレは冬になって、ようやく像を造り
終えた。しかし、それをおさめるズシにはまだ手をつけていなかった。 ズシの形や模様はヒメの調度にふさわしい可愛いものに限ると思った。扉をひらくと現れる像の凄味をひきたてるには、あくまで可憐な様式にかぎ
る。 オレはのこされた短い日数のあいだ寝食も忘れがちにズシにかかった。そしてギリギリの大晦日の夜までかかって、ともかく仕上げることができた。手のこんだ細工はできなかったが、扉には軽く花鳥をあしらった
。豪奢でも華美でもないが、素朴なところにむしろ気品が宿ったように思った。 深夜に人手をかりて運びだして、チイサ釜と青ガサの作品の横へオレの物を並べた。オレはとにかく満足だった。オレは小屋へ戻ると、毛
皮をひッかぶって、地底へひきずりこまれるように眠りこけた。 オレは戸を叩く音に目をさました。夜が明けている。陽はかなり高いようだ。そうか。今日がヒメの十六の正月か、とオレはふと思いついた。戸を叩く音
は執拗につづいた。オレは食物を運んできた女中だと思ったから、「うるさいな。いつものように、だまって外へ置いて行け。オレには新年も元日もありやしねえ。ここだけは娑婆がちがうということをオレが口をすッぱ
くして言って聞かせてあるのが、三年たってもまだ分らないのか」「目がさめたら、戸をおあけ」「きいた風なことを言うな。オレが戸を開けるのは目がさめた時じゃアねえや」「では、いつ、あける?」「外に人が居な
い時だ」「それは、ほんとね?」 オレはそれをきいたとき、忘れることのできない特徴のあるヒメの抑揚をききつけて、声の主はヒメその人だと直覚した。にわかにオレの全身が恐怖のために凍ったように思った。どう
してよいのか分らなくて、オレはウロウロとむなしく時間を費した。「私が居るうちに出ておいで。出てこなければ、出てくるようにしてあげますよ」 静かな声がこう云った。ヒメが侍女に命じて戸の外に何か積ませて
- 755 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:49.44 0EVE.net
- ているそうな。その里の一番大きな木の下の一番キレイな泉のそばでハタを織っていたのが一番美しい娘で、ここにいる若い方の人がその娘だよ。この娘がハタを織るようになるまでは娘のお母さんが織っていたが、それ
がこッちの年をとった女の人だよ。その里から虹の橋を渡ってはるばるとヒメの着物を織るためにヒダの奥まで来てくれたのだ。お母さんを月待(ツキマチ)と云い、娘を江奈古(エナコ)と云う。ヒメの気に入ったミホ
トケを造った者には、美しいエナコをホービに進ぜよう」 長者が金にあかして買い入れたハタを織る美しい奴隷なのだ。オレの生れたヒダの国へも他国から奴隷を買いにくる者があるが、それは男の奴隷で、そしてオレ
のようなタクミが奴隷に買われて行くのさ。しかし、やむにやまれぬ必要のために遠い国から買いにくるのだから、奴隷は大切に扱われ、第一等のお客様と同じようにもてなしを受けるそうだが、それも仕事が出来あがる
までの話さ。仕事が終って無用になれば金で買った奴隷だから、人にくれてやることも、ウワバミにくれてやることも主人の勝手だ。だから遠国へ買われて行くことを好むタクミはいないが、女の身なら尚さらのことであ
ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
- 756 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:58:56.72 0EVE.net
- 全部はねるのせい
- 757 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:59:05.66 0EVE.net
- ぬような悲痛な覚悟を胸にかためていた。つまりは青ガサやフル釜を怖れる心のせいであろう。正直なところ、自信はなかった。 長者の邸へ着いた翌日、アナマロにみちびかれて奥の庭で、長者に会って挨拶した。長者
はまるまるとふとり、頬がたるんで、福の神のような恰好の人であった。 かたわらに夜長ヒメがいた。長者の頭にシラガが生えそめたころにようやく生れた一粒種だから、一夜ごとに二握りの黄金を百夜にかけてしぼら
せ、したたる露をあつめて産湯をつかわせたと云われていた。その露がしみたために、ヒメの身体は生れながらに光りかがやき、黄金の香りがすると云われていた。 オレは一心不乱にヒメを見つめなければならないと思
った。なぜなら、親方が常にこう言いきかせていたからだ。「珍しい人や物に出会ったときは目を放すな。オレの師匠がそう云っていた。そして、師匠はそのまた師匠にそう云われ、そのまた師匠のそのまた師匠のまたま
た昔の大昔の大親の師匠の代から順くりにそう云われてきたのだぞ。大蛇に足をかまれても、目を放すな」 だからオレは夜長ヒメを見つめた。オレは小心のせいか、覚悟をきめてかからなければ人の顔を見つめることが
できなかった。しかし、気おくれをジッと押えて、見つめているうちに次第に平静にかえる満足を感じたとき、オレは親方の教訓の重大な意味が分ったような気がするのだった。のしかかるように見つめ伏せてはダメだ。
その人やその物とともに、ひと色の水のようにすきとおらなければならないのだ。 オレは夜長ヒメを見つめた。ヒメはまだ十三だった。身体はノビノビと高かったが、子供の香がたちこめていた。威厳はあったが、怖ろ
しくはなかった。オレはむしろ張りつめた力がゆるんだような気がしたが、それはオレが負けたせいかも知れない。そして、オレはヒメを見つめていた筈だが、ヒメのうしろに広々とそびえている乗鞍山《ノリクラヤマ》
が後々まで強くしみて残ってしまった。 アナマロはオレを長者にひき合せて、「これが耳男《ミミオ》でございます。若いながらも師の骨法をすべて会得し、さらに独自の工夫も編みだしたほどの師匠まさりで、青ガサ
やフル釜と技を競ってオクレをとるとは思われぬと師が口をきわめてほめたたえたほどのタクミであります」 意外にも殊勝なことを言った。すると長者はうなずいたが、「なるほど、大きな耳だ」 オレの耳を一心に見
つめた。そして、また云った。「大耳は下へ垂れがちなものだが、この耳は上へ立ち、頭よりも高くのびている。兎の耳のようだ。しかし、顔相は、馬だな」 オレの頭に血がさかまいた。オレは人々に耳のことを言われ
た時ほど逆上し、混乱することはない。いかな勇気も決心も、この混乱をふせぐことができないのだ。すべての血が上体にあがり、たちまち汗がしたたった。それはいつものことではあるが、この日の汗はたぐいのないも
のだった。ヒタイも、耳のまわりも、クビ筋も、一時に滝のように汗があふれて流れた。 長者はそれをフシギそうに眺めていた。すると、ヒメが叫んだ。「本当に馬にそッくりだわ。黒い顔が赤くなって、馬の色にそッ
くり」 侍女たちが声をたてて笑った。オレはもう熱湯の釜そのもののようであった。溢れたつ湯気も見えたし、顔もクビも胸も背も、皮膚全体が汗の深い河であった。 けれどもオレはヒメの顔だけは見つめなければい
けないし、目を放してはいけないと思った。一心不乱にそう思い、それを行うために力をつくした。しかし、その努力と、湧き立ち溢れる混乱とは分離して並行し、オレは処置に窮して立ちすくんだ。長い時間が、そして
、どうすることもできない時間がすぎた。オレは突然ふりむいて走っていた。他に適当な行動や落附いた言葉などを発すべきだと思いつきながら、もっとも欲しない、そして思いがけない行動を起してしまったのである。
オレはオレの部屋の前まで走っていった。それから、門の外まで走って出た。それから歩いたが、また、走った。居たたまらなかったのだ。オレは川の流れに沿うて山の雑木林にわけ入り、滝の下で長い時間岩に腰かけ
ていた。午《ひる》がすぎた。腹がへった。しかし、日が暮れかかるまでは長者の邸へ戻る力が起らなかった。 オレに五六日おくれて青ガサが着いた。また五六日おくれて、フル釜の代りに倅《せがれ》の小釜(チイサ
ガマ)が到着した。それを見ると青ガサは失笑して云った。「馬耳の師匠だけかと思ったら、フル釜もか。この青ガサに勝てぬと見たのは殊勝なことだが、身代りの二人の小者が気の毒だ」 ヒメがオレを馬に見立ててか
ら、人々はオレをウマミミとよぶようになっていた。 オレは青ガサの高慢が憎いと思ったが、だまっていた。オレの肚はきまっていたのだ。ここを死場所と覚悟をきめて一心不乱に仕事に精をうちこむだけだ。 チイサ
- 758 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:59:13.10 MEVE.net
- むしろ残って頑張ってる奴をより応援しちゃうぜ
- 759 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:59:22.10 0EVE.net
- すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
が死んだわ」 と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。 オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あど
けない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身《うつしみ》にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であるこ
とがすでに定められたようなものだった。 どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村
人に信心された。 長者がまッさきに打ちこんだ。「耳男があまたの蛇を生き裂きにして逆吊りにかけ生き血をあびながら咒いをこめて造ったバケモノだから、その怖ろしさにホーソー神も近づくことができないのだな」
ヒメの言葉をうけうりして吹聴した。 バケモノは山上の長者の邸の門前から運び降ろされて、山の下の池のフチの三ツ又のにわか造りのホコラの中に鎮座した。遠い村から拝みにくる人も少くなかった。そしてオレは
たちまち名人ともてはやされたが、その上の大評判をとったのは夜長ヒメであった。オレの手になるバケモノが間に合って長者の一家を護ったのもヒメの力によるというのだ。尊い神がヒメの生き身に宿っておられる。尊
い神の化身であるという評判がたちまち村々へひろがった。 山下のホコラへオレのバケモノを拝みにきた人々のうちには、山上の長者の邸の門前へきてぬかずいて拝んで帰る者もあったし、門前へお供え物を置いて行く
者もあった。 ヒメはお供え物のカブや菜ッ葉をオレに示して、言った。「これはお前がうけた物よ。おいしく煮てお食べ」 ヒメの顔はニコニコとかがやいていた。オレはヒメがからかいに来たと見て、ムッとした。そ
して答えた。「天下|名題《なだい》のホトケを造ったヒダのタクミはたくさん居りますが、お供え物をいただいた話はききませんや。生き神様のお供え物にきまっているから、おいしく煮ておあがり下さい」 ヒメの笑
顔はオレの言葉にとりあわなかった。ヒメは言った。「耳男よ。お前が造ったバケモノはほんとうにホーソー神を睨み返してくれたのよ。私は毎日楼の上からそれを見ていたわ」 オレは呆れてヒメの笑顔を見つめた。し
かし、ヒメの心はとうてい量りがたいものであった。 ヒメはさらに云った。「耳男よ。お前が楼にあがって私と同じ物を見ていても、お前のバケモノがホーソー神を睨み返してくれるのを見ることができなかったでしょ
うよ。お前の小屋が燃えたときから、お前の目は見えなくなってしまったから。そして、お前がいまお造りのミロクには、お爺さんやお婆さんの頭痛をやわらげる力もないわ」 ヒメは冴え冴えとオレを見つめた。そして
、ふりむいて立去った。オレの手にカブと菜ッ葉がのこっていた。 オレはヒメの魔法にかけられてトリコになってしまったように思った。怖ろしいヒメだと思った。たしかに人力を超えたヒメかも知れぬと思った。しか
し、オレがいま造っているミロクには爺さん婆さんの頭痛をやわらげる力もないとは、どういうことだろう。「あのバケモノには子供を泣かせる力もないが、ミロクには何かがある筈だ。すくなくともオレという人間のタ
マシイがそッくり乗りうつッているだろう」 オレは確信をもってこう云えるように思ったが、オレの確信の根元からゆりうごかしてくずすものはヒメの笑顔であった。オレが見失ってしまったものが確かにどこかにある
ようにも思われて、たよりなくて、ふと、たまらなく切ない思いを感じるようになってしまった。 ホーソー神が通りすぎて五十日もたたぬうちに、今度はちがった疫病が村をこえ里をこえて渡ってきた。夏がきて、熱い
日ざかりがつづいていた。 また人々は日ざかりに雨戸をおろして神仏に祈ってくらした。しかし、ホーソー神の通るあいだ畑を耕していなかったから、今度も畑を耕さないと食べる物が尽きていた。そこで百姓はおのの
きながら野良へでてクワを振りあげ振りおろしたが、朝は元気で出たのが、日ざかりの畑でキリキリ舞いをしたあげく、しばらく畑を這いまわってことぎれる者も少くなかった。 山の下の三ツ又のバケモノのホコラを拝
みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。「尊いヒメの神よ。悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日ざかりに雨戸をとざして、人々は息をころして暮していた。ヒメだ
- 760 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:59:36.76 0EVE.net
- 運営から配信にあれこれやれって指示されたとして、
結果出てない以上は普通はいくつかは従わんか?
- 761 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:59:38.53 0EVE.net
- うよ。お前の小屋が燃えたときから、お前の目は見えなくなってしまったから。そして、お前がいまお造りのミロクには、お爺さんやお婆さんの頭痛をやわらげる力もないわ」 ヒメは冴え冴えとオレを見つめた。そして
、ふりむいて立去った。オレの手にカブと菜ッ葉がのこっていた。 オレはヒメの魔法にかけられてトリコになってしまったように思った。怖ろしいヒメだと思った。たしかに人力を超えたヒメかも知れぬと思った。しか
し、オレがいま造っているミロクには爺さん婆さんの頭痛をやわらげる力もないとは、どういうことだろう。「あのバケモノには子供を泣かせる力もないが、ミロクには何かがある筈だ。すくなくともオレという人間のタ
マシイがそッくり乗りうつッているだろう」 オレは確信をもってこう云えるように思ったが、オレの確信の根元からゆりうごかしてくずすものはヒメの笑顔であった。オレが見失ってしまったものが確かにどこかにある
ようにも思われて、たよりなくて、ふと、たまらなく切ない思いを感じるようになってしまった。 ホーソー神が通りすぎて五十日もたたぬうちに、今度はちがった疫病が村をこえ里をこえて渡ってきた。夏がきて、熱い
日ざかりがつづいていた。 また人々は日ざかりに雨戸をおろして神仏に祈ってくらした。しかし、ホーソー神の通るあいだ畑を耕していなかったから、今度も畑を耕さないと食べる物が尽きていた。そこで百姓はおのの
きながら野良へでてクワを振りあげ振りおろしたが、朝は元気で出たのが、日ざかりの畑でキリキリ舞いをしたあげく、しばらく畑を這いまわってことぎれる者も少くなかった。 山の下の三ツ又のバケモノのホコラを拝
みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。「尊いヒメの神よ。悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日ざかりに雨戸をとざして、人々は息をころして暮していた。ヒメだ
けが雨戸をあけ、時に楼上から山下の村を眺めて、死者を見るたびに邸内の全ての者にきかせて歩いた。 オレの小屋へきてヒメが云った。「耳男よ。今日は私が何を見たと思う?」 ヒメの目がいつもにくらべて輝きが
深いようでもあった。ヒメは云った。「バケモノのホコラへ拝みにきて、ホコラの前でキリキリ舞いをして、ホコラにとりすがって死んだお婆さんを見たのよ」 オレは云ってやった。「あのバケモノの奴も今度の疫病神
は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
- 762 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 04:59:54.64 0EVE.net
- かなかった。さらにヒメは下界の諸方に目を転じて飽かず眺めふけった。そして、呟いた。「野良にでて働く人の姿が多いわ。ホーソーの時には野良にでている人の姿が見られなかったものでしたのに。バケモノのホコラ
へ拝みに来て死ぬ人もあるのに、野良の人々は無事なのね」 オレは小屋にこもって仕事にふけっているだけだから、邸内の人々とも殆ど交渉がなかったし、まして邸外とは交渉がなかった。だから村里を襲っている疫病
の怖ろしい噂を時たま聞くことがあっても、オレにとっては別天地の出来事で、身にしみる思いに打たれたことはなかった。オレのバケモノが魔よけの神様にまつりあげられ、オレが名人ともてはやされていると聞いても
、それすらも別天地の出来事であった。 オレははじめて高楼から村を眺めた。それは裏の山から村を見下す風景の距離をちぢめただけのものだが、バケモノのホコラにすがりついて死んでいる人の姿を見ると、それもわ
が身にかかわりのないソラゾラしい眺めながらも、人里の哀れさが目にしみもした。あんなバケモノが魔よけの役に立たないのは分りきっているのに、そのホコラにすがりついて死ぬ人があるとは罪な話だ。いッそ焼き払
ってしまえばいいのに、とオレは思った。オレが罪を犯しているような味気ない思いにかられもした。 ヒメは下界の眺めにタンノーして、ふりむいた。そして、オレに命じた。「袋の中の蛇を一匹ずつ生き裂きにして血
をしぼってちょうだい。お前はその血をしぼって、どうしたの?」「オレはチョコにうけて飲みましたよ」「十匹も、二十匹も?」「一度にそうは飲めませんが、飲みたくなけりゃそのへんへぶッかけるだけのことですよ
」「そして裂き殺した蛇を天井に吊るしたのね」「そうですよ」「お前がしたと同じことをしてちょうだい。生き血だけは私が飲みます。早くよ」 ヒメの命令には従う以外に手のないオレであった。オレは生き血をうけ
るチョコや、蛇を天井へ吊るすための道具を運びあげて、袋の蛇を一匹ずつ裂いて生き血をしぼり、順に天井へ吊るした。 オレはまさかと思っていたが、ヒメはたじろぐ色もなく、ニッコリと無邪気に笑って、生き血を
一息にのみほした。それを見るまではさほどのこととは思わなかったが、その時からはあまりの怖ろしさに、蛇をさく馴れた手までが狂いがちであった。 オレも三年の間、数の知れない蛇を裂いて生き血をのみ死体を天
井に逆吊りにしたが、オレが自分ですることだから怖ろしいとも異様とも思わなかった。 ヒメは蛇の生き血をのみ、蛇体を高楼に逆吊りにして、何をするつもりなのだろう。目的の善悪がどうあろうとも、高楼にのぼり
、ためらう色もなくニッコリと蛇の生き血を飲みほすヒメはあまり無邪気で、怖ろしかった。 ヒメは三匹目の生き血までは一息に飲みほした。四匹目からは屋根や床上へまきちらした。 オレが袋の中の蛇をみんな裂い
て吊るし終ると、ヒメは言った。「もう一ッぺん山へ行って袋にいっぱい蛇をとってきてよ。陽のあるうちは、何べんもよ。この天井にいっぱい吊るすまでは、今日も、明日も、明後日も。早く」 もう一度だけ蛇とりに
行ってくると、その日はもうたそがれてしまった。ヒメの笑顔には無念そうな翳がさした。吊るされた蛇と、吊るされていない空間とを、充ち足りたように、また無念げに、ヒメの笑顔はしばし高楼の天井を見上げて動か
なかった。「明日は朝早くから出かけてよ。何べんもね。そして、ドッサリとってちょうだい」 ヒメは心残りげに、たそがれの村を見下した。そして、オレに言った。「ほら。お婆さんの死体を片づけに、ホコラの前に
人が集っているわ。あんなに、たくさんの人が」 ヒメの笑顔はかがやきを増した。「ホーソーの時は、いつもせいぜい二三人の人がションボリ死体を運んでいたのに、今度は人々がまだ生き生きとしているのね。私の目
に見える村の人々がみんなキリキリ舞いをして死んで欲しいわ。その次には私の目に見えない人たちも。畑の人も、野の人も、山の人も、森の人も、家の中の人も、みんな死んで欲しいわ」 オレは冷水をあびせかけられ
たように、すくんで動けなくなってしまった。ヒメの声はすきとおるように静かで無邪気であったから、尚のこと、この上もなく怖ろしいものに思われた。ヒメが蛇の生き血をのみ、蛇の死体を高楼に吊るしているのは、
村の人々がみんな死ぬことを祈っているのだ。 オレは居たたまらずに一散に逃げたいと思いながら、オレの足はすくんでいたし、心もすくんでいた。オレはヒメが憎いとはついぞ思ったことがないが、このヒメが生きて
いるのは怖ろしいということをその時はじめて考えた。 しらじら明けに、ちゃんと目がさめた。ヒメのいいつけが身にしみて、ちょうどその時間に目がさめるほどオレの心は縛られていた。 オレは心の重さにたえがた
- 763 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:00:00.99 0EVE.net
- >>733
