滝沢和典「どうすりゃいいんだ…」

焼き鳥名無しさん

Mリーグ、初年度を2位で終えたオフシーズン
亜樹と勝又がFRIDAYの餌食に、井出康平も笑顔を見せず惨敗だった
ネットに響くファンのため息、どこからか聞こえる「これじゃ不倫火山だな」の声
無言で帰り始める雀士達の中、昨シーズンの4位回避率トップ・滝沢和典は独りベンチで泣いていた
Mリーグで手にした栄冠、喜び、少牌、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のEX風林火山で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」滝沢は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、滝沢ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って飲み直しをしなくちゃな」滝沢は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、滝沢はふと気付いた

「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
ベンチから飛び出した滝沢が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのように勝どきが響いていた
どういうことか分からずに呆然とする滝沢の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「滝沢殿、出陣じゃ、早く行くぞ」声の方に振り返った滝沢は目を疑った
「だ・・・誰？」　「滝沢殿、居眠りでもしておられましたか？」
「う・・・内野聖陽？」　「なんじゃ滝沢、勘助の名前も知らぬとは」
「武田信玄・・・」　滝沢は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
１番：飯富虎昌　２番：小山田信茂　３番：春日虎綱　４番：武田信玄　５番：武田信廉　６番：内川　７番：内藤昌豊　８番：馬場信春　９番：山本勘助
暫時、唖然としていた内川だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
武田信繁から刀を受け取り、川中島へ全力疾走する滝沢、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、居酒屋で冷たくなっている滝沢が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った