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孤独のグルメのガイドライン 谷口26ー

377 :水先案名無い人:2022/05/02(月) 15:59:11 ID:Qk6e3J970.net
林業に転職した滝山は今日も杉の木をチェーンソーで切り出し麓まで運ぶ。

なかなかの重労働で、中年という年齢も相まって身体が慣れるのにずいぶんかかってしまっている。
しかし大自然の中での仕事というのは、鬱で前職の都内での事務仕事を辞めてしまった滝山にはぴったりで睡眠もよく取れており薬もそろそろ止めることができそうなのであった。

さて、今日は昼過ぎから天気も悪いとのことだ。麓まで運ぶ作業は明日まとめてやり、今日は残り少しの時間で切り出し作業をしよう。
杉の木を一本倒しチェーンソーを置いたところで、小さな女の子が視界に入った。
滝山「!」
女の子が一人で来れるような場所ではない、そういえば今週はGW、3kmほど離れたところにあるオートキャンプ場から森に迷い込んできたのだろうか。
するとその女の子は滝山に向かって走りだそうとしてきた。
滝山「あぁ、危ないからそこにいなさい!おじさんがそっちに行くから!」

女の子「えぐっ……ひぐっ……」
滝山「怖かったねぇ……朝から今までずっと歩いてきたんだね……お腹すいたでしょう、これおにぎりと唐揚げ、食べなさい」
女の子「ひぐっ……ありがとうおじちゃん……」
滝山が無線機で会社と連絡を取る。
滝山『えー本部、聞こえるか本部ー、こちら滝山、滝山ー、年齢10歳の「ミナミノ カエデ」ちゃんという女の子を森の中で確保ー、行方不明等の情報はないか、どうぞ』
本部『……えー、こちら本部ー、近所のオートキャンプ場にて行方不明案件あり、10歳の女の子とのこと、当該女児に間違いないと思われるー、こちらから警察に通報する、滝山さんは今日はスゲノ沢付近か?どうぞ』
滝山『はいー、林道終点から300mほど、救助これるか?』

女の子は無事両親と再会を果たし、森の中で出会った親切なおじちゃん、滝山のことは忘れられない存在となった。
助けてくれる大人もいるんだ──この感覚は女の子にとってかけがえのない信頼感の礎となっていった。

両親からお礼にと貰った芋焼酎『赤霧島』。
滝山「まいったなぁ、鬱やってから酒は封印してたんだがなぁ……」
今夜だけはと、グラスに注ぐ。肴は、感謝状を受け取る滝山と会社の仲間たちとの写真つきの新聞記事だ。
鬱の薬ももはや必要なくなっていた。

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