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配当金が給与収入の2割以上

1 :山師さん:2016/04/02(土) 12:05:40.88 ID:yYUPnpRA.net
これで配当金が無くなったら(株を売ってしまったら)

生活資金不足で、破たんww

2 :山師さん:2016/04/02(土) 19:42:04.50 ID:ORHEiYH0.net
ん?
なんで?
意味わからん

3 :山師さん:2016/04/03(日) 16:12:37.91 ID:jBW+YEiw.net
なんだ このスレは 株と関係あるのか?

4 :山師さん:2016/04/05(火) 09:10:22.88 ID:h7V8ffVJ.net
kaukaua

5 :山師さん:2016/04/06(水) 14:39:58.14 ID:VSK+Z1/n.net
九州電など電力株が軒並み高=川内原発差し止め棄却 
http://syoukenshinpou.blog13.fc2.com/

6 :山師さん:2016/04/11(月) 11:04:16.01 ID:4P6AaQ8t.net
しょ〜もない

7 :山師さん:2016/04/21(木) 12:31:09.31 ID:jiE4BSH2.net
中華成金

8 :山師さん:2016/04/21(木) 22:11:16.00 ID:pvNeb85E.net
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9 :山師さん:2016/04/29(金) 09:26:15.05 ID:3VR+Nf4b.net
種 持ち  なんだな