らんは悪意とか、強心臓とかじゃなくて何も考えてないだけだと思う
話振られた側内心ヒヤヒヤやろ
- 764 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:00:10.96 0EVE.net
- レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
。 オレはそれまで親方にほめられたことは一度もなかった。もっとも、誰をほめたこともない親方ではあったが、それにしても、この突然のホメ言葉はオレをまったく驚愕させた。当のオレがそれほどだから、多くの古
い弟子たちが親方はモウロクして途方もないことを口走ってしまったものだと云いふらしたのは、あながち嫉みのせいだけではなかったのである。 夜長の長者の使者アナマロも兄弟子たちの言い分に理があるようだと考
えた。そこでオレをひそかに別室へよんで、「お前の師匠はモウロクしてあんなことを云ったが、まさかお前は長者の招きに進んで応じるほど向う見ずではあるまいな」 こう云われると、オレはムラムラと腹が立った。
その時まで親方の言葉を疑ったり、自分の腕に不安を感じていたのが一時に掻き消えて、顔に血がこみあげた。「オレの腕じゃア不足なほど、夜長の長者は尊い人ですかい。はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だと
いう寺は天下に一ツもない筈だ」 オレは目もくらみ耳もふさがり、叫びたてるわが姿をトキをつくるのようだと思ったほどだ。アナマロは苦笑した。「相弟子どもと鎮守のホコラを造るのとはワケがちがうぞ。お前が腕
くらべをするのは、お前の師と並んでヒダの三名人とうたわれている青ガサとフル釜だぞ」「青ガサもフル釜も、親方すらも怖ろしいと思うものか。オレが一心不乱にやれば、オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだ
けだ」 アナマロはあわれんで溜息をもらすような面持であったが、どう思い直してか、オレを親方の代りに長者の邸へ連れていった。「キサマは仕合せ者だな。キサマの造った品物がオメガネにかなう筈はないが、日本
中の男という男がまだ見ぬ恋に胸をこがしている夜長姫サマの御身ちかくで暮すことができるのだからさ。せいぜい仕事を長びかせて、一時も長く逗留の工夫をめぐらすがよい。どうせかなわぬ仕事の工夫はいらぬことだ
」 道々、アナマロはこんなことを云ってオレをイラだたせた。「どうせかなわぬオレを連れて行くことはありますまい」「そこが虫のカゲンだな。キサマは運のいい奴だ」 オレは旅の途中でアナマロに別れて幾度か立
ち帰ろうと思った。しかし、青ガサやフル釜と技を競う名誉がオレを誘惑した。彼らを怖れて逃げたと思われるのが心外であった。オレは自分に云いきかせた。「一心不乱に、オレのイノチを打ちこんだ仕事をやりとげれ
ばそれでいいのだ。目玉がフシアナ同然の奴らのメガネにかなわなくとも、それがなんだ。オレが刻んだ仏像を道のホコラに安置して、その下に穴を掘って、土に埋もれて死ぬだけのことだ」 たしかにオレは生きて帰ら
ぬような悲痛な覚悟を胸にかためていた。つまりは青ガサやフル釜を怖れる心のせいであろう。正直なところ、自信はなかった。 長者の邸へ着いた翌日、アナマロにみちびかれて奥の庭で、長者に会って挨拶した。長者
はまるまるとふとり、頬がたるんで、福の神のような恰好の人であった。 かたわらに夜長ヒメがいた。長者の頭にシラガが生えそめたころにようやく生れた一粒種だから、一夜ごとに二握りの黄金を百夜にかけてしぼら
せ、したたる露をあつめて産湯をつかわせたと云われていた。その露がしみたために、ヒメの身体は生れながらに光りかがやき、黄金の香りがすると云われていた。 オレは一心不乱にヒメを見つめなければならないと思
った。なぜなら、親方が常にこう言いきかせていたからだ。「珍しい人や物に出会ったときは目を放すな。オレの師匠がそう云っていた。そして、師匠はそのまた師匠にそう云われ、そのまた師匠のそのまた師匠のまたま
た昔の大昔の大親の師匠の代から順くりにそう云われてきたのだぞ。大蛇に足をかまれても、目を放すな」 だからオレは夜長ヒメを見つめた。オレは小心のせいか、覚悟をきめてかからなければ人の顔を見つめることが
できなかった。しかし、気おくれをジッと押えて、見つめているうちに次第に平静にかえる満足を感じたとき、オレは親方の教訓の重大な意味が分ったような気がするのだった。のしかかるように見つめ伏せてはダメだ。
- 765 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:00:16.90 pEVE.net
- ハニスト担当はエリ年末にねじ込んで3D化させる辺り有能ぽいけどな
- 766 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:00:27.20 0EVE.net
- 「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
、お主の一命にかかわることが起るかも知れぬ」 オレは即座に肚をきめた。斧をぶらさげて立上った。「お供しましょう」「これさ」「ハッハッハ。ふざけちゃアいけませんや。はばかりながら、ヒダのタクミはガキの
- 767 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:00:33.30 aEVE.net
- いちひなはもういいかなぁ
らんひなとひなねる増やして欲しい
- 768 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:00:43.29 0EVE.net
- し、オレがいま造っているミロクには爺さん婆さんの頭痛をやわらげる力もないとは、どういうことだろう。「あのバケモノには子供を泣かせる力もないが、ミロクには何かがある筈だ。すくなくともオレという人間のタ
マシイがそッくり乗りうつッているだろう」 オレは確信をもってこう云えるように思ったが、オレの確信の根元からゆりうごかしてくずすものはヒメの笑顔であった。オレが見失ってしまったものが確かにどこかにある
ようにも思われて、たよりなくて、ふと、たまらなく切ない思いを感じるようになってしまった。 ホーソー神が通りすぎて五十日もたたぬうちに、今度はちがった疫病が村をこえ里をこえて渡ってきた。夏がきて、熱い
日ざかりがつづいていた。 また人々は日ざかりに雨戸をおろして神仏に祈ってくらした。しかし、ホーソー神の通るあいだ畑を耕していなかったから、今度も畑を耕さないと食べる物が尽きていた。そこで百姓はおのの
きながら野良へでてクワを振りあげ振りおろしたが、朝は元気で出たのが、日ざかりの畑でキリキリ舞いをしたあげく、しばらく畑を這いまわってことぎれる者も少くなかった。 山の下の三ツ又のバケモノのホコラを拝
みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。「尊いヒメの神よ。悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日ざかりに雨戸をとざして、人々は息をころして暮していた。ヒメだ
けが雨戸をあけ、時に楼上から山下の村を眺めて、死者を見るたびに邸内の全ての者にきかせて歩いた。 オレの小屋へきてヒメが云った。「耳男よ。今日は私が何を見たと思う?」 ヒメの目がいつもにくらべて輝きが
深いようでもあった。ヒメは云った。「バケモノのホコラへ拝みにきて、ホコラの前でキリキリ舞いをして、ホコラにとりすがって死んだお婆さんを見たのよ」 オレは云ってやった。「あのバケモノの奴も今度の疫病神
は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
ついてちょッと拝んでいたと思うと、にわかに立ち上ってキリキリ舞いをはじめたのよ。それからヨタヨタ這いまわって、やっとホコラに手をかけたと思うと動かなくなってしまったわ」 ヒメの目はそこにそそがれて動
かなかった。さらにヒメは下界の諸方に目を転じて飽かず眺めふけった。そして、呟いた。「野良にでて働く人の姿が多いわ。ホーソーの時には野良にでている人の姿が見られなかったものでしたのに。バケモノのホコラ
- 769 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:00:46.91 0EVE.net
- 因幡「箱内であっても他の配信者は見ないでほしい」
ここに入りたいやつおる?
- 770 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:00:59.37 0EVE.net
- 差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
、お主の一命にかかわることが起るかも知れぬ」 オレは即座に肚をきめた。斧をぶらさげて立上った。「お供しましょう」「これさ」「ハッハッハ。ふざけちゃアいけませんや。はばかりながら、ヒダのタクミはガキの
時から仕事に命を打込むものと叩きこまれているのだ。仕事のほかには命をすてる心当りもないが、腕くらべを怖れて逃げだしたと云われるよりは、そッちの方を選ぼうじゃありませんか」「長生きすれば、天下のタクミ
と世にうたわれる名人になる見込みのある奴だが、まだ若いな。一時の恥は、長生きすればそそがれるぞ」「よけいなことは、もう、よしてくれ。オレはここへ来たときから、生きて帰ることは忘れていたのさ」 アナマ
ロはあきらめた。すると、にわかに冷淡だった。「オレにつづいて参れ」 彼は先に立ってズンズン歩いた。 奥の庭へみちびかれた。縁先の土の上にムシロがしかれていた。それがオレの席であった。 オレと向い合せ
にエナコが控えていた。後手にいましめられて、じかに土の上に坐っていた。 オレの跫音《あしおと》をききつけて、エナコは首をあげた。そして、いましめを解けば跳びかかる犬のようにオレを睨んで目を放さなかっ
た。小癪な奴め、とオレは思った。「耳を斬り落されたオレが女を憎むならワケは分るが、女がオレを憎むとはワケが分らないな」 こう考えてオレはふと気がついたが、耳の痛みがとれてからは、この女を思いだしたこ
ともなかった。「考えてみるとフシギだな。オレのようなカンシャク持ちが、オレの耳を斬り落した女を咒《のろ》わないとは奇妙なことだ。オレは誰かに耳を斬り落されたことは考えても、斬り落したのがこの女だと考
えたことはめッたにない。あべこべに、女の奴めがオレを仇のように憎みきっているというのが腑に落ちないぞ」 オレの咒いの一念はあげて魔神を刻むことにこめられているから、小癪な女一匹を考えるヒマがなかった
のだろう。オレは十五の歳に仲間の一人に屋根から突き落されて手と足の骨を折ったことがある。この仲間はササイなことでオレに恨みを持っていたのだ。オレは骨を折ったので三ヵ月ほど大工の仕事はできなかったが、
親方はオレがたった一日といえども仕事を休むことを許さなかった。オレは片手と片足で、欄間のホリモノをきざまなければならなかった。骨折の怪我というものは、夜も眠ることができないほど痛むものだ。オレは泣き
泣きノミをふるッていたが、泣き泣き眠ることができない長夜の苦しみよりも、泣き泣き仕事する日中の凌ぎよいことが分ってきた。折からの満月を幸いに、夜中に起きてノミをふるい、痛さに堪えかねて悶え泣いたこと
もあったし、手をすべらせてモモにノミを突きたててしまったこともあったが、苦しみに超えたものは仕事だけだということを、あの時ほどマザ/\と思い知らされたことはない。片手片足でほった欄間だが、両手両足が
使えるようになってから眺め直して、特に手を入れる必要もなかった。 その時のことが身にしみているから、片耳を斬り落された痛みぐらいは、仕事の励みになっただけだ。今に思い知らせてやるぞと考えた。そして、
いやが上にも怖ろしい魔神の姿を思いめぐらしてゾクゾクしたが、思い知らせてやるのがこの女だとは考えたことがなかったようだ。「オレが女を咒わないのは、ワケが分るフシもあるような気がするが、女がオレを仇の
ように憎むのはワケが分らない。ひょッとすると、長者があんなことを云ったから、オレが女をほしがっていると思って咒っているのかも知れないな」 こう考えると、ワケが分ってきたように思われた。そこでムラムラ
- 771 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:01:14.67 0EVE.net
- >>686
低評価>高評価にならない限り意味ない
- 772 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:01:15.50 0EVE.net
- のだろう。オレは十五の歳に仲間の一人に屋根から突き落されて手と足の骨を折ったことがある。この仲間はササイなことでオレに恨みを持っていたのだ。オレは骨を折ったので三ヵ月ほど大工の仕事はできなかったが、
親方はオレがたった一日といえども仕事を休むことを許さなかった。オレは片手と片足で、欄間のホリモノをきざまなければならなかった。骨折の怪我というものは、夜も眠ることができないほど痛むものだ。オレは泣き
泣きノミをふるッていたが、泣き泣き眠ることができない長夜の苦しみよりも、泣き泣き仕事する日中の凌ぎよいことが分ってきた。折からの満月を幸いに、夜中に起きてノミをふるい、痛さに堪えかねて悶え泣いたこと
もあったし、手をすべらせてモモにノミを突きたててしまったこともあったが、苦しみに超えたものは仕事だけだということを、あの時ほどマザ/\と思い知らされたことはない。片手片足でほった欄間だが、両手両足が
使えるようになってから眺め直して、特に手を入れる必要もなかった。 その時のことが身にしみているから、片耳を斬り落された痛みぐらいは、仕事の励みになっただけだ。今に思い知らせてやるぞと考えた。そして、
いやが上にも怖ろしい魔神の姿を思いめぐらしてゾクゾクしたが、思い知らせてやるのがこの女だとは考えたことがなかったようだ。「オレが女を咒わないのは、ワケが分るフシもあるような気がするが、女がオレを仇の
ように憎むのはワケが分らない。ひょッとすると、長者があんなことを云ったから、オレが女をほしがっていると思って咒っているのかも知れないな」 こう考えると、ワケが分ってきたように思われた。そこでムラムラ
と怒りがこみあげた。バカな女め。キサマ欲しさに仕事をするオレと思うか。連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように手で払って捨てて行くだけのことだ。こう考えたから、オレの心は落附いた。「耳男をつれ
て参りました」 アナマロが室内に向って大声で叫んだ。するとスダレの向うに気配があって、着席した長者が云った。「アナマロはあるか」「これにおります」「耳男に沙汰を申し伝えよ」「かしこまりました」 アナ
マロはオレを睨みつけて、次のように申し渡した。「当家の女奴隷が耳男の片耳をそぎ落したときこえては、ヒダのタクミ一同にも、ヒダの国人一同にも申訳が立たない。よってエナコを死罪に処するが、耳男が仇をうけ
た当人だから、耳男の斧で首を打たせる。耳男、うて」 オレはこれをきいて、エナコがオレを仇のように睨むのは道理と思った。この疑いがはれてしまえば、あとは気にかかるものもない。オレは云ってやった。「御親
切は痛みいるが、それには及びますまい」「うてぬか」 オレはスックと立ってみせた。斧をとってズカズカと進み、エナコの直前で一睨み、凄みをきかせて睨みつけてやった。 エナコの後へまわると、斧を当てて縄を
ブツブツ切った。そして、元の座へさッさと戻ってきた。オレはわざと何も言わなかった。 アナマロが笑って云った。「エナコの死に首よりも生き首がほしいか」 これをきくとオレの顔に血がのぼった。「たわけたこ
とを。虫ケラ同然のハタ織女にヒダの耳男はてんでハナもひッかけやしねえや。東国の森に棲む虫ケラに耳をかまれただけだと思えば腹も立たない道理じゃないか。虫ケラの死に首も生き首も欲しかアねえや」 こう喚い
てやったが、顔がまッかに染まり汗が一時に溢れでたのは、オレの心を裏切るものであった。 顔が赤く染まって汗が溢れでたのは、この女の生き首が欲しい下心のせいではなかった。オレを憎むワケがあるとは思われぬ
のに女がオレを仇のように睨んでいるから、さてはオレが女をわが物にしたい下心でもあると見て咒っているのだなと考えた。そして、バカな奴め。キサマを連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように払い落して
帰るだけだと考えていた。 有りもせぬ下心を疑られては迷惑だとかねて甚だ気にかけていたことを、思いもよらずアナマロの口からきいたから、オレは虚をつかれて、うろたえてしまったのだ。一度うろたえてしまうと
、それを恥じたり気に病んだりして、オレの顔は益々熱く燃え、汗は滝の如くに湧き流れるのはいつもの例であった。「こまったことだ。残念なことだ。こんなに汗をビッショリかいて慌ててしまえば、まるでオレの下心
がたしかにそうだと白状しているように思われてしまうばかりだ」 こう考えて、オレは益々うろたえた。額から汗の玉がポタポタとしたたり落ちて、いつやむ気色もなくなってしまった。オレは観念して目を閉じた。オ
レにとってこの赤面と汗はマトモに抵抗しがたい大敵であった。観念の眼をとじてつとめて無心にふける以外に汗の雨ダレを食いとめる手段がなかった。 そのとき、ヒメの声がきこえた。「スダレをあげて」 そう命じ
- 773 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:01:31.91 0EVE.net
- がないとオレは思った。オレはノミを握りしめた。そして、いずれを選ぶべきかに尚も迷った。そのとき、ヒメの声がきこえた。「とうとう動かなくなったわ。なんて可愛いのでしょうね。お日さまが、うらやましい。日
本中の野でも里でも町でも、こんな風に死ぬ人をみんな見ていらッしゃるのね」 それをきいているうちにオレの心が変った。このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたないのだとオレは思った。 ヒメは無心に
野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
。 オレはそれまで親方にほめられたことは一度もなかった。もっとも、誰をほめたこともない親方ではあったが、それにしても、この突然のホメ言葉はオレをまったく驚愕させた。当のオレがそれほどだから、多くの古
い弟子たちが親方はモウロクして途方もないことを口走ってしまったものだと云いふらしたのは、あながち嫉みのせいだけではなかったのである。 夜長の長者の使者アナマロも兄弟子たちの言い分に理があるようだと考
えた。そこでオレをひそかに別室へよんで、「お前の師匠はモウロクしてあんなことを云ったが、まさかお前は長者の招きに進んで応じるほど向う見ずではあるまいな」 こう云われると、オレはムラムラと腹が立った。
その時まで親方の言葉を疑ったり、自分の腕に不安を感じていたのが一時に掻き消えて、顔に血がこみあげた。「オレの腕じゃア不足なほど、夜長の長者は尊い人ですかい。はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だと
いう寺は天下に一ツもない筈だ」 オレは目もくらみ耳もふさがり、叫びたてるわが姿をトキをつくるのようだと思ったほどだ。アナマロは苦笑した。「相弟子どもと鎮守のホコラを造るのとはワケがちがうぞ。お前が腕
くらべをするのは、お前の師と並んでヒダの三名人とうたわれている青ガサとフル釜だぞ」「青ガサもフル釜も、親方すらも怖ろしいと思うものか。オレが一心不乱にやれば、オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだ
けだ」 アナマロはあわれんで溜息をもらすような面持であったが、どう思い直してか、オレを親方の代りに長者の邸へ連れていった。「キサマは仕合せ者だな。キサマの造った品物がオメガネにかなう筈はないが、日本
中の男という男がまだ見ぬ恋に胸をこがしている夜長姫サマの御身ちかくで暮すことができるのだからさ。せいぜい仕事を長びかせて、一時も長く逗留の工夫をめぐらすがよい。どうせかなわぬ仕事の工夫はいらぬことだ
- 774 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:01:41.76 0EVE.net
- >>760
内容次第だな、その内容が分からないからその答えは見つからない
- 775 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:01:42.57 0EVE.net
- >>765
ぶっちゃけこっちもコラボ相手とか案件配役とか割といい感じだが
- 776 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:01:48.00 0EVE.net
- 、どうすることもできない時間がすぎた。オレは突然ふりむいて走っていた。他に適当な行動や落附いた言葉などを発すべきだと思いつきながら、もっとも欲しない、そして思いがけない行動を起してしまったのである。
オレはオレの部屋の前まで走っていった。それから、門の外まで走って出た。それから歩いたが、また、走った。居たたまらなかったのだ。オレは川の流れに沿うて山の雑木林にわけ入り、滝の下で長い時間岩に腰かけ
