【ファッション】「ピンク男子」が増殖中

幽斎 ★

「ピンク男子」が増殖中。「ピンクおば」も町に出現の予感
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20141016/420350/

　これまで仕事で、大臣とか、学者とか、大女優とか、社長とか、いろんな偉い人にインタビューしてきた。
現場ではその人の言葉に心を揺さぶられ、手にしたメモ帳が感動の涙で濡れたこともある。
が、考えてみると何年経っても覚えている言葉って、ごめん、数えるほどしかなかったりする。
それも覚えているのはたいてい、インタビューの本題とは違うので、原稿にも書かなかったようなちょっとしたエピソード。
　そのひとつが、これ。10年ほど前、90歳を越えた男性にインタビューしたときのこと。その方は若い頃を振り返って、こんなエピソードをおしえてくれた。
「もう50年も前になります。お気に入りの赤い革靴を得意になって履いて、地元の町を歩いていたんですよ。そうしたら近所の人に、女みたいだって気持ち悪がられてね」

　いくら半世紀前の話とはいえ、男性の靴が赤かっただけで、白い目で見られるなんて。今じゃ、メンズもレディスも、
ファッションにほとんど垣根はないし、赤い靴どころか、何ならレディスよりメンズのほうがよっぽどカラフルなブランドもあるっていうのに、
へー……とまあ、そんな驚きがあって、忘れられないエピソードになっているんだと思う。
　というわけで、最近またこの方の赤い靴のエピソードを思い出した。「ピンク男子」なる言葉を聞いたからだ。
「男子」で「ピンク」とくれば、ピンク映画的なものをイメージしてしまうのは古い人。一方、おばさんは、
最近よくいる赤ちゃんみたいにピンクの肌がつるつるの男子を想像して、頬がゆるんでしまったのだが、残念でした。
どっちも間違い。何てことはない。そのまんま「ピンクの服が好きな男子」をこう呼ぶのだという。
　たしかに町を改めて見てみると、ピンクを身につけている男子は多い。ちょっとそこらの通販カタログをめくってみても、
若者向けから、シニア向けまで、シャツやセーターなどはとくに、たいていカラー展開にピンク系が入っていたりする。
　ピンクといっても、どピンクではなく、薄い赤みたいなオックスフォードのワイシャツをよく着ている50台のおじさんにも、ちょっとインタビューしてみると、

「ピンク男子？なにそれ。え？オレ？そういわれてみるとピンク系のシャツが多いなあ。そうかあ、オレかあ」
と、まるでピンクを意識しないで着ている様子。それほど、男子がピンクを着ることが普通になったってことだと思う。
　そもそもメンズのピンクブームは、フリースが流行した2000年代から始まったという説がある。
それまでメンズというとグレーや黒など地味な色が服の主流だったが、オレンジやピンクなどカラフルなフリースが売られるようになった。
　まあ、男性のほとんどはファッションに臆病で冒険しないので、最初はそんなカラフルな服を遠巻きに見ていたが、
思い切って着てみると、おじさんから若者まで、どんな男子も意外に似合ったりする。
　なかでも脚光を浴びたのがピンクだ。なんせやさしい色だし、今どきの草食男子のイメージにぴったり。
おまけに女子受けもいいので、あっという間にメンズの人気色になっていったらしい。