【愛媛】父の遺志仏道で生きる　宝厳寺再建へ次女陽子さん

坊主 ★

父の遺志仏道で生きる　宝厳寺再建へ次女陽子さん
引用元：読売新聞 2015年07月05日
http://www.yomiuri.co.jp/local/ehime/news/20150704-OYTNT50295.html

　◇看護職辞め神奈川に修行

　◇上棟式で読経

　時宗の開祖・一遍上人の生誕の地で、２０１３年８月に火災で焼失した宝厳寺（松山市道後湯月町）。
再建を心待ちにしながら病のために亡くなった前住職の次女、長岡陽子さん（２５）は父の遺志を継ごうと、看護師の職をなげうって僧侶の修行にいそしんでいる。
４日に行われた新しい本堂の上棟式で檀家たちに励まされた陽子さんは、仏の道で生きる決意を新たにした。（石黒彩子）

　「ありがとうございます。お世話になります」。
次々と訪れる出席者に、法衣姿の陽子さんが晴れやかな笑顔であいさつを交わした。

　松山市内の高校を卒業し、兵庫県内の大学を経て看護師になった。
１２年に神戸市内の病院で働き始め、脳外科などでハードな勤務をこなしていた。

　１３年８月１０日、宝厳寺で火災が起きたと、母親からの電話で聞かされた。
翌日に帰った寺は、本堂も庫裏も焼け落ち、重要文化財の木造一遍上人立像まで失われていた。
夏目漱石や正岡子規ら文人にも愛された古刹。
父の隆祥さんや檀家、地元の人々の落胆する姿に、寺の存在の重さを改めて知った。

　地元の呼びかけで全国から浄財が寄せられ、火災からわずか１年あまりで再建が決まった。
しかし、病を抱えていた隆祥さんは、着工を目前に控えた１４年１０月に８１歳で死去した。

　以前から「いつかは寺に戻るのかも」と思っていた。病床の隆祥さんに「寺を頼む」と託されて、仏門に入る決意を固めた。
肩まであった髪をバッサリと切り、今年３月、神奈川県藤沢市の総本山・清浄光寺での修行に入った。

　全国の時宗の寺から集まった９人のうち、女性は陽子さんだけ。
携帯電話を持つことは許されず、修行が終わる来年３月末まで、寺の外に出ることも許されない。
幼い頃から隆祥さんの仕事ぶりを見てきたつもりなのに、いざ修行となると「右も左も分からない」ほど戸惑った。

　上棟式には、特別に許しをもらって駆けつけた。
檀家たちが見守る中、隆祥さんの後任で、広島県尾道市の海徳寺の川崎玄倫住職（６３）とともに、祭壇に向かって読経した。

　再建のために奔走した檀家総代の三好隆さん（６７）は、陽子さんの姿に「３か月の修行で大したもの。
きっと名物和尚さんになってくれる」と期待を寄せる。川崎住職も「誰よりも先代が喜んでいるはず」と話す。

　来年５月の落成式を目指して、工事は着々と進む。「本堂の立派な骨組みを見て身が引き締まった。やるしかない」。
そう話すと、再び修行の地へと向かった。

上棟式に臨む長岡陽子さん
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20150704/20150704-OYTNI50062-L.jpg
柱やはりが組み上がった本堂（いずれも松山市の宝厳寺で）
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20150704/20150704-OYTNI50063-L.jpg

【愛媛】父の遺志仏道で生きる 宝厳寺再建へ次女陽子さん

【愛媛】父の遺志仏道で生きる　宝厳寺再建へ次女陽子さん