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【急騰】今買えばいい株7310【2時就任式】

1 :山師さん(ワッチョイ 83a8-Wk1G):2017/01/20(金) 15:02:43.08 ID:EWYQ8Qs10.net
実況はコチラへ
市況1板
http://hayabusa3.2ch.net/livemarket1/

・証券コード、銘柄名を併記してください。
・判断材料をできるだけ明確にお願いします。
・注目銘柄の事実に基づいた情報共有が目的なので、単なる買い煽りや自慰行為は控えてください。

*コテハンを付ける方は投資一般板やみんかぶ、ブログやツイッターを強く推奨しています。
*ブログの宣伝行為、スレの私物化は控えてください。
*コテハンなどの話は別のスレでお願いします。


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証券取引等監視委員会 情報提供窓口 
https://www.fsa.go.jp/sesc/watch/index.html

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http://info.2ch.net/guide/faq.html#B0

避難所
http://jbbs.shitaraba.net/business/5380/

●次スレは原則>>700が立てること。
※スレ番が正しいか確認してから立てること
※700がスレ立てできないことが分かった時点、或いは800以降次スレがなければ有志が立てること
 (乱立防止のためスレ立て宣言推奨)
※スレタイに特定の銘柄名をつけるのはやめましょう。トラブルの原因です。
※スレタイの先頭には【急騰】を、途中には通し番号をつけるのをお忘れなく。

ワッチョイの仕様
本文の1行目に下記をコピペしたら ワッチョイになります。
!extend:on:vvvvv:1000:512
!extend:on:vvvvvの「v」の数が
5個の時はワッチョイのみ
4個の時はIP表示のみ
6個の時はワッチョイとIPが表示
メール欄に
ageteoff→スレタイの[転載禁止]を非表示
sageteoff→sage+スレタイの[転載禁止]を非表示


VIPQ2_EXTDAT: default:vvvvv:1000:512:----: EXT was configured

959 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:42:15.58 ID:7/Y09tcf0.net
切り上げて下さい。私自身に罪悪という意味が判然解るまで」
「悪い事をした。私はあなたに真実まことを話している気でいた。ところが実際は、あなたを焦慮じらし
ていたのだ。私は悪い事をした」

960 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:42:31.60 ID:7/Y09tcf0.net
 先生と私とは博物館の裏から鶯渓うぐいすだにの方角に静かな歩調で歩いて行った。垣の隙間すきまか
ら広い庭の一部に茂る熊笹くまざさが幽邃ゆうすいに見えた。
「君は私がなぜ毎月まいげつ雑司ヶ谷ぞうしがやの墓地に埋うまっている友人の墓へ参るのか知っていま

961 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:42:47.60 ID:7/Y09tcf0.net
すか」
 先生のこの問いは全く突然であった。しかも先生は私がこの問いに対して答えられないという事もよく
承知していた。私はしばらく返事をしなかった。すると先生は始めて気が付いたようにこういった。

962 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:43:03.61 ID:7/Y09tcf0.net
「また悪い事をいった。焦慮じらせるのが悪いと思って、説明しようとすると、その説明がまたあなたを
焦慮せるような結果になる。どうも仕方がない。この問題はこれで止やめましょう。とにかく恋は罪悪で
すよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ」

963 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:43:19.60 ID:7/Y09tcf0.net
 私には先生の話がますます解わからなくなった。しかし先生はそれぎり恋を口にしなかった。

十四

964 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:43:35.58 ID:7/Y09tcf0.net
 年の若い私わたくしはややともすると一図いちずになりやすかった。少なくとも先生の眼にはそう映っ
ていたらしい。私には学校の講義よりも先生の談話の方が有益なのであった。教授の意見よりも先生の思

965 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:43:51.62 ID:7/Y09tcf0.net
想の方が有難いのであった。とどの詰まりをいえば、教壇に立って私を指導してくれる偉い人々よりもた
だ独ひとりを守って多くを語らない先生の方が偉く見えたのであった。
「あんまり逆上のぼせちゃいけません」と先生がいった。

966 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:44:07.72 ID:7/Y09tcf0.net
「覚さめた結果としてそう思うんです」と答えた時の私には充分の自信があった。その自信を先生は肯う
けがってくれなかった。
「あなたは熱に浮かされているのです。熱がさめると厭いやになります。私は今のあなたからそれほどに

967 :山師さん (ワッチョイ 2301-8ulf):2017/05/17(水) 23:44:09.15 ID:MWdESUXn0.net
(´・ω・`)しかし先生は疲れからか不幸にも黒塗りのらん豚に追突してしまう……
私をかばいすべて の責任を負った先生に対し、 らん豚の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは

