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産経抄ファンクラブ第212集

354 :文責・名無しさん:2015/11/29(日) 07:50:51.68 ID:3CFZGkJ30.net
【産経抄】11月29日

 「母」という字は、その形がどこかしら切ない影を引いているようにも映る。〈母は/
舟の一族だろうか/こころもち傾いているのは/どんな荷物を/積みすぎているせいか〉。
詩人の吉野弘が『漢字喜遊曲』の一節で、深い同情を寄せている。

 ▼悲しい積み荷を乗せた舟もある。「移植手術ができるものなら、ママの脳でも何でも
あげたい」「一生懸命話しかけていたママの声、聞こえていましたか?」。21歳で亡くな
った娘に、母親が語りかけた手記の一節という。娘は、地下鉄サリン事件で犠牲になった
(『ここにいること』岩波書店)。

 ▼わが子、父や母、夫や妻、いつかは母親になったであろう人…。平成7年3月、オウム
真理教が引き起こした事件は多くの人々から大切な人を奪った。狂った教義をかざし、市
民を巻き添えにした凶行には風化も忘却もあり得ない。

 ▼だからこそ、教団の元女性信者も17年の逃亡を続けたのではないか。サリン事件の2
カ月後に起きた東京都庁郵便物爆発事件で、東京高裁は逆転無罪とした。1審で採用した
教団幹部の証言は「信用性に疑問」があるという。「時間の壁」が判決に響くというな
ら、それは長い逃亡生活の罪だろう。

 ▼逃亡先で男性との暮らしを営み、逮捕後は「幸せな生活を壊したくなかった」と捜査
員に語ったという。一方、事件から20年たった今も遺族や被害者は苦しみ続けている。一
連の事件を「なかったこと」にできる無罪ではあるまい。

 ▼冒頭の詩人はこうもうたっている。〈何が満たされて幸いになり/何が足らなくて辛
いのか〉。元女性信者が再び裁かれるのか、このまま無罪となるのか分からない。再び
「幸」の字を求めるのなら、同時に「罪」の報いを背負う人でもあれと願う。

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