【経済財政白書】デフレ脱却に設備投資拡大と新技術の活用を　17年度経財白書

へっぽこ記者＠エリオット ★

　内閣府は21日、2017年度の経済財政報告（経済財政白書）を公表した。デフレ脱却と持続的な経済成長に向け人手不足への対応を進める必要があると指摘。具体的には生産年齢人口が減る中で労働生産性を向上させるために、設備投資の拡大と新技術の活用が不可欠との見方を示した。

　足元の人手不足感は強まっている。有効求人倍率は４月に1.48倍へ上昇し、バブル期（1986～91年）の最高値だった90年７月の1.46倍を超えた。労働需給が同じように逼迫したバブル期の生産年齢人口が0.8％伸びたのに対し、最近の景気回復期である2012年から16年まででは1.2％減った。労働生産性上昇率の賃金に対する押し上げ寄与はバブル期に年率3.8％だったのに対し、足元では同0.7％にとどまっており、経済成長を制約していると結論づけた。

　内閣府は、労働生産性が伸び悩んでいるのは、労働者１人あたりに割り当てられる機械や設備などの資本の量（資本装備率）の低下が背景にあるとみる。労働基準法改正により１人あたり労働時間が大きく減少したバブル期には企業は資本装備率を高めて労働生産性を向上させた。バブル期の資本装備率の年平均変化率が3.3％増だったのに対し、足元では0.6％減だ。

　白書では企業が設備投資を進めれば生産性が上昇する余地が「十分にある」と強調した。あらゆるモノがネットにつながるＩｏＴや人工知能（ＡＩ）、ロボットといった新技術の普及に期待し、特に人手不足が顕著な介護や卸、小売り、陸運といった非製造業での取り組み進展を求めている。

　ＡＩやロボットの導入で企業の既存の労働需要が減少するという見方もあるが、白書では実際にこうした新技術を導入した企業の半数近くが「新商品開発」や「新規顧客の開拓」で成果があがったと実感している点も触れた。

　賃金の伸びの鈍さも課題に挙げた。直近４年で１人あたりの名目賃金の伸びは0.4％と、バブル期の3.6％に見劣りする。生産性の伸び悩みに加え、業績と雇用の安定を求める労使双方の安全志向が賃金交渉力を弱らせているとみる。企業に多様な人材の受け入れや賃金体系の見直しを含む働き方改革をいっそう進めるよう求めている。

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2017/7/21 10:23
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL20HT5_Q7A720C1000000/

【経済財政白書】デフレ脱却に設備投資拡大と新技術の活用を 17年度経財白書

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