10 :山師さん:2016/06/06(月) 22:13:15.15 ID:/dDBYA2W.net
う掃溜はきだめ
へ棄すててしまいましたが、拾って参りましょうか」と聞いた。「うんすぐ拾って来い」と云うと小使は
急いで馳かけ出したが、やがて半紙の上へ十匹ばかり載のせて来て「どうもお気の毒ですが、生憎夜でこ
れだけしか見当りません。あしたになりましたらもっと拾って参ります」と云う。小使まで馬鹿ばかだ。
おれはバッタの一つを生徒に見せて「バッタたこれだ、大きなずう体をして、バッタを知らないた、何の
事だ」と云うと、一番左の方に居た顔の丸い奴が「そりゃ、イナゴぞな、もし」と生意気におれを遣やり
込こめた。「篦棒べらぼうめ、イナゴもバッタも同じもんだ。第一先生を捕つらまえてなもした何だ。菜
飯なめしは田楽でんがくの時より外に食うもんじゃない」とあべこべに遣り込めてやったら「なもしと菜
飯とは違うぞな、もし」と云った。いつまで行ってもなもしを使う奴だ。
「イナゴでもバッタでも、何でおれの床の中へ入れたんだ。おれがいつ、バッタを入れてくれと頼たのん
だ」
「誰も入れやせんがな」
「入れないものが、どうして床の中に居るんだ」
「イナゴは温ぬくい所が好きじゃけれ、大方一人でおはいりたのじゃあろ」
「馬鹿あ云え。バッタが一人でおはいりになるなんて――バッタにおはいりになられてたまるもんか。―
―さあなぜこんないたずらをしたか、云え」
「云えてて、入れんものを説明しようがないがな」
 けちな奴等やつらだ。自分で自分のした事が云えないくらいなら、てんでしないがいい。証拠しょうこ
さえ挙がらなければ、しらを切るつもりで図太く構えていやがる。おれだって中学に居た時分は少しはい
たずらもしたもんだ。しかしだれがしたと聞かれた時に、尻込みをするような卑怯ひきょうな事はただの
一度もなかった。したものはしたので、しないものはしないに極きまってる。おれなんぞは、いくら、い
たずらをしたって潔白なものだ。嘘を吐ついて罰ばつを逃にげるくらいなら、始めからいたずらなんかや
るものか。いたずらと罰はつきもんだ。罰があるからいたずらも心持ちよく出来る。いたずらだけで罰は
ご免蒙めんこうむるなんて下劣げれつな根性がどこの国に流行はやると思ってるんだ。金は借りるが、返
す事はご免だと云う連中はみんな、こんな奴等が卒業してやる仕事に相違そういない。全体中学校へ何し
にはいってるんだ。学校へはいって、嘘を吐いて、胡魔化ごまかして、陰かげでこせこせ生意気な悪いた
ずらをして、そうして大きな面で卒業すれば教育を受けたもんだと癇違かんちがいをしていやがる。話せ
ない雑兵ぞうひょうだ。
 おれはこんな腐くさった了見りょうけんの奴等と談判するのは胸糞むなくそが悪わるいから、「そんな
に云われなきゃ、聞かなくっていい。中学校へはいって、上品も下品も区別が出来ないのは気の毒なもの
だ」と云って六人を逐おっ放ぱなしてやった。おれは言葉や様子こそあまり上品じゃないが、心はこいつ
らよりも遥はるかに上品なつもりだ。六人は悠々ゆうゆうと引き揚あげた。上部うわべだけは教師のおれ
よりよっぽどえらく見える。実は落ち付いているだけなお悪るい。おれには到底とうていこれほどの度胸
はない。
 それからまた床へはいって横になったら、さっきの騒動そうどうで蚊帳の中はぶんぶん唸うなっている
。手燭てしょくをつけて一匹ずつ焼くなんて面倒な事は出来ないから、釣手つりてをはずして、長く畳た
たんでおいて部屋の中で横竪よこたて十文字に振ふるったら、環かんが飛んで手の甲こうをいやというほ
ど撲ぶった。三度目に床へはいった時は少々落ち付いたがなかなか寝られない。時計を見ると十時半だ。
考えてみると厄介な所へ来たもんだ。一体中学の先生なんて、どこへ行っても、こんなものを相手にする
なら気の毒なものだ。よく先生が品切れにならない。よっぽど辛防しんぼう強い朴念仁ぼくねんじんがな
るんだろう。おれには到底やり切れない。それを思うと清きよなんてのは見上げたものだ。教育もない身
分もない婆ばあさんだが、人間としてはすこぶる尊たっとい。今まではあんなに世話になって別段難有あ
りがたいとも思わなかったが、こうして、一人で遠国へ来てみると、始めてあの親切がわかる。越後えち
ごの笹飴ささあめが食いたければ、わざわざ越後まで買いに行って食わしてやっても、食わせるだけの価
値は充分じゅうぶんある。清はおれの事を欲がなくって、真直まっすぐな気性だと云って、ほめるが、ほ
められるおれよりも、ほめる本人の方が立派な人間だ。何だか清に逢いたくなった。
 清の事を考えながら、のつそつしていると、突然とつぜんおれの頭の上で、数で云ったら三四十人もあ