ていた。午《ひる》がすぎた。腹がへった。しかし、日が暮れかかるまでは長者の邸へ戻る力が起らなかった。 オレに五六日おくれて青ガサが着いた。また五六日おくれて、フル釜の代りに倅《せがれ》の小釜(チイサ
ガマ)が到着した。それを見ると青ガサは失笑して云った。「馬耳の師匠だけかと思ったら、フル釜もか。この青ガサに勝てぬと見たのは殊勝なことだが、身代りの二人の小者が気の毒だ」 ヒメがオレを馬に見立ててか
ら、人々はオレをウマミミとよぶようになっていた。 オレは青ガサの高慢が憎いと思ったが、だまっていた。オレの肚はきまっていたのだ。ここを死場所と覚悟をきめて一心不乱に仕事に精をうちこむだけだ。 チイサ
釜はオレの七ツ兄だった。彼の父のフル釜も病気と称して倅を代りに差し向けたが、取沙汰では仮病であったと云われていた。使者のアナマロが一番おそく彼を迎えにでかけたので腹を立てたのだそうだ。しかし、チイサ
釜が父に劣らぬタクミであるということはすでに評判があったから、オレの場合のように意外な身代りではなかったのである。 チイサ釜は腕によほどの覚えがあるのか、青ガサの高慢を眉の毛の一筋すらも動かすことな
く聞きながした。そして、青ガサにも、またオレにも、同じように鄭重《ていちょう》に挨拶した。ひどく落附いた奴だと思って薄気味がわるかったが、その後だんだん見ていると、奴はオハヨウ、コンチハ、コンバンハ
、などの挨拶以外には人に話しかけないことが分った。 オレが気がついたと同じことを、青ガサも気がついた。そして彼はチイサ釜に云った。「オメエはどういうわけで挨拶の口上だけはヌカリなく述べやがるんだ。ま
るでヒタイへとまったハエは手で払うものだときめたようにウルサイぞ。タクミの手はノミを使うが、一々ハエを追うために肩の骨が延びてきたわけではあるまい。人の口は必要を弁じるために孔があいているのだが、朝
晩の挨拶なんぞは、舌を出しても、屁をたれても間に合うものだ」 オレはこれをきいて、ズケズケと物を云う青ガサがなんとなく気に入った。 三人のタクミが揃ったので、正式に長者の前へ召されて、このたびの仕事
を申し渡された。ヒメの持仏をつくるためだと聞いていたが、くわしいことはまだ知らされていなかったのだ。 長者はかたえのヒメを見やって云った。「このヒメの今生後生をまもりたもう尊いホトケの御姿を刻んでも
らいたいものだ。持仏堂におさめて、ヒメが朝夕拝むものだが、ミホトケの御姿と、それをおさめるズシがほしい。ミホトケはミロクボサツ。その他は銘々の工夫にまかせるが、ヒメの十六の正月までに仕上げてもらいた
い」 三名のタクミがその仕事を正式に受けて挨拶を終ると、酒肴が運ばれた。長者とヒメは正面に一段高く、左手には三名のタクミの膳が、右手にも三ツの膳が並べられた。そこにはまだ人の姿が見えなかったが、たぶ
んアナマロと、その他の二名の重立つ者の座であろうとオレは考えていた。ところが、アナマロがみちびいてきたのは二人の女であった。 長者は二人の女をオレたちにひき合せて、こう云った。「向うの高い山をこえ、
その向うのミズウミをこえ、そのまた向うのひろい野をこえると、石と岩だけでできた高い山がある。その山を泣いてこえると、またひろい野があって、そのまた向うに霧の深い山がある。またその山を泣いてこえると、
ひろいひろい森があって森の中を大きな川が流れている。その森を三日がかりで泣きながら通りぬけると、何千という、泉が湧き出している里があるのだよ。その里には一ツの木蔭の一ツの泉ごとに一人の娘がハタを織っ
ているそうな。その里の一番大きな木の下の一番キレイな泉のそばでハタを織っていたのが一番美しい娘で、ここにいる若い方の人がその娘だよ。この娘がハタを織るようになるまでは娘のお母さんが織っていたが、それ
がこッちの年をとった女の人だよ。その里から虹の橋を渡ってはるばるとヒメの着物を織るためにヒダの奥まで来てくれたのだ。お母さんを月待(ツキマチ)と云い、娘を江奈古(エナコ)と云う。ヒメの気に入ったミホ
トケを造った者には、美しいエナコをホービに進ぜよう」 長者が金にあかして買い入れたハタを織る美しい奴隷なのだ。オレの生れたヒダの国へも他国から奴隷を買いにくる者があるが、それは男の奴隷で、そしてオレ
- 777 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:01:51.24 pEVE.net
- >>769
いきなりすぎる不自然だわ
- 778 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:02:04.08 0EVE.net
- もやそのサヤは払うまいとまたオレは考えた。 可憐なヒメは無邪気にイタズラをたのしんでいる。その明るい笑顔を見るがよい。虫も殺さぬ笑顔とは、このことだ。イタズラをたのしむ亢奮もなければ、何かを企む翳り
もない。童女そのものの笑顔であった。 オレはこう思った。問題は、エナコが巧みな言葉で手に受けた懐剣をヒメに返すことができるかどうか、ということだ。まんまと懐剣をせしめることができるほど巧みな言葉を思
いつけば、尚のこと面白い。それに応じて、オレがうまいこと警句の一ツも合せることができれば、この上もなしであろう。ヒメは満足してスダレをおろすに相違ない。 オレがこう考えたのは、あとで思えばフシギなこ
とだ。なぜなら、ヒメはエナコに懐剣を与えて、オレの耳を斬れと命じているのだし、オレが片耳を失ったのもその大本はと云えばヒメからではないか。そして、オレが怖ろしい魔神の像をきざんでやるぞと心をきめたの
もヒメのため。その像を見ておどろく人もまずヒメでなければならぬ筈だ。そのヒメがエナコに懐剣を与えてオレの耳を斬り落せと命じているのに、オレがそれを幸福な遊びのひとときだとふと考えていたのは、思えばフ
シギなことであった。ヒメの冴え冴えとした笑顔、澄んだツブラな目のせいであろうか。オレは夢を見たようにフシギでならぬ。 オレはエナコが刀のサヤを払うまいと思ったから、その思いを目にこめてウットリとヒメ
の笑顔に見とれた。思えばこれが何よりの不覚、心の隙であったろう。 オレがすさまじい気魄に気がついて目を転じたとき、すでにエナコはズカズカとオレの目の前に進んでいた。 シマッタ! とオレは思った。エナ
コはオレの鼻先で懐剣のサヤを払い、オレの耳の尖《さき》をつまんだ。 オレは他の全てを忘れて、ヒメを見た。ヒメの言葉がある筈だ。エナコに与えるヒメの言葉が。あの冴え冴えと澄んだ童女の笑顔から当然ほとば
しる鶴の一声が。 オレは茫然とヒメの顔を見つめた。冴えた無邪気な笑顔を。ツブラな澄みきった目を。そしてオレは放心した。このようにしているうちに順を追うてオレの耳が斬り落されるのをオレはみんな知ってい
たが、オレの目はヒメの顔を見つめたままどうすることもできなかったし、オレの心は目にこもる放心が全部であった。オレは耳をそぎ落されたのちも、ヒメをボンヤリ仰ぎ見ていた。 オレの耳がそがれたとき、オレは
ヒメのツブラな目が生き生きとまるく大きく冴えるのを見た。ヒメの頬にやや赤みがさした。軽い満足があらわれて、すぐさま消えた。すると笑いも消えていた。ひどく真剣な顔だった。考え深そうな顔でもあった。なん
だ、これで全部か、とヒメは怒っているように見えた。すると、ふりむいて、ヒメは物も云わず立ち去ってしまった。 ヒメが立ち去ろうとするとき、オレの目に一粒ずつの大粒の涙がたまっているのに気がついた。 そ
れからの足かけ三年というものは、オレの戦いの歴史であった。 オレは小屋にとじこもってノミをふるッていただけだが、オレがノミをふるう力は、オレの目に残るヒメの笑顔に押されつづけていた。オレはそれを押し
返すために必死に戦わなければならなかった。 オレがヒメに自然に見とれてしまったことは、オレがどのようにあがいても所詮勝味がないように思われたが、オレは是が非でも押し返して、怖ろしいモノノケの像をつく
らなければとあせった。 オレはひるむ心が起ったとき水を浴びることを思いついた。十パイ二十パイと気が遠くなるほど水を浴びた。また、ゴマをたくことから思いついて、オレは松ヤニをいぶした。また足のウラの土
フマズに火を当てて焼いた。それらはすべてオレの心をふるい起して、襲いかかるように仕事にはげむためであった。 オレの小屋のまわりはジメジメした草むらで無数の蛇の棲み家だから、小屋の中にも蛇は遠慮なくも
ぐりこんできたが、オレはそれをひッさいて生き血をのんだ。そして蛇の死体を天井から吊るした。蛇の怨霊がオレにのりうつり、また仕事にものりうつれとオレは念じた。 オレは心のひるむたびに草むらにでて蛇をと
り、ひッさいて生き血をしぼり、一息に呷《あお》って、のこるのを造りかけのモノノケの像にしたたらせた。 日に七匹、また十匹ととったから、一夏を終らぬうちに、小屋のまわりの草むらの蛇は絶えてしまった。オ
レは山に入って日に一袋の蛇をとった。 小屋の天井は吊るした蛇の死体で一パイになった。ウジがたかり、ムンムンと臭気がたちこめ、風にゆれ、冬がくるとカサカサと風に鳴った。 吊るした蛇がいッせいに襲いかか
ってくるような幻を見ると、オレはかえって力がわいた。蛇の怨霊がオレにこもって、オレが蛇の化身となって生れ変った気がしたからだ。そして、こうしなければ、オレは仕事をつづけることができなかったのだ。 オ
- 779 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:02:17.81 0EVE.net
- >>717
らんたろうはそうだけど最近のお稲荷は楽しそうに延々雑談してたぞ
- 780 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:02:18.75 0EVE.net
- >>736
Deceitななしはいつものいじられキャラだった
宗谷さんも仲良くネタにして減給するぞとか言ってた
格付けの時は明らかにメンバーがななしの顔に嫌悪感を覚えてた
また、延期せず強行する姿勢もDeceitの時とは違っていた
この間のどこかで変わったと考えられる
- 781 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:02:20.18 0EVE.net
- た。カガシに足が生えて、左右にくの字をふみながらユラユラと小さな円を踏み廻っているようだ。バッタリ倒れて、這いはじめた。オレは目をとじて、退いた。顔も、胸も、背中も、汗でいっぱいだった。「ヒメが村の
人間をみな殺しにしてしまう」 オレはそれをハッキリ信じた。オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時、この村の最後の一人が息をひきとるに相違ない。 オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だか
ら、何十本もの蛇の死体が調子をそろえてゆるやかにゆれ、隙間からキレイな青空が見えた。閉めきったオレの小屋では、こんなことは見かけることができなかったが、ぶらさがった蛇の死体までがこんなに美しいという
ことは、なんということだろうとオレは思った。こんなことは人間世界のことではないとオレは思った。 オレが逆吊りにした蛇の死体をオレの手が斬り落すか、ここからオレが逃げ去るか、どっちか一ツを選ぶより仕方
がないとオレは思った。オレはノミを握りしめた。そして、いずれを選ぶべきかに尚も迷った。そのとき、ヒメの声がきこえた。「とうとう動かなくなったわ。なんて可愛いのでしょうね。お日さまが、うらやましい。日
本中の野でも里でも町でも、こんな風に死ぬ人をみんな見ていらッしゃるのね」 それをきいているうちにオレの心が変った。このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたないのだとオレは思った。 ヒメは無心に
野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
。 オレはそれまで親方にほめられたことは一度もなかった。もっとも、誰をほめたこともない親方ではあったが、それにしても、この突然のホメ言葉はオレをまったく驚愕させた。当のオレがそれほどだから、多くの古
い弟子たちが親方はモウロクして途方もないことを口走ってしまったものだと云いふらしたのは、あながち嫉みのせいだけではなかったのである。 夜長の長者の使者アナマロも兄弟子たちの言い分に理があるようだと考
えた。そこでオレをひそかに別室へよんで、「お前の師匠はモウロクしてあんなことを云ったが、まさかお前は長者の招きに進んで応じるほど向う見ずではあるまいな」 こう云われると、オレはムラムラと腹が立った。
その時まで親方の言葉を疑ったり、自分の腕に不安を感じていたのが一時に掻き消えて、顔に血がこみあげた。「オレの腕じゃア不足なほど、夜長の長者は尊い人ですかい。はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だと
- 782 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:02:36.59 0EVE.net
- に仕立て直しておいたのです」 オレはもうこれしきのことでは驚かなくなっていたが、長者の顔が蒼ざめた。ヒメはニコニコとオレを見つめていた。 そのころ、この山奥にまでホーソーがはやり、あの村にも、この里
にも、死ぬ者がキリもなかった。疫病はついにこの村にも押し寄せたから、家ごとに疫病除けの護符をはり、白昼もかたく戸を閉して、一家ヒタイを集めて日夜神仏に祈っていたが、悪魔はどの隙間から忍びこんでくるも
のやら、日ましに死ぬ者が多くなる一方だった。 長者の家でも広い邸内の雨戸をおろして家族は日中も息を殺していたが、ヒメの部屋だけは、ヒメが雨戸を閉めさせなかった。「耳男の造ったバケモノの像は、耳男が無
数の蛇を裂き殺して逆吊りにして、生き血をあびながら咒いをこめて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなるらしいわ。ほかに取得もなさそうなバケモノだから、門の外へ飾ってごらん」 ヒメは人に
命じて、ズシごと門前へすえさせた。長者の邸には高楼があった。ヒメは時々高楼にのぼって村を眺めたが、村はずれの森の中に死者をすてに行くために運ぶ者の姿を見ると、ヒメは一日は充ち足りた様子であった。 オ
レは青ガサが残した小屋で、今度こそヒメの持仏のミロクの像に精魂かたむけていた。ホトケの顔にヒメの笑顔をうつすのがオレの考えであった。 この邸内で人間らしくうごいているのは、ヒメとオレの二人だけであっ
た。 ミロクにヒメの笑顔をうつして持仏を刻んでいるときいてヒメは一応満足の風ではあったが、実はオレの仕事を気にかけている様子はなかった。ヒメはオレの仕事のはかどりを見に来たことはついぞなかった。小屋
に姿を現すのは、死者を森へすてに行く人群れを見かけたときにきまっていた。特にオレを選んでそれをきかせに来るのではなく、邸内の一人々々にもれなく聞かせてまわるのがヒメのたのしみの様子であった。「今日も
死んだ人があるのよ」 それをきかせるときも、ニコニコとたのしそうであった。ついでに仏像の出来ぐあいを見て行くようなことはなかった。それには一目もくれなかった。そして長くはとどまらなかった。 オレはヒ
メになぶられているのではないかと疑っていた。さりげない風を見せているが、実はやっぱり元日にオレを殺すつもりであったに相違ないとオレは時々考えた。なぜなら、ヒメはオレの造ったバケモノを疫病よけに門前へ
すえさせたとき、「耳男が無数の蛇を裂き殺して逆さに吊り、蛇の生き血をあびながら咒いをかけて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなりそうね。ほかに取得もなさそうですから、門の前へ飾ってご
らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
- 783 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:02:52.68 0EVE.net
- がこッちの年をとった女の人だよ。その里から虹の橋を渡ってはるばるとヒメの着物を織るためにヒダの奥まで来てくれたのだ。お母さんを月待(ツキマチ)と云い、娘を江奈古(エナコ)と云う。ヒメの気に入ったミホ
トケを造った者には、美しいエナコをホービに進ぜよう」 長者が金にあかして買い入れたハタを織る美しい奴隷なのだ。オレの生れたヒダの国へも他国から奴隷を買いにくる者があるが、それは男の奴隷で、そしてオレ
のようなタクミが奴隷に買われて行くのさ。しかし、やむにやまれぬ必要のために遠い国から買いにくるのだから、奴隷は大切に扱われ、第一等のお客様と同じようにもてなしを受けるそうだが、それも仕事が出来あがる
までの話さ。仕事が終って無用になれば金で買った奴隷だから、人にくれてやることも、ウワバミにくれてやることも主人の勝手だ。だから遠国へ買われて行くことを好むタクミはいないが、女の身なら尚さらのことであ
ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
- 784 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:02:57.49 0EVE.net
- V配信用の初期投資と給料もらってるくせに、ろくに稼げないわ好きにやらせろって普通に糞じゃん
はねるぐらい稼いでグッズも売れてたら口出しされなかっただろろうに
- 785 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:03:09.07 0EVE.net
- 本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
が死んだわ」 と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。 オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あど
けない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身《うつしみ》にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であるこ
とがすでに定められたようなものだった。 どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村
人に信心された。 長者がまッさきに打ちこんだ。「耳男があまたの蛇を生き裂きにして逆吊りにかけ生き血をあびながら咒いをこめて造ったバケモノだから、その怖ろしさにホーソー神も近づくことができないのだな」
ヒメの言葉をうけうりして吹聴した。 バケモノは山上の長者の邸の門前から運び降ろされて、山の下の池のフチの三ツ又のにわか造りのホコラの中に鎮座した。遠い村から拝みにくる人も少くなかった。そしてオレは
たちまち名人ともてはやされたが、その上の大評判をとったのは夜長ヒメであった。オレの手になるバケモノが間に合って長者の一家を護ったのもヒメの力によるというのだ。尊い神がヒメの生き身に宿っておられる。尊
い神の化身であるという評判がたちまち村々へひろがった。 山下のホコラへオレのバケモノを拝みにきた人々のうちには、山上の長者の邸の門前へきてぬかずいて拝んで帰る者もあったし、門前へお供え物を置いて行く
者もあった。 ヒメはお供え物のカブや菜ッ葉をオレに示して、言った。「これはお前がうけた物よ。おいしく煮てお食べ」 ヒメの顔はニコニコとかがやいていた。オレはヒメがからかいに来たと見て、ムッとした。そ
して答えた。「天下|名題《なだい》のホトケを造ったヒダのタクミはたくさん居りますが、お供え物をいただいた話はききませんや。生き神様のお供え物にきまっているから、おいしく煮ておあがり下さい」 ヒメの笑
顔はオレの言葉にとりあわなかった。ヒメは言った。「耳男よ。お前が造ったバケモノはほんとうにホーソー神を睨み返してくれたのよ。私は毎日楼の上からそれを見ていたわ」 オレは呆れてヒメの笑顔を見つめた。し
かし、ヒメの心はとうてい量りがたいものであった。 ヒメはさらに云った。「耳男よ。お前が楼にあがって私と同じ物を見ていても、お前のバケモノがホーソー神を睨み返してくれるのを見ることができなかったでしょ
うよ。お前の小屋が燃えたときから、お前の目は見えなくなってしまったから。そして、お前がいまお造りのミロクには、お爺さんやお婆さんの頭痛をやわらげる力もないわ」 ヒメは冴え冴えとオレを見つめた。そして
、ふりむいて立去った。オレの手にカブと菜ッ葉がのこっていた。 オレはヒメの魔法にかけられてトリコになってしまったように思った。怖ろしいヒメだと思った。たしかに人力を超えたヒメかも知れぬと思った。しか
- 786 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:03:23.08 0EVE.net
- ドロドロしてるのは嫌いだけど、真面目に生きてる奴は好きだし尊敬してる
前の様に「仕方ない」で終わらせず向き合う姿勢も見える
むしろこの感じなら応援するよ
- 787 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:03:40.35 0EVE.net
- あっちもこっちもななし変わった感じあるし誤爆ツイとか
今のななしって両担当じゃね?
