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【少女前線】ドールズフロントラインPart680【ドルフロ】

495 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2019/09/18(水) 18:33:34.22 ID:z4G/HC5t0.net
「ごめんねわーちゃん、一度失踪扱いになった人形が再度発見された場合は、メンタルモデルを初期化してIOP社に返却する決まりなんだ」

私は高難度の任務で、大きな損傷を受け機能を停止した……はずだった。
しかし民間の人形修理業者がたまたま壊れた私を見つけ、修理してグリフィンに返却したと指揮官は説明してくれた。
……それと同時に、任務から既に半年が経過し、既に私はメンタルモデルがバックアップから復元されたということだった。
指揮官の隣には、指輪を嵌めたWA2000がいる。指揮官との距離感が近く、自然とそれが「私」であるということに気が付いた。

「ごめんね、規則だから……」

それが指揮官から私に掛けられた最後の言葉だった。隣にいる指揮官の手を引いて通路の奥へと消えていく「私」。
コアを外され、銃を奪われ、経歴を消され、指輪と記憶以外の全てを奪われ、雑多な人形と共にIOP社に輸送される私。

どちらが指揮官に愛されているかは明らかだった。
私の認識では、任務の直前まで愛されていたのは私のはずなのに。
あの「私」も私の愛を知っているはずなのに。

私は、私を見捨てた「私」が許せなかった。

幸運にもトラックを運転する人形には脱走に気付かれなかった。
幸運はそれだけでは終わらなかった。コアも手に入り、愛銃ほどでは無いが精度の良い銃も見つかり、殺しの生業でそれなりの資金も稼げた。
私の復讐を後押ししているように感じられるほどに、全てが順調だった。

全ては指揮官とまた愛し合うために。
地道な調査によって、指揮官の所在する司令部を見つけた。排便や就寝なども含め、毎日の生活リズムを監視した。
鉄血との戦闘や、その後の行動なども何もかもを調査し、指揮官と「私」の動きを読んだ。

そして、ついにその日はやってきた。「私」が大戦果を上げ、指揮官とお祝いのデートをする日。

調査済みの狙撃ポイントで、私は息を潜めその一瞬を待った。
WA2000よりも長い間握ってきた愛銃には、銀色の弾頭─────指輪を融かして弾頭にした弾が装填されていた。
指揮官と私の愛の証で、幸せそうな「私」の電脳を破壊して……

「指揮官!?指揮官!?」

………………私の声ではない、「私」の声で我に帰った。
スコープ越しに見えるのは、「私」ではなく、指揮官が倒れた姿だった。
私は確かに「私」を狙ったはずだった。指揮官を誤射するはずなどない。なんで、どうして!?

「指揮官!なんで私を庇ったの?私なんて壊れても、復元すればいいじゃない!」
「わーちゃんは……覚えてる?失踪したはずのわーちゃんが帰ってきた日……」
「そ、それがどうしたって言うのよ!」
「人形は復元されても、その前までの人形とは違う……あの時、無理にでもわーちゃんを引き留めなかったことをずっと悔やんでたんだ……きっとこれは罰なんだ、愛していたはずのわーちゃんを見捨てた罰……」
「……私も別の私を受け入れる心の余裕が無かった……でも、こんなのあんまりよ……指揮官が死ぬのは間違ってるわ……」

その通りだった。指揮官が死ぬのは間違っている。
私はただ、もう一度指揮官に愛されたかっただけなのに……
私はどうしたらいいか分からなかった。分からないまま、時間が過ぎた。
程無くして私はグリフィンに捕らえられた。
そして厳重な監視の下、今度こそメンタルモデルを初期化されるために護送されている。

指揮官が「私」を庇ったのが間違いだったのか?
私が復讐に走ったのが間違いだったのか?
そもそも、私という存在そのものが間違いだったのか?

私には、もう何も分からなかった。

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