【航空】「公園がダメならどこで飛ばすの？」　都のドローン規制に困惑の声

海江田三郎 ★

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1506/01/news060.html

　首相官邸の屋上に小型無人機「ドローン」が侵入した事件を受け、東京都は都立公園や庭園など119カ所すべてでのドローン使用を禁止した。
「落ちた際、子供らに当たったら危険」との理由だが、「公園がダメならどこで飛ばすの？」
と利用者には困惑も広がる。迅速な対応か、場当たり的な対策か。発展途上の“未来の技術”をめぐり、賛否が渦巻いている。

「小さな子供たちが遊んでいて、ぽんと（頭などに）落ちたら大変なことになる」。東京都の舛添要一知事は12日の定例会見で、
都立公園でのドローン使用を禁止した意義を強調した。
　都は首相官邸の事件を受け、4月27～28日付で都内のすべての都立公園、庭園、海上公園計119カ所に通知などを出し、
ドローンの持ち込みや操縦、飛行などを禁じた。
　禁止の根拠としたのは「都立公園条例」と「都立海上公園条例」。それぞれ「都市公園の管理に支障がある行為」
「海上公園の管理運営に支障を及ぼすおそれがある行為」をすることを禁じる規定があり、ドローン使用がこれに当たると判断した。
ほかの利用者に危険を及ぼす可能性を考慮したという。

　海上公園38カ所はもともとヘリなどのラジコン使用を禁じており、ドローンも「ラジコンの一部」と判断。
都立公園、庭園計81カ所は、今回のドローン規制にあわせてラジコンの使用も禁じた。
　都は公園にドローンを禁じる貼り紙を掲示するなどして告知。いずれの条例も、違反者には5万円以下の過料を科す規定があるが、
都の担当者は「適用はあまり考えておらず、まずは使用者に注意するところから始めたい」としている。

突然の規制に困惑も
　だが、利用者からは困惑の声も聞かれる。
　都内の量販店でドローン購入を検討していた男性会社員（31）は「公園がダメなら、どこで飛ばせばいいのか…」と頭を悩ます。
テレビでみて興味を持ったが、ラジコン経験は「子供のころ、ちょっと遊んだぐらい」といい、「確かに公園で練習したら、失敗して墜落させてしまうかも」という。
　メーカーの資料などによると、市販されるドローンは、全長8センチ程度の手のひらサイズから、
50センチ以上で重さ約3キロに及ぶ大型まで種類はさまざま。東京都庁の高さ243メートルまで飛べるとうたう商品もある。
　ドローンの輸入代理店「ジーフォース」（東京都千代田区）の担当者は「自分たちは栃木県郊外の広い公園で飛ばしている。
都内の公園は人が多く、やはり危険は伴うだろう」と規制に理解を示した上で、
「ドローンがひとくくりで規制対象になっているのはどうかと思う。手のひらサイズのおもちゃのようなものまで規制する必要があるのか」と疑問を呈する。

　また、別の輸入代理店は「講習を受けることを前提とするなど、免許制や許可制を採用すべきだ」と訴える。
同社では月1回、講習会を開き、利用者に飛ばし方のレクチャーなどを行っている。
　同社の取扱商品は首相官邸の事件後、GPSなどで機体を制御し、官邸や皇居周辺などの重要施設付近では飛ばせないよう対策されたといい、
「なんでもかんでも規制ではなく、メーカーや販売側で努力をすることで、いい方向に持っていきたい」と述べた。

世界遺産もひやり
　ただ、公園などの施設でドローンを禁じる取り組みは全国に広がりつつある。
　大阪城のある大阪城公園など多くの公園を管理する大阪市。東京都の対策に先立ち、市が管理する公園でのドローン使用を原則禁止し、
官邸の事件後にはドローンの操縦者を見かけた場合、やめるように注意する方針を徹底することを各公園事務所に指示した。
　大阪城公園では、落下しても下に人がいない堀や池の上に限り、これまで3件だけ空撮を許可した。
しかし、インターネット上にはドローンによる大阪城の空撮映像が複数公開されており、無許可で飛ばしている可能性が高い。
　警備員が巡視する際、ドローンを飛ばしている人を見つければやめるように注意するが、
実際に発見して注意できたのは1件だけという。これまで墜落事故などはないが、
「敷地が広大な上、公園の外から飛ばしている可能性もある。空撮している人を見つけ出すことは難しい」（市担当者）という。

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