【長崎】アニメ界の巨匠、女子大生に「僕でよければ力になるよ」と声かけ　被災体験を絵本に

yomiφ ★

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　岩手県釜石市で東日本大震災に遭った長崎大3年の狐鼻（きつねはな）若菜さん（21）が、
アニメ「タッチ」や「ジャングル大帝」を手掛けた著名なアニメーション監督宇井孝司さん（55）と共同で、自らの被災体験をテーマにした絵本を制作した。
「震災で移住を余儀なくされた人たちの気持ちを知ってほしい」との思いが込められており、絵本を使った映像作品を同大で18日に開かれるイベントで披露する。

■「僕でよければ力になるよ」アニメ界の巨匠だった

　宇井さんとの出会いは昨年8月。東京であった被災体験を伝える活動の報告会で、得意とする絵を使って自らの体験を伝えたいと訴えると、居合わせていた男性に声をかけられた。
「僕でよければ力になるよ」。アニメ界の巨匠だった。
絵本で社会に訴えることを2人で思い立ち、ストーリーを宇井さんが考え、狐鼻さんが絵を描くことにした。

　絵本は、湖が汚れたため、白鳥が周囲に花の咲いた美しい湖に移り住む内容。
被災者を白鳥に見立て、原発などの被害に遭った地域から移住した先での生活に戸惑いながらも、周囲の人たちの協力を得ながら、前を向いて生きていく様子を比喩した。
基になる11枚の絵は、狐鼻さんが水彩絵の具と色鉛筆を使って描き上げた。

■温かい風呂に入るだけで後ろめたかった

　5年前の3月11日、釜石東中3年だった狐鼻さんは、経験のない大きな揺れを感じると、はだしで高台に逃げた。校舎は津波にのみ込まれ全壊した。
その後、母の実家がある福岡県直方市に家族で移り住んだが「気を使わせたくない」と被災体験は伏せた。
テレビに被災地が映ると、温かい風呂に入るだけで後ろめたかった。
「ふわふわして夢の中にいるみたいだった」

　転機は大学1年夏。宮城県松島町であった、学生が防災を語り合う会合に招待された。3年半ぶりに訪れた被災地で真剣に議論する同世代に刺激を受け、「思い出すのもつらかった」記憶を初めて人前で語った。
以来、復興支援ボランティアに参加したり、県内外で被災講話を行ったりするようになった。4月の熊本地震でも現地へ駆け付けた。

■ナレーションや音楽などを入れて作品に

　18日に披露される映像作品は、宇井さんが協力して制作。本の絵を撮影した上で、ナレーションや音楽などを入れて作品に仕立て上げた。
「伝えることで助かる命があるはず。誰かが伝えないといけない」

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