慰安婦問題と米国政府

ナナシズム

韓国は、慰安婦問題を米国に持って行き、米国世論を煽ることによって、日本より賠償金を取ろうと考えています。
慰安婦問題の存在の有無の疑念はもちろんですが、日韓基本条約で解決した戦中、戦前の問題を持ち出すのは、理に反することです。
ただ、韓国の狙いは、謝罪や賠償金を得ることではなく、「日本人を国際的におとしめて快感を得る。」という特異なナショナリズムとも言え、今後も様々な問題をエンドレスに持ち出してくることが予想されます。

もし、米国の議会や政府が慰安婦問題の賠償をするように圧力をかけてくるようなことがあれば、想像以上に大きな問題なのです。これには、米国も気づいていないように思います。

第二次世界大戦では、多くの国が戦い、憎しみあいを生みました。それを解決しようとしたのが、サンフランシスコ講和条約であり、個々の国同士の条約です。
条約というのは、お互いの国家が不服を残しながらも、何とか妥協にたどり着いた苦労の産物です。
日本は、韓国と日韓基本条約を結びました。
宗主国が植民地に対して、賠償金を払うことなど例がないことですが、経済協力という名目で事実上の賠償金を払い、日韓のそれまでの歴史を清算したのです。
また、日本人が働いて納めた税金による国家予算の多く(一説には半分)を何年も費やして築いた近代的な朝鮮の施設やインフラは全て譲渡しました。
終戦直後、日本の民間人は朝鮮にて略奪等の不当行為を受けましたが、日本は不問にしています。
西洋人は、何世紀にもわたって世界中を植民地にして搾取しつづけて荒廃させたにもかかわらず、謝罪も賠償もしていません。
それに比較すれば日本の戦後処理は、はるかに「良心的」でした。
欧米人は、アフリカ大陸より人身売買や誘拐で黒人をアメリカ大陸に連れて行き、米国は奴隷として使い続けました。
しかし、アフリカ諸国に対して、謝罪や賠償をしたことはありません。

もし、第二次大戦の盟主国である米国が、日韓基本条約があるにもかかわらず、韓国の要求の後押しをすれば、第二次大戦後の様々な条約を無効にしましょうということです。
少なくとも、国家賠償については再考しましょうということです。

たとえば、米国は日本を降伏させるという名目で、連日無差別都市爆撃をしました。原爆投下もこの一環です。
「降伏しなければ、乳児、子供、女を含めて、都市の人間を皆殺しにするぞ。」といういうものであり、実際にそのように連日行ったのです。
人類数千年の歴史において、これほどの残虐行為は類をみません。しかも、この爆撃は日本が敗戦を自覚して連合国と講和活動をしている時も続けられました。
サンデル博士風にたとえるなら、武器を持って立てこもった人を捕まえるために、その人の家族や親戚を並べて、「出てこなければ、毎日一人ずつ殺すぞ」と脅迫し、
その通りに乳児、子供、女を含めて毎日一人ずつ殺していくことに、正義はあるかという質問になります。
もし、米国が慰安婦問題において韓国の後押しをするようであれば、当然日本は、無差別都市爆撃の賠償を要求する権利を持つことになります。
政府が要求できなくても、民間人は可能です。要求が通る通らないかが問題ではなく、日米双方に感情的対立が生じることが問題です。
一部の米国議員が韓国人の票をあてにして、後押しをしているようですが、それが第二次大戦後の平和を乱す行為であることを自覚せねばいけません。慰安婦碑の撤去を行わない米国の市も、この事実をどこまで理解しているか疑問です。
正義や、人道を建前に行動しているこれらの議員や市は、日本が、無差別都市爆撃の記念碑の設置を要求した場合、それに答えるだけの度量があるのでしょうか。

激しい戦争を行ったにもかかわらず、日本人が米国を恨まずその統治を受け入れ、親米国になったのは、「人を恨まず自らに責任を求める」という日本人の高い道徳観と「しようがない」という過去より未来を見つめるという日本人の人生観によります。
しかし、慰安婦問題で韓国の後押しをするようであれば、日本人の対米感覚は一気に変わり、日米両国にとって極めて不幸な事態が訪れるかもしれません。
米国政府が、これらのことに気づき、常識的な対応をとることを祈りたいものです。

韓国が日本憎しの感情で暴走することは、韓国にとってもよいことではありません。急速に強大化する中国から、韓国を守ることができるのは、日米の友好と協力があってのことです。
日米が離反すれば、米国の東アジアでの力は弱まり、朝鮮半島がチベットやウイグルのようになる可能性はゼロではありません。