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キングコング西野公論 297

904 :通行人さん@無名タレント:2016/05/21(土) 21:56:35.75 ID:6cVC68YB0.net
>>903の続き

前半は、ヴィデオカメラを持った一人の好奇心旺盛な野次馬の視線を通して、
ストリートアートの隠された制作現場を覗き見する楽しさとスリルが味わえる。
ティエリーというやたら行動的な天然おじさんの、ミーハー丸出しの
アーティストへの憧れと邪気のなさも微笑ましい。

それが後半、状況が意外な方向に転がっていくことで、笑いの中にも
だんだんイタくて苦いものが滲み出てくる。イタいのはティエリー。
苦さを味わうのはバンクシーと映画を観ている観客である。

冒頭近く、古着屋ティエリーが、「大量に仕入れたリーバイスを
原価の100倍で売って儲けてる」などと得意気に喋るシーン。
これが最後の、大量に生産(労働するのは主に日雇いスタッフ)した
作品を高価格で売り捌こうとする場面に呼応している。
古着とアート、どちらも付加価値をつり上げイメージで売る商品だ。

観ていて恥ずかしくなるようなティエリーの振る舞いは数々ある。
初個展に際し、バンクシーがティエリーに頼まれて書いた
(勧めた手前、義理からだろうが)短い推薦文をデカデカと
看板にしちゃうわ、ノンキャリアのアーティストなのに
「先着2000人にはオリジナルTシャツプレゼント」を考案するわ、
オープニング直前のセッティングの指示より雑誌のインタビューを
優先するわ‥‥。

業界の人間がもう少しスマートに(要は気取って)やるところを、
ティエリーは泥臭くあからさまにやってしまい、それが当たってしまう。
いずれにせよ彼に、アーティストとしての才能はさておき、間違いなく
商売人としての才能はあるだろう。

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