- 788 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:03:42.25 0EVE.net
- 再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
- 789 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:03:58.18 0EVE.net
- モノをくれた。そのとき、長者がつけ加えて、言った。「ヒメの気に入った像を造った者にはエナコを与えると約束したが、エナコは死んでしまったから、この約束だけは果してやれなくなったのが残念だ」 すると、そ
れをひきとって、ヒメが言った。「エナコは耳男の耳を斬り落した懐剣でノドをついて死んでいたのよ。血にそまったエナコの着物は耳男がいま下着にして身につけているのがそれよ。身代りに着せてあげるために、男物
に仕立て直しておいたのです」 オレはもうこれしきのことでは驚かなくなっていたが、長者の顔が蒼ざめた。ヒメはニコニコとオレを見つめていた。 そのころ、この山奥にまでホーソーがはやり、あの村にも、この里
にも、死ぬ者がキリもなかった。疫病はついにこの村にも押し寄せたから、家ごとに疫病除けの護符をはり、白昼もかたく戸を閉して、一家ヒタイを集めて日夜神仏に祈っていたが、悪魔はどの隙間から忍びこんでくるも
のやら、日ましに死ぬ者が多くなる一方だった。 長者の家でも広い邸内の雨戸をおろして家族は日中も息を殺していたが、ヒメの部屋だけは、ヒメが雨戸を閉めさせなかった。「耳男の造ったバケモノの像は、耳男が無
数の蛇を裂き殺して逆吊りにして、生き血をあびながら咒いをこめて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなるらしいわ。ほかに取得もなさそうなバケモノだから、門の外へ飾ってごらん」 ヒメは人に
命じて、ズシごと門前へすえさせた。長者の邸には高楼があった。ヒメは時々高楼にのぼって村を眺めたが、村はずれの森の中に死者をすてに行くために運ぶ者の姿を見ると、ヒメは一日は充ち足りた様子であった。 オ
レは青ガサが残した小屋で、今度こそヒメの持仏のミロクの像に精魂かたむけていた。ホトケの顔にヒメの笑顔をうつすのがオレの考えであった。 この邸内で人間らしくうごいているのは、ヒメとオレの二人だけであっ
た。 ミロクにヒメの笑顔をうつして持仏を刻んでいるときいてヒメは一応満足の風ではあったが、実はオレの仕事を気にかけている様子はなかった。ヒメはオレの仕事のはかどりを見に来たことはついぞなかった。小屋
に姿を現すのは、死者を森へすてに行く人群れを見かけたときにきまっていた。特にオレを選んでそれをきかせに来るのではなく、邸内の一人々々にもれなく聞かせてまわるのがヒメのたのしみの様子であった。「今日も
死んだ人があるのよ」 それをきかせるときも、ニコニコとたのしそうであった。ついでに仏像の出来ぐあいを見て行くようなことはなかった。それには一目もくれなかった。そして長くはとどまらなかった。 オレはヒ
メになぶられているのではないかと疑っていた。さりげない風を見せているが、実はやっぱり元日にオレを殺すつもりであったに相違ないとオレは時々考えた。なぜなら、ヒメはオレの造ったバケモノを疫病よけに門前へ
すえさせたとき、「耳男が無数の蛇を裂き殺して逆さに吊り、蛇の生き血をあびながら咒いをかけて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなりそうね。ほかに取得もなさそうですから、門の前へ飾ってご
らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
- 790 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:04:14.43 0EVE.net
- ているそうな。その里の一番大きな木の下の一番キレイな泉のそばでハタを織っていたのが一番美しい娘で、ここにいる若い方の人がその娘だよ。この娘がハタを織るようになるまでは娘のお母さんが織っていたが、それ
がこッちの年をとった女の人だよ。その里から虹の橋を渡ってはるばるとヒメの着物を織るためにヒダの奥まで来てくれたのだ。お母さんを月待(ツキマチ)と云い、娘を江奈古(エナコ)と云う。ヒメの気に入ったミホ
トケを造った者には、美しいエナコをホービに進ぜよう」 長者が金にあかして買い入れたハタを織る美しい奴隷なのだ。オレの生れたヒダの国へも他国から奴隷を買いにくる者があるが、それは男の奴隷で、そしてオレ
のようなタクミが奴隷に買われて行くのさ。しかし、やむにやまれぬ必要のために遠い国から買いにくるのだから、奴隷は大切に扱われ、第一等のお客様と同じようにもてなしを受けるそうだが、それも仕事が出来あがる
までの話さ。仕事が終って無用になれば金で買った奴隷だから、人にくれてやることも、ウワバミにくれてやることも主人の勝手だ。だから遠国へ買われて行くことを好むタクミはいないが、女の身なら尚さらのことであ
ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
- 791 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:04:15.81 pEVE.net
- 誤爆は前からだよ
- 792 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:04:21.36 MEVE.net
- お稲荷もせっかく自分のやりたいゲームだけしてればお金入ってくるのにそれをちょっとした運営方針変更で逃すとか勿体無さすぎる
- 793 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:04:30.64 0EVE.net
- 使えるようになってから眺め直して、特に手を入れる必要もなかった。 その時のことが身にしみているから、片耳を斬り落された痛みぐらいは、仕事の励みになっただけだ。今に思い知らせてやるぞと考えた。そして、
いやが上にも怖ろしい魔神の姿を思いめぐらしてゾクゾクしたが、思い知らせてやるのがこの女だとは考えたことがなかったようだ。「オレが女を咒わないのは、ワケが分るフシもあるような気がするが、女がオレを仇の
ように憎むのはワケが分らない。ひょッとすると、長者があんなことを云ったから、オレが女をほしがっていると思って咒っているのかも知れないな」 こう考えると、ワケが分ってきたように思われた。そこでムラムラ
と怒りがこみあげた。バカな女め。キサマ欲しさに仕事をするオレと思うか。連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように手で払って捨てて行くだけのことだ。こう考えたから、オレの心は落附いた。「耳男をつれ
て参りました」 アナマロが室内に向って大声で叫んだ。するとスダレの向うに気配があって、着席した長者が云った。「アナマロはあるか」「これにおります」「耳男に沙汰を申し伝えよ」「かしこまりました」 アナ
マロはオレを睨みつけて、次のように申し渡した。「当家の女奴隷が耳男の片耳をそぎ落したときこえては、ヒダのタクミ一同にも、ヒダの国人一同にも申訳が立たない。よってエナコを死罪に処するが、耳男が仇をうけ
た当人だから、耳男の斧で首を打たせる。耳男、うて」 オレはこれをきいて、エナコがオレを仇のように睨むのは道理と思った。この疑いがはれてしまえば、あとは気にかかるものもない。オレは云ってやった。「御親
切は痛みいるが、それには及びますまい」「うてぬか」 オレはスックと立ってみせた。斧をとってズカズカと進み、エナコの直前で一睨み、凄みをきかせて睨みつけてやった。 エナコの後へまわると、斧を当てて縄を
ブツブツ切った。そして、元の座へさッさと戻ってきた。オレはわざと何も言わなかった。 アナマロが笑って云った。「エナコの死に首よりも生き首がほしいか」 これをきくとオレの顔に血がのぼった。「たわけたこ
とを。虫ケラ同然のハタ織女にヒダの耳男はてんでハナもひッかけやしねえや。東国の森に棲む虫ケラに耳をかまれただけだと思えば腹も立たない道理じゃないか。虫ケラの死に首も生き首も欲しかアねえや」 こう喚い
てやったが、顔がまッかに染まり汗が一時に溢れでたのは、オレの心を裏切るものであった。 顔が赤く染まって汗が溢れでたのは、この女の生き首が欲しい下心のせいではなかった。オレを憎むワケがあるとは思われぬ
のに女がオレを仇のように睨んでいるから、さてはオレが女をわが物にしたい下心でもあると見て咒っているのだなと考えた。そして、バカな奴め。キサマを連れて帰れと云われても、肩に落ちた毛虫のように払い落して
帰るだけだと考えていた。 有りもせぬ下心を疑られては迷惑だとかねて甚だ気にかけていたことを、思いもよらずアナマロの口からきいたから、オレは虚をつかれて、うろたえてしまったのだ。一度うろたえてしまうと
、それを恥じたり気に病んだりして、オレの顔は益々熱く燃え、汗は滝の如くに湧き流れるのはいつもの例であった。「こまったことだ。残念なことだ。こんなに汗をビッショリかいて慌ててしまえば、まるでオレの下心
がたしかにそうだと白状しているように思われてしまうばかりだ」 こう考えて、オレは益々うろたえた。額から汗の玉がポタポタとしたたり落ちて、いつやむ気色もなくなってしまった。オレは観念して目を閉じた。オ
レにとってこの赤面と汗はマトモに抵抗しがたい大敵であった。観念の眼をとじてつとめて無心にふける以外に汗の雨ダレを食いとめる手段がなかった。 そのとき、ヒメの声がきこえた。「スダレをあげて」 そう命じ
た。たぶん侍女もいるのだろうが、オレは目を開けて確かめるのを控えた。一時も早く汗の雨ダレを食いとめるには、見たいものも見てはならぬ。オレはもう一度ジックリとヒメの顔が見たかったのだ。「耳男よ。目をあ
けて。そして、私の問いに答えて」 と、ヒメが命じた。オレはシブシブ目をあけた。スダレはまかれて、ヒメは縁に立っていた。「お前、エナコに耳を斬り落されても、虫ケラにかまれたようだッて? ほんとうにそう
?」 無邪気な明るい笑顔だとオレは思った。オレは大きくうなずいて、「ほんとうにそうです」と答えた。「あとでウソだと仰有ッてはダメよ」「そんなことは言いやしません。虫ケラだと思っているから、死に首も、
生き首もマッピラでさア」 ヒメはニッコリうなずいた。ヒメはエナコに向って云った。「エナコよ。耳男の片耳もかんでおやり。虫ケラにかまれても腹が立たないそうですから、存分にかんであげるといいわ。虫ケラの
- 794 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:04:36.95 0EVE.net
- >>760
それが出来たのがはねるらんひなこ
- 795 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:04:46.73 0EVE.net
- までの話さ。仕事が終って無用になれば金で買った奴隷だから、人にくれてやることも、ウワバミにくれてやることも主人の勝手だ。だから遠国へ買われて行くことを好むタクミはいないが、女の身なら尚さらのことであ
ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
- 796 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:04:58.62 0EVE.net
- >>765
パトラも年内3Dだしな
- 797 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:05:02.81 0EVE.net
- 一息にのみほした。それを見るまではさほどのこととは思わなかったが、その時からはあまりの怖ろしさに、蛇をさく馴れた手までが狂いがちであった。 オレも三年の間、数の知れない蛇を裂いて生き血をのみ死体を天
井に逆吊りにしたが、オレが自分ですることだから怖ろしいとも異様とも思わなかった。 ヒメは蛇の生き血をのみ、蛇体を高楼に逆吊りにして、何をするつもりなのだろう。目的の善悪がどうあろうとも、高楼にのぼり
、ためらう色もなくニッコリと蛇の生き血を飲みほすヒメはあまり無邪気で、怖ろしかった。 ヒメは三匹目の生き血までは一息に飲みほした。四匹目からは屋根や床上へまきちらした。 オレが袋の中の蛇をみんな裂い
て吊るし終ると、ヒメは言った。「もう一ッぺん山へ行って袋にいっぱい蛇をとってきてよ。陽のあるうちは、何べんもよ。この天井にいっぱい吊るすまでは、今日も、明日も、明後日も。早く」 もう一度だけ蛇とりに
行ってくると、その日はもうたそがれてしまった。ヒメの笑顔には無念そうな翳がさした。吊るされた蛇と、吊るされていない空間とを、充ち足りたように、また無念げに、ヒメの笑顔はしばし高楼の天井を見上げて動か
なかった。「明日は朝早くから出かけてよ。何べんもね。そして、ドッサリとってちょうだい」 ヒメは心残りげに、たそがれの村を見下した。そして、オレに言った。「ほら。お婆さんの死体を片づけに、ホコラの前に
人が集っているわ。あんなに、たくさんの人が」 ヒメの笑顔はかがやきを増した。「ホーソーの時は、いつもせいぜい二三人の人がションボリ死体を運んでいたのに、今度は人々がまだ生き生きとしているのね。私の目
に見える村の人々がみんなキリキリ舞いをして死んで欲しいわ。その次には私の目に見えない人たちも。畑の人も、野の人も、山の人も、森の人も、家の中の人も、みんな死んで欲しいわ」 オレは冷水をあびせかけられ
たように、すくんで動けなくなってしまった。ヒメの声はすきとおるように静かで無邪気であったから、尚のこと、この上もなく怖ろしいものに思われた。ヒメが蛇の生き血をのみ、蛇の死体を高楼に吊るしているのは、
村の人々がみんな死ぬことを祈っているのだ。 オレは居たたまらずに一散に逃げたいと思いながら、オレの足はすくんでいたし、心もすくんでいた。オレはヒメが憎いとはついぞ思ったことがないが、このヒメが生きて
いるのは怖ろしいということをその時はじめて考えた。 しらじら明けに、ちゃんと目がさめた。ヒメのいいつけが身にしみて、ちょうどその時間に目がさめるほどオレの心は縛られていた。 オレは心の重さにたえがた
かったが、袋を負うて明けきらぬ山へわけこまずにもいられなかった。そして山へわけこむと、オレは蛇をとることに必死であった。少しも早く、少しでも多く、とあせっていた。ヒメの期待に添うてやりたい一念が一途
にオレをかりたててやまなかった。 大きな袋を負うて戻ると、ヒメは高楼に待っていた。それをみんな吊し終ると、ヒメの顔はかがやいて、「まだとても早いわ。ようやく野良へ人々がでてきたばかり。今日は何べんも
、何べんも、とってきてね。早く、できるだけ精をだしてね」 オレは黙ってカラの袋を握ると山へ急いだ。オレは今朝からまだ一言もヒメに口をきかなかった。ヒメに向って物を言う力がなかったのだ。今に高楼の天井
いっぱいに蛇の死体がぶらさがるに相違ないが、そのとき、どうなるのだろうと考えると、オレは苦しくてたまらなかった。 ヒメがしていることはオレが仕事小屋でしていたことのマネゴトにすぎないようだが、オレは
単純にそう思うわけにはいかなかった。オレがあんなことをしたのは小さな余儀ない必要によってであったが、ヒメがしていることは人間が思いつくことではなかった。たまたまオレの小屋を見たからそれに似せているだ
けで、オレの小屋を見ていなければ、他の何かに似せて同じような怖ろしいことをやっている筈なのだ。 しかも、かほどのことも、まだヒメにとっては序の口であろう。ヒメの生涯に、この先なにを思いつき、なにを行
うか、それはとても人間どもの思量しうることではない。とてもオレの手に負えるヒメではないし、オレのノミもとうていヒメをつかむことはできないのだとオレはシミジミ思い知らずにいられなかった。「なるほど。ま
さしくヒメの言われる通り、いま造っているミロクなんぞはただのチッポケな人間だな。ヒメはこの青空と同じぐらい大きいような気がするな」 あんまり怖ろしいものを見てしまったとオレは思った。こんな物を見てお
いて、この先なにを支えに仕事をつづけて行けるだろうかとオレは嘆かずにいられなかった。 二度目の袋を背負って戻ると、ヒメの頬も目もかがやきに燃えてオレを迎えた。ヒメはオレにニッコリと笑いかけながら小さ
- 798 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:05:18.92 0EVE.net
- った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
- 799 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:05:35.01 0EVE.net
- いっぱいに蛇の死体がぶらさがるに相違ないが、そのとき、どうなるのだろうと考えると、オレは苦しくてたまらなかった。 ヒメがしていることはオレが仕事小屋でしていたことのマネゴトにすぎないようだが、オレは
単純にそう思うわけにはいかなかった。オレがあんなことをしたのは小さな余儀ない必要によってであったが、ヒメがしていることは人間が思いつくことではなかった。たまたまオレの小屋を見たからそれに似せているだ
けで、オレの小屋を見ていなければ、他の何かに似せて同じような怖ろしいことをやっている筈なのだ。 しかも、かほどのことも、まだヒメにとっては序の口であろう。ヒメの生涯に、この先なにを思いつき、なにを行
うか、それはとても人間どもの思量しうることではない。とてもオレの手に負えるヒメではないし、オレのノミもとうていヒメをつかむことはできないのだとオレはシミジミ思い知らずにいられなかった。「なるほど。ま
さしくヒメの言われる通り、いま造っているミロクなんぞはただのチッポケな人間だな。ヒメはこの青空と同じぐらい大きいような気がするな」 あんまり怖ろしいものを見てしまったとオレは思った。こんな物を見てお
いて、この先なにを支えに仕事をつづけて行けるだろうかとオレは嘆かずにいられなかった。 二度目の袋を背負って戻ると、ヒメの頬も目もかがやきに燃えてオレを迎えた。ヒメはオレにニッコリと笑いかけながら小さ
く叫んだ。「すばらしい!」 ヒメは指して云った。「ほら、あすこの野良に一人死んでいるでしょう。つい今しがたよ。クワを空高くかざしたと思うと取り落してキリキリ舞いをはじめたのよ。そしてあの人が動かなく
なったと思うと、ほら、あすこの野良にも一人倒れているでしょう。あの人がキリキリ舞いをはじめたのよ。そして、今しがたまで這ってうごめいていたのに」 ヒメの目はそこにジッとそそがれていた。まだうごめきや
しないかと期待しているのかも知れなかった。 オレはヒメの言葉をきいているうちに汗がジットリ浮んできた。怖れとも悲しみともつかない大きなものがこみあげて、オレはどうしてよいのか分らなくなってしまった。
オレの胸にカタマリがつかえて、ただハアハアとあえいだ。 そのときヒメの冴えわたる声がオレによびかけた。「耳男よ。ごらん! あすこに、ほら! キリキリ舞いをしはじめた人がいてよ。ほら、キリキリと舞って
いてよ。お日さまがまぶしいように。お日さまに酔ったよう」 オレはランカンに駈けよって、ヒメの示す方を見た。長者の邸のすぐ下の畑に、一人の農夫が両手をひろげて、空の下を泳ぐようにユラユラとよろめいてい
た。カガシに足が生えて、左右にくの字をふみながらユラユラと小さな円を踏み廻っているようだ。バッタリ倒れて、這いはじめた。オレは目をとじて、退いた。顔も、胸も、背中も、汗でいっぱいだった。「ヒメが村の
人間をみな殺しにしてしまう」 オレはそれをハッキリ信じた。オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時、この村の最後の一人が息をひきとるに相違ない。 オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だか
ら、何十本もの蛇の死体が調子をそろえてゆるやかにゆれ、隙間からキレイな青空が見えた。閉めきったオレの小屋では、こんなことは見かけることができなかったが、ぶらさがった蛇の死体までがこんなに美しいという
ことは、なんということだろうとオレは思った。こんなことは人間世界のことではないとオレは思った。 オレが逆吊りにした蛇の死体をオレの手が斬り落すか、ここからオレが逃げ去るか、どっちか一ツを選ぶより仕方
がないとオレは思った。オレはノミを握りしめた。そして、いずれを選ぶべきかに尚も迷った。そのとき、ヒメの声がきこえた。「とうとう動かなくなったわ。なんて可愛いのでしょうね。お日さまが、うらやましい。日
本中の野でも里でも町でも、こんな風に死ぬ人をみんな見ていらッしゃるのね」 それをきいているうちにオレの心が変った。このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたないのだとオレは思った。 ヒメは無心に
野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
- 800 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:05:51.30 0EVE.net
- また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
ついてちょッと拝んでいたと思うと、にわかに立ち上ってキリキリ舞いをはじめたのよ。それからヨタヨタ這いまわって、やっとホコラに手をかけたと思うと動かなくなってしまったわ」 ヒメの目はそこにそそがれて動