11 :山師さん:2016/06/06(月) 22:14:15.63 ID:/dDBYA2W.net
たけれども何ともなかった。さっき、ぶつけた向脛を撫なでてみると、何だかぬらぬらする。血が出るん
だろう。血なんか出たければ勝手に出るがいい。そのうち最前からの疲つかれが出て、ついうとうと寝て
しまった。何だか騒がしいので、眼めが覚めた時はえっ糞くそしまったと飛び上がった。おれの坐すわっ
てた右側にある戸が半分あいて、生徒が二人、おれの前に立っている。おれは正気に返って、はっと思う
途端に、おれの鼻の先にある生徒の足を引ひっ攫つかんで、力任せにぐいと引いたら、そいつは、どたり
と仰向あおむけに倒れた。ざまを見ろ。残る一人がちょっと狼狽ろうばいしたところを、飛びかかって、
肩を抑おさえて二三度こづき廻したら、あっけに取られて、眼をぱちぱちさせた。さあおれの部屋まで来
いと引っ立てると、弱虫だと見えて、一も二もなく尾ついて来た。夜よはとうにあけている。
 おれが宿直部屋へ連れてきた奴を詰問きつもんし始めると、豚は、打ぶっても擲いても豚だから、ただ
知らんがなで、どこまでも通す了見と見えて、けっして白状しない。そのうち一人来る、二人来る、だん
だん二階から宿直部屋へ集まってくる。見るとみんな眠ねむそうに瞼まぶたをはらしている。けちな奴等
だ。一晩ぐらい寝ないで、そんな面をして男と云われるか。面でも洗って議論に来いと云ってやったが、
誰も面を洗いに行かない。
 おれは五十人あまりを相手に約一時間ばかり押問答おしもんどうをしていると、ひょっくり狸がやって
来た。あとから聞いたら、小使が学校に騒動がありますって、わざわざ知らせに行ったのだそうだ。これ
しきの事に、校長を呼ぶなんて意気地がなさ過ぎる。それだから中学校の小使なんぞをしてるんだ。
 校長はひと通りおれの説明を聞いた。生徒の言草いいぐさもちょっと聞いた。追って処分するまでは、
今まで通り学校へ出ろ。早く顔を洗って、朝飯を食わないと時間に間に合わないから、早くしろと云って
寄宿生をみんな放免ほうめんした。手温てぬるい事だ。おれなら即席そくせきに寄宿生をことごとく退校
してしまう。こんな悠長ゆうちょうな事をするから生徒が宿直員を馬鹿にするんだ。その上おれに向って
、あなたもさぞご心配でお疲れでしょう、今日はご授業に及およばんと云うから、おれはこう答えた。「
いえ、ちっとも心配じゃありません。こんな事が毎晩あっても、命のある間は心配にゃなりません。授業
はやります、一晩ぐらい寝なくって、授業が出来ないくらいなら、頂戴ちょうだいした月給を学校の方へ
割戻わりもどします」校長は何と思ったものか、しばらくおれの顔を見つめていたが、しかし顔が大分は
れていますよと注意した。なるほど何だか少々重たい気がする。その上べた一面痒かゆい。蚊がよっぽと
刺さしたに相違ない。おれは顔中ぼりぼり掻かきながら、顔はいくら膨はれたって、口はたしかにきけま
すから、授業には差し支つかえませんと答えた。校長は笑いながら、大分元気ですねと賞ほめた。実を云
うと賞めたんじゃあるまい、ひやかしたんだろう。



 君釣つりに行きませんかと赤シャツがおれに聞いた。赤シャツは気味の悪わるいように優しい声を出す
男である。まるで男だか女だか分わかりゃしない。男なら男らしい声を出すもんだ。ことに大学卒業生じ
ゃないか。物理学校でさえおれくらいな声が出るのに、文学士がこれじゃ見っともない。
 おれはそうですなあと少し進まない返事をしたら、君釣をした事がありますかと失敬な事を聞く。あん
まりないが、子供の時、小梅こうめの釣堀つりぼりで鮒ふなを三匹びき釣った事がある。それから神楽坂
かぐらざかの毘沙門びしゃもんの縁日えんにちで八寸ばかりの鯉こいを針で引っかけて、しめたと思った
ら、ぽちゃりと落としてしまったがこれは今考えても惜おしいと云いったら、赤シャツは顋あごを前の方
へ突つき出してホホホホと笑った。何もそう気取って笑わなくっても、よさそうな者だ。「それじゃ、ま
だ釣りの味は分らんですな。お望みならちと伝授しましょう」とすこぶる得意である。だれがご伝授をう
けるものか。一体釣や猟りょうをする連中はみんな不人情な人間ばかりだ。不人情でなくって、殺生せっ
しょうをして喜ぶ訳がない。魚だって、鳥だって殺されるより生きてる方が楽に極きまってる。釣や猟を
しなくっちゃ活計かっけいがたたないなら格別だが、何不足なく暮くらしている上に、生き物を殺さなく
っちゃ寝られないなんて贅沢ぜいたくな話だ。こう思ったが向むこうは文学士だけに口が達者だから、議
論じゃ叶かなわないと思って、だまってた。すると先生このおれを降参させたと疳違かんちがいして、早

