【中国】金融界の腐敗にメス　保険監督トップを調査

みつを ★

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　【北京=原田逸策】中国保険監督管理委員会（保監会）の項俊波主席（閣僚級）が9日、事実上失脚した。共産党中央規律検査委員会が「重大な規律違反」の疑いで調査を始めた。保険会社の株式買い占めなどの振る舞いを正し、金融市場での規律を強化する狙いがある。秋の党大会を控え、反腐敗運動による党内引き締めも狙う習近平国家主席の意向も透ける。

中国、金融界の腐敗にメス　保険監督トップを調査
2017/4/10 20:27 (4/10 21:50 更新)
アジアニュース
　【北京=原田逸策】中国保険監督管理委員会（保監会）の項俊波主席（閣僚級）が9日、事実上失脚した。共産党中央規律検査委員会が「重大な規律違反」の疑いで調査を始めた。保険会社の株式買い占めなどの振る舞いを正し、金融市場での規律を強化する狙いがある。秋の党大会を控え、反腐敗運動による党内引き締めも狙う習近平国家主席の意向も透ける。

　「きちんとした監督姿勢を保ち、市場の乱れを断固正す」。保監会は10日夜、9日から開いた緊急幹部会で採択した決議内容を発表した。

　規律違反の具体的な内容は不明だ。中国農業銀行会長時代に、ある実業家が不動産開発の名目で巨額融資をだまし取った案件に関わったとの疑いが指摘されている。

　中堅保険会社の社員は「意外感はない。前から噂があった」と話す。党規律検査委が2015年末に保監会を査察した際に「一部幹部は自らのために権力を使う。幹部管理も問題が多い」と項氏を厳しく批判。今年2月には香港メディアが項氏調査の記事を流した。

　項氏の経歴は異色だ。中越戦争に従軍し、除隊後に大学に入学。日本の会計検査院にあたる国家審計署でキャリアを積んだ。04年に中国人民銀行（中央銀行）副総裁に転じてから金融畑に入る。農業銀行では株式上場も果たした。当時を知る関係者は「非常に勉強熱心だった」と評する。保監会主席には11年に就任。人民銀総裁候補の一人に挙げる声もあった。

　項氏は「最大の保険販売員」を自称し、保険業界の規制緩和を進めた。保険業界も業容を一気に拡大し、保険会社も相次ぎ新設された。だが、一部の保険会社は株式や不動産の投機資金を集めるために利用された。保険会社による株式買い占めが頻発、一部の保険会社は「金融の大ワニ」「野蛮人」と批判された。監督当局と業界の癒着も指摘されてきた。

　中国政府は項氏の調査発表直後、「金融リスクと腐敗を厳しく防ぐ。当局者が『金融の大ワニ』と結託する行為は厳しく罰する」という李克強首相の3月の講演内容を発表した。株式市場への統制を強め、バブルをあおる株式買い占めなどを厳しく律する意向を示したとみられている。

　中国は銀行、証券、保険と業界ごとに監督体制が縦割り。規制の隙間をついた金融商品が登場し、バブルを起こす一因となっていた。すでに証券、銀行の監督当局トップは16、17年に交代し、項氏も替わる見通し。いったん下火になった金融監督体制の再編論が盛り上がる可能性もある。

　党内引き締めの思惑もありそうだ。項氏調査入りの発表は、習氏が米中首脳会談を終えて帰国した直後。現役閣僚の摘発で反腐敗の手綱を緩めない姿勢を示した。最高指導部が入れ替わる党大会を控え、人事を主導したい思惑もありそうだ。

2017/4/10 20:27

【中国】金融界の腐敗にメス 保険監督トップを調査

【中国】金融界の腐敗にメス　保険監督トップを調査