968 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:44:23.61 ID:7/Y09tcf0.net
思われるのを、苦しく感じています。しかしこれから先のあなたに起るべき変化を予想して見ると、なお
苦しくなります」
「私はそれほど軽薄に思われているんですか。それほど不信用なんですか」

969 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:44:39.65 ID:7/Y09tcf0.net
「私はお気の毒に思うのです」
「気の毒だが信用されないとおっしゃるんですか」
 先生は迷惑そうに庭の方を向いた。その庭に、この間まで重そうな赤い強い色をぽたぽた点じていた椿

970 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:44:55.63 ID:7/Y09tcf0.net
つばきの花はもう一つも見えなかった。先生は座敷からこの椿の花をよく眺ながめる癖があった。
「信用しないって、特にあなたを信用しないんじゃない。人間全体を信用しないんです」
 その時生垣いけがきの向うで金魚売りらしい声がした。その外ほかには何の聞こえるものもなかった。

971 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:45:11.63 ID:7/Y09tcf0.net
大通りから二丁ちょうも深く折れ込んだ小路こうじは存外ぞんがい静かであった。家うちの中はいつもの
通りひっそりしていた。私は次の間まに奥さんのいる事を知っていた。黙って針仕事か何かしている奥さ
んの耳に私の話し声が聞こえるという事も知っていた。しかし私は全くそれを忘れてしまった。

972 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:45:27.77 ID:7/Y09tcf0.net
「じゃ奥さんも信用なさらないんですか」と先生に聞いた。
 先生は少し不安な顔をした。そうして直接の答えを避けた。
「私は私自身さえ信用していないのです。つまり自分で自分が信用できないから、人も信用できないよう

973 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:45:43.64 ID:7/Y09tcf0.net
になっているのです。自分を呪のろうより外ほかに仕方がないのです」
「そうむずかしく考えれば、誰だって確かなものはないでしょう」
「いや考えたんじゃない。やったんです。やった後で驚いたんです。そうして非常に怖こわくなったんで

974 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:45:59.66 ID:7/Y09tcf0.net
す」
 私はもう少し先まで同じ道を辿たどって行きたかった。すると襖ふすまの陰で「あなた、あなた」とい
う奥さんの声が二度聞こえた。先生は二度目に「何だい」といった。奥さんは「ちょっと」と先生を次の

975 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:46:15.79 ID:7/Y09tcf0.net
間まへ呼んだ。二人の間にどんな用事が起ったのか、私には解わからなかった。それを想像する余裕を与
えないほど早く先生はまた座敷へ帰って来た。
「とにかくあまり私を信用してはいけませんよ。今に後悔するから。そうして自分が欺あざむかれた返報

976 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:46:31.66 ID:7/Y09tcf0.net
に、残酷な復讐ふくしゅうをするようになるものだから」
「そりゃどういう意味ですか」
「かつてはその人の膝ひざの前に跪ひざまずいたという記憶が、今度はその人の頭の上に足を載のせさせ

977 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:46:47.68 ID:7/Y09tcf0.net
ようとするのです。私は未来の侮辱を受けないために、今の尊敬を斥しりぞけたいと思うのです。私は今
より一層淋さびしい未来の私を我慢する代りに、淋しい今の私を我慢したいのです。自由と独立と己おの
れとに充みちた現代に生れた我々は、その犠牲としてみんなこの淋しみを味わわなくてはならないでしょ

978 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:47:03.67 ID:7/Y09tcf0.net
う」
 私はこういう覚悟をもっている先生に対して、いうべき言葉を知らなかった。

979 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:47:19.75 ID:7/Y09tcf0.net
十五

 その後ご私わたくしは奥さんの顔を見るたびに気になった。先生は奥さんに対しても始終こういう態度

980 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:47:35.67 ID:7/Y09tcf0.net
に出るのだろうか。もしそうだとすれば、奥さんはそれで満足なのだろうか。
 奥さんの様子は満足とも不満足とも極きめようがなかった。私はそれほど近く奥さんに接触する機会が
なかったから。それから奥さんは私に会うたびに尋常であったから。最後に先生のいる席でなければ私と

981 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:47:51.67 ID:7/Y09tcf0.net
奥さんとは滅多めったに顔を合せなかったから。
 私の疑惑はまだその上にもあった。先生の人間に対するこの覚悟はどこから来るのだろうか。ただ冷た
い眼で自分を内省したり現代を観察したりした結果なのだろうか。先生は坐すわって考える質たちの人で