12 :山師さん:2016/06/06(月) 22:15:45.33 ID:/dDBYA2W.net
うか、二階が落っこちるほどどん、どん、どんと拍子ひょうしを取って床板を踏みならす音がした。す
ると足音に比例した大きな鬨ときの声が起おこった。おれは何事が持ち上がったのかと驚ろいて飛び起き
た。飛び起きる途端とたんに、ははあさっきの意趣返いしゅがえしに生徒があばれるのだなと気がついた
。手前のわるい事は悪るかったと言ってしまわないうちは罪は消えないもんだ。わるい事は、手前達に覚
おぼえがあるだろう。本来なら寝てから後悔こうかいしてあしたの朝でもあやまりに来るのが本筋だ。た
とい、あやまらないまでも恐れ入って、静粛せいしゅくに寝ているべきだ。それを何だこの騒さわぎは。
寄宿舎を建てて豚ぶたでも飼っておきあしまいし。気狂きちがいじみた真似まねも大抵たいていにするが
いい。どうするか見ろと、寝巻のまま宿直部屋を飛び出して、楷子段はしごだんを三股半みまたはんに二
階まで躍おどり上がった。すると不思議な事に、今まで頭の上で、たしかにどたばた暴れていたのが、急
に静まり返って、人声どころか足音もしなくなった。これは妙だ。ランプはすでに消してあるから、暗く
てどこに何が居るか判然と分わからないが、人気ひとけのあるとないとは様子でも知れる。長く東から西
へ貫つらぬいた廊下ろうかには鼠ねずみ一匹ぴきも隠かくれていない。廊下のはずれから月がさして、遥
か向うが際どく明るい。どうも変だ、おれは小供の時から、よく夢ゆめを見る癖があって、夢中むちゅう
に跳ね起きて、わからぬ寝言を云って、人に笑われた事がよくある。十六七の時ダイヤモンドを拾った夢
を見た晩なぞは、むくりと立ち上がって、そばに居た兄に、今のダイヤモンドはどうしたと、非常な勢い
きおいで尋たずねたくらいだ。その時は三日ばかりうち中じゅうの笑い草になって大いに弱った。ことに
よると今のも夢かも知れない。しかしたしかにあばれたに違いないがと、廊下の真中まんなかで考え込ん
でいると、月のさしている向うのはずれで、一二三わあと、三四十人の声がかたまって響ひびいたかと思
う間もなく、前のように拍子を取って、一同が床板ゆかいたを踏み鳴らした。それ見ろ夢じゃないやっぱ
り事実だ。静かにしろ、夜なかだぞ、とこっちも負けんくらいな声を出して、廊下を向うへ馳かけだした
。おれの通る路みちは暗い、ただはずれに見える月あかりが目標めじるしだ。おれが馳け出して二間も来
たかと思うと、廊下の真中で、堅かたい大きなものに向脛むこうずねをぶつけて、あ痛いが頭へひびく間
に、身体はすとんと前へ抛ほうり出された。こん畜生ちきしょうと起き上がってみたが、馳けられない。
気はせくが、足だけは云う事を利かない。じれったいから、一本足で飛んで来たら、もう足音も人声も静
まり返って、森しんとしている。いくら人間が卑怯だって、こんなに卑怯に出来るものじゃない。まるで
豚だ。こうなれば隠れている奴を引きずり出して、あやまらせてやるまではひかないぞと、心を極きめて
寝室しんしつの一つを開けて中を検査しようと思ったが開かない。錠じょうをかけてあるのか、机か何か
積んで立て懸かけてあるのか、押おしても、押しても決して開かない。今度は向う合せの北側の室へやを
試みた。開かない事はやっぱり同然である。おれが戸を開けて中に居る奴を引っ捕つらまえてやろうと、
焦慮いらってると、また東のはずれで鬨の声と足拍子が始まった。この野郎やろう申し合せて、東西相応
じておれを馬鹿にする気だな、とは思ったがさてどうしていいか分らない。正直に白状してしまうが、お
れは勇気のある割合に智慧ちえが足りない。こんな時にはどうしていいかさっぱりわからない。わからな
いけれども、決して負けるつもりはない。このままに済ましてはおれの顔にかかわる。江戸えどっ子は意
気地いくじがないと云われるのは残念だ。宿直をして鼻垂はなったれ小僧こぞうにからかわれて、手のつ
けようがなくって、仕方がないから泣き寝入りにしたと思われちゃ一生の名折れだ。これでも元は旗本は
たもとだ。旗本の元は清和源氏せいわげんじで、多田ただの満仲まんじゅうの後裔こうえいだ。こんな土
百姓どびゃくしょうとは生まれからして違うんだ。ただ智慧のないところが惜しいだけだ。どうしていい
か分らないのが困るだけだ。困ったって負けるものか。正直だから、どうしていいか分らないんだ。世の
中に正直が勝たないで、外に勝つものがあるか、考えてみろ。今夜中に勝てなければ、あした勝つ。あし
た勝てなければ、あさって勝つ。あさって勝てなければ、下宿から弁当を取り寄せて勝つまでここに居る
。おれはこう決心をしたから、廊下の真中へあぐらをかいて夜のあけるのを待っていた。蚊がぶんぶん来

