【企業】米コカ・コーラ、コーラ一辺倒からの脱却

ノチラ ★

コカ・コーラは年間420億ドル（約４兆6700億円）を売り上げる企業に成長した。「飲みたいと思ったらすぐ手の中に」とうたうコマーシャルの通り、コーラはキューバと北朝鮮以外のありとあらゆる国で飲まれている。

　その普及率はあまりに高く、マーケティング手法も極めて成熟している。途上国における開発援助を積極的に行っているビル＆メリンダ・ゲイツ財団は、途上国に予防接種を広める運動にこのマーケティングのやり方を当てはめようとしているほどだ。

■ボトリング業者を売る案も

　しかし、５月に新最高経営責任者（ＣＥＯ）の座に就いたジェームズ・クインシー氏――社内で昇格した――が問われているのは、コカ・コーラ自身が主力製品であるコーラを超える新ビジネスを展開できるかどうかだ。　

　現在コカ・コーラは圧力にさらされている。世界では、同社の製品を優れたものではなく、害をもたらすものとする国が増えており、炭酸飲料に課税するようになった。また、インターネットを通じたオンラインショッピングに消費者がどんどん移行している状況にも対応しなければならない。一方で、投資家からは足元24％の利益率をさらに拡大するよう求められている。

　一般消費財セクターを主な投資対象とする未公開株専門の投資会社、３Ｇを創設した、ジョルジェ・パウロ・レマン氏は「自分なら200人の従業員でコカ・コーラを運営できる」と皮肉を言う。

　同社は、経営効率を高めるための策をすでに取り始めている。その中には2019年までに38億ドル（約4200億円）のコストを削減するプラン――４月に削減幅が拡大された――もある。

例えば、ボトリング業者（飲料を瓶詰めする会社）の巨大ネットワークを売り払うという案もある。コカ・コーラと多数の提携先ボトリング業者を合わせると、その規模は消費財を扱う会社としては世界最大級となる。ネットワークの売却を実行すれば今年は70億ドル（約7800億円）以上の減収となるかもしれない。その先に目指すのは、企業としての機動性を高め、利益を生みやすい体質にすることだ。

一方で、最も注目すべき動きであり、大きなリスクを伴うのはコカ・コーラが製品の多様化にかじを切る取り組みである。

中略
従来は扱ってこなかったタイプの飲料への「投資」も始めた。例えば最近、英蘭ユニリーバから大豆飲料メーカーのアデスを買収した。独自商品も開発している。アイスティーの「ゴールド・ピーク」はこうした流れの中で生まれた商品だ。この製品の年間売上高は現在10億ドル（約1100億円）を超えている。

　クインシー氏はこれら新製品の売り上げを早急に伸ばすことで、既存の製品の売り上げ減を補う方針だ。「我々の進む方向は明確だ」と同氏は話す。「我々が正しい仕事をすれば商品ラインアップの拡大につながる」

　クインシー氏はこれまで就いていた役職で、コカ・コーラが扱う商品群の拡充に努めてきた。果物を使ったスムージーを作る英国のイノセント・ジュース社や、メキシコのジュース会社、フーゴス・デ・バレを買収してきた。

だが、これらの努力にもかかわらず、コカ・コーラの売り上げ全体のうち炭酸飲料がいまだに70％を占める。90％近くまで高まった2000年よりは減ったものの、依然として非常に高い値となっている。コカ・コーラの主要なライバルである米ペプシコはずっと前から、飲料とスナック菓子において取り扱い製品を多様化している。

以下ソース
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO17113570R30C17A5000000/