かなかった。さらにヒメは下界の諸方に目を転じて飽かず眺めふけった。そして、呟いた。「野良にでて働く人の姿が多いわ。ホーソーの時には野良にでている人の姿が見られなかったものでしたのに。バケモノのホコラ
へ拝みに来て死ぬ人もあるのに、野良の人々は無事なのね」 オレは小屋にこもって仕事にふけっているだけだから、邸内の人々とも殆ど交渉がなかったし、まして邸外とは交渉がなかった。だから村里を襲っている疫病
の怖ろしい噂を時たま聞くことがあっても、オレにとっては別天地の出来事で、身にしみる思いに打たれたことはなかった。オレのバケモノが魔よけの神様にまつりあげられ、オレが名人ともてはやされていると聞いても
、それすらも別天地の出来事であった。 オレははじめて高楼から村を眺めた。それは裏の山から村を見下す風景の距離をちぢめただけのものだが、バケモノのホコラにすがりついて死んでいる人の姿を見ると、それもわ
が身にかかわりのないソラゾラしい眺めながらも、人里の哀れさが目にしみもした。あんなバケモノが魔よけの役に立たないのは分りきっているのに、そのホコラにすがりついて死ぬ人があるとは罪な話だ。いッそ焼き払
ってしまえばいいのに、とオレは思った。オレが罪を犯しているような味気ない思いにかられもした。 ヒメは下界の眺めにタンノーして、ふりむいた。そして、オレに命じた。「袋の中の蛇を一匹ずつ生き裂きにして血
をしぼってちょうだい。お前はその血をしぼって、どうしたの?」「オレはチョコにうけて飲みましたよ」「十匹も、二十匹も?」「一度にそうは飲めませんが、飲みたくなけりゃそのへんへぶッかけるだけのことですよ
」「そして裂き殺した蛇を天井に吊るしたのね」「そうですよ」「お前がしたと同じことをしてちょうだい。生き血だけは私が飲みます。早くよ」 ヒメの命令には従う以外に手のないオレであった。オレは生き血をうけ
るチョコや、蛇を天井へ吊るすための道具を運びあげて、袋の蛇を一匹ずつ裂いて生き血をしぼり、順に天井へ吊るした。 オレはまさかと思っていたが、ヒメはたじろぐ色もなく、ニッコリと無邪気に笑って、生き血を
一息にのみほした。それを見るまではさほどのこととは思わなかったが、その時からはあまりの怖ろしさに、蛇をさく馴れた手までが狂いがちであった。 オレも三年の間、数の知れない蛇を裂いて生き血をのみ死体を天
井に逆吊りにしたが、オレが自分ですることだから怖ろしいとも異様とも思わなかった。 ヒメは蛇の生き血をのみ、蛇体を高楼に逆吊りにして、何をするつもりなのだろう。目的の善悪がどうあろうとも、高楼にのぼり
- 801 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:06:07.84 0EVE.net
- ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
- 802 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:06:22.98 0EVE.net
- 誤爆なんていまにはじまったことじゃない
- 803 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:06:25.05 0EVE.net
- 面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
- 804 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:06:35.38 0EVE.net
- 次立てといたぞ
- 805 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:06:40.98 0EVE.net
- らん」 と云ったそうだ。オレはそれを人づてにきいて、思わずすくんでしまったものだ。オレが咒いをかけて刻んだことまで知りぬいていて、オレを生かしておくヒメが怖ろしいと思った。三人のタクミの作からオレの
物を選んでおいて、疫病よけのマジナイにでも使うほかに取得もなさそうだとシャア/\と言うヒメの本当の腹の底が怖ろしかった。オレにヒキデモノを与えた元日には、ヒメの言葉に長者まで蒼ざめてしまった。ヒメの
本当の腹の底は、父の長者にも量りかねるのであろう。ヒメがそれを行う時まで、ヒメの心は全ての人に解きがたい謎であろう。いまはオレを殺すことが念頭になくとも、元日にはあったかも知れないし、また明日はある
かも知れない。ヒメがオレの何かに興味をもったということは、オレがヒメにいつ殺されてもフシギではないということであろう。 オレのミロクはどうやらヒメの無邪気な笑顔に近づいてきた。ツブラな目。尖端に珠玉
をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
が死んだわ」 と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。 オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あど
けない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身《うつしみ》にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であるこ
とがすでに定められたようなものだった。 どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村
人に信心された。 長者がまッさきに打ちこんだ。「耳男があまたの蛇を生き裂きにして逆吊りにかけ生き血をあびながら咒いをこめて造ったバケモノだから、その怖ろしさにホーソー神も近づくことができないのだな」
ヒメの言葉をうけうりして吹聴した。 バケモノは山上の長者の邸の門前から運び降ろされて、山の下の池のフチの三ツ又のにわか造りのホコラの中に鎮座した。遠い村から拝みにくる人も少くなかった。そしてオレは
たちまち名人ともてはやされたが、その上の大評判をとったのは夜長ヒメであった。オレの手になるバケモノが間に合って長者の一家を護ったのもヒメの力によるというのだ。尊い神がヒメの生き身に宿っておられる。尊
い神の化身であるという評判がたちまち村々へひろがった。 山下のホコラへオレのバケモノを拝みにきた人々のうちには、山上の長者の邸の門前へきてぬかずいて拝んで帰る者もあったし、門前へお供え物を置いて行く
者もあった。 ヒメはお供え物のカブや菜ッ葉をオレに示して、言った。「これはお前がうけた物よ。おいしく煮てお食べ」 ヒメの顔はニコニコとかがやいていた。オレはヒメがからかいに来たと見て、ムッとした。そ
して答えた。「天下|名題《なだい》のホトケを造ったヒダのタクミはたくさん居りますが、お供え物をいただいた話はききませんや。生き神様のお供え物にきまっているから、おいしく煮ておあがり下さい」 ヒメの笑
顔はオレの言葉にとりあわなかった。ヒメは言った。「耳男よ。お前が造ったバケモノはほんとうにホーソー神を睨み返してくれたのよ。私は毎日楼の上からそれを見ていたわ」 オレは呆れてヒメの笑顔を見つめた。し
かし、ヒメの心はとうてい量りがたいものであった。 ヒメはさらに云った。「耳男よ。お前が楼にあがって私と同じ物を見ていても、お前のバケモノがホーソー神を睨み返してくれるのを見ることができなかったでしょ
- 806 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:06:42.14 pEVE.net
- わいはもう次の箱の準備ができとるんや
早く爆発してくれよ
- 807 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:06:57.12 0EVE.net
- この箱ドロドロしすぎだろ
- 808 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:06:57.12 0EVE.net
- た。たぶん侍女もいるのだろうが、オレは目を開けて確かめるのを控えた。一時も早く汗の雨ダレを食いとめるには、見たいものも見てはならぬ。オレはもう一度ジックリとヒメの顔が見たかったのだ。「耳男よ。目をあ
けて。そして、私の問いに答えて」 と、ヒメが命じた。オレはシブシブ目をあけた。スダレはまかれて、ヒメは縁に立っていた。「お前、エナコに耳を斬り落されても、虫ケラにかまれたようだッて? ほんとうにそう
?」 無邪気な明るい笑顔だとオレは思った。オレは大きくうなずいて、「ほんとうにそうです」と答えた。「あとでウソだと仰有ッてはダメよ」「そんなことは言いやしません。虫ケラだと思っているから、死に首も、
生き首もマッピラでさア」 ヒメはニッコリうなずいた。ヒメはエナコに向って云った。「エナコよ。耳男の片耳もかんでおやり。虫ケラにかまれても腹が立たないそうですから、存分にかんであげるといいわ。虫ケラの
歯を貸してあげます。なくなったお母様の形見の品の一ツだけど、耳男の耳をかんだあとではお前にあげます」 ヒメは懐剣をとって侍女に渡した。侍女はそれをささげてエナコの前に差出した。 オレはエナコがよもや
それを受けとるとは考えていなかった。斧でクビを斬る代りにイマシメの縄をきりはらってやったオレの耳を斬る刀だ。 しかし、エナコは受けとった。なるほど、ヒメの与えた刀なら受けとらぬワケにはゆくまいが、よ
もやそのサヤは払うまいとまたオレは考えた。 可憐なヒメは無邪気にイタズラをたのしんでいる。その明るい笑顔を見るがよい。虫も殺さぬ笑顔とは、このことだ。イタズラをたのしむ亢奮もなければ、何かを企む翳り
もない。童女そのものの笑顔であった。 オレはこう思った。問題は、エナコが巧みな言葉で手に受けた懐剣をヒメに返すことができるかどうか、ということだ。まんまと懐剣をせしめることができるほど巧みな言葉を思
いつけば、尚のこと面白い。それに応じて、オレがうまいこと警句の一ツも合せることができれば、この上もなしであろう。ヒメは満足してスダレをおろすに相違ない。 オレがこう考えたのは、あとで思えばフシギなこ
とだ。なぜなら、ヒメはエナコに懐剣を与えて、オレの耳を斬れと命じているのだし、オレが片耳を失ったのもその大本はと云えばヒメからではないか。そして、オレが怖ろしい魔神の像をきざんでやるぞと心をきめたの
もヒメのため。その像を見ておどろく人もまずヒメでなければならぬ筈だ。そのヒメがエナコに懐剣を与えてオレの耳を斬り落せと命じているのに、オレがそれを幸福な遊びのひとときだとふと考えていたのは、思えばフ
シギなことであった。ヒメの冴え冴えとした笑顔、澄んだツブラな目のせいであろうか。オレは夢を見たようにフシギでならぬ。 オレはエナコが刀のサヤを払うまいと思ったから、その思いを目にこめてウットリとヒメ
の笑顔に見とれた。思えばこれが何よりの不覚、心の隙であったろう。 オレがすさまじい気魄に気がついて目を転じたとき、すでにエナコはズカズカとオレの目の前に進んでいた。 シマッタ! とオレは思った。エナ
コはオレの鼻先で懐剣のサヤを払い、オレの耳の尖《さき》をつまんだ。 オレは他の全てを忘れて、ヒメを見た。ヒメの言葉がある筈だ。エナコに与えるヒメの言葉が。あの冴え冴えと澄んだ童女の笑顔から当然ほとば
しる鶴の一声が。 オレは茫然とヒメの顔を見つめた。冴えた無邪気な笑顔を。ツブラな澄みきった目を。そしてオレは放心した。このようにしているうちに順を追うてオレの耳が斬り落されるのをオレはみんな知ってい
たが、オレの目はヒメの顔を見つめたままどうすることもできなかったし、オレの心は目にこもる放心が全部であった。オレは耳をそぎ落されたのちも、ヒメをボンヤリ仰ぎ見ていた。 オレの耳がそがれたとき、オレは
ヒメのツブラな目が生き生きとまるく大きく冴えるのを見た。ヒメの頬にやや赤みがさした。軽い満足があらわれて、すぐさま消えた。すると笑いも消えていた。ひどく真剣な顔だった。考え深そうな顔でもあった。なん
だ、これで全部か、とヒメは怒っているように見えた。すると、ふりむいて、ヒメは物も云わず立ち去ってしまった。 ヒメが立ち去ろうとするとき、オレの目に一粒ずつの大粒の涙がたまっているのに気がついた。 そ
れからの足かけ三年というものは、オレの戦いの歴史であった。 オレは小屋にとじこもってノミをふるッていただけだが、オレがノミをふるう力は、オレの目に残るヒメの笑顔に押されつづけていた。オレはそれを押し
返すために必死に戦わなければならなかった。 オレがヒメに自然に見とれてしまったことは、オレがどのようにあがいても所詮勝味がないように思われたが、オレは是が非でも押し返して、怖ろしいモノノケの像をつく
- 809 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:07:13.23 0EVE.net
- 差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
、お主の一命にかかわることが起るかも知れぬ」 オレは即座に肚をきめた。斧をぶらさげて立上った。「お供しましょう」「これさ」「ハッハッハ。ふざけちゃアいけませんや。はばかりながら、ヒダのタクミはガキの
時から仕事に命を打込むものと叩きこまれているのだ。仕事のほかには命をすてる心当りもないが、腕くらべを怖れて逃げだしたと云われるよりは、そッちの方を選ぼうじゃありませんか」「長生きすれば、天下のタクミ
と世にうたわれる名人になる見込みのある奴だが、まだ若いな。一時の恥は、長生きすればそそがれるぞ」「よけいなことは、もう、よしてくれ。オレはここへ来たときから、生きて帰ることは忘れていたのさ」 アナマ
ロはあきらめた。すると、にわかに冷淡だった。「オレにつづいて参れ」 彼は先に立ってズンズン歩いた。 奥の庭へみちびかれた。縁先の土の上にムシロがしかれていた。それがオレの席であった。 オレと向い合せ
にエナコが控えていた。後手にいましめられて、じかに土の上に坐っていた。 オレの跫音《あしおと》をききつけて、エナコは首をあげた。そして、いましめを解けば跳びかかる犬のようにオレを睨んで目を放さなかっ
た。小癪な奴め、とオレは思った。「耳を斬り落されたオレが女を憎むならワケは分るが、女がオレを憎むとはワケが分らないな」 こう考えてオレはふと気がついたが、耳の痛みがとれてからは、この女を思いだしたこ
ともなかった。「考えてみるとフシギだな。オレのようなカンシャク持ちが、オレの耳を斬り落した女を咒《のろ》わないとは奇妙なことだ。オレは誰かに耳を斬り落されたことは考えても、斬り落したのがこの女だと考
えたことはめッたにない。あべこべに、女の奴めがオレを仇のように憎みきっているというのが腑に落ちないぞ」 オレの咒いの一念はあげて魔神を刻むことにこめられているから、小癪な女一匹を考えるヒマがなかった
のだろう。オレは十五の歳に仲間の一人に屋根から突き落されて手と足の骨を折ったことがある。この仲間はササイなことでオレに恨みを持っていたのだ。オレは骨を折ったので三ヵ月ほど大工の仕事はできなかったが、
親方はオレがたった一日といえども仕事を休むことを許さなかった。オレは片手と片足で、欄間のホリモノをきざまなければならなかった。骨折の怪我というものは、夜も眠ることができないほど痛むものだ。オレは泣き
泣きノミをふるッていたが、泣き泣き眠ることができない長夜の苦しみよりも、泣き泣き仕事する日中の凌ぎよいことが分ってきた。折からの満月を幸いに、夜中に起きてノミをふるい、痛さに堪えかねて悶え泣いたこと
もあったし、手をすべらせてモモにノミを突きたててしまったこともあったが、苦しみに超えたものは仕事だけだということを、あの時ほどマザ/\と思い知らされたことはない。片手片足でほった欄間だが、両手両足が
使えるようになってから眺め直して、特に手を入れる必要もなかった。 その時のことが身にしみているから、片耳を斬り落された痛みぐらいは、仕事の励みになっただけだ。今に思い知らせてやるぞと考えた。そして、
いやが上にも怖ろしい魔神の姿を思いめぐらしてゾクゾクしたが、思い知らせてやるのがこの女だとは考えたことがなかったようだ。「オレが女を咒わないのは、ワケが分るフシもあるような気がするが、女がオレを仇の
ように憎むのはワケが分らない。ひょッとすると、長者があんなことを云ったから、オレが女をほしがっていると思って咒っているのかも知れないな」 こう考えると、ワケが分ってきたように思われた。そこでムラムラ
- 810 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:07:23.50 0EVE.net
- 2Dだって数十万、機材もろもろで100万
さらに3Dで100万超
普通に借金やん
- 811 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:07:29.30 0EVE.net
- のようなタクミが奴隷に買われて行くのさ。しかし、やむにやまれぬ必要のために遠い国から買いにくるのだから、奴隷は大切に扱われ、第一等のお客様と同じようにもてなしを受けるそうだが、それも仕事が出来あがる
までの話さ。仕事が終って無用になれば金で買った奴隷だから、人にくれてやることも、ウワバミにくれてやることも主人の勝手だ。だから遠国へ買われて行くことを好むタクミはいないが、女の身なら尚さらのことであ
ろう。 可哀そうな女たちよ、とオレは思った。けれども、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかった
のだ。馬の顔にそッくりだと云われて山の奥へ夢中で駈けこんでしまったとき、オレは日暮れちかくまで滝壺のそばにいたあげく、オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化
け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。また、激しい怒りも覚えた。また
、この女はオレがもらう女ではないと気がついたために、ムラムラと嘲りも湧いた。 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思
った。 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。「この女が、山をこえ、ミズウミをこえ、野をこえ、また山を越えて、野をこえて、また山を
こえて、大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? それは珍しい動物だ」 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿
ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に
向けるほかにどう仕様もない。 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナ
コは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。 エナコのきびしい目が軽くそれた。エナコは企みの深い笑いをうかべて云った。「私の生国は人の数より馬の数が多いと云われておりますが、馬は人を乗せて走るため
に、また、畑を耕すために使われています。こちらのお国では馬が着物をきて手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われていますね」 オレは即座に云い返した。「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が
野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。せいぜい、ハタを織ってもらおう。遠路のところ、はなはだ御苦労」 エナコの目がはじかれたよ
うに開いた。そして、静かに立ち上った。長者に軽く目礼し、ズカズカとオレの前へ進んだ。立ち止って、オレを見おろした。むろんオレの目もエナコの顔から放れなかった。 エナコは膳部の横を半周してオレの背後へ
まわった。そして、そッとオレの耳をつまんだ。「そんなことか!……」 と、オレは思った。所詮、先に目を放したお前の負けだと考えた。その瞬間であった。オレは耳に焼かれたような一撃をうけた。前へのめり、膳
部の中に手を突ッこんでしまったことに気がついたのと、人々のざわめきを耳の底に聞きとめたのと同時であった。 オレはふりむいてエナコを見た。エナコの右手は懐剣のサヤを払って握っていたが、その手は静かに下
方に垂れ、ミジンも殺意が見られなかった。エナコがなんとなく用ありげに、不器用に宙に浮かして垂れているのは、左手の方だ。その指につままれている物が何物であるかということにオレは突然気がついた。 オレは
クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
- 812 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:07:32.77 0EVE.net
- よし、寝るか
こんなに面白かったのは月ノの泣きシコナイト以来だったわ
- 813 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:07:42.45 pEVE.net
- お稲荷運営に注意されブチ切れ引退宣言がシンプルな結論ぽいけどな
あにまーれで頑張りたかった宗谷はそんな事で辞めそうな稲荷に不信感
他3人はうまく収めようとしている
- 814 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:07:45.45 0EVE.net