13 :山師さん:2016/06/06(月) 22:16:19.14 ID:/dDBYA2W.net
うか、二階が落っこちるほどどん、どん、どんと拍子ひょうしを取って床板を踏みならす音がした。す
ると足音に比例した大きな鬨ときの声が起おこった。おれは何事が持ち上がったのかと驚ろいて飛び起き
た。飛び起きる途端とたんに、ははあさっきの意趣返いしゅがえしに生徒があばれるのだなと気がついた
。手前のわるい事は悪るかったと言ってしまわないうちは罪は消えないもんだ。わるい事は、手前達に覚
おぼえがあるだろう。本来なら寝てから後悔こうかいしてあしたの朝でもあやまりに来るのが本筋だ。た
とい、あやまらないまでも恐れ入って、静粛せいしゅくに寝ているべきだ。それを何だこの騒さわぎは。
寄宿舎を建てて豚ぶたでも飼っておきあしまいし。気狂きちがいじみた真似まねも大抵たいていにするが
いい。どうするか見ろと、寝巻のまま宿直部屋を飛び出して、楷子段はしごだんを三股半みまたはんに二
階まで躍おどり上がった。すると不思議な事に、今まで頭の上で、たしかにどたばた暴れていたのが、急
に静まり返って、人声どころか足音もしなくなった。これは妙だ。ランプはすでに消してあるから、暗く
てどこに何が居るか判然と分わからないが、人気ひとけのあるとないとは様子でも知れる。長く東から西
へ貫つらぬいた廊下ろうかには鼠ねずみ一匹ぴきも隠かくれていない。廊下のはずれから月がさして、遥
か向うが際どく明るい。どうも変だ、おれは小供の時から、よく夢ゆめを見る癖があって、夢中むちゅう
に跳ね起きて、わからぬ寝言を云って、人に笑われた事がよくある。十六七の時ダイヤモンドを拾った夢
を見た晩なぞは、むくりと立ち上がって、そばに居た兄に、今のダイヤモンドはどうしたと、非常な勢い
きおいで尋たずねたくらいだ。その時は三日ばかりうち中じゅうの笑い草になって大いに弱った。ことに
よると今のも夢かも知れない。しかしたしかにあばれたに違いないがと、廊下の真中まんなかで考え込ん
でいると、月のさしている向うのはずれで、一二三わあと、三四十人の声がかたまって響ひびいたかと思
う間もなく、前のように拍子を取って、一同が床板ゆかいたを踏み鳴らした。それ見ろ夢じゃないやっぱ
り事実だ。静かにしろ、夜なかだぞ、とこっちも負けんくらいな声を出して、廊下を向うへ馳かけだした
。おれの通る路みちは暗い、ただはずれに見える月あかりが目標めじるしだ。おれが馳け出して二間も来
たかと思うと、廊下の真中で、堅かたい大きなものに向脛むこうずねをぶつけて、あ痛いが頭へひびく間
に、身体はすとんと前へ抛ほうり出された。こん畜生ちきしょうと起き上がってみたが、馳けられない。
気はせくが、足だけは云う事を利かない。じれったいから、一本足で飛んで来たら、もう足音も人声も静
まり返って、森しんとしている。いくら人間が卑怯だって、こんなに卑怯に出来るものじゃない。まるで
豚だ。こうなれば隠れている奴を引きずり出して、あやまらせてやるまではひかないぞと、心を極きめて
寝室しんしつの一つを開けて中を検査しようと思ったが開かない。錠じょうをかけてあるのか、机か何か
積んで立て懸かけてあるのか、押おしても、押しても決して開かない。今度は向う合せの北側の室へやを
試みた。開かない事はやっぱり同然である。おれが戸を開けて中に居る奴を引っ捕つらまえてやろうと、
焦慮いらってると、また東のはずれで鬨の声と足拍子が始まった。この野郎やろう申し合せて、東西相応
じておれを馬鹿にする気だな、とは思ったがさてどうしていいか分らない。正直に白状してしまうが、お
れは勇気のある割合に智慧ちえが足りない。こんな時にはどうしていいかさっぱりわからない。わからな
いけれども、決して負けるつもりはない。このままに済ましてはおれの顔にかかわる。江戸えどっ子は意
気地いくじがないと云われるのは残念だ。宿直をして鼻垂はなったれ小僧こぞうにからかわれて、手のつ
けようがなくって、仕方がないから泣き寝入りにしたと思われちゃ一生の名折れだ。これでも元は旗本は
たもとだ。旗本の元は清和源氏せいわげんじで、多田ただの満仲まんじゅうの後裔こうえいだ。こんな土
百姓どびゃくしょうとは生まれからして違うんだ。ただ智慧のないところが惜しいだけだ。どうしていい
か分らないのが困るだけだ。困ったって負けるものか。正直だから、どうしていいか分らないんだ。世の
中に正直が勝たないで、外に勝つものがあるか、考えてみろ。今夜中に勝てなければ、あした勝つ。あし
た勝てなければ、あさって勝つ。あさって勝てなければ、下宿から弁当を取り寄せて勝つまでここに居る
。おれはこう決心をしたから、廊下の真中へあぐらをかいて夜のあけるのを待っていた。蚊がぶんぶん来

