安倍首相日米欧が連携し自由な国際秩序維持を

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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170321/k10010919601000.html
3月21日 21時50分
ベルギーに到着した安倍総理大臣は、ＥＵ＝ヨーロッパ連合のトゥスク大統領らとの会談を前にそろって共同記者発表に臨み、保護主義の台頭を念頭に、
国際的な責任を共有するＥＵ、アメリカと連携し自由で開かれた国際秩序の維持に取り組む考えを強調しました。
ベルギーのブリュッセルに到着した安倍総理大臣は、ＥＵ＝ヨーロッパ連合のトゥスク大統領、ユンケル委員長との会談を前に、日本時間の２１日午後８時ごろから、そろって共同記者発表に臨みました。

この中で、安倍総理大臣は「国際社会は、テロ、難民、力による一方的な現状変更の試みなど、多くの課題に直面しており、かつてなく強く結束した欧州を必要としている。日本は、欧州統合が今後も着実に力強く推進されていくことを支持する」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「ヨーロッパ各国も日本も、法の支配に基づく国際秩序の中で繁栄を遂げてきた。これからも、グローバルの責任を共有する日米欧の間でともに手を携え、自由で開かれた国際秩序の維持と強化に取り組んでいく」と述べました。

これに対し、トゥスク大統領は「Ｇ７＝主要７か国というフォーラムをきちんと一つに維持し、国際的な秩序を維持しながら、経済や貿易の問題、安全保障、東シナ海・南シナ海や北朝鮮、シリア情勢などの解決を図りたい」と述べました。

そして、日本とＥＵ＝ヨーロッパ連合のＥＰＡ＝経済連携協定の早期交渉妥結を目指す考えを示しました。安倍総理大臣は午後８時半すぎからトゥスク大統領らとの会談に臨んでいて、それに続いて昼食会で意見を交わすことにしています。

ＥＵのトゥスク大統領ＥＰＡ早期締結に期待

ＥＵのトゥスク大統領は安倍総理大臣との会談を前に共同記者発表に臨み、「経済力のある日本とＥＵがこれからも公平な世界貿易に関与していくことは非常に重要だ。
ＥＵとしては自由貿易協定の締結に向けて努力しており、近く締結されると信じている」と述べ、日本とのＥＰＡ＝経済連携協定交渉の早期妥結に強い期待を示しました。

トゥスク大統領としては、これまでの交渉で農業分野などで両者の意見に隔たりがあっただけに、今回の安倍総理大臣のＥＵ訪問をきっかけに、交渉を加速させるとともに保護主義的な動きが広がる中で自由貿易を推進する姿勢を強調する狙いがあるものと見られます。

また、共同記者発表の中でトゥスク大統領は、イギリスが今月２９日にＥＵ離脱を正式に通知すると発表したことを受けて、イギリスを除く加盟２７か国による
臨時のＥＵ首脳会議を来月２９日に開くことを明らかにしました。このＥＵ首脳会談ではトゥスク大統領が今月中にも各国に示す離脱交渉の方針が正式に採択される見通しです。

ＥＵは日本の農業分野の市場開放を重視

日本とのＥＰＡ＝経済連携協定を巡り、ＥＵ＝ヨーロッパ連合が特に重視しているのが、豚肉やチーズなど、日本の農業分野の市場開放です。

このうち日本にとって豚肉輸入量の７分の１を占め、アメリカ、カナダに次ぐ貿易相手国となっているデンマークでは、早期の合意を求める声が強まっています。
デンマークの豚肉は、大規模経営によって生産コストが低いことが特徴ですが、ＥＰＡの交渉で、関税の引き下げなどが決まれば、価格競争力は一段と高まると期待されています。

さらに日本の豚肉市場で競争しているアメリカが、ＴＰＰ＝環太平洋パートナーシップ協定の代わりに日本と２国間の貿易協定の早期締結を目指していることから、デンマークの業界団体はＥＵに交渉の加速を働きかけています。

業界団体の幹部は、「日本とのＥＰＡの交渉が妥結すれば、アメリカとの競争に敗れてシェアを失うリスクがなくなる。政治的な決断が必要だ」と話しています。

こうした経済的なメリットが大きいことに加え、ＥＵとしてはアメリカのトランプ大統領が自国第一主義を掲げる中、日本とＥＵが貿易自由化で成果を示すことで、保護主義に対抗する姿勢を明確にする狙いもあります。

ただ、ヨーロッパではことしフランスやドイツといった主要国で重要な選挙が相次ぎ、政治的な判断が難しくなると見られていて、こうした状況の中で交渉をスムーズに進められるかが焦点になります。

安倍首相 日米欧が連携し自由な国際秩序維持を

安倍首相日米欧が連携し自由な国際秩序維持を