- をはらんだようなミズミズしいまるみをおびた鼻。だが、そのような顔のかたちは特に技術を要することではない。オレが精魂かたむけて立向わねばならぬものは、あどけない笑顔の秘密であった。一点の翳りもなく冴え
た明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それ
がヒメの笑顔の秘密であった。「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼
はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」 オレはそんなことを考えた。 そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺
すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。 ヒメがオレの小屋へ現れて、「今日も人
が死んだわ」 と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。 オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あど
けない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身《うつしみ》にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であるこ
とがすでに定められたようなものだった。 どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村
人に信心された。 長者がまッさきに打ちこんだ。「耳男があまたの蛇を生き裂きにして逆吊りにかけ生き血をあびながら咒いをこめて造ったバケモノだから、その怖ろしさにホーソー神も近づくことができないのだな」
ヒメの言葉をうけうりして吹聴した。 バケモノは山上の長者の邸の門前から運び降ろされて、山の下の池のフチの三ツ又のにわか造りのホコラの中に鎮座した。遠い村から拝みにくる人も少くなかった。そしてオレは
たちまち名人ともてはやされたが、その上の大評判をとったのは夜長ヒメであった。オレの手になるバケモノが間に合って長者の一家を護ったのもヒメの力によるというのだ。尊い神がヒメの生き身に宿っておられる。尊
い神の化身であるという評判がたちまち村々へひろがった。 山下のホコラへオレのバケモノを拝みにきた人々のうちには、山上の長者の邸の門前へきてぬかずいて拝んで帰る者もあったし、門前へお供え物を置いて行く
者もあった。 ヒメはお供え物のカブや菜ッ葉をオレに示して、言った。「これはお前がうけた物よ。おいしく煮てお食べ」 ヒメの顔はニコニコとかがやいていた。オレはヒメがからかいに来たと見て、ムッとした。そ
して答えた。「天下|名題《なだい》のホトケを造ったヒダのタクミはたくさん居りますが、お供え物をいただいた話はききませんや。生き神様のお供え物にきまっているから、おいしく煮ておあがり下さい」 ヒメの笑
顔はオレの言葉にとりあわなかった。ヒメは言った。「耳男よ。お前が造ったバケモノはほんとうにホーソー神を睨み返してくれたのよ。私は毎日楼の上からそれを見ていたわ」 オレは呆れてヒメの笑顔を見つめた。し
かし、ヒメの心はとうてい量りがたいものであった。 ヒメはさらに云った。「耳男よ。お前が楼にあがって私と同じ物を見ていても、お前のバケモノがホーソー神を睨み返してくれるのを見ることができなかったでしょ
うよ。お前の小屋が燃えたときから、お前の目は見えなくなってしまったから。そして、お前がいまお造りのミロクには、お爺さんやお婆さんの頭痛をやわらげる力もないわ」 ヒメは冴え冴えとオレを見つめた。そして
、ふりむいて立去った。オレの手にカブと菜ッ葉がのこっていた。 オレはヒメの魔法にかけられてトリコになってしまったように思った。怖ろしいヒメだと思った。たしかに人力を超えたヒメかも知れぬと思った。しか
し、オレがいま造っているミロクには爺さん婆さんの頭痛をやわらげる力もないとは、どういうことだろう。「あのバケモノには子供を泣かせる力もないが、ミロクには何かがある筈だ。すくなくともオレという人間のタ
マシイがそッくり乗りうつッているだろう」 オレは確信をもってこう云えるように思ったが、オレの確信の根元からゆりうごかしてくずすものはヒメの笑顔であった。オレが見失ってしまったものが確かにどこかにある
- 815 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:07:59.21 0EVE.net
- 「この人達どういう気持ちでこういう話してんだろ」
これらんがあにまーれあったけーな仲良しって3人がはしゃいでた時の事だろ・・・
- 816 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:08:01.58 0EVE.net
- しないかと期待しているのかも知れなかった。 オレはヒメの言葉をきいているうちに汗がジットリ浮んできた。怖れとも悲しみともつかない大きなものがこみあげて、オレはどうしてよいのか分らなくなってしまった。
オレの胸にカタマリがつかえて、ただハアハアとあえいだ。 そのときヒメの冴えわたる声がオレによびかけた。「耳男よ。ごらん! あすこに、ほら! キリキリ舞いをしはじめた人がいてよ。ほら、キリキリと舞って
いてよ。お日さまがまぶしいように。お日さまに酔ったよう」 オレはランカンに駈けよって、ヒメの示す方を見た。長者の邸のすぐ下の畑に、一人の農夫が両手をひろげて、空の下を泳ぐようにユラユラとよろめいてい
た。カガシに足が生えて、左右にくの字をふみながらユラユラと小さな円を踏み廻っているようだ。バッタリ倒れて、這いはじめた。オレは目をとじて、退いた。顔も、胸も、背中も、汗でいっぱいだった。「ヒメが村の
人間をみな殺しにしてしまう」 オレはそれをハッキリ信じた。オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時、この村の最後の一人が息をひきとるに相違ない。 オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だか
ら、何十本もの蛇の死体が調子をそろえてゆるやかにゆれ、隙間からキレイな青空が見えた。閉めきったオレの小屋では、こんなことは見かけることができなかったが、ぶらさがった蛇の死体までがこんなに美しいという
ことは、なんということだろうとオレは思った。こんなことは人間世界のことではないとオレは思った。 オレが逆吊りにした蛇の死体をオレの手が斬り落すか、ここからオレが逃げ去るか、どっちか一ツを選ぶより仕方
がないとオレは思った。オレはノミを握りしめた。そして、いずれを選ぶべきかに尚も迷った。そのとき、ヒメの声がきこえた。「とうとう動かなくなったわ。なんて可愛いのでしょうね。お日さまが、うらやましい。日
本中の野でも里でも町でも、こんな風に死ぬ人をみんな見ていらッしゃるのね」 それをきいているうちにオレの心が変った。このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたないのだとオレは思った。 ヒメは無心に
野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
。 オレはそれまで親方にほめられたことは一度もなかった。もっとも、誰をほめたこともない親方ではあったが、それにしても、この突然のホメ言葉はオレをまったく驚愕させた。当のオレがそれほどだから、多くの古
- 817 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:08:17.77 0EVE.net
- ようにも思われて、たよりなくて、ふと、たまらなく切ない思いを感じるようになってしまった。 ホーソー神が通りすぎて五十日もたたぬうちに、今度はちがった疫病が村をこえ里をこえて渡ってきた。夏がきて、熱い
日ざかりがつづいていた。 また人々は日ざかりに雨戸をおろして神仏に祈ってくらした。しかし、ホーソー神の通るあいだ畑を耕していなかったから、今度も畑を耕さないと食べる物が尽きていた。そこで百姓はおのの
きながら野良へでてクワを振りあげ振りおろしたが、朝は元気で出たのが、日ざかりの畑でキリキリ舞いをしたあげく、しばらく畑を這いまわってことぎれる者も少くなかった。 山の下の三ツ又のバケモノのホコラを拝
みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。「尊いヒメの神よ。悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日ざかりに雨戸をとざして、人々は息をころして暮していた。ヒメだ
けが雨戸をあけ、時に楼上から山下の村を眺めて、死者を見るたびに邸内の全ての者にきかせて歩いた。 オレの小屋へきてヒメが云った。「耳男よ。今日は私が何を見たと思う?」 ヒメの目がいつもにくらべて輝きが
深いようでもあった。ヒメは云った。「バケモノのホコラへ拝みにきて、ホコラの前でキリキリ舞いをして、ホコラにとりすがって死んだお婆さんを見たのよ」 オレは云ってやった。「あのバケモノの奴も今度の疫病神
は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
ついてちょッと拝んでいたと思うと、にわかに立ち上ってキリキリ舞いをはじめたのよ。それからヨタヨタ這いまわって、やっとホコラに手をかけたと思うと動かなくなってしまったわ」 ヒメの目はそこにそそがれて動
かなかった。さらにヒメは下界の諸方に目を転じて飽かず眺めふけった。そして、呟いた。「野良にでて働く人の姿が多いわ。ホーソーの時には野良にでている人の姿が見られなかったものでしたのに。バケモノのホコラ
へ拝みに来て死ぬ人もあるのに、野良の人々は無事なのね」 オレは小屋にこもって仕事にふけっているだけだから、邸内の人々とも殆ど交渉がなかったし、まして邸外とは交渉がなかった。だから村里を襲っている疫病
の怖ろしい噂を時たま聞くことがあっても、オレにとっては別天地の出来事で、身にしみる思いに打たれたことはなかった。オレのバケモノが魔よけの神様にまつりあげられ、オレが名人ともてはやされていると聞いても
- 818 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:08:50.57 0EVE.net
- 皮をひッかぶって、地底へひきずりこまれるように眠りこけた。 オレは戸を叩く音に目をさました。夜が明けている。陽はかなり高いようだ。そうか。今日がヒメの十六の正月か、とオレはふと思いついた。戸を叩く音
は執拗につづいた。オレは食物を運んできた女中だと思ったから、「うるさいな。いつものように、だまって外へ置いて行け。オレには新年も元日もありやしねえ。ここだけは娑婆がちがうということをオレが口をすッぱ
くして言って聞かせてあるのが、三年たってもまだ分らないのか」「目がさめたら、戸をおあけ」「きいた風なことを言うな。オレが戸を開けるのは目がさめた時じゃアねえや」「では、いつ、あける?」「外に人が居な
- 819 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:09:06.76 0EVE.net
- 本中の野でも里でも町でも、こんな風に死ぬ人をみんな見ていらッしゃるのね」 それをきいているうちにオレの心が変った。このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたないのだとオレは思った。 ヒメは無心に
野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
。 オレはそれまで親方にほめられたことは一度もなかった。もっとも、誰をほめたこともない親方ではあったが、それにしても、この突然のホメ言葉はオレをまったく驚愕させた。当のオレがそれほどだから、多くの古
い弟子たちが親方はモウロクして途方もないことを口走ってしまったものだと云いふらしたのは、あながち嫉みのせいだけではなかったのである。 夜長の長者の使者アナマロも兄弟子たちの言い分に理があるようだと考
えた。そこでオレをひそかに別室へよんで、「お前の師匠はモウロクしてあんなことを云ったが、まさかお前は長者の招きに進んで応じるほど向う見ずではあるまいな」 こう云われると、オレはムラムラと腹が立った。
その時まで親方の言葉を疑ったり、自分の腕に不安を感じていたのが一時に掻き消えて、顔に血がこみあげた。「オレの腕じゃア不足なほど、夜長の長者は尊い人ですかい。はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だと
いう寺は天下に一ツもない筈だ」 オレは目もくらみ耳もふさがり、叫びたてるわが姿をトキをつくるのようだと思ったほどだ。アナマロは苦笑した。「相弟子どもと鎮守のホコラを造るのとはワケがちがうぞ。お前が腕
くらべをするのは、お前の師と並んでヒダの三名人とうたわれている青ガサとフル釜だぞ」「青ガサもフル釜も、親方すらも怖ろしいと思うものか。オレが一心不乱にやれば、オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだ
けだ」 アナマロはあわれんで溜息をもらすような面持であったが、どう思い直してか、オレを親方の代りに長者の邸へ連れていった。「キサマは仕合せ者だな。キサマの造った品物がオメガネにかなう筈はないが、日本
中の男という男がまだ見ぬ恋に胸をこがしている夜長姫サマの御身ちかくで暮すことができるのだからさ。せいぜい仕事を長びかせて、一時も長く逗留の工夫をめぐらすがよい。どうせかなわぬ仕事の工夫はいらぬことだ
」 道々、アナマロはこんなことを云ってオレをイラだたせた。「どうせかなわぬオレを連れて行くことはありますまい」「そこが虫のカゲンだな。キサマは運のいい奴だ」 オレは旅の途中でアナマロに別れて幾度か立
- 820 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:09:22.97 0EVE.net
- なったと思うと、ほら、あすこの野良にも一人倒れているでしょう。あの人がキリキリ舞いをはじめたのよ。そして、今しがたまで這ってうごめいていたのに」 ヒメの目はそこにジッとそそがれていた。まだうごめきや
しないかと期待しているのかも知れなかった。 オレはヒメの言葉をきいているうちに汗がジットリ浮んできた。怖れとも悲しみともつかない大きなものがこみあげて、オレはどうしてよいのか分らなくなってしまった。
オレの胸にカタマリがつかえて、ただハアハアとあえいだ。 そのときヒメの冴えわたる声がオレによびかけた。「耳男よ。ごらん! あすこに、ほら! キリキリ舞いをしはじめた人がいてよ。ほら、キリキリと舞って
いてよ。お日さまがまぶしいように。お日さまに酔ったよう」 オレはランカンに駈けよって、ヒメの示す方を見た。長者の邸のすぐ下の畑に、一人の農夫が両手をひろげて、空の下を泳ぐようにユラユラとよろめいてい
た。カガシに足が生えて、左右にくの字をふみながらユラユラと小さな円を踏み廻っているようだ。バッタリ倒れて、這いはじめた。オレは目をとじて、退いた。顔も、胸も、背中も、汗でいっぱいだった。「ヒメが村の
人間をみな殺しにしてしまう」 オレはそれをハッキリ信じた。オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時、この村の最後の一人が息をひきとるに相違ない。 オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だか
ら、何十本もの蛇の死体が調子をそろえてゆるやかにゆれ、隙間からキレイな青空が見えた。閉めきったオレの小屋では、こんなことは見かけることができなかったが、ぶらさがった蛇の死体までがこんなに美しいという
ことは、なんということだろうとオレは思った。こんなことは人間世界のことではないとオレは思った。 オレが逆吊りにした蛇の死体をオレの手が斬り落すか、ここからオレが逃げ去るか、どっちか一ツを選ぶより仕方
がないとオレは思った。オレはノミを握りしめた。そして、いずれを選ぶべきかに尚も迷った。そのとき、ヒメの声がきこえた。「とうとう動かなくなったわ。なんて可愛いのでしょうね。お日さまが、うらやましい。日
本中の野でも里でも町でも、こんな風に死ぬ人をみんな見ていらッしゃるのね」 それをきいているうちにオレの心が変った。このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたないのだとオレは思った。 ヒメは無心に
野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
ぬが、力のこもった仕事をしますよ。宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。オレが病気のために余儀
なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
- 821 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:09:25.81 0EVE.net
- >>815
まあこれ言うならブーメランなんだけどな
- 822 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:09:39.37 0EVE.net
- いて、この先なにを支えに仕事をつづけて行けるだろうかとオレは嘆かずにいられなかった。 二度目の袋を背負って戻ると、ヒメの頬も目もかがやきに燃えてオレを迎えた。ヒメはオレにニッコリと笑いかけながら小さ
く叫んだ。「すばらしい!」 ヒメは指して云った。「ほら、あすこの野良に一人死んでいるでしょう。つい今しがたよ。クワを空高くかざしたと思うと取り落してキリキリ舞いをはじめたのよ。そしてあの人が動かなく
なったと思うと、ほら、あすこの野良にも一人倒れているでしょう。あの人がキリキリ舞いをはじめたのよ。そして、今しがたまで這ってうごめいていたのに」 ヒメの目はそこにジッとそそがれていた。まだうごめきや
しないかと期待しているのかも知れなかった。 オレはヒメの言葉をきいているうちに汗がジットリ浮んできた。怖れとも悲しみともつかない大きなものがこみあげて、オレはどうしてよいのか分らなくなってしまった。
オレの胸にカタマリがつかえて、ただハアハアとあえいだ。 そのときヒメの冴えわたる声がオレによびかけた。「耳男よ。ごらん! あすこに、ほら! キリキリ舞いをしはじめた人がいてよ。ほら、キリキリと舞って
いてよ。お日さまがまぶしいように。お日さまに酔ったよう」 オレはランカンに駈けよって、ヒメの示す方を見た。長者の邸のすぐ下の畑に、一人の農夫が両手をひろげて、空の下を泳ぐようにユラユラとよろめいてい
た。カガシに足が生えて、左右にくの字をふみながらユラユラと小さな円を踏み廻っているようだ。バッタリ倒れて、這いはじめた。オレは目をとじて、退いた。顔も、胸も、背中も、汗でいっぱいだった。「ヒメが村の
人間をみな殺しにしてしまう」 オレはそれをハッキリ信じた。オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時、この村の最後の一人が息をひきとるに相違ない。 オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だか
ら、何十本もの蛇の死体が調子をそろえてゆるやかにゆれ、隙間からキレイな青空が見えた。閉めきったオレの小屋では、こんなことは見かけることができなかったが、ぶらさがった蛇の死体までがこんなに美しいという
ことは、なんということだろうとオレは思った。こんなことは人間世界のことではないとオレは思った。 オレが逆吊りにした蛇の死体をオレの手が斬り落すか、ここからオレが逃げ去るか、どっちか一ツを選ぶより仕方
がないとオレは思った。オレはノミを握りしめた。そして、いずれを選ぶべきかに尚も迷った。そのとき、ヒメの声がきこえた。「とうとう動かなくなったわ。なんて可愛いのでしょうね。お日さまが、うらやましい。日
本中の野でも里でも町でも、こんな風に死ぬ人をみんな見ていらッしゃるのね」 それをきいているうちにオレの心が変った。このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたないのだとオレは思った。 ヒメは無心に
野良を見つめていた。新しいキリキリ舞いを探しているのかも知れなかった。なんて可憐なヒメだろうとオレは思った。そして、心がきまると、オレはフシギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われ
た。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこんだ。オレの肩はハアハアと大きな波をうっていたが、ヒメは目をあけてニッコリ笑った。「サヨナラの挨拶を
して、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし
、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。 するとヒメはオ
レの手をとり、ニッコリとささやいた。「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して
