【企業】出光、はやる昭シェル合併　公募増資の強行策

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http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ03HPD_T00C17A7TI1000/

創業家と対立続く
2017/7/3 21:55

　出光興産が昭和シェル石油との合併実現に向けて強行策に出た。大株主の創業家が反対を崩さない状況を打開するため、創業家の持ち株比率が約26％に下がる公募増資を表明した。だが増資の実行にはまず創業家の差し止め請求をクリアする必要がある。さらに増資後に合併が実現できても、創業家との対立を抱えたまま新会社を軌道に乗せられるかという課題もある。

http://www.nikkei.com/content/pic/20170703/96958A9E93819688E2E19A82968DE2E1E2E5E0E2E3E5869BE3E2E2E2-DSXMZO0469551011072016000006-PN1-10.jpg
東京都千代田区の出光興産本社ビル

　出光経営側はこれまで「創業家の説得を優先する」（月岡隆社長）と言い続けてきた。だが創業家は昭シェルとの合併への反対表明から１年となる６月29日、株主総会で改めて合併反対を強調した。経営側はこのままでは対立の解消は難しいと焦りを募らせた。

　３日に発表になった月岡社長の再任案の賛成比率は約61％だった。創業家の持ち株比率は33.92％。経営陣は「創業家以外の株主のほぼすべてが昭シェルとの合併に賛成している」（出光幹部）と自信を深めた。膠着状態の長期化で経営陣への批判が高まりかねないという懸念もあった。

　４月にはＪＸホールディングスと東燃ゼネラル石油が一足先に経営統合した。国内ガソリン販売シェアで50％超と圧倒的な規模を持ち、３年以内に1000億円の収益改善を実現する方針。出光と昭シェルも５月から石油精製などで提携を始め、３年以内に250億円の収益改善を目指すが、合併を実現した場合に見込む効果の500億円の半分にとどまる。

　出遅れを最小限に抑えるには早期の合併が欠かせない。出光との統合を打ち出してからすでに２年近くが経過している昭和シェル側にも焦りが募る。両者の給油所運営会社から「一日も早く合併を実現してほしい」との声が出ていたことも出光経営陣の背中を押した。

　増資を実行すれば創業家の持ち株比率は３割以下に下がり、創業家だけでは株主総会で合併議案を否決できなくなる。創業家の代理人弁護士の鶴間洋平氏は３日、すかさず増資差し止めの仮処分を申請すると表明した。

　創業家はこれまで合併賛成に転じることはないと強調してきた。名誉会長の出光昭介氏は高齢で、息子２人は取締役ではない。出資比率まで下がれば発言力の低下は避けられず、今後も経営陣への対抗措置を進めるとみられる。

【企業】出光、はやる昭シェル合併 公募増資の強行策

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