【EC】「リアル化」進めるアマゾンその狙いは

ノチラ ★

ＩＴ企業のアマゾン・ドット・コムが、アメリカで実際の店舗を出店する動きを加速させています。効率的に商品を配送するネット通販で成長してきた企業が、いまなぜ「リアル化」を進めるのか、その狙いを読み解きます。

「アマゾンがアメリカの高級スーパーの買収で合意した」
６月１６日早朝、アメリカのメディア各社が速報しました。
買収されるのは老舗のスーパー「ホールフーズ・マーケット」。売り上げ規模は全米で１０位、およそ４５０店舗を国内に展開しています。買収金額はアマゾンとして過去最高の１３７億ドル（およそ１兆５０００億円）。

この買収劇は株式市場にすぐさま影響を与えました。この日のアマゾンの株価は２％上昇、その一方でアマゾンに顧客を奪われることへの懸念から小売り最大手のウォルマート・ストアーズの株価が５％下落、大手スーパーのクローガーは９％も下落しました。

ネット通販で成長してきたアマゾンがなぜ実際の店舗を持とうとするのか。アマゾンはその狙いを明らかにしていませんがアメリカのビジネス界はこの話題と臆測で持ちきりです。

ホールフーズの買収を発表した３週間前の５月下旬、アマゾンはニューヨークのセントラルパークに面したショッピングセンターに１軒の書店をオープンしました。店内の広さは３７０平方メートル、日本の平均的なコンビニの３倍ほどの広さしかなく、アメリカの書店としてはかなり小ぶりです。扱う本も３０００冊程度にすぎません。

しかし本の見せ方はユニークです。棚に並んだすべての本は背表紙ではなく、表紙が客側に向けられています。こうすると横幅を取るため並べる本の点数こそ減りますが、その分、本のデザインやタイトルでお客をしっかり引き付けることができます。
また本棚をジャンル別に分けるのではなく、ネット通販で購入した客の評価が高かった本やレビューが１万件以上投稿された本を集めたコーナーを設けるなどネット通販で得られたデータをフル活用しています。

アマゾンは２０１５年１１月、本社がある西部のシアトルに最初の書店をオープンしました。その後シカゴやサンディエゴなどに進出し、今回のニューヨークが７店舗目、さらに５店舗を計画中としています。

アマゾンブック幹部のジェニファー・キャストさんはこう話しています。「ネット通販と実際の店舗のどちらが優れているかという話ではない。両者が融合するアマゾンの書店はお客にとってすばらしい店だ」

アマゾンのビジネス戦略は
謎が多いアマゾンのビジネス戦略。それを読み解くヒントは店内にありました。入り口を入ってすぐ、正面には本と並んでアマゾンが開発したＡＩスピーカーが展示されていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/still/biz_0711_05_eco.jpg

話しかけるだけで音楽を再生したり検索したりできるこの製品は、２０１４年の発売以来１１００万台以上販売されたとみられ、いまアマゾンが最も販売に力を入れている商品の１つです。店内では初めてＡＩスピーカーを見たという年配の女性が興味深そうに機能を確かめていました。
またスピーカのほかにも、ネットに接続し音声で操作できる扇風機やＬＥＤライト、さらにはアマゾンオリジナルの乾電池も販売されていました。

どうやらこの書店には本を売るだけでなく、アマゾンが開発した商品をお客に見てもらうためのショールームとしての役割があるようです。
実際に本を手に取ってみると、どこにも値段が書かれていません。値段を調べるには店の隅にある機械で本のバーコードをかざします。画面には通常の価格に加えてアマゾンの有料会員だけに適用される割引価格も表示されていました。

またレジではクレジットカードは使えても現金は使えません。そのかわり会員はスマートフォンの専用アプリを使うことで、現金なしでも代金を支払うことができます。アマゾンの会員を優遇することで新規会員を増やそうという戦略です。アメリカでアマゾンの有料会員になるには、年会費が９９ドル（１万１０００円余）かかります。決して安くはありませんが、送料が無料になったり、翌日配送されるサービス、さらには映画やドラマが見放題になったりするサービスも利用できます。

有料会員の数はアメリカだけで８０００万人を超えているとみられ、ショッピングセンターのようなリアルな店舗への出店は、これまでネット通販と縁がなかった新しいお客にアプローチするための手段のように感じます。
以下ソース
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_0711.html

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