【口腔】電動歯ブラシの魅力、市場規模は年々増加　シニア層に使用呼びかける声も

海江田三郎 ★

http://www.sankei.com/life/news/160304/lif1603040009-n1.html

　健康と密接に関係する口腔（こうくう）ケア。その基本は歯磨きだが、高齢になると手先の動きが悪くなり、
磨き残しが増えるという。手を動かさなくても、振動で汚れを落とす電動歯ブラシを活用することで、
シニア層が陥りがちな歯のトラブル予防につなげられる。（玉崎栄次）

◇
　徳島県石井町の男性会社員（５６）は昨年から電動歯ブラシを使い始めた。最初は気になった違和感も、
１カ月後にはなくなった。「歯に少し当てるだけでよく、手も疲れない。手磨きよりもすっきりした気持ちになる」と話す。
　この男性のように、５０代からの電動歯ブラシの活用は、歯の健康に有効だ。
　国立長寿医療研究センター（愛知県大府市）は１０年以上前から、シニア層に電動歯ブラシの使用を呼びかけている。切り替えのタイミングは５０歳という。
　同センターの角（すみ）保徳・歯科口腔先進医療開発センター長は「電動歯ブラシは高齢になってから使用し始めると、
振動や早い動きに抵抗を覚えてしまう場合もある。早い段階から慣れておくことが重要」と助言する。

利用者は増加傾向
　健康に対する意識の高まりとともに、電動歯ブラシを使うシニア層は増加傾向にある。
市場調査などを手がけるインターワイヤード（東京都品川区）が平成２５年に実施したアンケート（有効回答７５５５人）によると、
男性の使用率は５０代が２７％、６０歳以上は３０％、女性も５０代で２２％、６０歳以上で２６％だった。１８年に行われた調査に比べ、
男女いずれも５０代、６０歳以上で１～６ポイント増えた。
　さまざまな機種が販売されているが、振動数や機能によって、（１）回転式（２）音波式（ヘッドの振動周波数が２００～３００ヘルツ）
（３）超音波式（同１６０万～２００万ヘルツ）－の３種類に大別される。回転式は、円形ブラシが高速回転しながら上下に振動。
ブラシ部分が当たった部分の歯垢（しこう）や着色をはがし取る。振動数も１分間に１万回以上のものも多く、
普通の歯磨き（１分間に約２００回）に比べ格段に汚れを除去できる。

　音波式は振動数が１分間に約３万回のものが主流。音波による振動で細かく毛先が動き歯垢を除去する。
音波が口の中の水分に作用して細かな気泡を生じさせ、歯間の汚れを落とす機能を備えたものもある。
　超音波式は細菌対策に効果的。ヘッドから超音波を出し、回転式や音波式では除去できない細菌を殺すことができ、
増殖を抑えられる。ただし、この機種の多くはブラシに振動機能がないため、手を動かして磨く必要がある。

テクニック不要
　価格帯は千円未満のものから１万～２万円前後の上位機種まで幅広い。丸山歯科医院（群馬県高崎市）
の丸山和弘院長は８千円以上の上位機種を勧める。シニアの場合は歯茎が弱っている人が多い。
上位機種は振動の強弱を３～６段階で調節でき、歯茎の状態によって使い分けられる。

　「丁寧に歯磨きするには、歯の位置に応じてブラシを当てる角度を変えるなど高度な技術が必要。
しかし、上位機種では、ブラシの角度を考えなくても音波効果などで歯の隙間の汚れまでしっかりと落とせる」
また、手磨きで丁寧に磨くと１０分以上かかる場合もあるが、電動歯ブラシを使えば短縮できる。歯の外側、かみ合わせ面、裏側で各２０秒ずつ計２分程度で済む。

　ただし、電動歯ブラシを過信して、口腔ケア自体が手抜きにならないよう注意が必要。定期的に歯科医院でチェックしたい。

　■年間５７０万台の６０億円市場
　電動歯ブラシの昨年の市場規模は約６０億円（ライオン調べ）で年々増加している。
　市場調査を行うジーエフケーマーケティングサービスジャパン（東京都中野区）によると、昨年の販売台数は前年比４．４％増の５７０万台に上った。
　平成２２年に乾電池式のコンパクトな携帯用機種が登場したことで、販売台数が倍増、市場が一気に拡大した。
乾電池式（平均価格約２５００円）だけでなく、高価な充電式の高機能機種（同約８８００円）も好調という。

【口腔】電動歯ブラシの魅力、市場規模は年々増加 シニア層に使用呼びかける声も

【口腔】電動歯ブラシの魅力、市場規模は年々増加　シニア層に使用呼びかける声も