【批判】ガルパン杉山P「アニメにはまちおこしの力なんてない」

オムコシ ★

劇場版は興行収入21億円超、累計動員数120万人を突破
BD発売後も異例のロングランが続く『ガールズ＆パンツァー』

　「ガルパンはいいぞ」――もはやそう表現するよりほかないほどの快進撃が続いている。テレビ、OVA、劇場版と続いた大ヒットは社会現象とも言える規模になりつつある。そして『ガールズ＆パンツァー』の主人公たちが活躍する舞台、茨城県大洗町には日々多くのファンが訪れ、町の人々との交流があちこちで見られる。

　どのようにして地方都市「大洗」とアニメ「ガルパン」は幸せな関係を築くことができたのだろうか？　その中心人物の一人、バンダイビジュアルの杉山潔プロデューサーに詳しくお話を伺った。

以下要約

・このアニメで最初から町を巻き込むことはしないという約束事があった

・作品の内容上、町を壊さないといけないが、勝手に壊されたら、そりゃ気分悪いだろうなと。
　なので、まずは大洗に「舞台にさせてください」というお願いをしたのがいちばん最初

・ミーティングを重ねるなかで「この作品はオリジナルなのでヒットするかどうか保証できない
　だからあまり商売面で本気にならないでください」という話をした

・世間一般に“アニメでまちおこし”という言葉が一人歩きしていた状況だったが、舞台になった町にファンが遊びに来てくれることはあるかもしれないけれど、まずそれはヒットしないとありえない話なので

・対して常磐さんは
「面白い事さえできればいいので、我々は経済効果を求める気はまったくない」
「気心が知れていて、失敗したら『ごめんね』って言える範囲からスタートします」
と言ってくれた

・振り返ってみれば効果はすごく大きかったとは思うが
最初に町の方々と約束したのは経済効果の話は一切止めましょうということ

・「コンテンツには必ず終わりが来るので、コンテンツにばかり寄りかかっていると、なくなった途端また元に戻っちゃう。次に皆さんがやったほうが良いことは、いま来てくれているお客さんに“大洗のファン”になってもらうことですよ」と、町長にも直接言っていた

・基本的にアニメコンテンツでまちおこしとか地域復興はできないと思っている

・夜中の2時や3時の放送、ほとんど男性のアニメマニアしかいない
そういう枠の特性がある上に、視聴率1％取れば成功と言われます
1クール12本・30分放送して影響力があると思いますか？

・コンサルの人たちがコンテンツツーリズムって言うが、後付けならわかるけれど
コンテンツツーリズムを前提に、行政を巻き込むのは（わたしは）すごく反対

・よくそういう話が来るんですけれど、違います！ってずっと否定して回っています（笑）　
我々はそんなおこがましいことを考えていませんでしたと

・我々は面白い作品を作るための努力はできるけれど、それ以上のことはできませんとずっと言い続けていた

・論理に考えて、深夜アニメとまちおこしはつながらない。
コアな人たちが来て町を好きになってくれても、そこから先はコンテンツとしてできることはあまりない。

・我々が最低限できることは作品をヒットさせることですが、ガルパンはオリジナル作品だし
そこに絶対の自信はなかった。（ヒットする約束を）先物取引のように
舞台となる町との交渉材料には使えません。

・我々からすれば大洗をプロデュースした気持ちは全然ない

・初めて大洗が登場するのは第4話だし
大洗という言葉も学校の名前として出てくるだけで作中でほとんど使っていない

・“大洗のここが”といった紹介はほとんどなく、試合会場として使っているだけで
大洗町をそれほど積極的にアピールしたつもりはない。あくまでもリアルな町並みを描くため

・ただそれを見て、「どうも大洗って町があるらしい」ということで大勢の人が訪れてくれたのは予想を超えていた

・逆に、大洗での盛り上がりが新聞やテレビで伝えられたことで、作品のさらなるヒットに貢献してくれた

・コンテンツがなくなっても『昔ガルパンってあったよね』って思い出してもらえればそれで良いんじゃないかなと。いま遊びに来ている人たちの数％が、ガルパンが縁で大洗と個人的なつながりを持ち、遊び続けてもらえれば……それが最大、我々が望めることではないかなと思います

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