14 :山師さん:2016/06/06(月) 22:20:57.46 ID:/dDBYA2W.net
うか、二階が落っこちるほどどん、どん、どんと拍子ひょうしを取って床板を踏みならす音がした。す
ると足音に比例した大きな鬨ときの声が起おこった。おれは何事が持ち上がったのかと驚ろいて飛び起き
た。飛び起きる途端とたんに、ははあさっきの意趣返いしゅがえしに生徒があばれるのだなと気がついた
。手前のわるい事は悪るかったと言ってしまわないうちは罪は消えないもんだ。わるい事は、手前達に覚
おぼえがあるだろう。本来なら寝てから後悔こうかいしてあしたの朝でもあやまりに来るのが本筋だ。た
とい、あやまらないまでも恐れ入って、静粛せいしゅくに寝ているべきだ。それを何だこの騒さわぎは。
寄宿舎を建てて豚ぶたでも飼っておきあしまいし。気狂きちがいじみた真似まねも大抵たいていにするが
いい。どうするか見ろと、寝巻のまま宿直部屋を飛び出して、楷子段はしごだんを三股半みまたはんに二
階まで躍おどり上がった。すると不思議な事に、今まで頭の上で、たしかにどたばた暴れていたのが、急
に静まり返って、人声どころか足音もしなくなった。これは妙だ。ランプはすでに消してあるから、暗く
てどこに何が居るか判然と分わからないが、人気ひとけのあるとないとは様子でも知れる。長く東から西
へ貫つらぬいた廊下ろうかには鼠ねずみ一匹ぴきも隠かくれていない。廊下のはずれから月がさして、遥
か向うが際どく明るい。どうも変だ、おれは小供の時から、よく夢ゆめを見る癖があって、夢中むちゅう
に跳ね起きて、わからぬ寝言を云って、人に笑われた事がよくある。十六七の時ダイヤモンドを拾った夢
を見た晩なぞは、むくりと立ち上がって、そばに居た兄に、今のダイヤモンドはどうしたと、非常な勢い
きおいで尋たずねたくらいだ。その時は三日ばかりうち中じゅうの笑い草になって大いに弱った。ことに
よると今のも夢かも知れない。しかしたしかにあばれたに違いないがと、廊下の真中まんなかで考え込ん
でいると、月のさしている向うのはずれで、一二三わあと、三四十人の声がかたまって響ひびいたかと思
う間もなく、前のように拍子を取って、一同が床板ゆかいたを踏み鳴らした。それ見ろ夢じゃないやっぱ
り事実だ。静かにしろ、夜なかだぞ、とこっちも負けんくらいな声を出して、廊下を向うへ馳かけだした
。おれの通る路みちは暗い、ただはずれに見える月あかりが目標めじるしだ。おれが馳け出して二間も来
