【株式】空売りが過去最高に、短期筋がショート構築　総強気の反動も [2015/01/07]

夜更かしフクロウ ★

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0UL38M20150106

　日本株の空売り比率が過去最高水準に達した。
短期筋が新規のショートポジションを構築しているという。
原油安やギリシャ懸念などの売り材料もあるが、昨年末に強気が広がった反動が出ている面もある。
堅調なファンダメンタルズを背景に２０１５年の強気見通しは崩れておらず、下がれば買い場との見方は根強いが、
イベントが集中する１月下旬まで調整は長引くとの見方もある。

　　　＜日銀ＥＴＦ買いへの失望も＞

　６日の日経平均株価は前日比で５００円を超す下げとなり、約３週間ぶりに節目の１万７０００円を下回った。
昨年１２月２９日の直近高値１万７９１４円から４営業日で１０３２円、率にして５．７７％と下落幅は大きい。

　米原油先物が２００９年４月以来となる１バレル５０ドル割れを記録し、
米エネルギー株の下げにより米株指数が大幅安となったほか、
ギリシャの政情不安と同国がユーロ圏から離脱するとの懸念がリスク回避の動きにつながったという。

　三京証券マネージャーの藤井勝行氏によれば、短期筋による売り仕掛けが強まっているという。
東証が公表している空売り比率は６日に３７．８％となり、２００８年１０月の集計開始以来、過去最高となった。
「昨年末にかけて期待されていたラリーがなかったため、
　下方向で利が取れると踏んだ短期筋がニューショートのポジションを構築し始めている」（藤井氏）。

　変わらない日銀のＥＴＦ買い入れペースも、売り仕掛けを呼び込んだ一因だ。
日銀は昨年１０月末の決定会合でＥＴＦ買い入れ額を３倍の３兆円に増やしたが、
５日のＥＴＦ買い入れ額は昨年１２月と同じ３７４億円にとどまった。
「年明けから１日の買い入れ金額を増やすのではとの見方があったが、期待外れに終わった」（国内証券）とみられている。

　　　＜昨年末、強気が最高値に＞

　また、昨年末にかけて強気に傾き過ぎた反動も出ているという。
ゴールドマン・サックス証券が独自に算出しているセンチメント・インディケータは、
過去１２カ月の機関投資家と投機筋のネットポジションを基に０から１００までの数値で示され、
数値が高いほど強気の投資家が多いことを示すが、昨年末に最大値の１００をつけた。

　同証券・米国株ストラテジストのデービット・コスティン氏によれば、
同指数が９０を超えた場合、向こう６週間の間にＳ＆Ｐ総合５００種が高確率でおおよそ３％下落する。
１３年末にも１００をつけており、年明け後のＳ＆Ｐ５００は２月上旬にかけて６％近く下落した。
昨年同様、今年も米国株の調整が長引けば、日本株の下値がさらに広がりかねない。

　目先では週末の米雇用統計発表を控えており、
「米雇用統計を確認してからようやく動き出す海外投資家も多い」（ソシエテ・ジェネラル証券ディレクターの小原章弘氏）という。
また、１月下旬には日銀金融政策決定会合（２０─２１日）や欧州中央銀行（ＥＣＢ）理事会（２２日）、ギリシャ選挙（２５日）、
米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ、２７─２８日）などの重要イベントが続き、それらを通過するまでは調整が長引く可能性もある。

　　　＜先高観は変わらず＞

　もっとも、２０１５年相場に対する市場関係者の強気見通しは崩れていない。
足元の調整はあくまで短期筋の売りに過ぎず、長期的には日銀や年金勢による買い、
ＮＩＳＡ（少額投資非課税制度）などを通じた個人資金の流入など国内投資家による買い需要が見込まれるためだ。

　日銀やＧＰＩＦ（年金積立金管理運用独立行政法人）、３共済などの買い余力は合わせて６兆円に上るとの試算もある。
２０１４年に最大の買い主体となった信託銀行（現物・先物合計で約２．７兆円）の２倍を超す規模で、日本株が底割れする懸念は乏しい。

　Ｔ＆Ｄアセットマネジメント運用統括部長の山中清氏は
「足元で売り要因とされる原油安は、将来的に日本経済の下支え要因となり、株価にポジティブ。
　ガバナンス強化で国内企業のＲＯＥが上昇し、海外投資家の資金も集まりやすい」として、
相対的な日本株に対する評価は高いとみている。
(杉山容俊　編集：伊賀大記)

【株式】空売りが過去最高に、短期筋がショート構築 総強気の反動も [2015/01/07]

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