投票できるスマホアプリで「1分で全て終わった」　費用90％減、投票率もアップ　オマーン挑戦 [武者小路バヌアツ★]

投票できるスマホアプリで「1分で全て終わった」　費用90％減、投票率もアップ　オマーンの挑戦とは
2023年11月22日 17時00分

　中東オマーンで10月下旬に行われた諮問議会選（下院に相当、90議席）で、スマートフォンのアプリを使った電子投票が初めて本格導入された。
スマホによる国政選挙の実施は世界的にも珍しい。

オマーンの選挙管理委員会によると、投票率は過去2番目に高い65.88％に達した。ハッカーなどによる不正を懸念する声もあるが、
政府は「スマホ投票の成功を他国にも伝えたい」と意気込む。首都マスカットで選挙の様子を追った。

◆投票締め切り、直後に当選者判明
オマーン政府が導入した選挙アプリ

　「電子投票で不正や問題は見当たらなかった。選挙において新たな扉を開いた」。
投開票の翌日、マスカット市内での記者会見で、運輸・通信・情報技術省副大臣のアリ・アルシダーニ氏が誇らしげに述べた。

　オマーン政府が導入したのは政府主導で開発した選挙アプリだ。
選管によると、有権者のうち約75万3千人がアプリをダウンロードして事前登録し、当日は午前8時～午後7時の間に投票。834人が立候補したが、
当選者は投票締め切り直後に判明した。

◆家族のサポートを受けての投票も可能
　投票の際は、有権者はアプリのカメラ機能を使って身分証明書の表裏を撮影し、
さらにスマホで身分証明書内のICチップを読み取らせる。
その後、自身の顔写真を撮影・登録して準備が完了する。
後はアプリ内から候補者を選択し、投票ボタンを押すだけだ。投票率などはアプリを通じてリアルタイムで確認できる。

10月末、オマーンの首都マスカットの内務省で、電子投票導入の経緯を説明する選挙管理委員会のアルサアディ氏

　他人のスマホからでも投票できるため、障害者や高齢者などスマホの使用が難しい有権者は家族らのサポートを受けて投票したという。
アプリでは手話による説明動画もあり、アルシダーニ氏は「全ての人が投票できるように環境を整えた」と話す。

　選管書記のタラル・アルサアディ氏（47）は、電子投票の導入理由を（1）費用削減（2）人員削減（3）有権者の負担軽減、と説明する。

内務省によると、国政選挙では通常、投票所運営や開票作業などに約8000人を要したが、今回は500人以下。
投票所の設営費や交通費なども削減でき、投開票日を平日に設定することもできた。
「通常より約90％の予算削減に成功した」と強調する。

　オマーンはアラビア海に面する小さな産油国であり、通信設備が整う。
運輸・通信・情報技術省によると、オマーンではスマホを複数所有する人も多く、所有率は130％。
通信ネットワークも整い、カバー率は第3世代（3G）回線が99％、4G回線も97％を超える。
不正防止についても、アルサアディ氏は「複数の省庁が連携してウイルスやハッカー対策に取り組み、セキュリティー網を何重にも張っている」と強調する。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/291195

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