連合の民進離れが進むワケ　原発政策で共産党にすり寄り、雇用増やせぬ政策にも不信感

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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20170223/dms1702230830003-n1.htm

　民進党の原発政策をめぐり、労働組合の連合が反発するという事態が生じている。また、基幹労連のアンケートで一時、自民党の支持率が民進党を上回ったとも報じられた。労働組合の民進党離れが進む背景は何か。

　連合の神津里季生会長は、民進党の蓮舫代表を批判した。蓮舫氏が３月１２日の党大会で「２０３０年原発ゼロ」を打ち出そうとしているからだ。

　昨年から連合は、民進党が共産党と選挙協力したことを「左旋回だ」と批判していた。

　この民進党と連合とのすきま風が、原発政策をめぐり一気に波乱含みになってきた。

　民進党がこれまで掲げてきた原発政策は「２０３０年代にゼロにする」というものであった。蓮舫氏はこの「２０３０年代」から「代」の１文字を取って「２０３０年」に持っていきたいとしている。

　各党の原発政策は、自民党は原発依存度を低減するとしながら再稼働・新設も一定条件で容認▽公明党は原発ゼロを目指すとし、再稼働は認めるが新設は認めない▽日本維新の会は「原発フェードアウト」として再稼働は厳格な要件で認めるが新設には否定的▽共産党は即時原発ゼロで再稼働・新設を一切認めない－というスタンスだ。

　つまり民進党は現状から共産党に近いポジションに持っていこうとしているわけだ。

　それに対して、民進党の最大の支持母体である連合から、今の「２０３０年代」でもハードルが高いのに、さらに前倒しして「２０３０年」とするのでは政権を任せられないという批判が出た。

　連合の最大の目標は「雇用」である。その雇用について、民主党政権では達成できずに、安倍晋三政権になって達成できているという現実も、民進党の政権運営能力に疑問符が出ている背景になっていると筆者は思っている。

　民進党は、積極的な金融政策が良好な雇用環境を作ったことをまったく理解していない。雇用と物価の関係を示すフィリップス曲線を理解していれば、金融政策が物価と雇用に効くことがわかる。これは世界の常識である。

　しかし、日本のエコノミスト・学者らは、この大学初級程度の経済学もわからず、雇用は金融政策と無関係だという主張を繰り返している。民進党の周りには、こうしたエコノミスト・学者が多いようだ。しかも、こうした非常識がしばしば公共の電波で公言されることも多く、マスコミを含めもっと勉強するべきだ。雇用を重視する連合は、民進党の金融政策が雇用確保の上でまったくダメだったことを、安倍政権の実績によって分かったのだろう。

　先日の本コラムで述べたように、原発問題は、経済関係を考慮し、多くの人に納得可能な「市場メカニズム・アプローチ」で解決すべきだ。その意味で、即時原発ゼロを主張する「倫理アプローチ」は不適切である。

　民進党が、共産党との選挙提携を意図して、共産党の原発政策にすり寄るのであれば、連合が喝破するように、政権を任せられる政党として国民の支持を集められるはずはない。　（元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一）

連合の民進離れが進むワケ 原発政策で共産党にすり寄り、雇用増やせぬ政策にも不信感

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