、いま私を殺したように立派な仕事をして……」 ヒメの目が笑って、とじた。 オレはヒメを抱いたまま気を失って倒れてしまった。
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイセンして、「これはまだ二十の若者だが、小さいガキのころからオ
レの膝元に育ち、特に仕込んだわけでもないが、オレが工夫の骨法は大過なく会得している奴です。五十年仕込んでも、ダメの奴はダメのものさ。青笠《アオガサ》や古釜《フルカマ》にくらべると巧者ではないかも知れ
- 823 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:09:56.64 0EVE.net
- とだ。なぜなら、ヒメはエナコに懐剣を与えて、オレの耳を斬れと命じているのだし、オレが片耳を失ったのもその大本はと云えばヒメからではないか。そして、オレが怖ろしい魔神の像をきざんでやるぞと心をきめたの
もヒメのため。その像を見ておどろく人もまずヒメでなければならぬ筈だ。そのヒメがエナコに懐剣を与えてオレの耳を斬り落せと命じているのに、オレがそれを幸福な遊びのひとときだとふと考えていたのは、思えばフ
シギなことであった。ヒメの冴え冴えとした笑顔、澄んだツブラな目のせいであろうか。オレは夢を見たようにフシギでならぬ。 オレはエナコが刀のサヤを払うまいと思ったから、その思いを目にこめてウットリとヒメ
- 824 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:10:12.59 0EVE.net
- なかった。「明日は朝早くから出かけてよ。何べんもね。そして、ドッサリとってちょうだい」 ヒメは心残りげに、たそがれの村を見下した。そして、オレに言った。「ほら。お婆さんの死体を片づけに、ホコラの前に
人が集っているわ。あんなに、たくさんの人が」 ヒメの笑顔はかがやきを増した。「ホーソーの時は、いつもせいぜい二三人の人がションボリ死体を運んでいたのに、今度は人々がまだ生き生きとしているのね。私の目
に見える村の人々がみんなキリキリ舞いをして死んで欲しいわ。その次には私の目に見えない人たちも。畑の人も、野の人も、山の人も、森の人も、家の中の人も、みんな死んで欲しいわ」 オレは冷水をあびせかけられ
たように、すくんで動けなくなってしまった。ヒメの声はすきとおるように静かで無邪気であったから、尚のこと、この上もなく怖ろしいものに思われた。ヒメが蛇の生き血をのみ、蛇の死体を高楼に吊るしているのは、
村の人々がみんな死ぬことを祈っているのだ。 オレは居たたまらずに一散に逃げたいと思いながら、オレの足はすくんでいたし、心もすくんでいた。オレはヒメが憎いとはついぞ思ったことがないが、このヒメが生きて
いるのは怖ろしいということをその時はじめて考えた。 しらじら明けに、ちゃんと目がさめた。ヒメのいいつけが身にしみて、ちょうどその時間に目がさめるほどオレの心は縛られていた。 オレは心の重さにたえがた
かったが、袋を負うて明けきらぬ山へわけこまずにもいられなかった。そして山へわけこむと、オレは蛇をとることに必死であった。少しも早く、少しでも多く、とあせっていた。ヒメの期待に添うてやりたい一念が一途
にオレをかりたててやまなかった。 大きな袋を負うて戻ると、ヒメは高楼に待っていた。それをみんな吊し終ると、ヒメの顔はかがやいて、「まだとても早いわ。ようやく野良へ人々がでてきたばかり。今日は何べんも
、何べんも、とってきてね。早く、できるだけ精をだしてね」 オレは黙ってカラの袋を握ると山へ急いだ。オレは今朝からまだ一言もヒメに口をきかなかった。ヒメに向って物を言う力がなかったのだ。今に高楼の天井
いっぱいに蛇の死体がぶらさがるに相違ないが、そのとき、どうなるのだろうと考えると、オレは苦しくてたまらなかった。 ヒメがしていることはオレが仕事小屋でしていたことのマネゴトにすぎないようだが、オレは
単純にそう思うわけにはいかなかった。オレがあんなことをしたのは小さな余儀ない必要によってであったが、ヒメがしていることは人間が思いつくことではなかった。たまたまオレの小屋を見たからそれに似せているだ
けで、オレの小屋を見ていなければ、他の何かに似せて同じような怖ろしいことをやっている筈なのだ。 しかも、かほどのことも、まだヒメにとっては序の口であろう。ヒメの生涯に、この先なにを思いつき、なにを行
うか、それはとても人間どもの思量しうることではない。とてもオレの手に負えるヒメではないし、オレのノミもとうていヒメをつかむことはできないのだとオレはシミジミ思い知らずにいられなかった。「なるほど。ま
さしくヒメの言われる通り、いま造っているミロクなんぞはただのチッポケな人間だな。ヒメはこの青空と同じぐらい大きいような気がするな」 あんまり怖ろしいものを見てしまったとオレは思った。こんな物を見てお
いて、この先なにを支えに仕事をつづけて行けるだろうかとオレは嘆かずにいられなかった。 二度目の袋を背負って戻ると、ヒメの頬も目もかがやきに燃えてオレを迎えた。ヒメはオレにニッコリと笑いかけながら小さ
く叫んだ。「すばらしい!」 ヒメは指して云った。「ほら、あすこの野良に一人死んでいるでしょう。つい今しがたよ。クワを空高くかざしたと思うと取り落してキリキリ舞いをはじめたのよ。そしてあの人が動かなく
なったと思うと、ほら、あすこの野良にも一人倒れているでしょう。あの人がキリキリ舞いをはじめたのよ。そして、今しがたまで這ってうごめいていたのに」 ヒメの目はそこにジッとそそがれていた。まだうごめきや
しないかと期待しているのかも知れなかった。 オレはヒメの言葉をきいているうちに汗がジットリ浮んできた。怖れとも悲しみともつかない大きなものがこみあげて、オレはどうしてよいのか分らなくなってしまった。
オレの胸にカタマリがつかえて、ただハアハアとあえいだ。 そのときヒメの冴えわたる声がオレによびかけた。「耳男よ。ごらん! あすこに、ほら! キリキリ舞いをしはじめた人がいてよ。ほら、キリキリと舞って
いてよ。お日さまがまぶしいように。お日さまに酔ったよう」 オレはランカンに駈けよって、ヒメの示す方を見た。長者の邸のすぐ下の畑に、一人の農夫が両手をひろげて、空の下を泳ぐようにユラユラとよろめいてい
- 825 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:10:27.51 aEVE.net
- 今日のくうちゃぴも元々マリカで暗く疲弊するからオアシスとして入れた説
- 826 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:10:28.18 aEVE.net
- >>815
そんなの配信で愚痴る事じゃない
しかも魂垢での配信で
- 827 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:10:28.79 0EVE.net
- っていないのだ。 本当に怖ろしいのは、この笑顔だ。この笑顔こそは生きた魔神も怨霊も及びがたい真に怖ろしい唯一の物であろう。 オレは今に至ってようやくこの笑顔の何たるかをさとったが、三年間の仕事の間、
怖ろしい物を造ろうとしていつもヒメの笑顔に押されていたオレは、分らぬながらも心の一部にそれを感じていたのかも知れない。真に怖ろしいものを造るためなら、この笑顔に押されるのは当り前の話であろう。真に怖
ろしいものは、この笑顔にまさるものはないのだから。 今生の思い出に、この笑顔を刻み残して殺されたいとオレは考えた。オレにとっては、ヒメがオレを殺すことはもはや疑う余地がなかった。それも、今日、風呂か
らあがって奥の間へみちびかれて匆々《そうそう》にヒメはオレを殺すであろう。蛇のようにオレを裂いて逆さに吊すかも知れないと思った。そう思うと恐怖に息の根がとまりかけて、オレは思わず必死に合掌の一念であ
ったが、真に泣き悶えて合掌したところで、あの笑顔が何を受けつけてくれるものでもあるまい。 この運命をきりぬけるには、ともかくこの一ツの方法があるだけだとオレは考えた。それはオレのタクミとしての必死の
願望にもかなっていた。とにかくヒメに頼んでみようとオレは思った。そして、こう心がきまると、オレはようやく風呂からあがることができた。 オレは奥の間へみちびかれた。長者がヒメをしたがえて現れた。オレは
挨拶ももどかしく、ヒタイを下にすりつけて、必死に叫んだ。オレは顔をあげる力がなかったのだ。「今生のお願いでございます。お姫サマのお顔お姿を刻ませて下さいませ。それを刻み残せば、あとはいつ死のうとも悔
いはございません」 意外にもアッサリと長者の返答があった。「ヒメがそれに同意なら、願ってもないことだ。ヒメよ。異存はないか」 それに答えたヒメの言葉もアッサリと、これまた意外千万であった。「私が耳男
にそれを頼むつもりでしたの。耳男が望むなら申分ございません」「それは、よかった」 長者は大そう喜んで思わず大声で叫んだが、オレに向って、やさしく云った。「耳男よ。顔をあげよ。三年の間、御苦労だった。
お前のミロクは皮肉の作だが、彫りの気魄、凡手の作ではない。ことのほかヒメが気に入ったようだから、それだけでオレは満足のほかにつけ加える言葉はない。よく、やってくれた」 長者とヒメはオレに数々のヒキデ
モノをくれた。そのとき、長者がつけ加えて、言った。「ヒメの気に入った像を造った者にはエナコを与えると約束したが、エナコは死んでしまったから、この約束だけは果してやれなくなったのが残念だ」 すると、そ
れをひきとって、ヒメが言った。「エナコは耳男の耳を斬り落した懐剣でノドをついて死んでいたのよ。血にそまったエナコの着物は耳男がいま下着にして身につけているのがそれよ。身代りに着せてあげるために、男物
に仕立て直しておいたのです」 オレはもうこれしきのことでは驚かなくなっていたが、長者の顔が蒼ざめた。ヒメはニコニコとオレを見つめていた。 そのころ、この山奥にまでホーソーがはやり、あの村にも、この里
にも、死ぬ者がキリもなかった。疫病はついにこの村にも押し寄せたから、家ごとに疫病除けの護符をはり、白昼もかたく戸を閉して、一家ヒタイを集めて日夜神仏に祈っていたが、悪魔はどの隙間から忍びこんでくるも
のやら、日ましに死ぬ者が多くなる一方だった。 長者の家でも広い邸内の雨戸をおろして家族は日中も息を殺していたが、ヒメの部屋だけは、ヒメが雨戸を閉めさせなかった。「耳男の造ったバケモノの像は、耳男が無
数の蛇を裂き殺して逆吊りにして、生き血をあびながら咒いをこめて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなるらしいわ。ほかに取得もなさそうなバケモノだから、門の外へ飾ってごらん」 ヒメは人に
命じて、ズシごと門前へすえさせた。長者の邸には高楼があった。ヒメは時々高楼にのぼって村を眺めたが、村はずれの森の中に死者をすてに行くために運ぶ者の姿を見ると、ヒメは一日は充ち足りた様子であった。 オ
レは青ガサが残した小屋で、今度こそヒメの持仏のミロクの像に精魂かたむけていた。ホトケの顔にヒメの笑顔をうつすのがオレの考えであった。 この邸内で人間らしくうごいているのは、ヒメとオレの二人だけであっ
た。 ミロクにヒメの笑顔をうつして持仏を刻んでいるときいてヒメは一応満足の風ではあったが、実はオレの仕事を気にかけている様子はなかった。ヒメはオレの仕事のはかどりを見に来たことはついぞなかった。小屋
に姿を現すのは、死者を森へすてに行く人群れを見かけたときにきまっていた。特にオレを選んでそれをきかせに来るのではなく、邸内の一人々々にもれなく聞かせてまわるのがヒメのたのしみの様子であった。「今日も
- 828 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:10:43.50 0EVE.net
- >>765
あっちは最初からメンバーとななしの意見交換けっこうあったみたいだしな
こっちは好き勝手させてたら崩壊したかんじ
- 829 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:10:44.89 0EVE.net
- クビをまわしてオレの左の肩を見た。なんとなくそこが変だと思っていたが、肩一面に血でぬれていた。ウスベリの上にも血がしたたっていた。オレは何か忘れていた昔のことを思いだすように、耳の痛みに気がついた。
「これが馬の耳の一ツですよ。他の一ツはあなたの斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」 エナコはそぎ落したオレの片耳の上部をオレの酒杯の中へ落して立去った。 それから六日すぎた。 オレたちは邸内
の一部に銘々の小屋をたて、そこに籠って仕事をすることになっていたから、オレも山の木を伐りだしてきて、小屋がけにかかっていた。 オレは蔵の裏の人の立ち入らぬ場所を選んで小屋をつくることにした。そこは一
面に雑草が生え繁り、蛇やクモの棲み家であるから、人々は怖れて近づかぬ場所であった。「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、か
らかった。「馬はカンが強いから、人の姿が近づくと仕事に身が入りません。小屋がけが終って仕事にかかって後は、一切仕事場に立ち入らぬように願います」 オレは高窓を二重造りに仕掛け、戸口にも特別の仕掛けを
施して、仕事場をのぞくことができないように工夫しなければならないのだ。オレの仕事はできあがるまで秘密にしなければならなかった。「ときに馬耳よ。長者とヒメがお召しであるから、斧を持って、おれについてく
るがよい」 アナマロがこう云った。「斧だけでいいんですか」「ウン」「庭木でも伐ろと仰有《おっしゃ》るのかね。斧を使うのもタクミの仕事のうちではあるが、木地屋とタクミは違うものだ。木を叩ッ切るだけなら
、他に適役があらア。つまらねえことでオレの気を散らさねえように願いますよ」 ブツブツ云いながら、手に斧をとってくると、アナマロは妙な目附で上下にオレを見定めたあとで、「まア、坐れ」 彼はこう云って、
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。オレも差向いに腰をおろした。「馬耳よ。よく聞け。お主《ヌシ》が青ガサやチイサ釜とあくまで腕くらべをしたい気持は殊勝であるが、こんなウチで仕事をしたいとは思う
まい」「どういうわけで!」「フム。よく考えてみよ。お主、耳をそがれて、痛かったろう」「耳の孔にくらべると、耳の笠はよけい物と見えて、血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら
、事もなく痛みもとれたし、結構、耳の役にも立つようですよ」「この先、ここに居たところで、お主のためにロクなことは有りやしないぞ。片耳ぐらいで済めばよいが、命にかかわることが起るかも知れぬ。悪いことは
云わぬ。このまま、ここから逃げて帰れ。ここに一袋の黄金がある。お主が三ヵ年働いて立派なミロク像を仕上げたところで、かほど莫大な黄金をいただくわけには参るまい。あとはオレが良いように申上げておくから、
今のうちに早く帰れ」 アナマロの顔は意外に真剣だった。それほどオレが追いだしたいのか。三ヵ年の手当にまさる黄金を与えてまで追いだしたいほど、オレが不要なタクミなのか。こう思うと、怒りがこみあげた。オ
レは叫んだ。「そうですかい。あなた方のお考えじゃア、オレの手はノミやカンナをとるタクミの手じゃアなくて、斧で木を叩ッきるキコリの腕だとお見立てですかい。よかろう。オレは今日かぎりここのウチに雇われた
タクミじゃアありません。だが、この小屋で仕事だけはさせていただきましょう。食うぐらいは自分でやれるから、一切お世話にはなりませんし、一文もいただく必要はありません。オレが勝手に三ヵ年仕事をする分には
差支えありますまい」「待て。待て。お主はカン違いしているようだ。誰もお主が未熟だから追出そうとは言っておらぬぞ」「斧だけ持って出て行けと云われるからにゃア、ほかに考え様がありますまい」「さ。そのこと
だ」 アナマロはオレの両肩に手をかけて、変にシミジミとオレを見つめた。そして云った。「オレの言い方がまずかった。斧だけ持って一しょに参れと申したのは御主人様の言いつけだ。しかし、斧をもって一しょに参
らずに、ただ今すぐにここから逃げよと申すのは、オレだけの言葉だ。イヤ、オレだけではなく、長者も実は内々それを望んでおられる。じゃによって、この一袋の黄金をオレに手渡して、お主を逃がせ、とさとされてい
るのだ。それと申すのが、もしもお主がオレと一しょに斧をもって長者の前へまかりでると、お主のために良からぬことが起るからだ。長者はお主の身のためを考えておられる」 思わせぶりな言葉が、いっそうオレをい
らだたせた。「オレの身のためを思うなら、そのワケをザックバランに言ってもらおうじゃありませんか」「それを言ってやりたいが、言ったが最後タダではすまぬ言葉というものもあるものだ。だが、先程から申す通り
- 830 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:10:50.78 0EVE.net
- >>815
そらリスナーに向けての責任
自分たちがちゃんとV活するためやろ
犬は分からんのか
- 831 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:11:01.11 0EVE.net
- 、ふりむいて立去った。オレの手にカブと菜ッ葉がのこっていた。 オレはヒメの魔法にかけられてトリコになってしまったように思った。怖ろしいヒメだと思った。たしかに人力を超えたヒメかも知れぬと思った。しか
し、オレがいま造っているミロクには爺さん婆さんの頭痛をやわらげる力もないとは、どういうことだろう。「あのバケモノには子供を泣かせる力もないが、ミロクには何かがある筈だ。すくなくともオレという人間のタ
マシイがそッくり乗りうつッているだろう」 オレは確信をもってこう云えるように思ったが、オレの確信の根元からゆりうごかしてくずすものはヒメの笑顔であった。オレが見失ってしまったものが確かにどこかにある
ようにも思われて、たよりなくて、ふと、たまらなく切ない思いを感じるようになってしまった。 ホーソー神が通りすぎて五十日もたたぬうちに、今度はちがった疫病が村をこえ里をこえて渡ってきた。夏がきて、熱い
日ざかりがつづいていた。 また人々は日ざかりに雨戸をおろして神仏に祈ってくらした。しかし、ホーソー神の通るあいだ畑を耕していなかったから、今度も畑を耕さないと食べる物が尽きていた。そこで百姓はおのの
きながら野良へでてクワを振りあげ振りおろしたが、朝は元気で出たのが、日ざかりの畑でキリキリ舞いをしたあげく、しばらく畑を這いまわってことぎれる者も少くなかった。 山の下の三ツ又のバケモノのホコラを拝
みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。「尊いヒメの神よ。悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日ざかりに雨戸をとざして、人々は息をころして暮していた。ヒメだ
けが雨戸をあけ、時に楼上から山下の村を眺めて、死者を見るたびに邸内の全ての者にきかせて歩いた。 オレの小屋へきてヒメが云った。「耳男よ。今日は私が何を見たと思う?」 ヒメの目がいつもにくらべて輝きが
深いようでもあった。ヒメは云った。「バケモノのホコラへ拝みにきて、ホコラの前でキリキリ舞いをして、ホコラにとりすがって死んだお婆さんを見たのよ」 オレは云ってやった。「あのバケモノの奴も今度の疫病神
は睨み返すことができませんでしたかい」 ヒメはそれにとりあわず、静かにこう命じた。「耳男よ。裏の山から蛇をとっておいで。大きな袋にいっぱい」 こう命じたが、オレはヒメに命じられては否応もない。黙って
意のままに動くことしかできないのだ。その蛇で何をするつもりだろうという疑いも、ヒメが立去ってからでないとオレの頭に浮かばなかった。 オレは裏の山にわけこんで、あまたの蛇をとった。去年の今ごろも、その
また前の年の今ごろも、オレはこの山で蛇をとったが、となつかしんだが、そのときオレはふと気がついた。 去年の今ごろも、そのまた前の年の今ごろも、オレが蛇とりにこの山をうろついていたのは、ヒメの笑顔に押
されてひるむ心をかきたてようと悪戦苦闘しながらであった。ヒメの笑顔に押されたときには、オレの造りかけのバケモノが腑抜けのように見えた。ノミの跡の全てがムダにしか見えなかった。そして腑抜けのバケモノを
再びマトモに見直す勇気が湧くまでには、この山の蛇の生き血を飲みほしても足りないのではないかと怯えつづけていたものだった。 そのころに比べると、いまのオレはヒメの笑顔に押されるということがない。イヤ、
押されてはいるかも知れぬが、押し返さねばならぬという不安な戦いはない。ヒメの笑顔が押してくるままの力を、オレのノミが素直に表すことができればよいという芸本来の三昧境にひたっているだけのことだ。 いま
のオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きはなかった。バケモノを刻むノミの跡は、ヒメの笑顔に押さ
れては、すべてがムダなものにしか見えなかったものであった。 いまのオレはともかく心に安らぎを得て、素直に芸と戦っているから、去年のオレも今年のオレも変りがないように思っていたが、大そう変っているらし
いな、ということをふと考えた。そして今年のオレの方がすべてに於て立ちまさっていると思った。 オレは大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻った。そのふくらみの大きさにヒメの目は無邪気にかがやいた。ヒメは云った
