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神7のストーリーを作ろうの会part12

39 :ユーは名無しネ:2018/06/10(日) 22:06:42.26 ID:rNv+spPDG
「…実は僕はね、本当はこの家の子じゃないんだ。だからどっちにも似てないのは当たり前と言えば当たり前だね」
だがその呟きに悲壮感はなかった。むしろ、何か昔話を語るかのように自然な口調だった。
「お母さんがね、子どもが出来ない体だったみたいで…この家の跡取りのこととか、もの凄く悩んでお父さんやお婆ちゃん達とも何度も話し合って…ちょうどその頃、お母さんの親友が赤ちゃんを産んですぐに病気で亡くなったんだ」
「え、てことはまさか…」
「そう。その赤ちゃんが僕だよ。本当のお父さんはその前に亡くなってて…だから僕の本当のお母さんは亡くなる直前に僕を岩橋家で引き取ってくれないか、ってお母さんに頼んだんだって」
玄樹の紅茶のカップは空になっていた。
「皆が賛成してくれて、僕は岩橋家の跡取りになった。この話を僕はお母さんに小さい頃から聞かされてた。だけどね、全然ショックじゃなかったんだよ。強がりじゃなくてね。
だってお父さんもお母さんも、お爺ちゃんもお婆ちゃんもみんな僕を本当の子どもみたいに可愛がってくれたから。
だから僕は幸せだったし、一生懸命勉強してこの病院を継がなきゃって思ってる。そのためにも今年こそ合格しなくちゃいけないんだけどね」
「ふうん…そっか…そうなんだ…」
突然の身の上話に、岸くん達が頷くことしか出来ないでいると、玄樹はふっと笑う。
「実はこの話、神宮寺にだけしかしてないんだけどね。子ども心にこれはあんまり友達や他の人にも話さない方がいいんだって思ってたから。だから挙武とか嶺亜は知らないと思う。
僕も誰かに話そうなんて思ったことないし…でもなんだか岸くん達は他人と思えなくて。不思議だな」
「そんな風に言ってもらえると光栄だね、岸くん。やっぱり玄樹くんには話しといた方がいいのかも…」
颯の提案に、皆は頷く。玄樹はきょとん、としているが岸くん達が昨日颯と谷村が聞いた話とさっきまで開いていた情報収集を全て話すとさすがに表情を固くした。
「…」
「でも俺たちは別にこの村の秘密を曝いてどうこうってわけじゃないよ。勿論、最初は軽い気持ちでミステリー発見みたいな感じでやって来たけどさ」
岸くんは真っ直ぐに玄樹の目を見て言った。頷きながら、颯も続く。
「知ってどうなるもんでもないし、何もできないけど…」
「一宿一飯の恩義を果たす意味でもなんか力になれることあったらとは思ってる。てか颯と谷村は半徹夜までしたしな」
デザートのフルーツをしこたま食べながら郁もそう言った。
谷村は何か他のことに気を取られているのか、紅茶のカップを見つめたまま押し黙っていた。



つづく

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