【米経済】ＦＲＢに利上げ加速案　３月のＦＯＭＣ議事要旨

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　【ワシントン＝河浪武史】米連邦準備理事会（ＦＲＢ）は11日、３月20～21日に開いた米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）の議事要旨を公表した。会合参加者は減税効果などで景気と物価の先行きに自信を深め、数人は「利上げ経路は想定よりやや加速するのが適切だ」と主張した。ただ、トランプ政権が仕掛ける貿易戦争は「米経済の下振れリスクになる」と断言。利上げシナリオの新たな障壁となりそうだ。

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３月21日、米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）後に記者会見するパウエルＦＲＢ議長＝ＡＰ

　前回３月のＦＯＭＣでは、2017年12月以来、３カ月ぶりの利上げを決めた。２月に就任したパウエル議長が率いる最初の会合となり、議事要旨は新体制の政策姿勢を占う材料となる。

　議事要旨では数人の参加者が「今後数年の利上げ経路は、従来の想定よりやや加速するのが適切だ」と指摘したことが分かった。３月の会合後に公表したＦＯＭＣ参加者15人の利上げ予測は、中央値が年３回と従来のペースを据え置いた。だが、半数近い７人が年４回と見込んでおり、ＦＯＭＣ内のバランスは利上げ加速に傾いている。

　引き締め加速論が浮かぶのは、景気動向に自信を深めているためだ。米議会は10年間で1.5兆ドルという大型減税を実現させ、２年間で歳出を3000億ドル増やす予算関連法も成立させた。ＦＯＭＣは「税制改革と予算合意は今後数年の生産高を大きく押し上げそうだ」と指摘。景気見通しは「この数カ月で強まった」と主張した。

　停滞していた物価上昇率も、すべての参加者が「今後数カ月で上向く」との見通しを示し、多数が２％のインフレ目標の達成に「自信を深めている」と指摘した。実際、11日に発表した３月の消費者物価指数（ＣＰＩ）は、エネルギーと食品を除くコア指数が１年ぶりに２％を突破。物価の基調はＦＲＢの見立て通り、上向きつつある。

　ただ、トランプ政権が仕掛ける貿易摩擦が懸念材料となる。ＦＯＭＣは米政権が３月に発動した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を巡って議論。議事要旨には「関税自体は大きな影響を持たないが、報復合戦になれば米経済の下振れリスクになる」と明記した。関税引き上げの景気リスクは大きくないが、企業心理の悪化で投資や雇用が下振れするリスクを不安視した。

　トランプ政権は３月22日に、500億ドルの中国製品に関税を課す対中制裁案を発表しており、先行きのリスクは一段と増している。株価下落などで金融環境が想定外に引き締まれば、むしろ利上げペースを減速する可能性も残る。

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2018/4/12 5:47
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