【三重】水害の村「共助」で守る…「女人堤防」題材に上演[01/17]

坊主 ★

女人堤防は、汲川原村を守るように造られた
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鈴鹿で２月１１日

　江戸時代中期、現在の鈴鹿市で川の氾濫から村を守るため、禁を犯して堤防を築いた女性たちがいた。女人堤防の伝承を題材にした舞台「椿ちれど…」が２月１１日、同市南玉垣町の市ふれあいセンターで上演される。公演するのは同市を拠点に活動する「劇団花さつき」。災害時に地域で支え合う「共助」、自らリスクに備える「自助」を訴える、現代に通じる作品だ。（南条哲治）

　女人堤防は鈴鹿川と安楽川が合流する汲川原村（現・鈴鹿市汲川原町）が舞台。度重なる洪水に村人たちは、藩に堤防の強化を訴えたが、藩は許さない。逆に下流の城下に洪水が押し寄せる恐れがあるからだ。村人たちが藩に背いて工事を行えば、男たちは全員打ち首になる。そこで女性だけ約２００人が夜間ひそかに工事を進め、６年がかりで完成。藩主からも許しを得たとされる。

　「椿ちれど…」は、同市のみえ防災コーディネーター戸口孔二さん（７０）と同劇団が共同で企画した。きっかけは戸口さんが２０１６年９月、汲川原町などが校区の市立庄野小学校で行った防災講話。テーマは南海トラフ地震だったが、戸口さんは地域の災害も知ろうと調査。地元住民らから女人堤防の伝承を聞いた。「地元でもあまり知られていない。広く伝えることで防災への関心が高まれば」と考え、防災劇のイベントなどで交流があった同劇団に提案した。

　１３日に同センターで行われた通し稽古。脚本、演出の近藤由美さん（５７）が見守る中、出演者たちは「侍たちは堤を作らず、村を見殺しや」「打ち首覚悟で堤を作ってやる」などのセリフを確認していった。

　工事が進む中、大雨で堤が崩壊する場面がある。ヒロインを演じる中学１年、打田羽麗さん（１３）は「女たちだけでは難しかったのでは。でも、果敢に取り組んだ。その意気込みを伝えられたら」と話す。近藤さんも「地元の方に話を聞くなどして勉強した。伝説に創作をマッチさせた」と語る。

　同劇団の代表代役、江角信二さん（５２）は「村人たちが選んだのは『自分たちで村を守ろう』だった。現代の私たちも自助や共助の精神を持つことは大事なのでは」と言う。戸口さんも「災害から家族を守ろうとした女性たちの思いを感じてもらえれば」と期待している。

　午前１１時半に開場し、地震体験車や非常持ち出し品を展示。午後１時半から市職員による防災講話がある。公演は午後２時１５分～３時半。問い合わせは同劇団の長谷川さん。

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　女人堤防　鈴鹿市史によると、１８２９年（文政１２年）、村の庄屋が切腹覚悟で村人を集め、本堤防の工事に着工しようとしたが、処刑を恐れた村人たちは家に戻った。庄屋は女性を集めて工事を進め、堤防は完成した。ただ、本堤防に対して直角に造られた４００メートル足らず。汲川原村を守る形だが、本流の堤防強化に役立つとは思えない。女人堤防は、文政期の堤防工事に女性も参加したことを基にした物語ではないか、と解説している。町内には県が１９５８年に建てた碑がある。

読売新聞 2018年01月17日
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