【ブラジル】普及進まぬ上下水道網　全人口の60%は自宅に排水溝がないなどの不衛生な環境での水利用　W杯後の発表は故意との見方も [08/10]

★【ブラジル】普及進まぬ上下水道網　不衛生な環境での水利用
サンパウロ新聞 8月7日(木)2時42分配信

◆W杯後の発表は故意との見方も
国連がブラジル国内における上水道と下水道へのアクセスに関するデータを公表した。
これにより、ブラジルではいまだに数千万人の国民が安全な飲み水や下水設備のない不衛生な環境で
生活していることが示された。また、この報告書が他国より数カ月遅れてサッカー・ワールドカップ（W杯）
終了後に発表されたことが、ブラジル政府の隠ぺい主義に対する疑念を深めている。5日付の地元紙が報じた。

報告書は7700万人のブラジル国民が飲用に適した水が出る水道の引かれていない住居に住んでいることを
明らかにしているが、これはドイツの総人口に匹敵するという。また下水道の設置も遅れており、
全人口の60％に当たる1億1400万人は自宅に排水口がないか、あっても下水道へつながっていない
状況下で生活している。さらに800万人の国民はトイレがない生活をしており、屋外での排泄を
余儀なくされていることも明らかになった。

しかしこのデータは地域格差が大きく、水道の引かれていない住居で暮らしている国民はブラジル北部で31％、
北東部で21・5％に上る。他にも各地域の住民の収入レベルと水道設備の完備には比例関係が見られるとしており、
最低賃金の4分の1の平均収入を得ている地域では35％の住民が水回りの不便を被っており、反対に最低賃金の
5倍の平均収入を得ている地域では95％の住民が上水道設備の整った環境で生活している。

このため国連はブラジルに対し、水道代の上限を収入の20分の1に抑えるよう提言しているが、
実際には収入の4分の1を水道代に使っている世帯も見られるという。

国連は他にも、ブラジル政府が憲法の改正を行い、水道へのアクセスを全国民に保証することを強く勧めている。
これはブラジル政府が33年までの期限を設定して目標としている「国民の99％への水道供給」に対する批判であり、
1％の最も貧しい人々に水道設備への権利を保証しないことに対する警鐘だという。

報告書はまた、下水道の不備が結果としてブラジルの財政に大きな負担をかけることになっていると指摘している。
わずか1年間で40万人が下痢によって入院し、統一医療保健システムの医療施設における支出を増やしているためで、
約1億4000万レアルが入院・治療費として国庫から支払われたと算出した上で、下水に投資すれば投資額の約5倍の
見返りがあると指摘している。

なお、国連は昨年末に報告書の発表を予定していたが、ブラジル政府が調査班の受け入れを延期したためW杯
終了後の発表となってしまったことも分かっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140807-00010005-saopaulo-s_ame

【ブラジル】普及進まぬ上下水道網 全人口の60%は自宅に排水溝がないなどの不衛生な環境での水利用 W杯後の発表は故意との見方も [08/10]

【ブラジル】普及進まぬ上下水道網　全人口の60%は自宅に排水溝がないなどの不衛生な環境での水利用　W杯後の発表は故意との見方も [08/10]