982 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:48:07.68 ID:7/Y09tcf0.net
あった。先生の頭さえあれば、こういう態度は坐って世の中を考えていても自然と出て来るものだろうか
。私にはそうばかりとは思えなかった。先生の覚悟は生きた覚悟らしかった。火に焼けて冷却し切った石
造せきぞう家屋の輪廓りんかくとは違っていた。私の眼に映ずる先生はたしかに思想家であった。けれど

983 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:48:33.92 ID:7/Y09tcf0.net
もその思想家の纏まとめ上げた主義の裏には、強い事実が織り込まれているらしかった。自分と切り離さ
れた他人の事実でなくって、自分自身が痛切に味わった事実、血が熱くなったり脈が止まったりするほど
の事実が、畳み込まれているらしかった。

984 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:48:55.71 ID:7/Y09tcf0.net
わせた。
 私は先生のこの人生観の基点に、或ある強烈な恋愛事件を仮定してみた。(無論先生と奥さんとの間に
起った)。先生がかつて恋は罪悪だといった事から照らし合せて見ると、多少それが手掛てがかりにもな

985 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:49:11.69 ID:7/Y09tcf0.net
った。しかし先生は現に奥さんを愛していると私に告げた。すると二人の恋からこんな厭世えんせいに近
い覚悟が出ようはずがなかった。「かつてはその人の前に跪ひざまずいたという記憶が、今度はその人の
頭の上に足を載のせさせようとする」といった先生の言葉は、現代一般の誰彼たれかれについて用いられ

986 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:49:27.71 ID:7/Y09tcf0.net
るべきで、先生と奥さんの間には当てはまらないもののようでもあった。
 雑司ヶ谷ぞうしがやにある誰だれだか分らない人の墓、――これも私の記憶に時々動いた。私はそれが
先生と深い縁故のある墓だという事を知っていた。先生の生活に近づきつつありながら、近づく事のでき

987 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:49:43.72 ID:7/Y09tcf0.net
ない私は、先生の頭の中にある生命いのちの断片として、その墓を私の頭の中にも受け入れた。けれども
私に取ってその墓は全く死んだものであった。二人の間にある生命いのちの扉を開ける鍵かぎにはならな
かった。むしろ二人の間に立って、自由の往来を妨げる魔物のようであった。

988 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:49:59.73 ID:7/Y09tcf0.net
 そうこうしているうちに、私はまた奥さんと差し向いで話をしなければならない時機が来た。その頃こ
ろは日の詰つまって行くせわしない秋に、誰も注意を惹ひかれる肌寒はださむの季節であった。先生の附
近ふきんで盗難に罹かかったものが三、四日続いて出た。盗難はいずれも宵の口であった。大したものを

989 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:50:15.85 ID:7/Y09tcf0.net
持って行かれた家うちはほとんどなかったけれども、はいられた所では必ず何か取られた。奥さんは気味
をわるくした。そこへ先生がある晩家を空あけなければならない事情ができてきた。先生と同郷の友人で
地方の病院に奉職しているものが上京したため、先生は外ほかの二、三名と共に、ある所でその友人に飯

990 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:50:31.75 ID:7/Y09tcf0.net
めしを食わせなければならなくなった。先生は訳を話して、私に帰ってくる間までの留守番を頼んだ。私
はすぐ引き受けた。

991 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:50:47.87 ID:7/Y09tcf0.net
十六

 私わたくしの行ったのはまだ灯ひの点つくか点かない暮れ方であったが、几帳面きちょうめんな先生は

992 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:51:03.76 ID:7/Y09tcf0.net
もう宅うちにいなかった。「時間に後おくれると悪いって、つい今しがた出掛けました」といった奥さん
は、私を先生の書斎へ案内した。
 書斎には洋机テーブルと椅子いすの外ほかに、沢山の書物が美しい背皮せがわを並べて、硝子越ガラス

993 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:51:19.80 ID:7/Y09tcf0.net
ごしに電燈でんとうの光で照らされていた。奥さんは火鉢の前に敷いた座蒲団ざぶとんの上へ私を坐すわ
らせて、「ちっとそこいらにある本でも読んでいて下さい」と断って出て行った。私はちょうど主人の帰
りを待ち受ける客のような気がして済まなかった。私は畏かしこまったまま烟草タバコを飲んでいた。奥

