【パラグアイ】日本とパラグアイの結びつきを知るなら岐阜の豆腐工場に… [08/09]

★「安倍外交」で見えてきたものパラグアイ日系人社会「支援」の秘話

今週初めに中南米諸国の歴訪から帰国した安倍総理大臣。今回の歴訪の目的の一つは、現地で暮らす
「日系人」の人々との交流でした。その日系人社会が３年前の東日本大震災の時に祖国・日本に差し向けた
ある支援の物語を取材しました。

東京のパラグアイ大使館。

「ようこそパラグアイ大使館にいらっしゃいました」

出迎えてくれたのは豊歳直之大使。２４歳でパラグアイに渡った日系１世で、日本語も流ちょうに話せます。

「（パラグアイは）地理的にいうと日本から一番遠いのではないか。しかし感情的には、
また交流の面でも世界で最も近い国だと考えています」（在日パラグアイ大使館　豊歳直之大使）

パラグアイの日系人と日本との関係を知るには、ある場所へ行くのがいいとアドバイスしてくれました。

「岐阜に行かれてお話しされたり、見られたらいいのではないか」（在日パラグアイ大使館　豊歳直之大使）

そこは岐阜県関市にある豆腐工場です。

Ｑ．どこの大豆を使っていますか？
「南米のパラグアイ産の大豆で、豆腐や揚げを作っています」（チュウノー食品　渡邉好弘社長）

３年前の東日本大震災。被災者に栄養になるものを届けたい。そんな思いから、パラグアイで大豆を栽培する
日系人の人々が豆腐１００万丁分の大豆を日本に送ることを決めたのです。

「今、皆さん携帯電話を持っているので、パラグアイ中の日系社会の皆さんが一晩のうちに連絡を取り合って、
『豆腐１００万丁事業は大変意義深い』『パラグアイの日系社会にとって支援の目玉事業になれる』」
（大豆提供を仲介した　サラダコスモ　中田智洋社長）

大震災の裏で起きていた知られざる支援。関係者に理由を聞くため、パラグアイへ飛びました。

「この季節、一面、小麦の畑となっているこちらの場所で大豆の物語が始まりました」（記者）

大豆を提供したイグアス日本人会会長の福井一朗さんは、こう説明します。

「ここの学校で、ここの言葉を覚えて、パラグアイに溶け込んで生産を始めて、大豆に巡り会ってというのが、
ここの歴史」（イグアス日本人会会長　福井一朗さん）

福井さんが暮らすのは、南米一の大瀑布「イグアスの滝」にほど近い日系人移住地。街中には鳥居や日本語で
書かれた標語、ラーメン店ののれんまで。日本国内と見まがうばかりです。

この「イグアス移住地」への入植は１９６１年。マラリアと闘いながらジャングルに畑を開きましたが、
ほんの１０数年前までは、あまりの貧しさに耐えられず、ここを去る人も絶えなかったといいます。
今では２２０世帯７５０人の日系人が農業で生計を立てながら暮らしています。

「１軒の動かすお金としては、１軒当たり５０万ドル近いのかな」（イグアス日系農協　工藤忠利組合長）

日系人の農家はパラグアイでは有数の規模を誇るといいます。９歳の時にパラグアイに渡ってきた松永真一さん。
大豆や小麦を作り続け、いまや瀟洒な豪邸を構えるまでの成功を収めました。

「ここは１００ヘクタールぐらいですかね」（松永真一さん）

日系人の成功の理由は、その「勤勉さ」だと言われています。たとえば肥沃な土壌が広がるパラグアイでは、
農作物に肥料をやる必要がないのですが、松永さんはさらに上を求めました。

「何でもそうですが、土から育つものですから」（松永真一さん）

肥沃な土をさらに良くするために、肥料をつくる施設を稼働させたのです。

「長い目で見たときには貯金になるなあと」（松永真一さん）

こうした地道な努力をパラグアイの農業相も高く評価しています。

「とても優れた生産者で、規律がしっかりとして組織が強く、相互の協力体制も強く、革新的な存在だということです」
（パラグアイ　ホルヘ・ガッティーニ農業相）

苦難の歴史を重ねながら成功を収めた南米の日系人社会。

「僕たちも日本人として、ここで暮らしていることが、ひとつの財産というか、日本にとっても日本の宝になって、
僕たちもここで頑張りたい」（イグアス日本人会会長　福井一朗さん）

中南米に暮らす日系人は１８０万人にも上ります。今回の安倍総理の中南米訪問は、今でも日本に熱い思いを寄せる
そんな人々との連携を深めることにつながったのでしょうか。（08日16:23）

http://news.tbs.co.jp/20140808/newseye/tbs_newseye2269893.html