【クルマ】新型スポーツカーが中高年に人気　セカンドカーとして　若年層への販売は低調

海江田三郎 ★

http://mainichi.jp/select/news/20150630k0000m020142000c.html

◇車離れが目立つ若年層への販売、低調なまま
　自動車メーカー各社が新型スポーツカーを相次いで発売している。今年４月にホンダが軽自動車の「Ｓ６６０」を投入、
５月にはマツダも「ロードスター」を１０年ぶりにフルモデルチェンジした。かつてスポーツカーに心を躍らせた４０?６０歳代への販売が好調な一方、
車離れが目立つ若年層への販売は低調なまま。顧客の裾野拡大が課題となっている。
　「ロードスターは（スポーツカー市場の）需要を喚起する車という考えで、取り組んでいきたい」。
マツダの小飼雅道社長は５月２０日、新型ロードスターの発表会で意気込みを語った。
日本のスポーツカー市場は２０００年以降、販売の低迷が目立つ。マツダによると０９年ごろに底打ちしたものの、
１９９０年前後のバブル時代などと比べて販売は低調なままだ。
　新型ロードスターは発売から１カ月間の受注台数が５０４２台となり、月間の販売目標（５００台）の１０倍を超えた。
購買層の内訳では４０代が３６％、５０代が２４％、６０代が１１％で計７割を占めるのに対し、
２０代は１１％にとどまる。子育てが一段落した中高年がセカンドカーとして買うケースが多いようだ。ホンダのＳ６６０も中高年層の購入が目立つ。

　最近の自動車販売では、通勤や買い物などに便利なコンパクトカーや軽自動車などが主流。
こうした状況を踏まえ、スポーツカーも「小型化」が目立つ。スズキは今年３月、加速を重視した「アルトターボＲＳ」を投入。
ダイハツ工業も今年６月、オープンカーの「コペン」で新デザインを追加したが、いずれも軽自動車だ。
一方、三菱自動車は５人乗りの高性能スポーツカー「ランサーエボリューション（ランエボ）」の生産を１５年末までに終えることを決定。
「本格派」のスポーツカーは苦戦が続いている。
　背景には若者の車離れがある。車への憧れが薄まった他、スマートフォンなど通信代への出費増など複合的な要因が働いているとみられる。
住商アビーム自動車総合研究所の宋太賢ストラテジストは「８０年代と比べて若者の価値観が多様化する中、
スポーツカーの販売を伸ばすのは難しい」と指摘。「若者ユーザーの掘り起こしには、
スポーツカーで走りの楽しさを訴えるだけでなく、コンパクトカーでは内装を重視するなど、
それぞれの車の個性を強く打ち出すことが必要」と指摘している。【永井大介】

　◇日本のスポーツカー
　１９６０年代にトヨタ自動車が「２０００ＧＴ」を発売するなど各社の新車投入が続き、スポーツカー人気が徐々に拡大。８０年代には若者を中心にブームになった。
　しかし、バブル経済の崩壊以降は、若者の雇用環境の悪化などでスポーツカー市場は急速に縮小。
環境意識の高まりから燃費の良い「エコカー」に注目が集まったことなどで、
２０００年代に入るとトヨタの「スープラ」やマツダの「ＲＸ?７」などスポーツカーが相次いで販売中止に追い込まれた。
ただ、若者の車離れへの危機感などを背景に、
１２年にトヨタと富士重工業が「８６」（ハチロク、富士重では「ＢＲＺ」）を共同開発するなど、最近は再び開発機運が高まっている。

【クルマ】新型スポーツカーが中高年に人気 セカンドカーとして 若年層への販売は低調

【クルマ】新型スポーツカーが中高年に人気　セカンドカーとして　若年層への販売は低調