994 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:51:35.81 ID:7/Y09tcf0.net
さんが茶の間で何か下女げじょに話している声が聞こえた。書斎は茶の間の縁側を突き当って折れ曲った
角かどにあるので、棟むねの位置からいうと、座敷よりもかえって掛け離れた静かさを領りょうしていた
。ひとしきりで奥さんの話し声が已やむと、後あとはしんとした。私は泥棒を待ち受けるような心持で、

995 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:51:51.83 ID:7/Y09tcf0.net
凝じっとしながら気をどこかに配った。
 三十分ほどすると、奥さんがまた書斎の入口へ顔を出した。「おや」といって、軽く驚いた時の眼を私
に向けた。そうして客に来た人のように鹿爪しかつめらしく控えている私をおかしそうに見た。

996 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:52:07.82 ID:7/Y09tcf0.net
「それじゃ窮屈でしょう」
「いえ、窮屈じゃありません」
「でも退屈でしょう」

997 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:52:23.94 ID:7/Y09tcf0.net
「いいえ。泥棒が来るかと思って緊張しているから退屈でもありません」
 奥さんは手に紅茶茶碗こうちゃぢゃわんを持ったまま、笑いながらそこに立っていた。
「ここは隅っこだから番をするには好よくありませんね」と私がいった。

998 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:52:39.86 ID:7/Y09tcf0.net
「じゃ失礼ですがもっと真中へ出て来て頂戴ちょうだい。ご退屈たいくつだろうと思って、お茶を入れて
持って来たんですが、茶の間で宜よろしければあちらで上げますから」
 私は奥さんの後あとに尾ついて書斎を出た。茶の間には綺麗きれいな長火鉢ながひばちに鉄瓶てつびん

999 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:52:55.87 ID:7/Y09tcf0.net
が鳴っていた。私はそこで茶と菓子のご馳走ちそうになった。奥さんは寝ねられないといけないといって
、茶碗に手を触れなかった。
「先生はやっぱり時々こんな会へお出掛でかけになるんですか」

1000 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:53:11.87 ID:7/Y09tcf0.net
「いいえ滅多めったに出た事はありません。近頃ちかごろは段々人の顔を見るのが嫌きらいになるようで
す」
 こういった奥さんの様子に、別段困ったものだという風ふうも見えなかったので、私はつい大胆になっ

1001 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:53:27.87 ID:7/Y09tcf0.net
た。
「それじゃ奥さんだけが例外なんですか」
「いいえ私も嫌われている一人なんです」

1002 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:53:43.87 ID:7/Y09tcf0.net
「そりゃ嘘うそです」と私がいった。「奥さん自身嘘と知りながらそうおっしゃるんでしょう」
「なぜ」
「私にいわせると、奥さんが好きになったから世間が嫌いになるんですもの」

1003 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:53:59.89 ID:7/Y09tcf0.net
「あなたは学問をする方かただけあって、なかなかお上手じょうずね。空からっぽな理屈を使いこなす事
が。世の中が嫌いになったから、私までも嫌いになったんだともいわれるじゃありませんか。それと同お
んなじ理屈で」

1004 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:54:15.89 ID:7/Y09tcf0.net
「両方ともいわれる事はいわれますが、この場合は私の方が正しいのです」
「議論はいやよ。よく男の方は議論だけなさるのね、面白そうに。空からの盃さかずきでよくああ飽きず
に献酬けんしゅうができると思いますわ」

1005 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:54:31.89 ID:7/Y09tcf0.net
 奥さんの言葉は少し手痛てひどかった。しかしその言葉の耳障みみざわりからいうと、決して猛烈なも
のではなかった。自分に頭脳のある事を相手に認めさせて、そこに一種の誇りを見出みいだすほどに奥さ
んは現代的でなかった。奥さんはそれよりもっと底の方に沈んだ心を大事にしているらしく見えた。

1006 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:54:47.91 ID:7/Y09tcf0.net
十七

1007 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:55:03.90 ID:7/Y09tcf0.net
 私わたくしはまだその後あとにいうべき事をもっていた。けれども奥さんから徒いたずらに議論を仕掛
ける男のように取られては困ると思って遠慮した。奥さんは飲み干した紅茶茶碗こうちゃぢゃわんの底を
覗のぞいて黙っている私を外そらさないように、「もう一杯上げましょうか」と聞いた。私はすぐ茶碗を

1008 :山師さん (ワッチョイ cf94-pPum):2017/05/17(水) 23:55:19.88 ID:7/Y09tcf0.net
奥さんの手に渡した。
「いくつ? 一つ? 二ッつ?」
 妙なもので角砂糖をつまみ上げた奥さんは、私の顔を見て、茶碗の中へ入れる砂糖の数かずを聞いた。

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