。「袋をもって、楼へ来て」 楼へ登った。ヒメは下を指して云った。「三ツ又の池のほとりにバケモノのホコラがあるでしょう。ホコラにすがりついて死んでいる人の姿が見えるでしょう。お婆さんよ。あそこまで辿り
ついてちょッと拝んでいたと思うと、にわかに立ち上ってキリキリ舞いをはじめたのよ。それからヨタヨタ這いまわって、やっとホコラに手をかけたと思うと動かなくなってしまったわ」 ヒメの目はそこにそそがれて動
- 832 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:11:17.22 0EVE.net
- 笑顔であるが、エナコのクビをオレの斧で斬り落せと沙汰のでたのも、実はこの笑顔がそれを見たいと思ったからに相違ない。 あのとき、アナマロが早くここを逃げよとオレにすすめて、長者も内々オレがここから逃げ
ることを望んでおられると言ったが、まさしく思い当る言葉である。この笑顔に対しては、長者も施す術がないのであろう。ムリもないとオレは思った。 人の祝う元日に、ためらう色もなくわが家の一隅に火をかけたこ
の笑顔は、地獄の火も怖れなければ、血の池も怖れることがなかろう。ましてオレが造ったバケモノなぞは、この笑顔が七ツ八ツのころのママゴト道具のたぐいであろう。「珍しいミロクの像をありがとう。他のものの百
層倍、千層倍も、気に入りました」 というヒメの言葉を思いだすと、オレはその怖ろしさにゾッとすくんだ。 オレの造ったあのバケモノになんの凄味があるものか。人の心をシンから凍らせるまことの力は一ツもこも
っていないのだ。 本当に怖ろしいのは、この笑顔だ。この笑顔こそは生きた魔神も怨霊も及びがたい真に怖ろしい唯一の物であろう。 オレは今に至ってようやくこの笑顔の何たるかをさとったが、三年間の仕事の間、
怖ろしい物を造ろうとしていつもヒメの笑顔に押されていたオレは、分らぬながらも心の一部にそれを感じていたのかも知れない。真に怖ろしいものを造るためなら、この笑顔に押されるのは当り前の話であろう。真に怖
ろしいものは、この笑顔にまさるものはないのだから。 今生の思い出に、この笑顔を刻み残して殺されたいとオレは考えた。オレにとっては、ヒメがオレを殺すことはもはや疑う余地がなかった。それも、今日、風呂か
らあがって奥の間へみちびかれて匆々《そうそう》にヒメはオレを殺すであろう。蛇のようにオレを裂いて逆さに吊すかも知れないと思った。そう思うと恐怖に息の根がとまりかけて、オレは思わず必死に合掌の一念であ
ったが、真に泣き悶えて合掌したところで、あの笑顔が何を受けつけてくれるものでもあるまい。 この運命をきりぬけるには、ともかくこの一ツの方法があるだけだとオレは考えた。それはオレのタクミとしての必死の
願望にもかなっていた。とにかくヒメに頼んでみようとオレは思った。そして、こう心がきまると、オレはようやく風呂からあがることができた。 オレは奥の間へみちびかれた。長者がヒメをしたがえて現れた。オレは
挨拶ももどかしく、ヒタイを下にすりつけて、必死に叫んだ。オレは顔をあげる力がなかったのだ。「今生のお願いでございます。お姫サマのお顔お姿を刻ませて下さいませ。それを刻み残せば、あとはいつ死のうとも悔
いはございません」 意外にもアッサリと長者の返答があった。「ヒメがそれに同意なら、願ってもないことだ。ヒメよ。異存はないか」 それに答えたヒメの言葉もアッサリと、これまた意外千万であった。「私が耳男
にそれを頼むつもりでしたの。耳男が望むなら申分ございません」「それは、よかった」 長者は大そう喜んで思わず大声で叫んだが、オレに向って、やさしく云った。「耳男よ。顔をあげよ。三年の間、御苦労だった。
お前のミロクは皮肉の作だが、彫りの気魄、凡手の作ではない。ことのほかヒメが気に入ったようだから、それだけでオレは満足のほかにつけ加える言葉はない。よく、やってくれた」 長者とヒメはオレに数々のヒキデ
モノをくれた。そのとき、長者がつけ加えて、言った。「ヒメの気に入った像を造った者にはエナコを与えると約束したが、エナコは死んでしまったから、この約束だけは果してやれなくなったのが残念だ」 すると、そ
れをひきとって、ヒメが言った。「エナコは耳男の耳を斬り落した懐剣でノドをついて死んでいたのよ。血にそまったエナコの着物は耳男がいま下着にして身につけているのがそれよ。身代りに着せてあげるために、男物
に仕立て直しておいたのです」 オレはもうこれしきのことでは驚かなくなっていたが、長者の顔が蒼ざめた。ヒメはニコニコとオレを見つめていた。 そのころ、この山奥にまでホーソーがはやり、あの村にも、この里
にも、死ぬ者がキリもなかった。疫病はついにこの村にも押し寄せたから、家ごとに疫病除けの護符をはり、白昼もかたく戸を閉して、一家ヒタイを集めて日夜神仏に祈っていたが、悪魔はどの隙間から忍びこんでくるも
のやら、日ましに死ぬ者が多くなる一方だった。 長者の家でも広い邸内の雨戸をおろして家族は日中も息を殺していたが、ヒメの部屋だけは、ヒメが雨戸を閉めさせなかった。「耳男の造ったバケモノの像は、耳男が無
数の蛇を裂き殺して逆吊りにして、生き血をあびながら咒いをこめて刻んだバケモノだから、疫病よけのマジナイぐらいにはなるらしいわ。ほかに取得もなさそうなバケモノだから、門の外へ飾ってごらん」 ヒメは人に
- 833 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:11:33.39 0EVE.net
- くらべをするのは、お前の師と並んでヒダの三名人とうたわれている青ガサとフル釜だぞ」「青ガサもフル釜も、親方すらも怖ろしいと思うものか。オレが一心不乱にやれば、オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだ
けだ」 アナマロはあわれんで溜息をもらすような面持であったが、どう思い直してか、オレを親方の代りに長者の邸へ連れていった。「キサマは仕合せ者だな。キサマの造った品物がオメガネにかなう筈はないが、日本
中の男という男がまだ見ぬ恋に胸をこがしている夜長姫サマの御身ちかくで暮すことができるのだからさ。せいぜい仕事を長びかせて、一時も長く逗留の工夫をめぐらすがよい。どうせかなわぬ仕事の工夫はいらぬことだ
」 道々、アナマロはこんなことを云ってオレをイラだたせた。「どうせかなわぬオレを連れて行くことはありますまい」「そこが虫のカゲンだな。キサマは運のいい奴だ」 オレは旅の途中でアナマロに別れて幾度か立
ち帰ろうと思った。しかし、青ガサやフル釜と技を競う名誉がオレを誘惑した。彼らを怖れて逃げたと思われるのが心外であった。オレは自分に云いきかせた。「一心不乱に、オレのイノチを打ちこんだ仕事をやりとげれ
ばそれでいいのだ。目玉がフシアナ同然の奴らのメガネにかなわなくとも、それがなんだ。オレが刻んだ仏像を道のホコラに安置して、その下に穴を掘って、土に埋もれて死ぬだけのことだ」 たしかにオレは生きて帰ら
ぬような悲痛な覚悟を胸にかためていた。つまりは青ガサやフル釜を怖れる心のせいであろう。正直なところ、自信はなかった。 長者の邸へ着いた翌日、アナマロにみちびかれて奥の庭で、長者に会って挨拶した。長者
はまるまるとふとり、頬がたるんで、福の神のような恰好の人であった。 かたわらに夜長ヒメがいた。長者の頭にシラガが生えそめたころにようやく生れた一粒種だから、一夜ごとに二握りの黄金を百夜にかけてしぼら
せ、したたる露をあつめて産湯をつかわせたと云われていた。その露がしみたために、ヒメの身体は生れながらに光りかがやき、黄金の香りがすると云われていた。 オレは一心不乱にヒメを見つめなければならないと思
った。なぜなら、親方が常にこう言いきかせていたからだ。「珍しい人や物に出会ったときは目を放すな。オレの師匠がそう云っていた。そして、師匠はそのまた師匠にそう云われ、そのまた師匠のそのまた師匠のまたま
た昔の大昔の大親の師匠の代から順くりにそう云われてきたのだぞ。大蛇に足をかまれても、目を放すな」 だからオレは夜長ヒメを見つめた。オレは小心のせいか、覚悟をきめてかからなければ人の顔を見つめることが
できなかった。しかし、気おくれをジッと押えて、見つめているうちに次第に平静にかえる満足を感じたとき、オレは親方の教訓の重大な意味が分ったような気がするのだった。のしかかるように見つめ伏せてはダメだ。
その人やその物とともに、ひと色の水のようにすきとおらなければならないのだ。 オレは夜長ヒメを見つめた。ヒメはまだ十三だった。身体はノビノビと高かったが、子供の香がたちこめていた。威厳はあったが、怖ろ
しくはなかった。オレはむしろ張りつめた力がゆるんだような気がしたが、それはオレが負けたせいかも知れない。そして、オレはヒメを見つめていた筈だが、ヒメのうしろに広々とそびえている乗鞍山《ノリクラヤマ》
が後々まで強くしみて残ってしまった。 アナマロはオレを長者にひき合せて、「これが耳男《ミミオ》でございます。若いながらも師の骨法をすべて会得し、さらに独自の工夫も編みだしたほどの師匠まさりで、青ガサ
やフル釜と技を競ってオクレをとるとは思われぬと師が口をきわめてほめたたえたほどのタクミであります」 意外にも殊勝なことを言った。すると長者はうなずいたが、「なるほど、大きな耳だ」 オレの耳を一心に見
つめた。そして、また云った。「大耳は下へ垂れがちなものだが、この耳は上へ立ち、頭よりも高くのびている。兎の耳のようだ。しかし、顔相は、馬だな」 オレの頭に血がさかまいた。オレは人々に耳のことを言われ
た時ほど逆上し、混乱することはない。いかな勇気も決心も、この混乱をふせぐことができないのだ。すべての血が上体にあがり、たちまち汗がしたたった。それはいつものことではあるが、この日の汗はたぐいのないも
のだった。ヒタイも、耳のまわりも、クビ筋も、一時に滝のように汗があふれて流れた。 長者はそれをフシギそうに眺めていた。すると、ヒメが叫んだ。「本当に馬にそッくりだわ。黒い顔が赤くなって、馬の色にそッ
くり」 侍女たちが声をたてて笑った。オレはもう熱湯の釜そのもののようであった。溢れたつ湯気も見えたし、顔もクビも胸も背も、皮膚全体が汗の深い河であった。 けれどもオレはヒメの顔だけは見つめなければい
- 834 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:11:50.38 0EVE.net
- くり」 侍女たちが声をたてて笑った。オレはもう熱湯の釜そのもののようであった。溢れたつ湯気も見えたし、顔もクビも胸も背も、皮膚全体が汗の深い河であった。 けれどもオレはヒメの顔だけは見つめなければい
けないし、目を放してはいけないと思った。一心不乱にそう思い、それを行うために力をつくした。しかし、その努力と、湧き立ち溢れる混乱とは分離して並行し、オレは処置に窮して立ちすくんだ。長い時間が、そして
、どうすることもできない時間がすぎた。オレは突然ふりむいて走っていた。他に適当な行動や落附いた言葉などを発すべきだと思いつきながら、もっとも欲しない、そして思いがけない行動を起してしまったのである。
- 835 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:11:58.28 aEVE.net
- そもそもマリカコラボ実施すら嫌だったのでは
- 836 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:12:06.70 0EVE.net
- くして言って聞かせてあるのが、三年たってもまだ分らないのか」「目がさめたら、戸をおあけ」「きいた風なことを言うな。オレが戸を開けるのは目がさめた時じゃアねえや」「では、いつ、あける?」「外に人が居な
い時だ」「それは、ほんとね?」 オレはそれをきいたとき、忘れることのできない特徴のあるヒメの抑揚をききつけて、声の主はヒメその人だと直覚した。にわかにオレの全身が恐怖のために凍ったように思った。どう
してよいのか分らなくて、オレはウロウロとむなしく時間を費した。「私が居るうちに出ておいで。出てこなければ、出てくるようにしてあげますよ」 静かな声がこう云った。ヒメが侍女に命じて戸の外に何か積ませて
いたのをオレはさとっていたが、火打石をうつ音に、それは枯れ柴だと直感した。オレははじかれたように戸口へ走り、カンヌキを外して戸をあけた。 戸があいたのでそこから風が吹きこむように、ヒメはニコニコと小
屋の中へはいってきた。オレの前を通りこして、先に立って中へはいった。 三年のうちにヒメのカラダは見ちがえるようにオトナになっていた。顔もオトナになっていたが、無邪気な明るい笑顔だけは、三年前と同じよ
うに澄みきった童女のものであった。 侍女たちは小屋の中をみてたじろいだ。ヒメだけはたじろいだ気色がなかった。ヒメは珍しそうに室内を見まわし、また天井を見まわした。蛇は無数の骨となってぶらさがっていた
が、下にも無数の骨が落ちてくずれていた。「みんな蛇ね」 ヒメの笑顔に生き生きと感動がかがやいた。ヒメは頭上に手をさしのばして垂れ下っている蛇の白骨の一ツを手にとろうとした。その白骨はヒメの肩に落ちく
ずれた。それを軽く手で払ったが、落ちた物には目もくれなかった。一ツ一ツが珍しくて、一ツの物に長くこだわっていられない様子に見えた。「こんなことを思いついたのは、誰なの? ヒダのタクミの仕事場がみんな
こうなの? それとも、お前の仕事場だけのこと?」「たぶん、オレの小屋だけのことでしょう」 ヒメはうなずきもしなかったが、やがて満足のために笑顔は冴えかがやいた。三年昔、オレが見納めにしたヒメの顔は、
にわかに真剣にひきしまって退屈しきった顔であったが、オレの小屋では笑顔の絶えることがなかった。「火をつけなくてよかったね。燃してしまうと、これを見ることができなかったわ」 ヒメは全てを見終ると満足し
て呟いたが、「でも、もう、燃してしまうがよい」 侍女に枯れ柴をつませて火をかけさせた。小屋が煙につつまれ、一時にどッと燃えあがるのを見とどけると、ヒメはオレに云った。「珍しいミロクの像をありがとう。
他の二ツにくらべて、百層倍も、千層倍も、気に入りました。ゴホービをあげたいから、着物をきかえておいで」 明るい無邪気な笑顔であった。オレの目にそれをのこしてヒメは去った。オレは侍女にみちびかれて入浴
し、ヒメが与えた着物にきかえた。そして、奥の間へみちびかれた。 オレは恐怖のために、入浴中からウワの空であった。いよいよヒメに殺されるのだとオレは思った。 オレはヒメの無邪気な笑顔がどのようなもので
あるかを思い知ることができた。エナコがオレの耳を斬り落すのを眺めていたのもこの笑顔だし、オレの小屋の天井からぶらさがった無数の蛇を眺めていたのもこの笑顔だ。オレの耳を斬り落せとエナコに命じたのもこの
笑顔であるが、エナコのクビをオレの斧で斬り落せと沙汰のでたのも、実はこの笑顔がそれを見たいと思ったからに相違ない。 あのとき、アナマロが早くここを逃げよとオレにすすめて、長者も内々オレがここから逃げ
ることを望んでおられると言ったが、まさしく思い当る言葉である。この笑顔に対しては、長者も施す術がないのであろう。ムリもないとオレは思った。 人の祝う元日に、ためらう色もなくわが家の一隅に火をかけたこ
の笑顔は、地獄の火も怖れなければ、血の池も怖れることがなかろう。ましてオレが造ったバケモノなぞは、この笑顔が七ツ八ツのころのママゴト道具のたぐいであろう。「珍しいミロクの像をありがとう。他のものの百
層倍、千層倍も、気に入りました」 というヒメの言葉を思いだすと、オレはその怖ろしさにゾッとすくんだ。 オレの造ったあのバケモノになんの凄味があるものか。人の心をシンから凍らせるまことの力は一ツもこも
っていないのだ。 本当に怖ろしいのは、この笑顔だ。この笑顔こそは生きた魔神も怨霊も及びがたい真に怖ろしい唯一の物であろう。 オレは今に至ってようやくこの笑顔の何たるかをさとったが、三年間の仕事の間、
怖ろしい物を造ろうとしていつもヒメの笑顔に押されていたオレは、分らぬながらも心の一部にそれを感じていたのかも知れない。真に怖ろしいものを造るためなら、この笑顔に押されるのは当り前の話であろう。真に怖
- 837 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:12:18.64 0EVE.net
- >>815
あにまーれ盛り上げようと頑張って話してるのくらい分からんのかな
- 838 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:12:21.46 0EVE.net
- メンバー同士ちゃんと繋がらないことには運営とまともに話し合うなんてできない
- 839 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2018/12/24(月) 05:12:23.16 0EVE.net
- なく此奴を代理に差出すわけではなくて、青笠や古釜と技を競って劣るまいとオレが見込んで差出すものと心得て下さるように」 きいていてオレが呆れてただ目をまるくせずにいられなかったほどの過分の言葉であった
。 オレはそれまで親方にほめられたことは一度もなかった。もっとも、誰をほめたこともない親方ではあったが、それにしても、この突然のホメ言葉はオレをまったく驚愕させた。当のオレがそれほどだから、多くの古
い弟子たちが親方はモウロクして途方もないことを口走ってしまったものだと云いふらしたのは、あながち嫉みのせいだけではなかったのである。 夜長の長者の使者アナマロも兄弟子たちの言い分に理があるようだと考
えた。そこでオレをひそかに別室へよんで、「お前の師匠はモウロクしてあんなことを云ったが、まさかお前は長者の招きに進んで応じるほど向う見ずではあるまいな」 こう云われると、オレはムラムラと腹が立った。
その時まで親方の言葉を疑ったり、自分の腕に不安を感じていたのが一時に掻き消えて、顔に血がこみあげた。「オレの腕じゃア不足なほど、夜長の長者は尊い人ですかい。はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だと
いう寺は天下に一ツもない筈だ」 オレは目もくらみ耳もふさがり、叫びたてるわが姿をトキをつくるのようだと思ったほどだ。アナマロは苦笑した。「相弟子どもと鎮守のホコラを造るのとはワケがちがうぞ。お前が腕
くらべをするのは、お前の師と並んでヒダの三名人とうたわれている青ガサとフル釜だぞ」「青ガサもフル釜も、親方すらも怖ろしいと思うものか。オレが一心不乱にやれば、オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだ
けだ」 アナマロはあわれんで溜息をもらすような面持であったが、どう思い直してか、オレを親方の代りに長者の邸へ連れていった。「キサマは仕合せ者だな。キサマの造った品物がオメガネにかなう筈はないが、日本
中の男という男がまだ見ぬ恋に胸をこがしている夜長姫サマの御身ちかくで暮すことができるのだからさ。せいぜい仕事を長びかせて、一時も長く逗留の工夫をめぐらすがよい。どうせかなわぬ仕事の工夫はいらぬことだ
」 道々、アナマロはこんなことを云ってオレをイラだたせた。「どうせかなわぬオレを連れて行くことはありますまい」「そこが虫のカゲンだな。キサマは運のいい奴だ」 オレは旅の途中でアナマロに別れて幾度か立
ち帰ろうと思った。しかし、青ガサやフル釜と技を競う名誉がオレを誘惑した。彼らを怖れて逃げたと思われるのが心外であった。オレは自分に云いきかせた。「一心不乱に、オレのイノチを打ちこんだ仕事をやりとげれ
ばそれでいいのだ。目玉がフシアナ同然の奴らのメガネにかなわなくとも、それがなんだ。オレが刻んだ仏像を道のホコラに安置して、その下に穴を掘って、土に埋もれて死ぬだけのことだ」 たしかにオレは生きて帰ら
ぬような悲痛な覚悟を胸にかためていた。つまりは青ガサやフル釜を怖れる心のせいであろう。正直なところ、自信はなかった。 長者の邸へ着いた翌日、アナマロにみちびかれて奥の庭で、長者に会って挨拶した。長者
はまるまるとふとり、頬がたるんで、福の神のような恰好の人であった。 かたわらに夜長ヒメがいた。長者の頭にシラガが生えそめたころにようやく生れた一粒種だから、一夜ごとに二握りの黄金を百夜にかけてしぼら
せ、したたる露をあつめて産湯をつかわせたと云われていた。その露がしみたために、ヒメの身体は生れながらに光りかがやき、黄金の香りがすると云われていた。 オレは一心不乱にヒメを見つめなければならないと思
った。なぜなら、親方が常にこう言いきかせていたからだ。「珍しい人や物に出会ったときは目を放すな。オレの師匠がそう云っていた。そして、師匠はそのまた師匠にそう云われ、そのまた師匠のそのまた師匠のまたま
た昔の大昔の大親の師匠の代から順くりにそう云われてきたのだぞ。大蛇に足をかまれても、目を放すな」 だからオレは夜長ヒメを見つめた。オレは小心のせいか、覚悟をきめてかからなければ人の顔を見つめることが
できなかった。しかし、気おくれをジッと押えて、見つめているうちに次第に平静にかえる満足を感じたとき、オレは親方の教訓の重大な意味が分ったような気がするのだった。のしかかるように見つめ伏せてはダメだ。
その人やその物とともに、ひと色の水のようにすきとおらなければならないのだ。 オレは夜長ヒメを見つめた。ヒメはまだ十三だった。身体はノビノビと高かったが、子供の香がたちこめていた。威厳はあったが、怖ろ
しくはなかった。オレはむしろ張りつめた力がゆるんだような気がしたが、それはオレが負けたせいかも知れない。そして、オレはヒメを見つめていた筈だが、ヒメのうしろに広々とそびえている乗鞍山《ノリクラヤマ》
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