【国内】「騙された」　2本のAVに出演してもらったお金は5万円…AV女優の嘆き

海江田三郎 ★

http://www.gentosha.jp/articles/-/7447
くるみんアロマさんの話から見えてくるAV出演強要問題の本質。「AV出演強要を問題と思えない業界関係者」の続編です。

「歌手へのステップ」という言葉を信じてAV出演を決める
大学4年の卒業間近に有名週刊誌でグラビアデビュー、内定する就職先は辞退して、飲食店でのアルバイトで生計を立てた。
実家暮らしで十数万円あれば生活はできる。グラビア以降、事務所やスカウトマンからはAV出演の説得が続いた。
2013年春、プロダクションとの「歌手へのステップ」という言葉を信じて、AV女優になることを決める。
「AV出演を頷いてから動きだしました。メーカーさんに行ってNG項目の確認とか。ほぼ処女みたいな売り方。
実際、男性経験はほとんどなかったから。初体験は強引なレイプみたいなもので、死にそうなくらい痛かった
だからAV撮影のときは小さい男優にしてって。でも男優さん大きくて、痛くて。撮影では痛い痛い痛いってなって、
中断するともう一度やり直し。泣きわめいたら延々と終わらない、って怒られる状態でした。
みんなこんなに泣く人は初めてだよね、って笑っていた。私は苦痛でしょうがなかったけど、
撮影現場には私の気持ちを共有してくれる人は誰もいなくて、みんな笑っていた。
撮り直しは嫌だし、取り繕わなければ先に進まない。ノリノリな雰囲気をだしたけど、本当は苦痛だった」

　「最終的に実際にもらったのは5万円くらい。今回はこのくらいにしておくみたいな。あとからまだ、社長と相談するってスカウトの人に言われた。
あとから相談して追加するって言われたけど、結局そのまま2本目に出演するじゃないですか。今度は社長がお金を持ち逃げしたって。
撮影が終わってから金額がわかるっておかしいなとは思っていたけど、なにも知らないから、そういうものと思うしかない。
事務所は他の女の子と情報を共有させなかったから、知りようがないし」
　単体デビュー作なので、メーカーから100万円～180万円程度の出演料は出ているはずだ。5万円というのは極めて悪質なケースだ。

（中略）

これは性の問題ではなく、労働問題
　「AV業界が悪いとかじゃなく、悪徳なスカウトや事務所、騙すことは辞めて欲しいって気持ちだけ。
AV強要が原因で自殺する子もいるって聞いて、すごくドーンときた。私は騙されているって気づいた部分はあったけど、
まだ気づかないで、騙され続けている女の子がたくさんいると思うし、それをなんとかしたい。デビューできるよ、音楽できるよって言われたら、
本気にしちゃう女の子ってたくさんいる。でも嘘とわかった場合、あまりもショックで自殺しちゃうのはすごく理解できる。本当に他人ごとじゃない。
すごく繊細な気持ちとか、ピュアな気持ちがあって、それを踏みにじられたツラさをわかってほしい」
　くるみんアロマさんの話は終わった。彼女の告白から見えるのは“騙さない”“労働の対価は支払う”というあまりにも当たり前のことだった。
　2012年から噴出する労働問題、ブラック企業問題は、現役世代がだんだんと減る少子高齢化の中で必然の社会問題だった。
現役世代を続々と精神疾患に追い込む、ブラック企業の法の隙間をぬった長時間労働。これが問題視され、最終的には政府は動き
、安倍政権は一億活躍総会議で「長時間労働是正」を掲げた。「長時間労働是正」は国の問題として、「働き方改革」に発展、
労働基準法の改正は確実となっている。労働被害を出してはならない、若者を潰してはならない、
という大きなうねりがAV業界にまで届いたのが現在のAV強要問題だ。
　AV業界はグレー産業の小さな村で、社会とは隔離されたところで細々と営まれてきた。グレービジネスなので労働組合はなく、
相談窓口はない。AV女優を守ってくれる第三者は、なにもない。彼女が訴える基本的な労働被害も放置されたまま、被害に遭ったら諦めるしかなかった。

　現在のところAV業界は「悪質な業者は一部」という言い分で、労働問題を置き去りにして「性の解放、性の自己決定」を言い争っている。
まず労働問題として、AV強要問題を受け止めてほしい。この4年間の労働問題は社会の壇上に上がった企業は、
100％が改善を迫られて改善に着手している。嵐が過ぎ去るのを待ち、現状維持を期待する選択はこの4年間の社会の流れを見ていると無理だ。

【国内】「騙された」 2本のAVに出演してもらったお金は5万円…AV女優の嘆き

【国内】「騙された」　2本のAVに出演してもらったお金は5万円…AV女優の嘆き