【国際金融】マレーシア国営投資会社、銀行通じ資金洗浄　スイス当局が指摘

テンバガー ★

ガポール=吉田渉、ジュネーブ=原克彦】スイスの金融監督当局は24日、同国の銀行BSIがマレーシアの国営投資会社「1MDB」との取引で資金洗浄防止の義務などで「深刻な違反を犯した」と認定した。
シンガポール金融通貨庁（MAS、中央銀行に相当）も同日、BSIのシンガポール子会社に業務停止を命じた。1MDBはマレーシアのナジブ首相への不正な資金提供の疑惑が持たれており、その資金の流れに間接的にメスが入った形だ。

　1MDBを巡ってはナジブ首相に7億ドル（約760億円）近い資金を不正に提供したとの疑いがあり、首相に近い人物が同社の資金を流用したとの報道もある。マレーシア当局は首相の関与を否定し国内捜査は終結したが、海外当局の調査により疑惑が再び浮上した。

　スイスの金融管理当局（FINMA）の24日の発表は1MDBを名指しし、BSIが資金洗浄に関与したと明記した。「1MDBに関連する巨額で使途不明の現金の送金を数年にわたって手掛けていた」と断じた。「1MDBとの関係は経営のトップレベルで協議されていた」とも指摘。BSIに罰金として9500万スイスフラン（約105億円）に相当する利益の返却を命じた。

　FINMAは、調査で特にシンガポール当局と緊密な連携を図ったという。スイス検察当局も同日、BSIの捜査に向けた手続きを始めたと発表した。

　MASはBSI子会社の銀行免許を取り消した。資金洗浄を防ぐ規制違反や複数職員による不正行為を根拠に挙げた。MASは、発表文では1MDBの名前に言及しなかったが、日本経済新聞の取材に対して1MDBの送金などに関連した措置だと認めた。

　両国当局はBSIが資金洗浄に関与したことを認定したが、洗浄した資金を1MDBがどのように使ったかには触れていない。ナジブ首相や側近の関与の有無などにも言及していない。

　ナジブ政権はすでに真相解明に向けた調査の幕引きを宣言している。だが、1MBDの資金洗浄が事実とすれば、マレーシアの信用が大きく低下するのは必至で、ナジブ首相の責任を問う声が再び強まる可能性がある。

http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASGM24H50_U6A520C1FF1000/

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