【大飯３、４号機「合格」】関電、再稼働で電気料金数％値下げか　家計には好影響をもたらす可能性

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http://www.sankei.com/west/news/170222/wst1702220105-n1.html

　原子力規制委員会が２２日、関西電力大飯原発３、４号機（福井県、出力各１１８万キロワット）が安全性の新規制基準に適合しているとする審査書案を了承し、事実上の合格を出した。大飯３、４号機は関電の原発でも最大の出力を持つ主力機で、再稼働すれば経営状況の好転につながる。電気料金の抜本的な値下げが行われ、家計には好影響をもたらす可能性がある。

　大飯３、４号機は新基準に適合する安全対策工事を５月に完了予定で、早ければ今年夏に再稼働する見込み。東日本大震災後の平成２５年９月に定期検査のため停止して以降、約４年ぶりの稼働となる。

　関電は震災後に相次ぎ原発が停止し、電源に占める火力の割合（発電量ベース）は震災前（２２年度）の４５％から２７年度には８４％にまで高まった。液化天然ガス（ＬＮＧ）などの火力燃料費は収益を圧迫。２８年３月期連結決算は原油価格下落で５期ぶりの黒字を回復したが、原油が上昇に転じれば再び赤字転落の懸念がつきまとう。

　大飯３、４号機が動いた場合の収支改善効果は１カ月で計１００億円に上り、関電の財務は安定軌道に乗る。関電首脳は「営業運転を確認でき次第、早期に値下げする」とし、収支改善を速やかに、電力利用者に還元する方針だ。

震災後２度の値上げ…顧客流出５６万件

　関電は震災後２度にわたって値上げを実施し、全国的にも電気料金が高止まり。昨年４月に始まった電力小売り全面自由化で、大阪ガスをはじめ安い料金を提示する新規参入事業者（新電力）に顧客を奪われ、切り替え件数は今年１月末までに５６万８７００件（５・６％）に達した。

　大飯３、４号機の再稼働はこうした構図を大きく変える。

　関電は数％の値下げに踏み切るとみられ、現在の新電力の料金と並ぶか、下回ることもあり得る。

　新電力を巻き込んだ電力料金の価格競争は、関電に比べて、どの程度安いかがアピールポイントになっているだけに、ある新電力幹部は「再稼働が電力市場に与えるインパクトは大きい」と指摘。値下げ競争の加速を予想する。

　今年４月には都市ガス小売り全面自由化により、関電は大ガスの顧客に切り込む。両社は昨年末から年明けにかけて、電気とガスをセット割引する新料金プランを相次ぎ発表。関電の原発再稼働と値下げで、大ガスは本業のガス事業でもサービス拡充を含めてさらなる対応を迫られる。

　ただ、関電にも不安材料はある。大飯３、４号機は名古屋高裁金沢支部、京都、大津、大阪地裁の４カ所で、住民らが運転差し止めを求めた訴訟が係争中だ。昨年３月には大津地裁が、安全審査に合格した関電高浜原発３、４号機（福井県、出力各８７万キロワット）の運転を差し止める仮処分決定を出し、関電の値下げシナリオが崩れた経緯がある。

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