たかと思うと、廊下の真中で、堅かたい大きなものに向脛むこうずねをぶつけて、あ痛いが頭へひびく間
に、身体はすとんと前へ抛ほうり出された。こん畜生ちきしょうと起き上がってみたが、馳けられない。
気はせくが、足だけは云う事を利かない。じれったいから、一本足で飛んで来たら、もう足音も人声も静
まり返って、森しんとしている。いくら人間が卑怯だって、こんなに卑怯に出来るものじゃない。まるで
豚だ。こうなれば隠れている奴を引きずり出して、あやまらせてやるまではひかないぞと、心を極きめて
寝室しんしつの一つを開けて中を検査しようと思ったが開かない。錠じょうをかけてあるのか、机か何か
積んで立て懸かけてあるのか、押おしても、押しても決して開かない。今度は向う合せの北側の室へやを
試みた。開かない事はやっぱり同然である。おれが戸を開けて中に居る奴を引っ捕つらまえてやろうと、
焦慮いらってると、また東のはずれで鬨の声と足拍子が始まった。この野郎やろう申し合せて、東西相応
じておれを馬鹿にする気だな、とは思ったがさてどうしていいか分らない。正直に白状してしまうが、お
れは勇気のある割合に智慧ちえが足りない。こんな時にはどうしていいかさっぱりわからない。わからな
いけれども、決して負けるつもりはない。このままに済ましてはおれの顔にかかわる。江戸えどっ子は意
気地いくじがないと云われるのは残念だ。宿直をして鼻垂はなったれ小僧こぞうにからかわれて、手のつ
けようがなくって、仕方がないから泣き寝入りにしたと思われちゃ一生の名折れだ。これでも元は旗本は
たもとだ。旗本の元は清和源氏せいわげんじで、多田ただの満仲まんじゅうの後裔こうえいだ。こんな土
百姓どびゃくしょうとは生まれからして違うんだ。ただ智慧のないところが惜しいだけだ。どうしていい
か分らないのが困るだけだ。困ったって負けるものか。正直だから、どうしていいか分らないんだ。世の
中に正直が勝たないで、外に勝つものがあるか、考えてみろ。今夜中に勝てなければ、あした勝つ。あし
た勝てなければ、あさって勝つ。あさって勝てなければ、下宿から弁当を取り寄せて勝つまでここに居る
。おれはこう決心をしたから、廊下の真中へあぐらをかいて夜のあけるのを待っていた。蚊がぶんぶん来

15 :山師さん:2016/12/08(木) 21:58:00.69 ID:nJtH/GwO+
あると思います

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